[アレクシアside]
私は今、緊張感で胸がいっぱいになりそうだった
「――っ!」
「……っ」
なぜなら私の目の前にあの事件の時に出くわしたシアの本当の主と名乗り、さらにはシャドウガーデンの一員でもある男がいるのだから
剣を構えながらも私の胸の内は動揺でいっぱいだった
「(まったく、今日はいろいろありすぎてわけがないわよ)」
心の中で私は思いのたけをぶちまける
最近王都で起こっている辻斬り事件の噂を聞き、それがシャドウガーデンと名乗る者たちの仕業だという話しだった
この事件の真相を探るために単独で調査を行っていたら偶然にもそのシャドウガーデンを名乗る奴が辻斬りを行っている現場に遭遇した
私は奴から情報を聞き出そうとして戦闘になり、そいつらの増援によってピンチに立たされそうになった
けれど、そこにまさかシアが駆けつけ、私を助けてくれたこともそうだけど何よりまた会えたことが嬉しかった
だけど喜んでいるの持つかの間、その直後にこの男が現れたのだから
「まさかこんなところでまた会うことになるなんてね?偶然にしてはできすぎな気がするわね?」
剣を構えながら私が声をかけてみるも奴はこちらを軽く見ているだけで一言も口を開こうとはしなかった
さらには無言のまま片腕を上げて指をクイクイっとさせる
「キュイ!」
「あっシア!?」
するとそれに反応したシアが奴の元に戻っていった
「…っ!」
私はシアがまた連れていかれてしまうことを思うとじっとしてはいられず、剣を握りしめる手をさらに強める
「…やめておけ」
「っ?」
「今の貴殿では我を倒すことはできぬ」
「な…なにを!」
やっと口を開いたかと思えば戦っても無意味だと言ってきた
それを聞いて私は頭に来た
確かにこいつが言うことは正しい、こいつの力はあのシャドウとかいうやつと同じくらいかそれ以上なのだということはなんとなくわかる
だけどそれでも
「悪いけど、そんなこと言われて、はいそうですかって諦めるほど私は人間出来てないのよ!」
瞬時に私は突撃せんと身構える
奴は未だに動く気配はない
ならそれでもいい
「余裕物故いてるようだけど、あんまり私を舐めない方がいいわよ!!」
次の瞬間、私は地面を蹴ると同時に一気に奴に向かって突っ込んだ
「たあぁぁぁぁぁぁ!!」
踏み込みによる加速で間合いを詰めた私は振り上げていた剣を一気に振りおろす
カキィィィン!!
「ぐぅっ!?」
私は何が起きたのか分からなかった
唯一わかるのは攻撃を仕掛けた私が踏み込みを入れた位置まで吹き飛ばされていたこと
さらにはいつの間にか奴が得物を手に私の一手を弾き帰したと思われる姿だった
「(本気で踏み込んだのにたった一発で弾き飛ばすなんて)」
やはりこいつも只者じゃない、今の一発で実力差は明確だということを改めて私は確信する
「はぁ…はぁ…はぁ…っ!!」
立ち上がると同時に私は再度奴に仕掛けた
「やああっ!!」
「――っ!」
何度も何度も私はありったけの力で奴に攻撃を仕掛ける
けれど、フード越しに見える奴の顔は涼し気だった
そうして根気強く何度も踏み込んだ私だったけど流石に先の戦闘と攻撃をスカされたことで体力は底をつきかけていた
「くっ、ぬぅぅぅ!」
私はそれでも立ち上がるとともに剣を構えようとした
だけどその時だった
ファサッ!!シュタッ!
「――っ?」
「っ!?」
「…っ」
突如として私たちの前に新たな人物が舞い降りてきた
「あ、あんたは!?」
降り立った人物に私は見覚えがあった
あの拉致事件の際に私の前に現れ、私の婚約者だった
「(ちょっと待ってなにこれ最悪なんですけど、そりにもよってこいつまで現れるなんて)」
シャドウまでもが現れたことで私は絶望感に苛まれてしまった
目の前に立つこいつらからしてみれば私なんて所詮はザコ同然、下手に動こうものなら即座に殺されてしまうかもしれない
最悪な展開に陥ってしまった
「「……っ」」
そんな中、奴らは互いに視線を向けあっていた
次の瞬間、シャドウが私のほうに視線を向ける
私に見せるその目は敵意を見せていた
奴のフード越しから見えた眼光に私は身震いが止まらなかった
「――っ!」グニュニュ…シャキン!
「っ!?」
「――っ!?」
直後、シャドウが剣を生成して私のほうに歩み寄ろうとする
自分を殺す気だと勘付き、まずいと私の心が警告を放っていた
そうこう考えている間にもシャドウは私のほうに近づいてくる
婚約者だった
これまでなのかと感じていた時だった
「キュィ、キュイキュイ!」
「――っ?」
「シア!?」
するとそんな中、シアが私とシャドウの前に割って入る
「キュイキュイ!!」
シアはシャドウに向かって何度も何度も吠える
まるで抗議しているかのように
「っ」ポン
「――っ?」
「…っ」フルフル
直後、ゴーストと呼ばれる男がシャドウの肩を掴み首を横に振る
数秒間の間、場が緊張感に包まれていた
けれどその数秒後、シャドウが手にしていた剣を収める
「…そこのお前」
おもむろにシャドウが私を呼ぶ
「な、何よ?」
「これ以上、我らに関わるな」
「な、何を言って!」
私に干渉するなと告げると背を向けてその場を去って行ってしまった
「キュイ」
「シア?」
「……キュイ」
「待って、シア!」
寂し気な顔を浮かべているシアを呼び止めようとした
けれどシアはゴーストの元に戻ってしまった
「……っ」
「ま、待ちなさい!」
「っ?」
シアを迎え入れながら私を一見するとゴーストもシャドウと同じように私に背を向けてこの場から立ち去ろうとした
決死の想いで私はゴーストを呼び止めた
「あなたの…いえ、あなたたちの目的を教えなさい!」
私の声に歩みを止めたゴーストにシャドウガーデンと呼ばれる彼らの所属する組織が何をしようとしているのかを問いただす
「…シャドウが言ったはずだ。平穏に暮らしていたいのであればこれ以上我らに関わるな」
「ふざけないで、そんなこと言われてはいどうですかなんて納得できるわけないじゃない!それにあなたは私から
相手がどれほど強くても私はシアを絶対に取り戻すことを宣言した
「……――っ!」シュン!
「あっ!?」
その言葉を聞き終えるとゴーストは私の前から姿を消した
静まり返ったその場所に残されたのは私ただ一人だった