新宿と京都、そこで百鬼夜行が行われる。
去年、特級術師である五条悟と夏油傑の尽力により辛くも新宿へ攻め込んで来た百鬼夜行勢力を撤退させることに成功した。
だがそれは特級呪霊や特級呪詛師達から敵として認識されたということ。
「何だよこれ……こんなの……人間が太刀打ち出来るレベルじゃない……」
新宿に集められた呪術師の一人が絶望の声を上げる。
新宿へ未曾有の規模と言える戦力が迫りつつあるからだ。
去年の百鬼夜行では1000の呪霊に5体の特級呪霊と2人の特級呪詛師が新宿と京都へ侵攻して来た。
呪術界は新宿の防衛戦を成し遂げたからこそ、去年の規模を超える倍の呪霊の大群を両方、もしくは戦力を集中させると予想し、備えていた。
しかしそれを明らかに超える戦力が迫っていた。
5000を超える呪霊の大群。
新参者である特級呪霊、漏瑚を始めとする10体の特級呪霊達。
単独で国家転覆を可能とする特級呪詛師が5人。
呪霊だけでも5倍、精鋭故に集めるのが難しいとして特級レベルの実力者は据え置きという希望的観測を裏切られた。
最悪の可能性と予想された特級呪霊と特級呪詛師を倍になって戦力投入されたのである。
しかし予め攻めてくると分かっていて、とある特級術師は迫りくる大群へ向けて詠唱を省略せず100%の一撃を放つべく準備していた。
「虚式茈!」
現代最強の呪術師による最高の一撃、当たるだけで下手すれば千単位の呪霊が消し飛びかねない強力な一撃。
そこに先頭に立っていた山をも超える水の巨人が迎撃する。
特級呪霊、海坊主である。
「ヴォォォォォ!」
「水原術式。順転・鋼」
海坊主の右腕が鈍色に変化して虚式茈の一撃を容易く弾き飛ばす。
「これが新しい五条家の当主か……流石は美々四を退けただけはある」
海坊主の上に座り仮面を付けた男が呟く。
美々四は特級呪詛師の中でも珍しい勤勉故に油断や慢心をしないタイプだ。
故に美々四を退けたという実力は陛下から彼を派遣するに値すると判断されたのである。
「さて、原作レベル程度なら陛下から与えられた術式を使うまでもなく勝てるが果たして……」
仮面の男は自身の目の前に立ち塞がる特級術師達へ視線を向けた。
「悟の完全詠唱の虚式茈を弾くとは敵もやるね」
傑は目の前の光景に驚きを口にする。
何せ五条悟は呪術界における最高戦力である。二人で最強ではあるが、単騎戦闘力という点において五条悟は間違いなく他の追随を許さない位には強いのである。
そんな五条悟は冷や汗を流しながら口にする。
「う〜ん、まずいね。あいつ僕より強くねー?」
「悟も冗談を言うんだね。それが本当なら呪術師では僕らを除いて誰一人太刀打ち出来なくなってしまうよ」
「僕一人なら確実に撤退してた。今ほど傑がいて心強いと思ったことはないよ」
呪術師同士の戦いでは呪力量の多寡だけでは決まらない。だが六眼を持つ五条悟は目の前の男が自分達を遥かに超える化け物だという情報をもたらしていた。
(リカを完全顕現させた憂太の五倍以上の呪力量に、深海を思わせる程の禍々しい呪力性質。戦って僕より強かった強者は何人かいたけど、戦う前から勝てる気がしない奴は初めてだ)
「そこまでの手練か……でも戦うんだろう?」
「僕等がアイツを抑えなきゃ、アイツ一人で今来ている呪術師達を全滅しかねない。やりたくねーけど、仕方ない」
悟は後頭部をガシガシと乱暴に掻きながら口にする。そして仮面の男は悟へ向けて話しかける。
「初めまして最強。勘違いせずに万全の準備で挑戦しに来たよ」
「嫌味かよ。お前の方がラスボスみたいな呪力してるじゃねぇか」
「安心してくれ。私はNo.2だからラスボスには程遠いよ」
「絶望しかねぇよ」
悟は目の前の存在が呪詛師側のトップでないという事実を聞き驚愕しながらも戦意は揺らいだりしない。
何故なら自分の隣には二人で最強と誓った相棒がいるからである。
「こちらは君達の術式まで把握してるから術式開示をしようか」
「術式開示で底上げ出来るとはいえ、手の内を晒すとは私達を侮っているのかい?」
「違うよ夏油傑。私の術式は開示しても問題ないし、底上げした方が強くなる君と似た操術系の術式だからね」
仮面の男の言葉に傑は疑問を抱く。
傑の扱う呪霊操術は確かに多種多様な呪霊を操れるが故に開示してもデメリットは殆どないし、開示した分だけ底上げ出来るメリットはある。
だが珍しさ故に類似した能力は少ないから目の前の相手が類似したという言葉に違和感を抱いたのである。
「と言っても似ているのはあくまで操作すると言った呪力コストが優れている点だけだ。君の呪霊操術程バラエティはないさ」
「だろうね」
「私の水原術式は水を操る術式だ。本来ならば水を操作するだけの術式だが、拡張術式で水の性質まで操作出来るようになった」
「ッハ、それだけなら術式の性能は僕や傑の方が断然上だな」
「そうだね。操術系術式の真髄が無ければだけどね」
「真髄?」
「操術系は極めると構築術式と同じく操作対象を呪力で生成出来るようになる。私ならば呪力を水に変換出来るようにね」
仮面の男は右の掌から水の球体を生成する。
「更にそこから次のステップに上がると可逆も可能になる。私なら水を呪力に変換出来るようになる」
左手に持っていたペットボトルの水が減っていき、呪力として還元されていく。
「そしてここからが本題だ。この既存の物質を呪力にして蓄えておき、戦闘時に戻して扱った場合、操術系は継戦能力と広範囲殲滅力を両立出来る。低燃費かつ高火力って事だ」
「つまりお前はそれだけの水を蓄えてるってことか?」
「私の蓄えた水の総量は3600億t。物で例えるなら大西洋の水量を自在に操れると思ってくれたら良い」
「は?」
仮面の男のスケールの大きすぎる言葉で一瞬フリーズする傑。
つまり大西洋という海の規模レベルの水量を貯蓄し、操作すると言ったのである。
「まずは呪霊操術なんて比じゃない質量の暴力を見せようか」
仮面の男が手を上へかざし術名を口にする。
「デスウォール」
上空から毎分1兆リットルという膨大な流水の爆弾が悟達へ降り注ぐのであった。
灰香さんクオリティーによる超絶強化があるので、これ位のスケール規模の技を使っても多少はね。
因みに原作だと無下限バリアある悟は平気で耐えれるけど、呪霊操術や伏魔御厨子では質量差的に蹂躙出来ると思われる。マコーラもどうやって適応するんだろうか気になるけど……
操作するだけの術式は低燃費という独自解釈なので極めたらこういうこと出来る術師がきっと出てくると思います。
夏油の心折設計ルートみたい?
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物足りない
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人の心あるんか?