[クリスside]
シドとアレクシアが別れた次の日のことだった
学校ではちょっとした騒ぎになっていた
というのもアレクシアが普段は見せないような笑みを浮かべて学校にきていたのだと
笑みをこぼし楽しげにしているアレクシアの様子に生徒たちは何事かとその理由についてを考察しているようだった
あちこちで噂が飛び交い、学園中はこの話題で持ち切りだった
そんな皆の様子を見ながら校内を移動しているとばったりと彼女と鉢合わせる形となった
「これはアレクシアさん、おはようございます」
僕は鉢合わせがてら挨拶をする
「あなた…確かポt…シドの弟の?」
「はい、シド・カゲノーの弟のクリス・カゲノ―です。兄がお世話になっております」
自己紹介の続けざまに兄のシドのことに関して礼を述べる
「あなたあいつから聞いてないの?……別れたのよ私たち」
「えぇっ!?そうなんですか!?」
わざとらしく驚いてみたり
「それはまたどうして?」
「…別に、大したことじゃないわ。あいつが生意気なこと言ったからよ」
ふんとそっぽを向いてそう告げてきた
「なるほど、ならばこれ以上深掘りするのはナンセンスですね」
「…あら、あんたあいつと違って弁えてるのね?」
「お褒めの言葉痛み入ります」
まぁ、下手に刺激するのも面倒だしね
「そう言えば話しは変わりますが、学園であなたのことが噂になっているようですね?何やらご機嫌そうだったとか?何かいいことでもあったんですか?」
僕が話題を切り替え、噂についてのことを引っ張り出す
するとさっきまでシドのことでツンとしていた彼女がこの話題になった途端パッとした顔を見せる
「えへへ、そう見える?…まぁあいつの身内だし、隠すようなことでもないから別にいっか。実はね、昨日変な生き物を拾ったの」
「変な生き物?」
「そうなの、見た目は羽のないドラゴンなんだかトカゲなんだかよくわかんないんだけど私に懐いてくれてて仕草とかが可愛いいの♪見ててなんだか癒されるっていうか嫌なことを忘れさせてくれるっていうか」
この話題になった途端やたら饒舌になっていた
まぁ、彼女は知らないからな。あれが僕が差し向けたものだってことを
彼女を一時的にディアブロス教団の手から遠ざけるために送り込んだんだけども…
予想をはるかに超えるほど彼女は僕のコンピ―に夢中になってしまったようだった
知らずにとはいえここまで喜ばれると生み出したものとしてはなんだか嬉しい限りだな
「ちょっと、何を二ヤついているのよ?」
「あぁごめんなさい。アレクシアさんが嬉しそうに語るものだからついついこちらも微笑ましく思えてしまって」
「…な、なによ。別に可愛い物を愛でてるだけなんだから大したことじゃないわよ///」
そう言い終えるとアレクシアは少し照れくさそうにその場を去っていった
「コンピ―のこと、だいぶ気に入ってくれてるみたいだな」
予想以上に喜んでいるようで何よりだ
彼女の笑みにみちた顔を見れて僕はいいことしたなと自分を褒めた
……だけど事態は面倒なほうに傾いてしまった
理由は簡単、彼女が行方不明になったからだ
しかも校内での話しである
授業の時間になっても彼女が現れないことから事態は厄介なことになってしまい、学園中が大混乱だった
「(この騒動、明らかに奴の仕業だな)」
誘拐の首謀者なんて今のこの段階ではあのキザな奴しかいないだろう
だけど奴はさらにとんでもないことに取り巻きの連中を使って原作同様にアレクシアがいなくなった罪をシドに擦り付けるべくあらぬことをでっち上げているようだった
「(とことんクズな奴め)」
そんなキザ野郎に僕は怒りを覚えていたがこうしてはいられないのでともかく行動を開始した
――校内移動中――
僕は足早にシドの元へと向かったがそこでは案の定、取り巻き連中に詰め寄られているシドがいた
「そこで何をしているんですか?」
「あっ、クリス」
急いで声をかけると僕に気づいたシドが僕の名を呼ぶ
「なんだ貴様?」
「僕はそこにいるシドの弟です。それで、何をなさっているんですか?」
「知れたことよ。この男がアレクシア王女の失踪に関わってる可能性があるから白状させようとしてるだけだ」
脅しの間違いだろ
「なるほど、言い分はわかりました。それで”証拠は”?」
「あん?」
「だから”証拠”はあるのかと聞いています」
僕は取り巻き共に問いただす
「証拠なんざ今からこいつを自白させれば済むことだろうが」
「確たる証拠もないのに相手を脅して問いただすなんて品位がないですね?」
「な、んだと!?」
たかが多少の煽りでキレる時点でこいつらの人間性はダメダメだね
まぁ、モブだから仕方ないことだけど
「テメェ、こいつを庇おうっていうのか?屁理屈捏ねて逃れようとしてもそうはいかねぇぞ!」
「こちらはあくまで正当性を考慮しているだけですが?もし兄が本当にアレクシア王女誘拐に関わっているのであれば僕は何も言いません。だけどそうでないのだとしたらあなた方がやっていることは立派な脅迫罪と名誉棄損に該当する。それを理解したうえで行動することを提案させてもらいますが?」
「ぐ、ぐぅ!?」
何のことはない、事実を述べているだけだが確たる根拠のないこいつらには刺さっていた
「ふ、ふん。今はこのくらいで勘弁してやる。だがもしこっちの方が正しかったら覚えてやがれよ!」
「えぇ、その時は好きなようにすればいい……できるもんならな?」
「「「っ!?」」」
止めとして僕は取り巻き共に強烈な圧をかけた
それにビビったのか取り巻き共はそそくさと逃げるように去っていった
「他愛ない…大丈夫ですか兄さま?」
「クリス、別にあそこまでしてくれなくてもよかったのに」
って言われてもあのままだったらやつらに連れてかれて拷問受けてただろうから
家族がそんな目に合うのを見過ごせるほど僕は冷淡にはなれないよ
「それでなんですけど兄さま…実は僕、アレクシア王女の居場所に心当たりがあるんですけど」
「…聞かせてくれ」
僕が話題を振ると目つきが変わった
なんだかんだ言っても彼女のことを気にはしているんだってことが分かる
そうして僕はこれまで自分が極秘裏に得ていた情報を明かす
「そうか、ありがとう……クリス」
「はい」
「今夜仕掛けるぞ」
「お供しますよ。兄さま」
決心したようにシドが動くことを告げた
今宵もまた陰が舞うことになるな…