陰の相棒として…   作:ダーク・リベリオン

14 / 31
陰の案内人

――クリスが拉致られて少し前のこと――

 

 

 

[???side]

 

 

 

ここはクリスを連れ去ったディアブロス教団のアジトの正門前

 

 

「見回り終わったぞ」

 

 

「ふぁ~…っ」

 

 

「おいなにあくびしてるんだよ警備中だろ?」

 

 

城内を見回っていた兵士があくびをしている兵士に注意をする

 

 

「わ、わりぃ昨日ちょっと寝つきが悪かったり朝の労働がきつかったりしてさ」

 

 

「オルバ様に見られでもしたら大目玉だぞ?」

 

 

「うぅ…すまねぇ」

 

 

「まったく、ほら次はお前の番だからシャキッとしろ」

 

 

兵士二人がそのようなやり取りをしている時だった

 

 

その様子を陰から様子を見る何物かの影が

 

 

影は兵士たちの視線がこちらを向いてないタイミングを見計い、森の奥へと駆け出していった

 

 

 

夜の闇に包まれた森の中、静かさが支配するそんな世界を影は駆けていく

 

 

真っ暗な森の中をそれは縦横無尽に走りながら

 

 

時折立ち止まり臭いを嗅ぐかのような仕草を取るとすぐにまた走り出していく

 

 

そうして影がしばらく走り続けていると前方から複数の足音が聞こえる

 

 

影が岩の上に乗り上げ、見据える視界に捉えたのはクリスを救うべくディアボロス教団のアジトに向かうアルファたちだった

 

 

彼女たちの姿を目にした影はすかさず彼女たちの元に全速力で駆けつけていくのだった

 

 

 

 

 

 

[アルファside]

 

 

 

私たちはベータより伝言を頼まれたニューの報告によってクリスが囚われているとされるディアボロス教団のアジトがあるとされる付近に向かっていた

 

 

「みんな、おそらくそろそろこの付近に教団のアジトがあるはずよ。気を引き締めて!」

 

 

「はい…ゴースト様、今お助けに参ります!」

 

 

「(待っててよゴースト様!)」

 

 

「デルタたちが助けに行くのです!」

 

 

みんなが私の呼びかけに各々の反応を示していた

 

 

志気は十分に高まっている

 

 

後はアジトを見つけて潰し、クリスを助けるだけよ

 

 

そう心の中で私が意気を入れている時だった

 

 

「「っ…みんな止まって(るのです)!」」

 

 

「「「っ?」」」

 

 

「どうしたのデルタ、ゼータ?」

 

 

向かっている途中、突然デルタとゼータが私たちに止まるように言ってきた

 

 

私たちは言われるがままに進行を止めてその場に留まる

 

 

デルタとゼータが耳をぴくつかせる

 

 

「…あそこのほうからこっちに向かってくるのがいる!」

 

 

ゼータが指さした方向に私たちは身構える

 

 

「敵ですか?だったらデルタが蹴散らしてやるのです!」

 

 

「落ち着いデルタ!」

 

 

逸るデルタをいい宥めていると今度は私たちにも聞こえるくらい茂みの中から音が聞こえる

 

 

一層警戒を強めていた時だった

 

 

「ッツ!!」バッ!

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

次の瞬間、茂みの中から何かが飛び出してきた

 

 

私たちは一斉に視線をその何かに向ける

 

 

「こ、これは…?」

 

 

「キュイ…」

 

 

「小さい…竜?」

 

 

茂みの中から現れたのは体長70~140センチメートルくらいの大きさの小さい竜だった

 

 

向かってきていたものの正体はこれだったの?

 

 

拍子抜けするほどの対象に思わずへなっとなりそうになる

 

 

「あら…っ、アルファ様」

 

 

「どうしたのイプシロン?」

 

 

するとその直後、何か気づいた様子のイプシロンが声をかけてきた

 

 

「魔力を感じる……あっ、この子スライムです!」

 

 

「それは本当なの?」

 

 

「はい、すごい、見たところスライムスーツよりもさらに精度の高い擬態のようです。まるで本当に動物のよう?」

 

 

手のひらに乗ったそれを見てイプシロンがそう発言してきた

 

 

イプシロンは七陰のなかでもスライムについての知識が高い、彼女が言うなら間違いはなさそうね

 

 

「ちょっと待ってよ。じゃあその子がスライムってことは?」

 

 

「えぇ、恐らくこれはゴースト様が寄こしたものと考えられるわね」

 

 

元がスライムであるということはそういう事なのだと納得できた

 

 

「キュイキュイ!」

 

 

「あっ、待って!」

 

 

するとその小さい竜(スライム)はイプシロンの手から離れると前に向かって走った

 

 

けれど一定距離まで行くとこちらを振り変える素振りを見せている

 

 

「きっとゴースト様の元に案内しようとしてくれてるんだわ」

 

 

「じゃああの子についていけばゴースト様の居場所が分かるってことだね」

 

 

「だったらさっさと行くのです!ゴースト様を助けに行くのです!」

 

 

道先案内人ならぬ案内小竜(スライム)に先導されながら私たちはクリスが囚われているアジトに向かって進んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――時は現在に――

 

 

 

 

[クリスside]

 

 

 

ディアブロス教団のアジトに連れてこられ、檻の中に入れられた僕にそこの責任者たるオルバが尋問をしてきている

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……ぐぅ~!!」

 

 

「嫌そんなに睨まないでよ?」

 

 

けれど散々僕が煽るもんだから怒って怒ってしょうがない

 

 

しかも僕がそれをかわすもんだから壁が穴ぼこだらけになっていた

 

 

「この生意気な小娘が、いっそ始末してやりたいところだぞまったく!」

 

 

悪態つかれてもな~

 

 

こちらとしては反応に困ってしまうんだけど?

 

 

「まぁいい、もうすぐ貴様が適合者かどうか血を取って判別させてもらう、もしその際に適合者でなかった場合は…覚悟しとけよ?」

 

 

お~怖い怖い、そんな怖い顔しないでよたかがちょっとからかったくらいでさ

 

 

なんてことを僕が思っている時だった

 

 

「お、オルバ様!?」

 

 

「何事だ?」

 

 

「侵入者です!?」

 

 

「っ!?」

 

 

この慌てぶり、ということは”アレ”が上手くアルファたちと合流できたようだね

 

 

「敵はおそらく数名、陰のようにどこからともなく現れて兵たちが次々とやられてしまいました!?我々では歯が立たちません!?」

 

 

「なんだと!?バカな、ここには王都に匹敵する騎士もいるんだぞ!?」

 

 

想像を絶する情報に混乱しているようだね

 

 

「…ふっ、ふふふふふふふ」

 

 

「ん!?」

 

 

「ようやく来たみたいだね?」

 

 

「なに、貴様何か知っているな!何がどうなっているんだ教えろ!?」

 

 

僕が何か知っていると知るや胸倉を掴んで問いただしてきた

 

 

慌てふためくこの男顔、なんて滑稽なんだろうね

 

 

「…何かって?茶番は終わりだってことさ」

 

 

「なに?」

 

 

意味深に言う僕の言葉にオルバがきょとんとした顔を見せる

 

 

「ふふふっ!!」ゴォォォオオオオオオ!!!

 

 

「っ!?」

 

 

すかさず僕は内側に秘めていた魔力をあふれ出させる

 

 

その勢いに怖じ気ずいたようにオルバが僕から離れて距離を取る

 

 

「ば、バカな!?魔封の鎖で貴様の魔力は封じてあるはず!?」

 

 

「あぁ、この鎖ね…ふん!」バキン!

 

 

「な、なんだと!?」

 

 

僕があっさりと鎖を粉々にするもんだからオルバがさらに怖気ずいている

 

 

門の外のモブ兵なんて僕が出した魔力に当てられて恐怖のあまりへたり込んで失禁してしまってるし

 

 

「き、貴様何をした!?」

 

 

「別に何でもないよ。ただこんなもので抑え込めるなんて思ってるあんたらのお気楽さに笑ってただけさ」

 

 

「ありえぬ、抑え込めぬ魔力を秘めていただと!?どういうことだクレア・カゲノ―!?」

 

 

信じられない様子で慌てふためいているね

 

 

さて、短歌も斬ったしそろそろネタ晴らしと行こうかな

 

 

「クレア・カゲノ―?…ふっ、違うよ」

 

 

僕は短刀型のスライムソードを展開して自身の髪のほうへ

 

 

 

ジャキン!バサッ

 

 

 

「っ!?」

 

 

ばさりと落ちる髪の毛が僕の足元に散らばり、尾の様子を見ていたオルバがさらに驚愕する

 

 

「僕の名前は…クリス・カゲノ―さ」ギュイン!

 

 

そんなオルバに対して僕は瞬時にスライムスーツを身に纏い、自分がクリスだと告げるのだった

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。