陰の相棒として…   作:ダーク・リベリオン

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アレクシアと小さな竜

[クリスside]

 

 

シドとアレクシアがつき合うことになってから早数日が過ぎた

 

 

当のお二人はというと原作と同じように自身の婚約者に見せびらかすように当て馬にしているシドを振り回していた

 

 

人間扱いすらしない彼女のそのやり方ははたから見てると引く程だ

 

 

…だけどもっと引くのは

 

 

「よしよし、いい子ね”ポチ”」

 

 

「わんわん!あおーん!」

 

 

彼女の言われるがままに犬のまねごとをしているシドの姿だった

 

 

「(はぁ…まったく何やってるんだか)」

 

 

モブとして表の学園生活を過ごすという彼の考え、僕は半分肯定するけど半分は否定するかな

 

 

いくらなんでもやりすぎな気がすると思う…まぁ、シドのすることに僕があれこれ言うのも面倒だ

 

 

そう考えながら僕は2人を見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

でもその日の夕方2人は別れることになる

 

 

というかアレクシアが一方的に捨てたみたいな感じでね

 

 

彼らのその様子を僕は少し離れた場所から見守っていた

 

 

汽車内で剣を突きつけ、アレクシアはシドに彼の言った言葉に意味があるのかを解き

 

 

シドはそんな彼女の問いに対し他者に自分の好き嫌いを否定されることは好ましくないと説いた

 

 

「…さようなら」

 

 

アレクシアは何か考えこんだ素振りを見せるも剣を納めるや別れの言葉を告げると汽車を降りていった

 

 

だけどこの時の2人は最後らへんは互いに自身の本心を言い合っていた気もする

 

 

「……っ」チラッ

 

 

最初から僕の存在に気づいていたシドがおもむろに僕に視線を送る

 

 

 

数秒もの間、僕とシドは無言のまま互いを眺める

 

 

ゴソゴソッ

 

 

するとその時、僕の服の中がもぞもぞと動き出す、さしずめこんなところで油を売っている暇はないと言っているかのように

 

 

「分かってるよ。行こうか」

 

 

僕は腰掛けていた身を立ち上がらせて、汽車の出入り口前にまで向かう

 

 

汽車を降りる直前、僕は再びシドと目を合わせる

 

 

「……ふふっ」ニコッ

 

 

そうして僕はシドに微笑み顔を見せて汽車を降りた

 

 

「……ふっ」ニコッ

 

 

心なしかシドも僕に対し微笑み返してくれた気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[アレクシアside]

 

 

 

 

汽車を降りた私はただただ夕陽の光に照らされながら帰路に就くべく歩いていた

 

 

その時、私の頭の中に浮かぶのはさっきまで会話を交わしていたポチ(シド)のことだった

 

 

「何なのよあいつ、人の気も知らないで…」

 

 

思い出せば思い出すほどあいつの言った言葉が脳裏をよぎる

 

 

『僕は君の剣が好きだよ』

 

 

「私の剣が好き?…ふん、好き勝手言ってくれるわね」

 

 

私はこの剣のせいで惨めな思いをしているっていうのに

 

 

いつも私は姉さまと比べられていた

 

 

姉さまは優秀で完璧で凡人の剣しか扱えない私とは対極の存在

 

 

そんな姉の存在が私にとっては誇らしくもあり、また恨めしくも思えた

 

 

自分はどうして姉さまのようにはなれないんだろうかというそんな自問自答に私は苦しめられていた

 

 

だけどなんでかは分からないけどあいつといる時だけは姉さまへの劣等感を忘れることができた

 

 

あいつといる時間は案外悪くもなくむしろ楽しくすらあった

 

 

でもそれゆえにこれ以上一緒にいれば何もかもを見透かされてしまうかもしれないという先入観が強くなっていった

 

 

故に私はあいつを捨てた

 

 

「(忘れよう。もうあいつと関わることはないんだから)」

 

 

そう自分に言い聞かせて私は再び歩みだそうとした時だった

 

 

「キュイ!」

 

 

「っ?」

 

 

不意に私の前に建物同士の間細い隙間から現れた今までに見たことのない生き物が現れた

 

 

「なに、この子…小さなトカゲ?」

 

 

「キュイ!」

 

 

「な、なにっ?」

 

 

私が呆気に取られているとその小さなトカゲらしき生き物が私に近寄ってきた

 

 

するとトカゲらしき生き物は私の前に止まるとおどけた様な仕草で尻尾をピンと立てている

 

 

「…ふふっ、変な奴ね。ほらほら」

 

 

なんだかこのトカゲらしき生き物が気になった私はおもむろに腰を落とすと手招きをする

 

 

トカゲらしき生き物はこちらを様子見しているようだったけど少ししたらゆっくりと近づいてきた

 

 

そうしてトカゲらしき生き物が私の元までくると手に向かって愛くるしい鳴き声を上げながら体をすり寄らせてきた

 

 

「ふふっ、ちょっとくすぐったいわよ」

 

 

あまりにも愛くるしい仕草をするものだから私はこのトカゲらしき生き物のことが気にいってしまった

 

 

「ねぇ、あなたはどこから来たのかしら?」

 

 

「キュイ?」

 

 

「…って聞いたところで返事が返ってくるわけもなかったわね。うーん、どうしようかしら?」

 

 

気にいってしまったが故にこの場に残してそれっきりって言うのもなんだかもったいないなと私は思っていた

 

 

そんな時だった

 

 

「…っ?」

 

 

私は妙な気配を感じ、辺りを見回す

 

 

すると夕陽の光の届かない建物の影から数名の輩が現れた

 

 

奴らは即座に私を取り囲んだ

 

 

「あんたたち誰?私に何か用かしら?」

 

 

「「「「っ」」」」シャキン!

 

 

問いただす私の言葉を無視して奴らはナイフを手にしてきた

 

 

「問答無用って訳ね…いいわ、かかってきなさいよ!」

 

 

「「「「っ!!」」」」

 

 

応戦するべく剣を抜いた瞬間、奴らが襲い掛かってきたから私は応戦した

 

 

数は向こうが上だけど実力はさほどないみたい、十分に捌けるレベルだわ

 

 

「どうしたの!そんなんじゃ私はやれないわよ!!」

 

 

優勢に立ち振る舞っている私はこの勢いで畳み掛ける

 

 

でもそれが油断を誘った

 

 

「っ!」

 

 

「しまった!?」

 

 

目の前の相手に気を取られてしまったせいで背後に回った奴への対処が遅れてしまった

 

 

好機を得たというかのように輩の1人がナイフを突き出した

 

 

やられると私が思った時だった

 

 

「キュイ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

ナイフが繰り出される直後、トカゲらしき生き物がそいつの手に嚙みついた

 

 

痛みのせいもあってか持っていたナイフを落としたようだった

 

 

「…はあっ!!」

 

 

「――っ!?」バッ

 

 

隙を突いて斬りかかる私だったけど寸でのところでかわされてしまった

 

 

「「「「っ!!」」」」バッ

 

 

「あっ、待ちなさい!!」

 

 

これ以上の襲撃は無理と判断したのか奴らが逃げ出した

 

 

私が追いかけようとした時にはもう既にいなくなった後だった

 

 

「くそっ…何なのよあいつら!」

 

 

急に襲ってきたことも取り逃がしたこともひっくるめて私はムカッと来ていた

 

 

「キュイ?」

 

 

「…あんた」

 

 

そんな中、私の元にトカゲらしき生き物が歩み寄ってきた

 

 

「…ありがとう、さっきはあんたのおかげで助かったわ」

 

 

「キュイ♪」

 

 

助けてくれたことにお礼を言いながら頭を撫でるとまた可愛らしい声を上げてくれた

 

 

この子には命を救われた恩がある、そう考えた私はいろいろ考えた

 

 

「…よし、連れて帰ろう!」

 

 

悩んだ末に私はこのトカゲらしき生き物を連れて帰ることにした

 

 

放っておくのも嫌だからね

 

 

「よいしょっと…しっかりと捕まってなさいよ?落ちたら大変だからね」

 

 

「キュイ~?」

 

 

私の言っていることがよくわかっていないのかトカゲらしき生き物は小首を傾げている

 

 

その仕草も仕草でまた可愛らしかった

 

 

トカゲらしき生き物を肩に乗せて私は家路を急いでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その間、見守るように私たちを眺める視線に私は全く気付かなかった

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