[クリスside]
僕の指示を受けたガンマたちによってシドがやってきた
そうして僕が後ろにいるとは気づかないままに玉座に腰掛けながらガンマと会話をしていた
後ろで会話を聞いていたけど正直シドの何とか話に合わせなきゃっていう必死のトーンに僕は内心笑ってしまいそうになった
さらにはガンマが提示した金貨の数に驚いている様子であることが伺えてますます笑いそうになった
頃合いを見計らって僕が背後から現れるとシドは不意を突かれてドキッとしていたよ
「王都に現れた”人斬り”漆黒の衣を纏い我らはシャドウガーデンの名を語る愚者ども、現在捜索中ではありますが未だ犯人は捉えられてはおりません」
ガンマが悔しそうに顔をゆがめていた
「それでね兄さま。僕らの名を語るその不届き者たちをこれ以上のさばらせるのもあまりいい気はしなと思うんだ。」
「…っ」
偽物たちの蛮行を許すのはあまりよろしくはないと僕はシドに訴える
「心当たりがある。一度探ってみる」
「まさかもう答えにたどり着いたのですか?…いえ、シャドウ様とゴースト様の英知は我々の考えすら及ばぬ数こうなるもの、それも当然のことなのでしょう」
「ふん」
話しを聞いたシドが犯人に心当たりがあることを告げ玉座から立ち上がり、出入り口に向かって歩き出していく
ガンマたちもすっかりその気になってるようだけど
ほぼ間違いなく”
仮に犯人だった場合シドは彼女を殺そうとしてるんだよな
彼女は犯人じゃないけどそんなことこんなところで言えるわけもなし
…彼女の身を守るためにも先んじて手を打っておくか
「あっ、そうだ。チョコを買いたいんだけど?」
思い出したようにシドがガンマにチョコが欲しいと言ってきた
「一番安いのを3人分」
「チョコレートを…ですか?はい、畏まりました。最高級のチョコを10割引で」
「10割?それってただじゃん!ラッキー!」
「まぁ、うふふふ」
笑いあっているところだけどさ、シド、こっそり金貨くすねるんじゃありませんよ?
っと、僕は心の中でそう言った
そうしてシドはガンマから高級チョコを買って(タダだけど)ヒョロとジャガの元に戻っていった
「…ガンマ」
「はい、いかがされましたかクリス様?」
僕が声をかけるとそれに反応したガンマが歩み寄る
「ちょっと僕も出てくる。後をよろしくね」
「これからですか?…かしこまりました」
「それからニュー」
「はっ、お呼びでしょうかゴースト様?」
さらに僕は壁際で立っていたニューに声をかける
「ニューに頼みがあるんだ。しばらくの間、シドの身辺の監視をお願いしたいんだ」
「私にですか?」
「うん。頼めるかな?」
「いえ、ゴースト様からの直々のご命令とあらばこのニュー謹んでお受けいたします」
その場に跪いてニューが平伏した様子で首を垂れた
「ありがとう…それじゃ、行ってくるね」
僕は瞬時にスライムスーツに身を包んだ
「はい。行ってらっしゃいませゴースト様」
「うん…っ!!」バッ
ガンマたちから見送られながら僕は夜の街に繰り出した
「彼女の匂いはお前が一番よく知ってる。頼むよ」
「キュイ!」
屋根の上を駆けながら僕は召喚したS・コンピ―にアレクシアの匂いを辿らせる
クンクンと鼻をひくひくさせる
「…キュイ!!」
するとS・コンピ―が僕の肩から離れて独りでに駆け出していった
「頼んだよ。S・コンピ―」
匂いの主の元に駆け付けようとするS・コンピ―に僕はエールを送った
[アレクシアside]
カキン!カキキン!!
「っ!!」
「――っ!?」
「もう、諦めなさい!」
人気のない路地裏で私は剣を手に謎の集団と交戦していた
「我らはシャドウガーデン…」
「さっきからそればかり、それがシャドウという男の意思なの?」
口を開けば同じことばかり言っている目の前の男に私は不気味さを覚える
同時にこんな辻斬りも同然なことをやって人を殺めるそのやり方に私は嫌悪感を抱く
それがシャドウガーデンの意思だというのなら野放しにしてはいられないとも思っていた
「はあっ!!」
カキィィィン!
「っ!?」
私の振り払った斬撃によって男の手から剣が離れる
「これで終わりよ」
得物を失った男に私は剣を構え直しながら告げる
するとその時、後ろの方から足音が聞こえ、振り替えるとそこには目の前の男と同じ風貌の奴らが立っていた
「あら、お仲間の登場ってわけ?」
増援が来るとは予想外だった
一気に状況は1対3の構図になり分が悪くなってしまった
「…――っ!!」
「くっ!?」
「――っ!!」
「ちぃっ!?」
そんなことを思っていた矢先、新たに現れた男たちが私に襲い掛かってきた
瞬時に攻撃をいなしながら反撃の糸口を探そうとするもやはり数の不利には抗えなかった
「――っ!!」
「しまっ!?」
後方の2人に気を取られていたせいで前方の方の男の存在を忘れていた
男が剣で私を刺そうと狙ってきた
万事休すだと思ったその時だった
「キュイ!!」
「っ!?」
突如、男の顔面に何かが張りつき、それによって男の動きを止めた
「キュイ!」ガブッ
「――っ!?」
直後かじりつかれたような音がすると共に男が私を刺そうと手にしていた剣を放り投げてしまい
さらには慌てふためいていたせいで勢い余って地面にうつぶせに倒れてしまった
「キュイ!」
「あなたは…シア!?」
「キュイキュイ!」
私の窮地を救ってくれたのはシアだった
「シア…」
「キュイ」
目の前に現れたシアを見て私はとても嬉しいといった気分になった
こんな状況とはいえまたこうして会うことができたことに喜びを覚えていた
「「「――っ!」」」シャキン
「…無粋な奴らね」
けれどもそんな気持ちを台無しにするかのように男どもが剣を構える
仕方ないと私が剣を構えようとした時だった
「キュイィィィ!!」
「ど、どうしたのシア!?」
突然シアが叫び出した
すると次の瞬間だった
ザシュゥゥゥン!!
剣による斬撃の音が場に児玉したかと思い、すかさず視線を戻すと男たちが一瞬にして切り裂かれていた
唖然としている私の前には見覚えのある後ろ姿が
「キュイ!」
シアが鳴き声を上げながら目の前の人物の肩に乗る
やがてじっとしていたそいつがちらりとこちらに視線を向ける
「あ、あんたは!」
私は思わず剣を手に身構える
圧倒的強者のオーラを漂わせるそれと対峙するよりこの場の空気は一気に張りつめたものとなった