[クリスside]
シャドウガーデンの新たなる拠点確保のために僕と七陰の全員は「古都アレクサンドリア」があるとされる「深淵の森」へと向かった
そうして到着した僕たちはその入り口と思われる場所にいた
「ほ~、これは確かにすごい霧だね?向こう側がまったく見えないや?」
歩くとき足元気をつけて行かないといけないねこれは
「さぁ、行きましょう。みんな気を引き締めてね」
「「「「「「はい!」」」」」」
「は~い」
アルファの号令で僕たちは「深淵の森」に侵入していった
――深淵の森移動中――
「はあっ!」
ザシュン!ブォッ!!
「ふっ」
襲い掛かってきたモンスターを僕は瞬く間に消し飛ばした
視線を逸らすと七陰の皆もそれぞれモンスターと交戦していた
みんな最初の頃とは比べ物にならない程腕を上げている
まぁ、当然だよね。なんたって七陰なんだから
「みんな片付いたようね?」
「はい。全員怪我はないようです」
モンスターたちを一掃した僕たちは集合し、安否確認を行っていた
「危険な森って聞いてたから歯ごたえのあるやつらがいっぱいいると思ってたのです~」
期待が外れたとデルタは不満そうな顔を浮かべる
「確かに、思っていた程よりはモンスターたちに変異性は見られませんでしたね。おそらくは有害物質であるこの霧が蔓延するこの環境に彼らが適応できていないからだと思われますね」
ベータも分析から導き出した答えはデルタと同意だった
しかし僅かな情報でここまでのことを予測するベータの頭の回転には感服するよ
そんなこんなで僕たちは森の中を進んでいた時だった
「っ」ピクッ
僕の感知魔法が反応を示した
前方のほうにすごい魔力を感じる
「(この反応からして十中八九”奴”がいるね)」
この魔力の感じからしてもこの先に今回の”お目当て”がいることは確実だった
「…こっちの方から強い奴の気配を感じるのです!」
流石デルタは獣人なだけあって他の誰よりも気配を察知したみたいだね
「ワンちゃん、隊列を乱さない」
「メス猫、お前にはわからないのですか!?」
「…っ!…た、確かに、この先に何かいる!?」
デルタを注意しようとするゼータだったけど、彼女も獣人だ
指摘されて感覚を研ぎ澄ませるや気配を察知したみたい
「この感じ…やばい、ゴースト様、アルファ様!」
「あなたがそこまで焦るということは極めて危険な存在ということね……っ!?」
「どうしたのアルファ?」
「い、いえ…何でもないわ」
ハッとした顔で僕を見てたけど僕の顔に何かついてたのかな?
僕はアルファのあの顔の意味が分からず小首を傾げた…
「アルファside」
森を進んでいった私たちだったけど急にデルタが強い気配を感じると聞いて何事かと思ったけど
ゼータの反応からしてもそれが思いのほか厄介なことであることは容易に想像できる
そんなことを考えていた私は不意にここに来る前のクリスとの会話を思い出していた
ここに行くことになった時のウキウキとした顔が私の脳裏に浮かぶ
次の瞬間、私はハッとした顔でクリスを見て確信した
「(嫌な予感はしてたけどよもやこんなことだったなんて)」汗
クリスはポカンとしてるけど結果的にあれがフラグになってしまった
やはり彼がはしゃいでいるとろくなことにならないと私は心底思った…
[クリスside]
なんだろう、アルファが呆れたものを見たような眼で僕を見てる気が…
「この先に強い奴がいるのですよね?だったらこのまま進んでその強い奴をやっつければいいのですよ!」
「後い、こらバカ犬、迂闊に先行するな!?」
デルタが独断で先行してしまい、ゼータがそれを追うように先に行ってしまった
「2人とも今すぐ戻って!?」
「いえ、このまま先行させましょう。私たちの意図的に狂わされてる方向感覚よりも2人の野生の勘に先導してもらったほうがより確実に進めるわ」
まぁ、本当なら僕の感知でも探れるけどここは2人の好きにさせてあげよう
「ですが、この先にどんな存在が待ち受けているのか…」
ガンマが不安そうに尋ねている
「まぁ行ってみないことには何もわからないさ。ともかくまずは2人を追おう」
「えぇ、そうね」
僕はガンマを宥めるとともにデルタたちを追いかけようと提案し、アルファもそれに賛同してくれたのでそのまま奥へと直行する
しばらくかけていくと前方にデルタとベータがいた…そして当然そこには”今回のお目当て”もいた
「デルタ、ゼータ!」
「「アルファ様?」」
2人が僕たちのほうを振り返った瞬間だった
《グオオォォォォォォォ!!!》
「「「「「「っ!?」」」」」」
森中を震撼させるほどの激しい咆哮が周囲に木霊する
この咆哮を上げ、僕たちを睨みつけているのはこの森に住まう主とも呼べる存在の「龍」だった
《「わしの眠りを覚ます者は誰か」》
「うわぁ……!?」
「な、なんて魔力のプレッシャーなの!?」
目の前に構える竜にガンマとイプシロンが震えた様子を見せる
「こ、これが「霧の龍」」
《「懐かしい、そのようにわしを呼ぶものもかつては存在していた…だがすべては時の流れと、霧の中に滅びた」》
「それはこの古都アレクサンドリアもですか!」
「ベータ!?」
龍の言葉に反応したベータが声をあげる
《「ほう、そなた、自らが危うい状況と知っているにも関わらず真っ先に反応を示すはそのことなのか?」》
「はい、正直に言うと私、この古都アレクサンドリアがどのように栄え、どのように滅びたのか興味があります」
この状況を前に好奇心を優先するベータのその考え嫌いじゃないね
《「面白い奴よの…よかろう、そなたがどうしてもというのであれば話してやらんこともない」》
「本当ですか!」
《「あぁ…ただし、それは”わしを倒せたら”…だがな」》
「「「「「「っ!?」」」」」」
その言葉を放った瞬間、龍はただでさえ体内から溢れる魔力をさらにあふれ出させた
さしものアルファたちもこのプレッシャーを肌で感じたことで震えを感じているようだった
《「見せてみろ侵入者ども。その力をわしに示し得るものとなるか、それともここでわしに殺され奪われるものとなるのか…さぁ、戯れの始まりだ」》
「みんな行くわよ!」
「「「「「はい」!!」」」」」
龍の開戦の言葉が告げられた瞬間、アルファたちは一斉に武器を手に飛び込むのだった