黄金世代
生徒会役員共
ナリタタイシン
サクラバクシンオー
この作品にはジョジョネタが含まれております。
では、楽しんでね
また担当を吸いたい。
俺はなんとなくそう思った。
『嗅ぐ』ではなく、『吸う』であることを間違えないで欲しい。鼻腔内に香りの着いた空気を入れるのではなく、その空気を脳に浸透させるのだ。
もう気持ちいい所の話じゃない。疲労、肩こり、腰痛、腹痛、神経痛、挫折、骨折、打撲、捻挫、うつ病etc…
あらゆる万病をも完治させてしまう程の効果を持つともされる。
『ウマ吸い』──────その行為が持つ膨大な魔力は、海外でも『UMASUI』という形で知られている。
『ウマ吸い』を行うことにより得られる興奮状態を『鼻ぴょい』なんて呼んだりもするらしい。
おっといけない、そろそろ『鼻ぴょい』の効果が切れる頃だ。戻らねば───────
〜〜〜〜〜
───ミスターシービー────
「ハァッ…ハァッ…!!!」
俺は焦っていた。
携帯代の支払い忘れとか家賃の滞納とかそんなチャチなもんじゃあ断じてない。
下手すれば誰かを襲ってしまうかもしれない。そんな危険性を秘めているんだ。
「『鼻ぴょい』の効果が…切れるッッッッ!!!」
いわゆる燃料切れのような症状を引き起こしているのだ。
誰かしらを吸わなければ…死ぬッ!!
「やぁ、トレーナー。おさんぽ?」
「し、シービー…!ちょうど良かった、一緒に昼寝でもしないか?」
丁度いい、『昼寝している間にウマ吸い作戦』を決行してやるッッッ!!!確実に、正確に、着実にシービーを『吸う』ッッ!!!
「え〜、気分じゃないかな〜」
俺の作戦、失敗──────。
もはや決行前に砕け散った。
「じゃーね〜」
「あっ、シービー!待ってくれ!ぬあああッ!!!」
シービーはあっという間に走って行ってしまった。
「あっ、残り香…ッ!!!!」
風に乗って彼女の爽やかな香りが俺の脳みそを突き抜けた。
リードを外された犬が広大な野原を楽しそうに駆け回るような、そんな爽快感が身体中を駆け巡った。
「もっと吸いてぇ…」
しかし、それでも俺の飢えが満ちることは無かった。
〜〜〜〜〜
───サクラバクシンオー─────
『ウマ吸い』がしたい。
ただそれだけが、今の俺を動かす原動力。
「おや、そこにいるのはトレーナーさん!」
ふと俺の後ろから、何やら声が聞こえてきた。
よく知っているこの声は──────
「バクシンオー…っ!」
「あの〜、顔色が優れないようですが、大丈夫ですか?」
こちらを心配そうに伺うバクシンオー。
しかし、俺はすぐにバクシンオーを裏切ってしまう。
「なぁ、知ってるか?お互いに匂いを嗅ぎ合うと長距離が走れるようになるらしいぞ!」
「なぬっ、それは本当ですかっ!」
「もちろんだ。試しに俺がバクシンオーを吸ってみるぞ…ッ!!!」
「はいっ!」
待ちに待った瞬間が来た。
俺はまた『鼻ぴょい』ができるッ!!!!
彼女の耳に鼻を埋めて…
「スゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!」
「ちょわああああああっ!!!???」
鼻腔を突き抜け、脳みそを巡り、血中に溶け込み、やがて心臓の鼓動が数倍にも早くなる。
そして、脳内に思い浮かぶ情景が─────
爆進!爆心!爆神いいいいいいいいああああああああ!!!!!気持ちいいいいいいいいいっ!!!!!爆進しちゃうゥ!ぶるるるんるんるるんるるwwwww
「あ〜、キマりそう(静かな興奮)」
実に実に実に最高である。
これ以上ない快感…ユートピアやエデンなんて言う言葉では言い表せない。
『天国』──────強いて言うならこれが当てはまるだろう。
つまり、今の俺は『天国』へ到達したトレーナーということになるな。
「あの、トレーナーさぁん…?」
「あぁ、すまない。さぁ、俺を吸うがいい!」
「では…失礼しますっ!!!」
そう言うと、彼女は俺に抱きついてきた。
そして、かれこれ30秒程経った時、彼女は口を開いた。
「今度はもっと上手に騙してくださいね、うそつき️…♡」
「ゔぁおッ!!!」
それは、俺の『鼻ぴょい』効果による幻聴だろうか。確かに彼女はそう呟いた気がする。
天国から一気にマントルまで叩き落とされた気分だぜ…
てかほんとに意識飛んでない?大丈夫俺?
〜〜〜〜〜
─────ナリタタイシン─────
「ぎゅぴっ!(起動音)」
目を開けると、知らない天井が見えた。
本当に『天国』に到達してしまったか…
「やだぁぁぁッッッ!!!お家帰るのぉぉぉぉぉぉッッッッッ!!!!」
この俺の勇ましい雄叫び…さすがの神も恐れおののくだろう。
誰だ今『大人が駄々こねるなんて…』って思ったやつ。アヤベの布団乾燥機をケツにぶっ刺してモフモフにしてやるぞ。
「ちょっと、静かにしてよ。」
「むぉ、タイシン。」
ドアを開けてひょっこり現れたのは、ナリタタイシン。小柄な体に大きなお耳…一度吸ってみたいなぁ。彼女はガードが固いため、未だ一吸いもできていない。
「大丈夫なの?急に倒れたって聞いたけど。熱とか無い?」
彼女は小さなおててを俺の額にピタリとくっつけ、不安げな表情を浮かべる。本気で心配してくれているようで、俺はすごく嬉しくて泣きそう。
でも、本当はイケねぇことだけど…ダメなことだってわかってるけど…このおててに頬ずりしたいッ!!!
いや、落ち着け…こんな時こそ『偶数』を数えるんだ。偶数とは複数の数で割り切れる数字…いわば群衆の数字…!俺に勇気を与えてくれる…ッ!
2,4,6,8,10──────
「あんま無理しないでよ。困るのはあたし達なんだから。」
「ッ!!!」
なんてことだ。俺は最低だ…彼女は心から俺を心配してくれたのに、俺はあまつさえ下心を…ッ!!彼女を吸いたいと思ってしまったッ!!!!まぁ吸うんですけどね。
「タイシン、俺はすごく嬉しいよ。でもねぇ、このトレーナーがちょいとでも油断すると思ったのか!このマヌケがァーーーッ!!!」
俺は布団をバサッとタイシンの方へ被せる。
「フハハハハッ!!!哀れな───────」
俺は布団に包まれたタイシンを抱きしめようとした瞬間だった。布団は力無く萎れたのだ。
そう、布団の中にタイシンはいなかった!
「ば、馬鹿な…!確かに俺はタイシンを捕まえたはず…ッ!!虚像でも、幻覚でも無かった!確かにいたのだ!」
「アンタが捕まえた気になってるのは、アタシの残像だから。」
確かに、俺の後ろから声が聞こえた。逃したというのか?この俺が…タイシンを!?
「フフッ、過程などどうでも良い!吸えばよかろうなのだァーーーッ!!!」
「全く、ほんとに馬鹿…──────オラァッ!!」
タイシンに飛びつこうとした俺を、彼女は回し蹴りで吹っ飛ばした。
俺は部屋を突きぬけ、外へぶっ飛ばされた。
〜〜〜〜〜
────エルコンドルパサー────
「ハァッ…ハァッ…!」
全身が痛い…頭痛もする…吐き気もだ…
このトレーナーが気分が悪いだとッ!?
いかん、『鼻ぴょい』効果が切れたのか!クソッ、早く吸わねば…
いや、丁度いい、ここで一つ実験をしよう…
そう、『天国』へ行く方法をなァッ!
そのために俺が編み出した『興奮度を高める14の言葉』を唱える必要がある。それらは全て、『吸うと飛びそうになる』ウマ娘の体の部位で成っている。
「『フジのネクタイ』…!『マヤの足』!『テイオーのお耳』!『ハヤヒデの頭』!『カフェのタイツ』…!『ライアンの脇』!『ボノの胸』!『エルの首筋』!『アキュートの太もも』…!『アイネスの胸』!『ダスカのツインテ』!『ウオッカの脇腹』!『ライスの耳』!『ルドルフの耳裏』…ッ!」
これで、極限までウマ吸い欲を高めることが出来た。
瞬間、『視覚』『嗅覚』『触覚』『聴覚』『味覚』の全てが超強化された。
「フハハハハッ!!!感じたぞ…ッ!『位置』が来るッッッ!!!!!」
強化された超感覚により、『位置』────すなわちウマ娘の気配を感じとった。
「〜♪」
そこには、鼻歌を歌いながら花に水をやる幼女 ニシノフラワーがいた。今の俺にとって格好のエサだ。早速吸われてもらおう。
一歩、また一歩と距離を詰めていく。フラワーはこちらに気づくことなく水やりを続けている。
フラワーまでの距離およそ15m。歩幅が約1mならあと15歩あまりで接触できる。
しかし。
「そこまでよっ!」
「いたいけな少女に手を出すヤツは〜!」
「私たち黄金世代が!」
「ゆる!」
「しま!」
「センッ!!!」
俺の背後にいたのは、黄金世代と呼ばれる『スペシャルウィーク』『グラスワンダー』『エルコンドルパサー』『セイウンスカイ』『キングヘイロー』『ツルマルツヨシ』の6人組だった。
「おのれ黄金世代ィッ!!…いいだろう。それならお前らを吸って『天国』へ到達してやるぞッ!!」
「ここはエルが相手デース!」
「ほほう…向かってくるのか。逃げずにこのトレーナーに向かってくるのか…エルッ!!!」
「向かわなければ倒せマセーン!」
俺とエルは対峙する。
エル以外の黄金世代組が見守る中、俺たちは徐々に距離を詰めていき──────
「エル…やはりこんな戦いやめないか。よくよく考えたら人間がウマ娘に勝てるわけなんてないんだ。俺が馬鹿だった…この握手をもってやめにしよう」
「ケッ…!?」
戸惑うエルの手を取り、ぎゅっと握る。
そうだ、こうして友好的に行かなければ。争いは何も生まないんだ。
「フッ、やはりエルは可愛いやつよのう!」
握られた手を引き、エルをこちらへ引き寄せる。そして耳に鼻を埋めて吸引ッ!!!!!
残念!世の中そんなに甘くは無いぞぉっ!!
「ひゃあああああっ!?!?」
「あぁ、最高だ…ッ!!こっちもみておこう…スゥゥゥゥゥゥッ!!!!」
今度は首筋に鼻を埋めて吸引!吸引ッ!吸引ッッッッ!!!!!!!!
こっ、これはっ!?
白熱する試合、湧き上がる歓声!炸裂するプロレス技!試合の熱気が、興奮が、見ているこちらにも移るような情熱的ファイト!!
血が湧き上がるような感覚ッ!!!
「俺はウマ娘を超えるぞッ!黄金世代ーーーーッッッッ!!!!!」
エルの仮面をはぎ取り、装着する。
彼女の香りが俺を興奮のさらに先へつき進ませる。湧き上がる闘志は火山の噴火よりも猛々しく、燃え盛る炎のような雄々しさを見せるッ!!!
「オオオオッ…!!!脳みそが踊り出す…血が湧き上がる…!これが『天国』ッ!!!実に実に良いッ!最高にハイってヤツだーっ!!」
「エルの香りはよく馴染む…さぁ、次は誰が俺を楽しませてくれるんだァ!?」
黄金世代組の方へと向き直り叫ぶ。
しかし、黄金世代組は表情を崩すことは無い。仲間がやられたというのに、なぜ取り乱さない…?
「校庭が騒がしいと話を聞いて来てみれば…どういうことだ?説明してもらおうか、たわけ。」
「元気すぎるのも些か考えものだね、トレーナーくん」
「膝枕の時間だぞ」
なんと、ボヤ騒ぎを聞きつけた生徒会が駆けつけてきた。しかし、『天国』に到達した俺を前にはなんの問題にもならない!!!
「なっ、生徒会!?まぁいい…このトレーナーの前ではむりょ──────」
〜〜SHADOW BREAK〜〜〜
ブライアンの拳が俺の脳天に直撃。
俺はたまらず意識を飛ばした。
「バカが失礼した。仮面は返す。」
エルの仮面を返し、ブライアンは俺を担いで行った。その後に続くようにルドルフとエアグルーヴも帰って行った。
〜〜〜〜〜
おのれ。俺は諦めないぞ…!必ずや『天国』のその先へ…