で、例のインタビュアーさんは情報なんもないけどリリィ側からの距離感と来夢の「リリィのインタビュアーさん」という台詞から多分どっかのガーデンの新聞部の一年生か何かかな…というわしの頭の中の物語じゃ。なんで基本『彼女』の台詞見えないのは仕様ですわ。
「ん、お客さん?」
校舎の前でキョロキョロしている明らかにうちの制服ではない物を着たリリィ。そんな子をいきなり見た以上こんな感想にもなる訳で。
すると彼女は私の呟きに反応してか、こちらに寄ってくると人探しをしていると言うので聞いてみると、曰く『黒紅雪華さん』を探して……ん?
「私がそうだけど。うん、百合ヶ丘女学院三年、黒紅雪華」
なんて答えるとちょうどよかった、と今インタビューの時間はあるかと聞いてくる。確かに今日そんな話があるとは数日前にメールで通達があったけども。
「今何時……うわ、もうこんな時間!?」
言われてケータイで時間を確認すると、約束の時間を軽く一時間はオーバーしていた。
これ、思いっきり私がこの子待たせてた感じじゃん。悪いことしたなぁ……なんて額を押さえていると、彼女の興味は私の背負う物へ。
「ああ、これ? 壊れた『シャルルマーニュ』。そうそう、グランギニョルの第1世代CHARM」
なんでこうなったかと言うとまあ、訓練中にまた亜羅椰ちゃんとは違う子に手合わせを挑まれて、熱中してたらバキッとグリップが逝った訳なんだけども。
「いつもこんなかって? ……毎回じゃないよ、それは私じゃなくて一年の……それはいいか」
流石にCHARMを使えば毎度複数機が中破以上になって、その度工廠科へ駆け込むのが当たり前になってるらしい梨璃ちゃんたちのクラスメイトな〈
大分話が逸れたか。これ以上インタビュアーさんを待たせるのも悪いし、そろそろ本題に入ろう。
「で、何から話せばいいのかな。とりあえず自己紹介? じゃあ改めてになるけど、私はここ私立百合ヶ丘女学院の三年生、黒紅雪華。所属は……」
今はフリーのリリィ、なんて内容を言おうとする前に懐かしいレギオン名を出される。いや、あれ以降新しいレギオンにも入ってないしその認識でも間違っちゃいないんだけども。
「ああ、それは前いたレギオン。私以外のメンバーは皆先輩だったからね……で、途中人数減ったり増えたりはあったけど、結局私と同じ学年の子は入ってこなくてさ、晴れて3月に私以外は全員卒業して自由の身ですよっと」
すると彼女は私にレギオンの名を残すつもりはなかったのかと、そんなことを聞いてくる。
「一度考えはしたんだけどねぇ、知り合いは誰も彼も既に自分の居場所があるか、特にそういうの興味なさそうな子ばっかりだったし、それで知らない子相手に八人集めるのもなぁって。だから今はフリーランスで風の吹くまま気の向くままに、やらせてもらってるよ」
そんな経緯と言えるかも怪しいざっくばらんとした流れを説明すると、話題は私にインタビューをしようと思った切っ掛けのひとつらしい、私のレアスキルについて。
「知ってるとは思うけど、私のレアスキルは
このスキルは私が高等部二年生の途中に覚醒した通り、ここ数年で発見されたかなり新しいレアスキルなのだからたまたま上の世代の該当者の中で現役だったのが私だけだった、単にそれだけの話だとは思っている。自分が『選ばれし者』だなんて自惚れていられる時期は、とっくに過ぎ去っていたから……
そう内心ブルーになっていると、壊れたCHARMはやはり『円環の御手』持ちだからかという話を振られる。
「まあ、一機くらい逝っても他使えばいいしなんとでもなるでしょってところはあるけど……それ故の〈
それはこの間亜羅椰ちゃんにも呼ばれた私の異名のひとつ──無数に持ち込んだCHARMを次々と持ち替え目標を駆逐する、このレアスキルに覚醒してからの私の基本スタイルから取ってそう呼ぶらしいけど、言い出したのが誰かはともかくそこはかとない“ご同類”の気配がする。
「だとは思うけど、こういう気取った二つ名的なのも必要でしょ? 戦意高揚だとかプロパガンダとかで」
実際私だけでも他に複数あるし、流石に自分から名乗りはしないけどそれなりに気に入った物ばかりなのもまあ、否定はしない。
「とりあえず、リリィとしての部分はこんなもんでいいでしょ。次は……プライベートなこと?」
いや、プライベートと言われても……まあ無難に食べ物とかだろうか、この場合。
「んー……休みの日はよくハンバーガーを食べに行ってるかな、大体ファーストフードチェーンだけど。なんだかんだお店も商品も種類は多いからね、結構飽きないよ」
なら次は外に出ない場合はと聞かれるが……ふむ、特に隠すような物でもないしいいか。
「部屋にいる時? まあ昔のアニメとか特撮見たり、他にもそれ絡みの色々とか、ジャンルとしてはメカとかロボとかそういう系が多めでは……そうそう、ゲームもやること多いよ。影響されてる? そりゃあね、現実は画面の向こう程上手くは行かないけど、だからこそ……憧れ? そういうのは捨ててないつもり」
決して私は自分が無敵のヒーローだなんて思い上がってはいないし、どんな理由だろうとそうして目の前の現実が見えなくなったやつから死んでいく、なんてのも今更だ。
──それでも、少しは画面の中の彼ら彼女らのようでありたいと、そう憧れたのは間違っちゃいないと信じていたい。
「戦闘中も派手にやってみせるってのはそうやって自分も仲間も鼓舞してる、って側面もあるのかもね。今思っただけで、普段そこまで意識してるつもりはないけどさ」
細かい動作の間に挟む魅せるようなCHARM捌き、いわゆる『CHARMフリップ』だったかもそういう目的で広まったなんて噂だけど、その始まりは数年前、東京のとあるガーデンに所属するリリィの思い付きから始まったらしい。はたして彼女もそんな風に考えてこの技術を編み出したのか、もし会えたら聞いてみたいものだ。
それはそれとして余計なことまで喋り過ぎたので、インタビュアーさんに気持ちばかりの交渉を持ちかける。
「あー、今のちょっとオフレコで……無理? そこをなんとか……ったく、あなたってば人の変なとこ引き出すの無駄に上手いね。なんかコツでもあるの?」
聞き返してもそれには特に意識はしてない、と同じような返しをされる。自然体で色々引き出せるなんて、インタビュアーとしてまさしく天っ才だと言えるのだろう……それがあれば私も──
「いや、こっちの話。羨ましいもんだねって。他には? えぇ、苦手な物かぁ……辛いの」
それにはどこから聞いたのかカレー好きという話と矛盾するのでは、なんてツッコミが入るけど、いやまあ……うん。
「……甘いのしか食べれない、でいいでしょ。昔からそれが好きなんだから」
そういう意味では購買のカレーパンは私でも食べれるくらいの甘口寄りのを置いてくれてて助かるところはある、いつぞやでっかいリボンの誰かがビクビクしながら買ってたの見て知ったのもあるけど。
味で好みのガラッと変わる難儀な食べ物だよ、カレーってやつは。
「こんな感じかな。じゃあ私は急患の押し付けがあるんで」
「なんじゃ雪華様、またやりおったのか?」
なんて校舎の入り口から出てくるのはもう大分見慣れた薄紫のどでかいツインテール、まあミリアムちゃんなんだけど。
「いや、またって……言われる程か、うん」
「百由様に用なら今は留守にしとるぞい、なんでも生徒会からの呼び出しじゃとか」
マジか。まあ一旦この子はミリアムちゃんに預けとけばいいか、確か百由とは工房お隣さんだったはずだし。
「ところでそやつが噂のインタビュアーかのう?」
「噂て。とはいえ待たせ過ぎたの私だしなぁ……」
そこは別に気にしてないと言われても、わざわざ来てくれた子を一時間待たせたってのは少し体面が悪い……よし。
「じゃあ少し早いけど晩御飯食べる? 今日は私が奢るからさ」
「なんじゃ、わしもよいのか? なら御相伴に預かるとするかのう。おぬしも遠慮せんでよいぞ、この御仁はヒュージの撃破数だけは三年になるまでで結構稼いでおるのじゃから」
そう言うとミリアムちゃんはインタビュアーさんの手を取り、食堂の方へ駆けていく。
「ま、三人分なら大して財布へのダメージもないでしょ」
仮に彼女が百由並にドカドカ食べるタイプならともかく、そうでないならそこまでは──
なんて考えたのがフラグだったのか、私が食堂に着いた時には途中で誘われたのだろういつもの梨璃ちゃんたち三人と夢結、ついでに呼び出し帰りとのたまう百由と何故かいた梅の分まで奢らないといけないことになっていた。
「えっと、ゴチになります?」
「そうはならんやろ」
その縁でしばらく後、件のインタビュアーさんが百合ヶ丘に何度も訪れることになるのは、また別のお話……
インタビューついでに軽いプロフィールを、ラスバレのホーム台詞的なのを添えて。
・黒紅雪華
「今こうしていられるのも、良い出会いに恵まれたってところはあるのかな」
「最近対戦ゲーにも手を出したんだけど、ファンタズム持ちは出禁にすべきなんじゃね?いや、こないだネット対戦でさぁ」
「よく『世界を守れ』ってヒトは言うけどさ、その守るべき世界ってのは、いったいどこまでなんだろうね」
誕生日:9月1日
年齢:17歳
血液型:AB型
学年:三年生
身長:162cm
容姿:肩まで伸ばした黒髪に紅眼、胴体は出てはいない(なくはないです)
レアスキル:円環の御手(呼び方はサークリットブレス派)
サブスキル:インビジブルワン、聖域転換、約束の領域(それぞれ縮地、ヘリオスフィア、テスタメントのサブスキル)
使用CHARM:ダインスレイフ・カービン、グングニル・カービン、アステリオン、etc...
好きな食べ物:ファストフード、カレーライス(甘口)
趣味・特技:アニメ・映画鑑賞、TVゲーム
リリィとしては走攻守の揃ったバランスタイプ、表向きの人当たりはいいようで、そこまで深いところへ他人を踏み込ませたがらない部分もある。
寮の部屋に複数のゲーム機を持ち込んでいたりと結構なオタク趣味ではあるが、上記の性格面もあって同志と判断した相手にしか語りたがらず、普段は会話の中にさらりと仕込む程度しか外には見せていない。