[クリスside]
この日、いつものようにシドと共に賊を退治した時のことだった
賊の根城を散策していると檻に入った「悪魔憑き」と呼ばれるこの世界の呪いにかかった後にかげじつのヒロイン筆頭格の「アルファ」がいた
悪魔憑きの影響で体が腐り果ててしまったアルファを僕はシドと共に秘密裏に使っている建物に運び込んだ
運び込んだアルファたる肉塊がうねうねと蠢いている
「さぁて、実験のし甲斐がありそうだな~♪」
「うん、爽やかな顔で言うセリフじゃないよね兄さま?」
まったく、尊敬はするけどこういうマッドサイエンティスト的な性格に関しては若干引くよほんと
…まぁ、それに加担している僕が言えた義理じゃないんだけどね
そんなこんなでその日から僕とシドはアルファたる肉塊を使った実験が始まった
魔力を注ぎ込み、実験を繰り返す日々が続く
ちなみに僕は実験ばかりで家のことそっちのけで没頭するシドとは対照的に協力をしつつも僕は主に家のほうで行動していた
なぜかというと…
「はあっ!!」
「っ、やあっ!!」
クレアの相手を引き受けるためだ
今日も僕は彼女に連れられて川の近くで稽古をしている
ちなみにシドは先にわざと彼女に打ち負かされて着替えを名目にこの場を去っていった
ということでその分の埋め合わせを僕がすることになったわけだ
別にクレアといることに不服はないけど若干貧乏くじ引かされた気分
「やあっ!!」
「くぅぅぅっ!!」
攻めるクレアの剣を僕は受け止める
「ていっ!」
「しまっ!?」
「せぇい!!」
カキィィィン!!
クレアの繰り出した斬撃によって僕の手から得物が離れ、地面に突き刺さった
「…負けました。流石はクレア姉さまです」
僕はその場に跪いて彼女に賞賛を送る
「まだまだね。でも以前よりもよくもなってきている。成長してるわねクリス」
厳しめの言葉を送りつつ、その顔は期待を孕んでいる様だった
「そう言っていただけると助かります」
「まったく、あなたはこんなにも素直でいい子でやる子なのにそれと引き換えあの子ときたらまったく成長しないんだから」
困ったものだというようか顔を浮かべながらクレアはぶつくさとつぶやいた
「い、いえいえシド兄さまだって成長してますよ?」汗
「…あなたの優しいところは大好きだけど甘やかしはよくないわよ?」
「あはは…そ、そうですね」
いやいや、本編でシドに、この世界で僕とシドに甘々なあなたにそんなこと言われても説得力が…
ま、まぁ、そんなことを思いつつ僕らは稽古を終えた
――それからしばらくして――
クレアとの稽古を終えた僕は遅れて隠れ家にやってきた
「兄さま、ただいま参りまし…た?」
やってきた僕が目にしたのは来たことに気づいてこちらを振り返るシャドウ姿のシドと
魔力を注がれたことにより悪魔付きが解けて元の姿を取り戻したアルファがいた
「あぁクリス、お帰り~?姉さんとの訓練は終わったのかな?」
軽い感じで語り掛けるシドとは対照的に僕の存在に気づいてアルファは警戒している
「え、えぇ。ぼちぼちと。それよりも兄さま、彼女はいったい?」
知ってるけどあえて知らないふりして尋ねる
「おっとそうだった。説明するとね、この子は例のアレさ、ようやく実験が実を結んだって感じかな。名前はアルファだ」
「そ、そうなんですね…まぁそれはさておき///」
僕は話しを早々にアルファの元に近づくとスライムスーツの一部で作り上げた
「…っ?」
「す、すみません。女性を裸のままにさせておくのはまずいと思ったものでしたので///」
「…ふふ、ありがとう」
顔を赤らめる僕が面白かったのかアルファはくすりと笑いながらお礼を述べた
「さてと、じゃあおさらいしようか。アルファ、君のすべきことは?」
「私はこの身の全てをかけてあなたたちに忠誠を誓う、そしてディアボロス教団を壊滅させる」
「そうそうそんな感じ」
「他の英雄の子孫たちを探しだして保護する必要もあるわね。さらには組織の拡張と並行して拠点を整備しないと、そのための資金集めもね」
原作読んで知ってるとはいえ、改めて見てもこの時からアルファはカリスマ性を見せていたんだな
「確かにアルファさんの言う通りですね」
「さんはいらないわ。あなたたちは私にとって忠実な兵士であり駒なのだから」
「…そんなこと言ってはいけない」キリッ
「「っ!?」」ピクッ
アルファがいった言葉に僕が言葉を返すと2人は身震いをした
「100譲ってさん付けはやめるとしても僕はあなたを駒としてみるつもりはない、それは理解してほしい」
「…そうね。軽率だったわ、ごめんなさい」
「いえいえ、わかってもらえたならいいんです。改めてよろしくお願いしますアルファ」
「えぇ、よろしくお願いするわ」
僕とアルファは固い握手をかわす
「ちょっとちょっと?僕のことを忘れてない?」
「っ、そそ、そんなことないですよ。ねぇアルファ?」
「え、えぇそうよ気のせいよ」
ジドっと見てくるシドの視線が痛い、僕らは数秒間冷や汗が止まらなかった
そうしてようやく期限を直してくれたシドを含めて今後の段取りについての具体的な話しを始める
「時にアルファ。英雄の子孫たちを保護するって言ってたけど具体的にはどうするつもりなんだい?」
「私のように悪魔憑きとなって苦しんでいる者たちは五万といるはずその者たちを保護し、構成員の人員確保、それに伴う資金調達や戦力の保持、まずはここからね」
「あてはあるんですか?」
「えぇ、少なくとも1人は心当たりがあるの。まずは手ごろなところから行くとしましょう」
アルファはそう言って善は急げといった顔を浮かべいた
彼女のこの発言からして会いに行くのは十中八九悪魔憑きになる前からの知人である「ベータ」のことだろう
ベータに会いに行くことが最初の目的に決まった
「なぁクリス」
「なんですか兄さま?」
「アルファって意外とノリがいいみたいだな。僕の架空の話しを全部信じちゃってるしさ」
「そ…そう、ですね」
いやそう思っているのはあなただけだから、本当はディアボロス教団はこの世界に存在するんだよ?
まったくこの勘違いの凄さはどこぞの”ラストダンジョン手前の村の少年”といい勝負ができるほどだと思うよ、うんうん
「2人とも何をブツブツと話しているの?」
「あっ、いえその…」
「なんでもないよ」
「そう、それならいいんだけど?」
そんなやり取りをしつつ、僕たちは来るシャドウガーデン結成のため、アルファと共に後に七陰と呼ばれる少女たちをそろえることとなるのだった