[クリスside]
こっちで挨拶するのは久しぶりかな
どうも皆さん、クリスです
僕はシドにシェリーとともにこの防御壁を何とかしてもらう間に
校内にいるテロリストと1stの1人でもあるレックスを無力化させておきました
掃除を終えた僕は教室の一室にやってきていた
「やぁニュー」
「――っご、ゴースト様!?」
中に入るとそこには男性の亡骸と重傷を負っている青年を見下ろすニューの姿があった
ニューは僕が来たものだからとても驚いている様子を見せていた
「…その人たちは知り合いだったのかな?」
「……この人はグレンと言いまして『獅子髭』のグレンという二つ名を持ち、紅の騎士団の副団長を務めるほどの名だたる騎士でした」
「副団長…そうか、この人が?」
確か紅の騎士団ってアレクシアの姉であるアイリスを筆頭にした騎士団だったね
「しかし、いくら名のある騎士だったというのにこんな最後を迎えてしまうとは…魔力を封じられてしまえばこんなものということなのでしょうね」
副団長のことを語るニューはどこか寂し気な顔を浮かべていた
「じゃあこっちのほうのは?」
「この人はかつての婚約者だった人なんです」
こいつもニューの家族同然に彼女が悪魔憑きになった途端いない者として扱ってたんだっけか
薄情なものだよまったく
「なるほど…それで、どうするの?」
「私個人としてはどうするつもりもありません」
多少、思うところはあるようだけど、もう吹っ切れてるように見える
心配する必要なんて皆無ということだね
「そう…それで首尾のほうはどうなってるの?」
僕はニューに尋ねる
「はい、遅くなりましたがご報告いたします。現在、シャドウガーデンは学園の外に潜伏し、待機しております。ご指示があればすぐに動けます」
うんうん、相変わらず迅速な対応、実に素晴らしい
「でもそのためにはこの結界がネックになってしまうということだよね?」
「はい、ゴースト様のおっしゃる通り魔力が制限されたこの状況下での戦闘はリスクが伴います。普段通り動けるのは七陰の皆さまだけですが、現在王都にいるのはガンマ様のみですから」
「うーん、ガンマ、ガンマね~」
「…はいガンマ様です」アセアセ
ニューが不安がるのも無理はない、ガンマは交易や交渉においては七陰の中で一番無類の力を発揮してくれる
だけど運動神経においては壊滅的なレベルだもんね
まぁそういうところもガンマの魅力でもあるし、可愛いところでもあるわけどね
「で、ですが現在ガンマ様が全体的な指示を問ってくださっております。魔力が抑えられた状況はそう長くは続かないとガンマ様も予測しております」
作戦の立案や問題が起きた時の打開策なんかも即座に考え付く、やはりこういう時のガンマほど頼りになる子はいないね
「私もこの結界のせいで力が半減してしまっています。一刻も早くこの状況を打開したいところです」
「ニュー、それについては心配はいらないよ、今シャドーがこの状況を打破する方法を掴みに行ってくれてるから」
「そ、そうなのですか!?」
「うん」
多分今頃シェリーと一緒にアーティファクトの生成に努めてくれてるからね
あれが完成したら結界は消滅するから僕らも動きやすくなるし
「シャドーたちがアーティファクトを作り終えるまで僕の方は学園内にいる雑兵たちを無力化しておこうかと思ってね」
「流石はゴースト様とシャドー様、見事な役割分担でございます。このニュー、お二方の素晴らしさにまたも感銘してしまいました」
「大袈裟だよ。でもありがとう」
オーバーではあるけど褒めてもらえることは嬉しく思うよ
「ところで今外とかはどうなっているのかな?」
「はい、教団のほうは動きはありません。魔力を封じるという理を最大限に活かし、防衛対策の構築を維持している様子です。騎士団に至っては戦力になるのはアイリス王女と増援の部隊長くらいです。王宮側の偉功もあってか指揮権の問題が発生しているようです」
「そうか」
王宮のほうも大変だね。いろいろ立場やらのせいで自由に動けないんだから
とはいえ、僕らも結界を何とかしとかないと動こうにも動けないのは変わらないことだけど
「いろいろ教えてくれてありがとうニュー」
「いえ、ゴースト様とシャドー様のお役に立てて何よりでございます」
「とりあえず僕はシャドーがアーティファクトを手に入れるまでの間、もう少し教団員たちを無力化させておくからニューのほうもそれに備えて準備をしておいて欲しい」
「はい、かしこまりました。ゴースト様の仰せのとうりに」
「うん、頼んだよ…じゃ――っ!!」バッ!
「――っ!?」
ニューに指示を与えると僕はそのまま教団員たちを探しに駆け出して行った
「…命拾いしたわね?」
僕が去った後、ニューは元婚約者に向けて冷たい表情を向けながらそうつぶやいた
[ニューside]
ゴースト様と合流し、指示を受けた私はそのまま敵に気づかれないように大聖堂に戻り、人質の1人として潜り込んでいた
現在、王宮のほうは突入の準備を行っているようだけれど結局は指揮権のせいで動けない様子だった
まぁ、我々としては王宮がどう動こうと知ったことではないことですが
「――っ」キュピン
私は手にしているコンパクトを敵に気づかれないようにして鏡部分から光を放たせている
理由は信号を送るためである
既聖堂の上ではガンマ様率いるシャドウガーデンの構成員たちが攻め込むタイミングを見計らっている
「(もう少しお待ちください。ガンマ様、シャドー様が必ずや結界を解除してくれます)」
攻め込むタイミングを私がこうして間接的に知らせているという訳なのです
そうして私が合図を送っている時のことでした
バキュン!!
「うわぁぁ!?」
「きゃあぁぁあああ!?」
「う、撃たれた!?」
「――っ!?」
銃声の音とともに聖堂内に悲鳴が木霊する
どうやら教団の団員が生徒の1人を銃で撃ったようです
バキュン!!
「ぎやぁあああああ!?」
間髪入れずに2人目の犠牲者が
「ほーい、二匹目命中W!」
「情けないな、庶民のおもちゃ如きでW」
「魔剣士の恥だな恥w」
教団の連中がまるで狩猟の獲物を獲ったかのように傷ついた生徒たちを嘲笑う
「(…今のうちにせいぜい笑っておくがいいわ。あなたたちはもうすぐ終わりよ)」
そんな教団の連中を睨みつけながら私は心の中で言葉を呟くのでした…