鈴木くんとの仲を諦め、公園で泣いているみき。佐藤はそんなみきに慰めの言葉をかけるが...
佐藤君がもしイケメンでなかったら、その後の展開はどうだっただろう。そんなifを小話にしてみました。
夕方、と呼ぶにはすでに日は落ちていたが、夜というにはまだ早い時間帯の公園。
ベンチで一人、私服の少女が泣いていた。
「グスん...ッ」
「どうしたの? こんなところで一人で泣いて...」
「あなたは、転校生の佐藤くん。」
「どうして泣いていたの?」「失恋かな?」
「自分でも良くわからない...」
話を聞いてみると、みきちゃん...泣いていた少女は竹内みきという佐藤のクラスメイトだった...には、小学生の頃から12年間想い続けてきた鈴木くんという男子がいて、ずっと告白できずにいた。想いを打ち明けることでこれまでの関係が壊れてしまうのが怖くて。鈴木くんには最近になって仲良くなった二人の女の子ができて、それがとてもイヤだった。表向きは、鈴木君にさくらちゃんと川上さん...最近鈴木くんと仲良くなった女の子二人の名前...のどちらかを選ばせようとしたり、さくらちゃんのデートを応援するフリをしたり、していたが、本心は鈴木くんに二人を振って欲しかったのだ。そういう自分の本心に気付き、もう自分は鈴木くんに選ばれる資格がない、彼女はそう思ったようだ。彼女の12年間の片想いが終わってしまった、彼女自身が終わらせてしまったのだ。
「こんな卑怯者の私じゃ選んでもらえない...」
「そうかな? 僕はそんなキミを知ったって卑怯だとは思わないけどな。」
そう言って、みきの隣に座る佐藤。
「....」
無言のまま、佐藤との距離を取るみき。
「今の恋が終わったのなら、また生まれ変わればいい。」「ありのままのキミを受け入れてくれる人を見つけてさ。」
そう言って、佐藤がみきとの距離を詰めようとしたその時、みきは慌ててベンチから立ち上がった。
「...さ、佐藤くん...って、優しいんですね...」「その...、うん、佐藤くんと話をしていたら、少し気が晴れました。ありがとうございました。」
タタタッ
怯えるような目で急に敬語を使い出したみきは、そのまま走って立ち去った。途中、一度立ち止まり、佐藤の方を向いて
「今日は元気づけてくれてありがとうございました。また学校で...」
そう言ってまた佐藤に背を向けて走り出した。
「みきちゃん、いい娘だよなぁ...」
思わず呟いた佐藤だったが、一抹の寂しさを感じずにはいられなかった。
クレオパトラの鼻がもう少し低かったら...そんな言葉があったが、佐藤の鼻がもう少し高ければ、違った未来があっただろう。頑張れ佐藤、ハーレムの夢はまだ遠い。
その前に、彼女が欲しい佐藤であった。
その日の夜、みきは夢を見ていた。12年間の片想いを諦め、ありのままのみきを受け入れてくれた別の誰か、凄いイケメンだったが、に初めてを捧げてしまう、そんな夢だった。
目が冷めてゾッとする、まさか、私がそんなことありえない...会っていきなり...そんなこと。それと、夢の仲の、その別の誰かは、心なしか佐藤くんに似ている気がした。
次の日の朝、吹っ切れたみきはある決心をした、そして....
数日後、みきは休み時間に佐藤の席に行って、先日のお礼をしていた。
「佐藤くん、こないだは話を聞いてくれてありがとうございました。」「そ、それで、次の日、新しい自分に生まれ変わったつもりで、思い切って鈴木くんに告白したら、鈴木くんも『友達からってことで』って言って付き合ってくれることになりました。」「あのとき佐藤くんと話ができて、良かったです。ありがとうございました。」
そう言って、言うだけ言ったところでそのまま佐藤に背を向けて鈴木の下に駆け寄るみき。
「あれ? みきって佐藤と仲良かったっけ?」
「うん、仲良いってほどではないんだけど、ちょっと話をしたんだ。」「佐藤くん、とってもいい人で、そのおかげで...」
「おかげで...?」
「ううん、なんでもないっ。」「今日は一緒に帰ろう」
「いいよ、どこかに寄っていこうか...」
「あ、それもいいね。スイーツとか鈴木くんはあんまり好きじゃなかったっけ?」
教室の反対側からわずかに聞こえてくる会話を聞きながら、佐藤は思った。
鈴木くん...モテる男はいいなぁ...彼女、欲しいなぁ...
原作では無双状態だった佐藤君ですが、もし彼がイケメンじゃなかったらどうなっていただろうか?って話を書いてみました。
結局「まあそうなりますよね」って話にしかならないわけですが、それでも書いてて楽しかったので、また書くかも知れません。(書くとは言ってないけど書けるようにはしとく)