テイワット漫遊記   作:失踪あんさんぶる

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2.太腿×ショートパンツの親和性について

 ―――男が、立っていた。

 

 その男の周りには、男が作ったのであろう惨状が生々しく存在していた。

 

 天は失墜し。

 

 大地の尊厳は粉々に砕かれ。

 

 生命の泉は枯れ果て。

 

 男が発した理不尽の権化により生物は逝き絶える。

 

 

 

 もし、その男がもう一度目覚めたならば、この平和な世界。『テイワット』は一瞬で崩壊し、世界に破壊の猛威が吹き荒れるであろう。

 

 

 

 

 

                ~ダドコ・ロ・コウジ~

 

 

 

「はぁ...」

 

 

 俺は思わず溜息を吐いた。仕方ないだろう。何故なら、自身の過去が全く、全ッッッく身に覚えのない出来事に改竄されていたからだ。とりま訴訟も辞さない(先手必勝)

 なんなんだよ破壊の猛威って。俺も一応神の端くれだけどそんな物騒な権能持ってねぇよ! 俺が唯一過去に起こした行動なんておにゃのこにエッチな悪戯しただけだぞ! ぷるぷる、ぼくわるい神様じゃないよう。

 

 

 再び深く気怠げな息を吐きながら、見慣れた獣道とは違う整備された道を歩いてゆく。伊達に長年神様やってるだけあって今の俺の姿、中々様になっているのではないか? ボブは訝しみ、自己顕示欲を満たした。

 宛もなくブラブラと、偶に美味そうな茸を採取しながら歩く。

 そうして彷徨う事数時間。なにやら開けた場所に出た。人類最後のマスターと人理修復を成し遂げただけあって運だけは一丁前なのだ。

 

 

 海馬に埋まっていた記憶を次々と掘り出し、懐古の念に浸っていたら、集落らしき場所に辿り着いた。

 人肌がとても恋しかった俺は「イヤッホォォォォォウ!」と奇声をあげながら人『らしき』者に近づき、肩を組んだ。深夜テンションであった。

 そして―――肩を組み、肩の感触が人とは遥かに乖離している事に気付く。思わず顔を見てみたら―――

 

 

hola!(こんにちは!)

 

 

 特異な仮面が特徴である魔物の丘々人(ヒルチャール)が笑顔(暫定)を浮かべていた。

 人間だった頃の名残で四次元ポケットからKATANAを取り出しそうになったが、そういえば今の俺には権能があったなと思い留まる。

 そして四次元ポケットからKATANAの代わりに酒とつまみ、そして鍋を取り出し、徐々に胸部分の服を破きながら目でこう訴えかけた。

 

 

 ―――やらないか?

 

 

 言葉だけを切り取るとどこぞの阿部さんが脳裏に浮かんでくるが、安心してください。ボブはノンケです。

 

 

 ―――Dala beru yo?(何言ってんのお前?)

 

 

 至極全うな返答であった。が、俺の神としての権能と鍋の中から漂うとても好い匂いにヒルチャールは一瞬で陥落し、テンションがアゲアゲになったヒルチャールが暴走し、辺りのヒルチャールも巻き込んでものっそい大きな宴会になった。

 30000年物の酒(誤字にあらず)を右手で煽り、ふと思考する。今までの旅路ではこの『怠惰』と『平穏』の権能にお世話になりっぱなしだったな、と。

 

 

 人理を焼却しようとしていた魔術王を話し合いで解決したのもこの権能のお蔭だし、ノースティリスで一度も死なずにいられたのもこの権能のお蔭。

 『イヤッフゥゥ!』と叫びながら猛進する配管工と共に旅をしたのも時間を止める吸血鬼と一緒に世界征服のプランを建てたりモンスターを楽にハントできたのも全部こいつのお蔭だ。

 生まれた時から一緒にいるせいで、一種の相棒意識の様なものも芽生え始めている。それだけ俺にとっては大事な代物なのだ。

 この権能と俺を巡り合わせた運命に感謝しながら、再び酒を煽った。すると、酒の神気から飛び切りの毒電場が飛んできた。反射的に俺は叫ぶ。

 

 

「俺はボッチじゃない」

 

 

 ヒルチャール達からの視線が何処か憐憫と哀れみを含めたものになった気がするが、俺は気にせず、再度叫んだ。

 

 

「俺はボッチじゃないんだよぉ!!!」

 

 酒カス上等! パチカス上等! なら連鎖的にボッチも変態も上等! セーフ、ノーカンである。付け込むところのない完璧な理論だった。

 何故だかヒルチャール達からの憐れみの視線が強くなった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 酔った男が奇行に走っている姿を遠巻きに観察している影が二つ。

 一つはヒルチャールを愛しヒルチャールに殴られ貶され結果的に騎士団に保護される事を日課にしているとても残念な少女。『エラ・マスク』である。

 エラ・マスクはヒルチャール達とまるで友人のように談笑している馬鹿(アホ)の姿を穴があく程観察していた。それもそのはず、エラ・マスクは何十年にも及ぶ研鑽の元、ヒルチャール達との交流を図っているのだ。

 なのに目の前に居る身元不明の男と言えばどうだ。さも、それが当然かのようにヒルチャールと会話をしているではないか。これはけしからん。エラ・マスクは新たな性癖に目覚めそうになっていた。

 

 

 そして、エラ・マスクの後ろに控える影は『モンド最後の偵察騎士』と称される如何にも(ナニがとは言わないが)な少女、『アンバー』である。

 彼女の特徴としてはその小動物的かつ破壊的な可愛さと、男の初恋を無意識に搔っ攫っていくであろう優しさ。そして、彼女の最大にして最優の特徴はその太腿にある。

 

 

 太腿はイイ、ショートパンツはイイ。それはこの世の中に留まらず、全次元に存在する全男が即刻頷くコンボであろう。そして、同時に旅で溜まりに溜まった体液の処理(意味深)をするのにも優秀な仲間になってくれるである事間違いなしである。その卑猥な身体で一体幾つもの男を深淵に陥れたのか? 答えよ!!

 

 

 そんな見た目〇性格〇太腿〇の彼女であるが、実はこのモンド有数の実力者でもあったりする。決して実力者(意味深)ではない。実力者である。純潔である。あってくれ(願望)

 いつもの彼女であるならばエラ・マスクが「今度こそ!」と意気込みながらヒルチャールに向かっていくのを死んだ魚の目で見守り、いつも通りブチ切れながら棍棒を振り回してくるヒルチャール共のケツに炎元素を纏った矢をぶち込み、自家製の『兎伯爵』をぶん投げて辺り一帯を悉く爆発させていることであろう。誰だってそうする。俺もそうする。

 

 

 だが、そんな彼女は護衛という役割を放棄し、エラ・マスクと共に一人の男を凝視していた。

 いつもの彼女なら兎伯爵をぶん投げた後文字通り兎の如きスピードで男を救出していただろう。死んだ目で。

 だが、今回ばかりは勝手が違った。何故なら、今目の前でヒルチャール達と酒を交わしている男が心から楽しんでいるように見えたからだ。

 普通の冒険者・及び一般人なら自分の周りで手を出すでもなく唯々回っているだけのヒルチャールに「お前なんなんだよ!」とキレ気味に声を出すことはあっても「ヒルチャールとの会話気持ち良すぎだろ!」と楽し気にしている者を見たのは人生初だったから。

 

 

 それに、ヒルチャールと共にやけにアクロバティックな動きで舞っている男が。どうしても悪者に見えなかったのだ。根拠も理屈もない、ただの勘である。

 勿論あのアクロバティック男がアビスやファデュイの関係者ではないのか? と問われれば「解らない、知らない」としか返せない。なのに、何故だか自身の本能があのアクロバティックでクレイジーな男を攻撃してはならないと訴えかけてくる。

 

 

 少女は終ぞ弓を引き絞る事が出来ないまま、時間が過ぎていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺がヒルチャールと酒盛りを始めて結構時間が経った。

 少し前までビビるくらい元気を持て余していたヒルチャール等は、場のノリに身を任せて度があり得ないくらいに度が高い酒を呑んだせいで全員ダウンしている。

 ヒルチャール達からの酒を持ってきたことによる物珍しい視線を一身に受けていたからか、はたまた酒で酔っていたから解らないが、今さっき誰かから視られている事に気付いた。神なのに。

 

 

 三つの箇所から視線を感じており、一つはまず間違いなくあの呑兵衛詩人であろう。二つ目は多分あのグランドロクデナシだ。

 そして三つ目は―――

 

 

「「……」」

 

 

 何処か落ち着かない様子で弓を弄り回しながらこちらを見ている圧倒的な太腿―――失敬。少女とロリである。木の後ろから見ているので隠れたつもりになったようだが、全く隠せていない。何故こちらを見ているのだろうか? まだ何もやらかしていないし心当たりもない。たった今ヒルチャールと酒盛りをしていること以外は。

 

 

 酒を独りでに煽りながら、しかしこちらを見てくる二人の少女を観察する。そして―――衝撃的な事実が判明した。俺は勃った。

 そう、ロリではない方の少女の服装が―――『ショートパンツ』だったのである。

 

 

 ショートパンツ、別名ショートなパンティ。それは男の心をこれ以上なく燻ぶるものであり、同時に強力な武器にもなり得る武具であった。それは投擲用の武器としても使えるし、被ることもできるし、夜の頼もしいお供としても使える。強力なエンチャントが施されていたら猶更だ。エンチャント(意味深)としても捉えられるそれはノースティリスの民ならず全人類に需要のある国宝―――否。世界の宝であろう。

 

 

 そしてその効果は人間に留まらず―――(オレ)にも及ぶ。

 具体的に言うと男の中の漢がここぞとばかりに奮起する。が、その程度の出来事で動揺する俺ではない。次元震に巻き込まれた先に出会ったシャルルマーニュ十二勇士やモナ・リザ。更には水晶蜘蛛も性の対象として見て、その度に性癖を狂わされてきた俺。隙があるはずがなかった。

 俺が俺のマイさんに問い掛けると、マイさんは「ok」と言わんばかりにすぐ静まってくれた。

 

 

 自分のマイさんがマイさん(満身創痍)からマイさん(臨戦態勢)に変わったのを確認したところで、美少女ズをチラチラ見るのをやめて今度は思いっきし顔を向けた。美少女ズは固まった。

 意識を失っているから気付いていないのか、腹からこの世の苦しみを全て詰め込んだような音を鳴らしているヒルチャールに、断りという名の黙祷を捧げ、美少女ズ目掛けて歩いてゆく。

 

 

 が、俺も中途半端に酔っているせいでまともに足を運べずに千鳥足になった。だが、俺は魔神の中で唯一七神と肩を並べられる存在。

 精々、酔った程度では理性の枷が外れて体温が上がる位しか効果がない。流石GODボディ、無敵だな(理性蒸発)

 

 

 美少女ズの目の前に辿り着き、その顔を直視して―――驚愕した。美人すぎて。

 傷もムダ毛も何もない、綺麗としか表現できないきめ細やかな肌。宝石の如き美しい目に、さらさらと風に靡く眩い髪。そして出るとこは出て、逆に引っ込むべきとこは引っ込んでいるそのボディ。

 思わず、というか普通に俺のGODボディが見劣りしてしまう。GODボディとはなんだったのか。神の威厳とは?

 

 

 美少女の身体を野獣の眼光で見尽くし、その豊満な恵体から目を離して、改めて少女の顔面を見遣った。やはり顔面偏差値が高い。前世でどんな徳を積んだらそうなるのだろうか。

 神という全能の存在である癖に、その顔面を少し、いや大分物凄くめっちゃ羨ましいと思ってしまった。

 やろうと思えば内心で嫉妬という名の呪いを吐き続ける事も出来たのだが、それでは話が始まらないので少女に声をかける。因みに、美少女ズの片割れであるロリはいつの間にかいなくなっていた。

 

 

「おーい、さっきからこっち見てたみたいだけどどうしたんだ?」

 

 

 俺の旅先では必ずと言っていい程トラブルが起き、そのトラブルには一貫した法則性がある。

 登場人物が大体絶世の美女なのだ。そして、この少女の身体・顔・太腿を見る限りこの子が何時か起きるトラブルにかかわりがあるのは必然。長年にわたり培ってきた俺の勘がそう叫んでいる。

 なんて表現したらいいのだろうか……知り合いの言葉を借りるなら「刺激あるからこそ人生は楽しい」だろうか。

 ……何気にこの言葉が一番しっくり来た。なんか腹立つなぁ。

 

 

「あーと、そのー……すいませんでした!!」

 

 

 【速報】女の子に話しかけたら謝られた件について【俺氏涙目】

 いや、割と真面目になんで謝ってきたんだ……? 俺なんかしたっけ? なんもしてないよな、ヨシ!!

 

 

「えーと、急にどうした?」

「……その、さっきからずっとあんたの事を見てたから、それを不快に思ったのかなーって……」

 

 

 繊細な子だなぁ……別に気にしなくていいのに。大体、奇異な目で見られるのはもう慣れてるし。

 

 

「そんなの気にしなくていいのに……そうだ、君の名前は?」

「え? ……あぁ。そういえば自己紹介してなかったね」

 

 

 目の前の少女は一度咳払いをしてから、ドヤ! と言わんがばかりに胸に手を当て、芯の通った声で言い張った

 

 

「偵察騎士アンバー、参上しました! 今後何か必要な事があれば、何でもお申しつけください!」

 

 

 偵察騎士の何が凄いのが解らないが、恐らくナニが凄いのだろう。

 

 

「さっき言った通り、私の名前はアンバー。宜しくね! ……それで、あんたの名前は?」

「あぁ、俺の名前は……」

 

 

 そういえば昔、ヴァネッサ辺りのヤバい奴等が俺の本を出版してなにやら面倒臭くなっていた気がする。バルバトスが全部何とかしてくれたからよく覚えていないが。

 ……取り敢えず今は偽名名乗っとくか。

 

 

「……雲…井…」

「雲……井? え!? もしかして稲妻の出の人!?」

「そう……雲井……雲井~~~ヒョットコ斎、かな」

「え?」

「ん?」

 

 

 ……あ、やべ。失敗したかもしんねぇ。




 クッキー☆は出ません、ていうか出しません。でも淫夢は出ます。不思議だね。

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