[クリスside]
僕がクレア姉さまの代わりに掴まり、連れてこられたアジトを壊滅させた出来事から早数年の月日が経った
その間にもいろいろあったものの、なんやかんやで僕もシドも成長していった
ブォォォオオオオ!!ガタンゴトンガタンゴトン!
「「……っ」」
今僕とシドは機関車に乗っていた
機関車は長い長い線路を走り、僕たちを目指す場所へと運んでいった
ガタゴトと揺れる機関車の車内にある窓から僕とシドは外を眺めていた
「(前世でもよくこうして電車の窓から外の景色を眺めていたけどこの世界から見る外の景色もなかなかに悪くないな)」
そんなことを思いつつ、僕たちを乗せた機関車は無事にターミナルに到着した
駅に着くなり乗客たちが一斉に荷物を手に機関車を降りていく
僕とシドもそんな人ごみに混ざるようにして下車する
着いたのはミドガル王国、人口100万人ほどの大都市だ
15歳となったことにより僕とシドは原作通りミドガル魔剣士学園に入学するためにここに来た
まぁ、原作通りって言ってもそれはあくまでシドに関してはだけど
「「……っ」」コツン
僕とシドは互いに拳を軽くぶつけ合い、それぞれ左右に別れて互いにまっすぐの道を進んでいった
学園に入学し、生徒たちに用意された寮で他の生徒たちと寮暮らしをすることになった僕たち
とはいうものの、シドはモブAとして生活することを選んだために一般寮になったけど
僕のほうはクレア姉さまに
こういう背景もあり、僕とシドは互いに好きに学園生活を送ろうという話しになり
もっぱら学校生活に関しては用があるとき以外は別々に行動をしていることが主だ
てなわけで僕はというと図書館から借りた本を読みながらコーヒー片手にテラスでまったっりとしていた
シドがヒョロとジャガの2人と行動を共にし、自由気ままにしている間
僕は僕で彼らが登校し始める頃には学園に来ている
授業が始まるまでこんな感じで過ごしたりして時間を潰して僕なりに学園生活を満喫していた
でもね、実は一つだけ僕にとってはある意味メリットなんだかデメリットなんだか微妙なことがある
えっ?それは何かって?理由は上記にも記載してるんだけどね
トコットコッ、トコットコッ…
そんな時、僕の耳にこちらに歩み寄ってきていると思われる足音が
「ねぇ、ちょっとクリス?聞こえてるなら返事をしなさい!」
あ~、噂をすれば何とやらだ
やれやれといった顔を浮かべ、持っていた本を閉じ、カップを皿の上に乗せると僕は声のする方へと振り返る
見るとそこには案の定クレア姉さまがいた
「おはようございます姉さま、どうされました?」
「どうかした?じゃないわよ。今日は一緒に登校するわよって言ったはずだけど?何勝手に私をおいて登校して優雅にお茶してるのかしら~?」
僕の腰かけているテーブルのもう片方の椅子に座りこんできた姉さまは頬をぷくっと膨らませながら文句を垂れていた
むす~っとした感じで頬を膨らませる姉さまがちょっと可愛い
「すみません。ちょうど読みたい本がありましたので図書室に行きたかったので」
図書室を口実に僕は姉さまに理由を語る
「……私より図書室のほうが大事なんだ?」
だけどそれを言ったら自分より図書室を優先されたことが気に入らない様子でさらにむすっとしていた
「そう言えばそろそろシド兄さまが登校してくる時間ですね」
なんとか話題を変えようと今度はシドのことを話題に出した
「…シド……!!」ゴゴゴゴゴゴ
「えっ、ちょ、姉さま?」
「クリス、聞いてくれる?シドったら入学してからもう7か月経つのに未だに私に一回も会いにこようともしないの、酷いと思わない?」
拗らせ気味に僕に同意を求めてくる
「そ、そうですね、確かに酷いかもしれませんが」
冷や汗をかきながら僕は相槌を打って必死に宥めようとする
「でもね……っ!」ゴキッ!
「…あ、あの姉さま、指掴んで押し込まないでもらえます?折れる、折れますから!?」アセアセ
黒い負のオーラを吹き出させながら僕の人差し指を握りしめながら逆向きに曲げ始める
おかげで指の関節が外れかけそうだ
「あの子もあの子だけどあなたもあなたなのよクリス。そろいもそろって姉である私を蔑ろにしてばっかり………私のこと舐めてるの?」
「そんなことありませんよ。だから姉さま、指を曲げようとする力を強めないでほしいな」
これ以上されたら人差し指がくの字に曲がっちゃうから
ゴーン!ゴーン!!
「「っ?」」ピクッ
するとその直後、偶然にもタイミングが良かったのか校内にある鐘の音が鳴った
「……ふん」パッ
おぉ、やっと離してくれた
「今日のところはこれで勘弁してあげる。だけど今度も私のことを邪険にするようなら…わかってるわね?」ギロリ
「はい、肝に銘じておきます」
「その言葉、忘れないわよ?」
釘をさすように睨みつけてきた姉さまは自身の教室に向かって歩いていった
「ふふっ、相変わらず我が姉ながら怖い人だな」
去り際のクレア姉さまの後ろ姿を目にしながら僕も教室に戻るためにカップに残っていた残りの紅茶を飲み干すのだった
――それから翌日―――
クレア姉さまのお叱りを受けて迎えた次の日のこと、僕は食堂に来ていた
しかし普段食堂から感じられる穏やかな雰囲気はそこにはなく殺気と憎悪などの負の気配が漂っていた
無論原因は分かっていた。皆の視線が注がれているのはもちろんシドだった
「おかしくない?」
「おかしいな」
「絶対におかしいですよ」
「だよね。なんか裏がありそう」
ぐちぐちとシドとヒョロとジャガが喋っている訳なんだけど
「ねぇ、一つ聞いてもいいかな?」
「「「ん?」」」
「…なんで僕まで輪に入れられてるのかな?」
そう、3人が愚痴っているのは僕が座っているテーブルの隣、つまり相席だった
僕が1人で食事しているとシドが
結果、僕もこの3人の輪の中に強制的に入れられてしまい、皆からの視線にさらされてしまっていた
「硬いこと言わないでくれよ我が愛しき弟よ~」
うっわ、引くわ。普段なら絶対に言わないようなことを
「…アレクシア王女と付き合うことになったんだってね」
「そうなんだよ。でも振られる前提だったのにまさかOKがでるなんて思わなかったからさ」
まぁ、この時のアレクシア的にはシドを婚約者の当て馬的な感じに見せたかったからって魂胆もあるからな
「何考えてるんだかさっぱりだな~」
「大丈夫だよ、シド兄さまなら何とかなりますって」
罵詈雑言や人以下の扱いされることになるけどシドなら問題はないね
そんなことを内心思いながら僕たちは食堂での昼食を平らげ、授業に戻るのだった