[シドside]
朝になって目を覚まして屋敷の中をぶらぶらしていると姉さんの部屋に人だかりができていることに気づいた僕は何があったのかと見に行った
そしたら姉さんの部屋が荒らされて姿はなかった
部屋には父さんと母さん、そして使用人たちに混ざって一メイドの姿に擬態してるベータがいた
さらにはそこから父さんが母さんにボコボコにされるという光景が目の前に広がっていた
なんだかなと呆れている時だった
突然クローゼットのほうからドンドンという音が聞こえてきた
何事かと僕が驚いていると恐る恐る1人の使用人がクローゼットを開けた時だった
「ふんにゅーー!!」
けたたましい音が鳴り響くと同時にクローゼットの中から姉さんができてた
「く、クレア!?」
「クレア!?」
取っ組み合いをしていた2人も姉さんに気づいて驚いた表情を浮かべていた
「あぁ~!無事だったのねクレア!」
「うわっ、お母さん?」
姉さんの姿を見るなり父さんを床に捨てながら勢いよく抱きしめていた
「痛っ…く、クレア。無事だったんだな、安心したぞ」
「ちょ、ちょっと待って。状況が飲み込めないよ。ともかくお母さん、少し離れて」
困惑気味に姉さんが母さんを剥がしてベットに座り込んだ後、軽く深呼吸をしてどうにか落ち着いた様子だった
「いや~、しかし本当に良かったぞ。一時はどうなるかとひやひやしたぞ?」
「まったくもう……ところでクレア、覚えてる限りでいいわ。昨日は何があったの?」
母さんが姉さんに覚えてる範囲のことを問うてきた
「えっと、昨日はたしか家に帰った後、お母さんたちからクリスのことを聞いて会いに行って、それであの子をこの部屋につれてきてそれで……ん?」
昨晩のことを思い返していると姉さんが何か気づいた様子だった
「ねぇ、そう言えばクリスはどこ?」
「ん?どこってそれは……あれ?」
「…ま、まさか?」
ふとした姉さんの一言により場が凍り付いた
さっきまで安堵していた表情がまた苦悶の表情へ変わる
「「「ク、クリスゥゥウウウウウウ!?」」」
事態に気づいて再び慌てふためく父さんと母さんに加えて今度は姉さんまでその輪に混ざっていた
「ちょ、ちょっとクリスは今どこに!?」
「おおお、落ち着け、とどのつまりさっきのクレアの話したとおりだとすると誘拐されたのはクレアではなくてクリスだったということだなうんうん」
父さんがまるで探偵を気取っているかのような言い回しでこの部屋で起きたことを考察していた
「まぁ確かにクリスはクレアに似てるところもあるから侵入者どもがあの子を間違えて誘拐するのも仕方ないということだな」
「だからって納得しろと?」
「結局攫われてることに変わりはないんだよね?」
するとそんな父さんに母さんと姉さんが詰め寄る
2人の圧に父さんは顔が蒼くなっていく
「さっさと探しに行きやがれこのクソハゲェェェェ!!」
「喋ってる暇があんだったらあの子を見つけるために手動かせやこの能無しクソ親父ぃぃいいいいい!!」
「ギャビィイイイイイイイイ!!??」
「うわ~」
姉さんと母さんからダブルで説教を食らっている父さんの様子に僕はドン引きしていた
ある程度2人からおしおしきを受ける父さんを眺めた僕はベータと部屋を後にする
「さてと、ベータ説明してくれる?なんでクリスが姉さんに代わって捕まってんの?」
自室に入ると僕は早速ベータに事の経緯の説明を求める
「は、はい。実はクリス様はかねてより姉君様がディアボロス教団に目をつけられていることを突き止めており、それが昨日の晩に行われるのだという情報を得ましたので、姉君様を危険にさらさないように自ら囮役を買って出ると」
なるほどね、あいつも意外と策士なところあるからな
「……それで場所の特定は済んでるの?」
「はい、それにつきましてもクリス様より指示を受けていまして、捕まったのを確認したのちニューにアルファ様たちに伝言を頼んで起きました。今頃アルファ様たちが拠点の場所を突き止めていると思われます」
「そっか」
あいつのことだ何か考えがあって行動したんだろうな
しかし僕のあずかり知らぬところで大事になってるみたいだな
ただの盗賊に掴まった程度のことだろに教団の名前がでるなんて、そのせいか彼女たちも気合い入ってるっぽいしね
「…ベータ、七陰に伝えろ、ゴーストを救出にでる。決行は今夜だ」
「シャドウ様…はい!!」
まぁ、捕まったのがクリスならいらないとは思うけどちょうど暇してたところだし
教団もどきの盗賊どもを蹴散らして暇をつぶすとしようかな
僕は今夜起こすことを想像してちょっぴりわくわくするのだった
――ディアボロス教団 拠点――
[クリスside]
皆さんこんにちは…いや、今の時間的にはこんばんはかな?
クレア姉さまの振りをして自ら囮役となってディアボロス教団のアジトに連れていかれたクリスです
今僕は教団のアジトの中にある牢に入れられて両手を拘束されています
「私も娘がいた、あまり手荒な真似はしたくないのだがね…クレア・カゲノ―」
目の前には中年の男性がいた。確か名前は…オルバだったかな?
「あら、お優しいんですね?」
僕はクレア姉さまッぽい口調で皮肉交じりに言い放つ
「っ!!」ドスゥゥン!
「おぉ、怖い怖い。そうカッカしないでくださいよ。カルシウム足りてますか?」
「貴様、減らず口を…魔封の鎖に繋がれながらにこれを避けるか」
煽りが応えたのか壁に八つ当たりしてきたよ
当の本人はこんなことやってきたくせにあくまでも自分は冷静だと主張するかのように訪ねてきた
「魔力は量ではなく使い方ですのでね」
「…調べによると貴様は悪魔憑きの兆候が出ているらしいな」
「ふっ、残念ながらそれはもう完治してますのでご心配なく」
何せクレア姉さまの悪魔憑きの兆候は僕が直しておいたから
「ほう?どのようにして直したのか是非とも利かせてもらいたいところだな」
「残念、あなたみたいな輩に教えてあげる義理はないんで」
「…この小娘が!」
ドドォォォォン!
「くぅぅ!これも易々とかわしおって!」
まったく、この程度の煽りでもこれなんだから
耐性低すぎなんじゃないかな?
おかげで今度は左壁に亀裂入っちゃってるし
この人とのやり取りも疲れる
そろそろだとは思うけどみんな早く来てくれないかな~?
っと、僕は困ったようにそう言った