呪術御三家の一つ、五条家に生まれて数年経った。
黒髪黒目の少年は五条家に伝わる鍛錬を終えてノートに今後の方針を書きながら考えていた。
彼の名は五条紫水。
五条家に生まれながら六眼と無下限呪術を持たずに産まれ、代わりに得たのは水を操作する程度の水原術式を持ってたが故に宗家から落ちこぼれと言われていた少年である。
六眼なんてあるなら、名前の読みもシスイなのだし、せめて某忍ばない忍者で有名な写輪眼でも持っていれば話は別だったのだろうが、魔眼は宿しておらず現実は無情である。
「何の因果か五条家に産まれてしまったからなぁ。しかも原作の五条悟が産まれる前だし……」
何せ呪術高専で自分の同級生に天与の暴君こと伏黒甚爾がいたのだ。
正確な年齢は出てなかったが約15歳差位だった筈だから間違いなく五条悟が産まれる。
他の当主候補にも六眼と無下限呪術の抱き合わせはいないから次期当主候補になっているが、五条悟が産まれれば六眼と無下限呪術の抱き合わせがいない場合は一番優秀な奴が当主になるという前提条件は崩れる。
つまり自分は当主の座に居座れない。
「素晴らしいじゃないか……」
感動で手が震える少年。
何せ五条家とは数百年に一度産まれるとされる六眼と無下限呪術の抱き合わせの神童が誕生することで呪術御三家に居座る一族だ。
どんなに才能があろうが、強かろうが無下限と六眼を持ち合わせなければゴミィ!と叫ぶような終わっている一族である。
そんな神童が誕生すれば間違いなく次期当主は確定である。
「五条悟が当主になるならせめて下準備位は作っておこう。何せ五条悟は強過ぎるが故に孤独だったし、彼と共に戦える仲間……具体的にはミゲルレベルの術師が数人がいれば宿儺にも対抗出来るからね」
そうしてシスイは頑張った。
『禪院家にあらずんば、呪術師にあらず。呪術師にあらずんば人にあらず』
「うっせぇ!呪術師なら呪霊を払えるのかが重要だし、呪術師でなくとも才能ある奴はいる。大事なのは役に立つかだ」
禪院家程ではないが、呪術至上主義だった五条家の腐った蜜柑共を一掃し、五条家を実力主義に切り替え二つの称号を作った。
特級術師相手に戦えるレベルの実力者に与えられる称号【五条黒芒】
戦闘面以外で五条家において多大な貢献の実績を持つ者に与えられる称号【五条白星】
本来ならば呪術界においては無能の烙印を押され、不遇な扱いで切り捨てられる筈の才能の原石達に、シスイは手を差し伸べ育て上げた。
天与呪縛で呪力を全く有していないが、その分計算能力と思考能力に割り振られることで未来予測を可能とする予測演算を行える車椅子の少女、五条ノイマン。
生まれつきの術式を持たないが、誰でも訓練すれば扱えるとされる結界術や呪術の応用により作り上げた禁術で呪術師や呪詛師から卑劣様と畏怖される合理主義な男、五条扉間。
大正時代に鬼を狩る為に使われたとされる呼吸法と呼ばれる身体強化法を扱う剣士の末裔とされる痣のある剣士、五条巌勝。
ミゲルと肩を並べるレベルの稀有な人材達である。他にも有能なメンバーは複数おり、間違いなく五条悟の力になれるだけの人材達だ。
だが御三家の一つが劇的に強くなれば他の御三家や上層部も黙ってはいない。
足の引っ張り合いや蹴落とす事に定評のある呪術上層部や他の御三家の横槍があったが、暗殺を仕掛けて来た連中にはもれなく情報を吐かせた後にお家に返して家族諸共汚い花火になってもらった。
暗殺に失敗しておきながら家族の元へ返すと言った扉間の慈悲に感涙していたのか皆涙や鼻水で顔がぐしょぐしょになってたのは余談である。
紫水はノイマンや扉間と共に計略や暗殺を駆使して、自分の一族の戦力を削られることなく築き上げた。
その功績から次期当主候補から正式に当主に拝命されたが、どうせ五条悟が産まれたら隠居させられるのは確定しているのだからと大して気にしてなかった。
そうして数年後に呪術界に変革を齎す子供が産まれる。
「水を操る水原術式ぃ…ふーん、雑魚じゃん」
初対面で六眼で自分より術式の内容を見て見下してくるオスガキこと五条悟にも紫水はニコニコ笑顔で出迎えた。
(そりゃあ無下限呪術と比べたら水を操る術式なんて雑魚だしなぁ)
元から自分が最強などと思ってはいないシスイとしては後の最強に侮られようが事実だし嫉妬すら湧かなかった。
水を操る水原術式。文字通り水を操る程度の能力であり、ソシャゲーのガチャだとレアランク相当のスーパーレアなどには見劣りする程度の術式である。
まあ流石に「俺が勝ったら今日から俺が当主な!」と目と目があったらポケモンバトルが如く無下限呪術を放って屋敷ごと吹き飛ばそうとして来た際は領域展延で無下限バリア破って、お仕置きとして尻たたきをしたが些事だろう。
五条悟が成長して特級術師になったので、自身の特級術師の称号を返納し、学生時代に禪院家を出奔して呪術師殺しになってた親友を倒して名実ともに最強の術師へと五条悟は成長した。
つまり自分が築き上げた五条家を託す為に五条悟に当主の座を渡す時が来たのだ。
「若、今日から貴方が当主だ」
「ん、何言ってるの?僕は当主にならないよ」
「は?」
まさかの当主を拒否され固まる紫水。
「いやいや若は名実ともに最強。ならば当主を引き継ぐ資格がある」
「いや〜当主面倒だからパス。それに紫水が当主なら僕も不満はないしね」
「は?」
紫水には誤算があった。一つは五条悟は当主に対して強い拘りなどないことである。
原作では腐った蜜柑が居座り圧力を掛けてくるから仕方なく五条家当主になったのだが、現在の五条家では紫水が呪術至上主義から実力主義の風潮に切り替えた為に居心地が良くなった為に自ら当主になる必要がないのである。
そしてもう一つ。
「紫水は【五条黒芒】筆頭だから実力あるし、頼りになるから僕が当主になるよりも自由に動けるしね」
呪術界の変革をしたい五条悟にとって、五条家だけとはいえ変革を成し遂げている五条紫水は手放せない貴重な人材である。某国民的アニメで言う青い猫型ロボット並みに紫水は有能なのだ。
本人が強いだけでなく育成能力もあり、呪術師が育ちやすい設備環境まで築き上げたのだから、五条悟がこれから集める人材を鍛え上げてくれる人材は紫水を置いて他にいないのだ。
水原術式、水を操る能力。
それは水を操作するだけではなく、水の性質まで操作して聖水から原油、血液まで自在に作れる能力だ。
操作出来る水の量も圧倒的であり、津波を引き起こせば街一つ容易く押し流す位はやってのけるので呪術上層部からは単独で国家転覆を成し遂げられると判断され特級術師に認定された実績もある程だ。
死滅回遊による日本国民拉致計画があれば間違いなく資源問題を解決してしまう紫水が真っ先に狙われるレベルで重宝される人材なのは言うまでもない。
「あ、そういえば上層部から特級呪霊の討伐が4件あるんだけど、半分は五条黒芒のメンバーにお願いね」
サラッと最高幹部である五条黒芒のメンバーを当主でないにも関わらず顎で使うと告げて依頼書だけ置いて立ち去る五条悟。
これで教師でなければ当主を辞退しておきながら家の権力だけ扱うというヒモになろうとするクズがそこにいた。
「え、五条悟が当主じゃないって……つまり面倒ごとを押し付けられたってことなのか……」
なまじ最強故に実力行使で当主を引き継がせようとしても無理である。
紫水の隠居ライフは音を立てて崩れ去ったのであった。
五条紫水
…オリ主。シスイの名を持つけど万華鏡写輪眼は持ってない特級レベルの水使い。
水の性質すら操れるので、実質万能能力+街一つ沈めれる質量の津波すら起こせるので国家転覆可能な特級術師。
五条ノイマン
…天与呪縛で計算能力と思考能力に特化して未来予知すら可能とする車椅子の少女。伏黒甚爾が戦闘特化ならノイマンは支援特化と言える。元ネタは【リィンカーネーションの花弁】のノイマン。
五条扉間
…生まれつきの術式を持たないが、合理性と応用能力に優れた天才。結界術や呪術の応用で無限爆弾こと互条起爆札や穢土転生なる術で卑劣様と畏怖される。
五条家が暗殺者を穢土転生でアジトに返して互条起爆札による爆破テロで都度吹き飛ばしてたら暗殺がピタリと止んだ。
五条巌勝
…術式と合わせて月の呼吸と呼ばれる月輪が舞う剣技を扱う剣士。広範囲瞬間即死斬撃を扱うチート剣士である。
伏黒甚爾
…呪術高専時代の親友。呪術師殺しも五条家を狙えば紫水が総力を上げて殺しに掛かるの分かってたから意図的に五条家は避けてたのもあって関係は良好だった。
実は五条悟と戦う前に連絡してたが彼は最強だから大丈夫と返したので原作通りに五条悟に挑んで敗北した。
実は甚爾の魂を廃人になってた幼女に移して甚爾ちゃん7才という計画もあったが、恵の心労的に却下かも……