アサルトリリィ~円環の赫星~   作:ですティニー

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前回のあらすじ:ささっと参上する妹と嫉妬の気配とフラグ少々。
戦闘は編成任せなのか、存外雑に飛ばされてるシーン多いなこのイベント…とかなりつつ毎度の隙間産業。

やりたいこと自体は決まってるんで、サクサクやろうか。なおまたしてもタグが地味に仕事するの巻、だって喰われる。とのことなんで近頃レズとの遭遇率も高いしで…まだチョイ役なんで、紹介置くのは次の本番にて。


揺れ動く感情って話

「むーっ」

 

 あれから数日、結梨ちゃんは莉芬ちゃんのいる生活に慣れてるかは半々って感じだから、今日はお昼休みに他の皆が工廠科を案内しに行ってる中、私が預かっておく形になってる訳だけど。

 

「悪いね、付き合わせちゃって」

 

「……気持ちは、分からなくはないですから」

 

 何気に結梨ちゃんも、梨璃ちゃんの見てない時にだけ露骨な不満を態度に出すようにしてるから、空気を悪くしたい訳じゃないのは分かる。

 だから私も「今日はお昼シュッツエンゲルで食べるね」と言い訳で皆と離れるための下準備はしておいたから、鶴紗ちゃんを巻き込む必要なんてなかった。

 

「自分の価値とか立場とか、そういうのが無くなるかもって不安……他人事には思えませんし」

 

「それ、同室の子の話?」

 

「……そう、ですね。気付くのに、大分経っちゃいましたけど」

 

 で、鶴紗ちゃん自身のことにしてはほんの少し軽い表現だなと思って聞いてみれば、やはり訳ありだったらしいいつぞやの子のこと。

 

「ところで、その柚子でちょっと頼みたいことがあるんですけど──」

 

「ん? まあ、それくらいなら少し調整すれば行けるだろうけど」

 

 なんか最近、縁が広がって来たからかこういう相談を受けることが増えたような気がする。とはいえ天葉に頼まれた『用事』の方も、もうじき先方の都合が付きそうだから、どっちが先になるのかはともかく。

 

「さて、そろそろ午後の訓練だ。今日はレギオンでだし、結梨ちゃんも飲み終わってる?」

 

「んー!」

 

 見てみれば食後のジュースの微妙な残りをストロー越しにブクブクさせてたけど、時間だと言えば大人しく飲み終えてトレーごと返しに行っている。ならいいかと横に置いてたCHARMケースを背負いながら立ち上がると、迎えに来たのか入り口に神琳ちゃんの姿が見える。

 

「や、悪いね色々と」

 

「ふふ、大事な経験にはなるかと」

 

 まあ、私たちだけ離れてた理由なんて、意識して悟られまいとしてるせいで逆に梨璃ちゃん以外にはバレバレだろうとして、午後の訓練の内容は神琳ちゃんが決めると聞けば、了承を返しておく。

 

◆◆◆

 

「あれ、二人も見学なんです?」

 

 海沿いの廃棄されたエリア、時々訓練に使われているそこへ向かってみれば、今日はノインヴェルト戦術の訓練だと神琳さんが取り仕切っている中、まずは基本のメンバーでとなってあぶれた莉芬ちゃんが離れて来たら、自分以外にも見学者がいるのに意外そうな顔。

 

「いや、そもそもこれノイン()ヴェルトの訓練だからね? 私ら加わっちゃったらエルフ()じゃん」

 

「あっ、そっか」

 

 多少人数を増減させてても、実力でカバーしているのが東京とかでよくあるやり方とは聞くけど、本来ノインヴェルト戦術はその名の通り九人で回してこそで、人数を減らすのはともかく、増やす方は同時に不安要素も増えてしまう。

 だからこそ、ここしばらくのイレギュラー的な相手の時以外は、あぶれた数人は周りのヒュージを相手したりのフォローに回ってる訳だし。

 

「それに、本当なら適宜何人か休ませながら入れ替えての登板になるってのが理想なんだけど、どうにも今年度は慌ただしくて、その体制にも中々移れてないというか」

 

「うぇ、やっぱり日本って大変なんだなぁ……」

 

「…………んみゅっ」

 

 とまあ、他に話す相手もいないなら莉芬ちゃんもイロモノ枠筆頭な私だろうと別に壁を作るつもりはないようだけど、挟んで反対側の結梨ちゃんは不機嫌そうに体育座りで前だけ見てると相変わらずな調子だから、とりあえず棒付き飴を突っ込んでご機嫌取り。今日はソーダ味ね。

 

「では、張り切っていきましょー!」

 

「ほら、始まるよ。応援応援」

 

「梨璃ー! 夢結ー! やっちゃえー!」

「ゆー姉も二水ちゃんも負けるなー!」

 

 ともかく梨璃ちゃんを起点に始まるのを眺めていれば、どっちも素直に応援しているのなら可愛いものというか。

 そして訓練の方は、模擬弾とはいえ込めるマギ自体は本物なのだから、威力以外は実物と大差はない。とはいえこれまでのぶっつけ本番の無茶振り続きに比べれば、今回はマギスフィアをきちんと追えさえすれば問題なく進行するのだから、大分気楽なものだろう。

 

「ま、この短期間で慣れなきゃいけなかったってのも酷い話だけど。今年からリリィって子も結構多いのにねぇ、うちのレギオン」

 

「えっと、梨璃に二水にミリアムに……」

 

「結梨ちゃんもでしょ。それも三人より数ヶ月遅れの」

 

 言われてみればそうだったと結梨ちゃんには「おぉー」ってなんとも言えない反応を返されるけど、莉芬ちゃんの方はなんかやけに驚いている。

 

「それって、どういう……?」

 

「……あー、お姉さんからは何か聞いてた?」

 

「えっ……その、ちょっと前に『レギオンの仲間が増えたよ』くらい、です」

 

 まあ、拾った時点で明らかに何かしら厄介な案件が裏にあるのは分かりきってたし、家族だからこそ余計なことに巻き込みたくないと、ぼかした言い方にしかならないか。

 

「じゃあ今のは忘れて……なんてのは毎度のように無理よねぇ」

 

「いくぞ、二水!」

 

 ともかく話しながらも視線は前に向けていたから、梨璃ちゃん→楓さん→梅→鶴紗ちゃんと進んで折り返しな神琳ちゃんから夢結、そして次に受け取ったミリアムちゃんから回されるのが誰なのかは、掛け声がなくとも分かる。

 

「ほらほら、二水ちゃんだって百合ヶ丘のリリィだってとこ、ちゃんと見とかないと」

 

 だから大分苦しい形になってでも、話題を変えるにはちょうどいいと使わせてもらう。

 

「いただきましたー!」

 

「……っ」

 

 実際のところ効果はあったようで、特に危なげなく軽々とマギスフィアの落下地点に駆けて受け取る二水ちゃんの姿に、莉芬ちゃんは目を見開いているのだから明らかに釘付けだ。なんて満足していると、結梨ちゃんに横から肩をつつかれる。

 

(雪華、セコいことしてる匂い)

 

(雨嘉ちゃんが黙ってるんなら、流石に私が勝手に教えちゃいかんでしょ)

 

 百合ヶ丘のように元からゲヘナに敵対的で、向こうが勝手に自爆したのもあって生徒単位で真の敵だと理解しているのならともかく、そうじゃない子を勝手にそっちの話に巻き込みましたなんて、兄姉(きょうだい)総出で刺されても文句は言えないでしょうが。

 仮に結梨ちゃんの一件を姉さんたちの筋書き通りに日本政府内の過激だった連中だけが悪いってことにしても、所詮は分かりやすいスケープゴートに過ぎない以上、大元の手段を持ってきたのはどこのどいつだってなるし、ならもうぼかすか逸らすかしかない。

 

「雨嘉さん! フィニッシュお任せしてよろしいでしょうか!」

 

「いいよ! 来て、ふーみん!」

 

 幸いにして後輩の前だからと二水ちゃんも大分張り切ってくれていたから、次が姉の雨嘉ちゃんなのもあって莉芬ちゃんの気は十分逸らせただろう。

 ……勿論、こんなものはただの時間稼ぎに過ぎないのだから、後で雨嘉ちゃんに確認を取らないといけないんだけど。

 

「目標、岩陰に隠れたラージ級ヒュージ! 雨嘉さん、フィニッシュショットを!」

 

「ターゲット、ロック──シュートっ!!」

 

 そして、訓練だからこそいつも以上にしっかりと宣言しつつフィニッシュが決まれば、感想会がてらこっちに皆して集まってくる。

 

「はい皆お疲れー、過去一で早かったんじゃない?」

 

「本当ですか? やったぁ!」

 

「ま、こないだの全員で二周したのに比べたらナ」

 

「二周……?」

 

 梨璃ちゃんが素直に喜んでる後ろで、さらっと梅が零した思い出話に莉芬ちゃんが首を傾げるようなら、ここでも追撃しとくかな。

 

「あたしらは突っ込んでたからアドリブの二周目はやれてないけど、そのフィニッシュは雨嘉ちゃんが決めた、とは言っておくよ」

 

「流石ゆー姉……ううん、ゆー姉のレギオン!」

 

 ふーん、そこはちゃんと『レギオンの力』だって分かると。気質的にスタンドプレーに走りがちなだけで、流石にノインヴェルト世代か……なんて何目線かでいると、莉芬ちゃんが急に元気がなくなっていたから、とりあえず彼女に懐かれてるしちょうど目の前に来てた二水ちゃんに確認。

 

「ん、どしたん?」

 

「えっと、今度は見学していたみなさんと何人か入れ換えてのノインヴェルトを、って話をしてたんですけど……」

 

「あー……うん。実はちょっとここしばらく、ほら、あのハチみたいなヒュージに限らず飛行型がよく出てくるじゃん? それで、毎度空まで追っ掛けてたら自分でも結構無茶してたのかなーって、今になって疲れが」

 

 ふむ、確かに莉芬ちゃんは私のように(より上手く)マギの足場も戦闘機動に取り込むタイプではあるけど、それ故にこの前みたいに先に展開してた私のを横取りしたりなんてのもしょっちゅうだったし、一番消耗する部分を現地調達しておいては疲れてる言い訳には少し苦しい。

 

「じゃ、二年の二人を下げてシュッツエンゲルで入ろうか?」

 

 とはいえバレバレの言い訳をするからには、やれない理由が別にあるんだろうと、ここは騙されてあげて代案を……出そうとしたところで、どうにも嫌な感覚が。

 

「っ、ヒュージ出現……!」

 

「やれやれ、マギに釣られたかい!」

 

「ははっ、もう少し早かったらノインヴェルトの標的にしてやれたのにナー」

 

 呑気なこと言ってる梅には鶴紗ちゃんと二人で挟んでジト目っておくとして、とりあえず宙に浮かんでいるのは今回もタイプは違えど飛行型の群れとなれば、神琳ちゃんに目配せを。

 

「では、連携して迎え撃ちましょう。莉芬さんも、今回は指示に従っていただきますよ?」

 

「……あ、うん。了解」

 

 莉芬ちゃんはどうにも元気がないままのようだから、多分釘を刺されなくとも独断専行とはいかなかったんだろうけど、そんな妹の変わり様にも、雨嘉ちゃんは心配そうに後ろから眺めるだけ。ふーむ、もう一人のお姉さんの方から何か聞いてるのかね?

 

◆◆◆

 

「射線開けて! バスターで薙ぎ払う!」

 

 ビットを呼び戻す間に、前に出ていた梅たちも各々避けてくれるなら、合体と展開を終えたバスターライフルを照射、前衛に釣られて集まっていたヒュージを左から右へまとめて焼き尽くす。

 ……で、東京で使った時も問題はなかったし、流石にもう不具合の方は直しているようで。

 

「莉芬、そっちに!」

 

「ラスト、もーらいっ!」

 

 そして少しいた生き残りも、戦闘になれば気持ちを切り替えた莉芬ちゃんが雨嘉ちゃんの支援を受けながら撃ち落としてくれるから、とりあえずは問題なく戦闘終了だろうか?

 

「二水ちゃん、残りは?」

 

「……残敵なし、掃討完了です!」

 

 まあ、大した規模じゃなかったようだしこんなものかと、分離したビットがシールドに戻ったのを確かめてから、ソードライフルも納めているとこっちに……というより後ろの方まで駆けていく莉芬ちゃん。

 

「ゆー姉見てた? またあたしが撃破数トップのエースだよ~♪」

 

「…………うん」

 

「凄いね莉芬ちゃん、マギの足場あんなに使って空中戦なんて、まるで雪華様みたい!」

 

「いやいや、雪華サマならもっと力押しだろ? 莉芬は技担当だナ!」

 

 確かに自分でも力業のすりゃー担当だとは思うけど、素直に感動してる梨璃ちゃんはともかく、梅の言い方はなんかムカつくから無言で肩を掴んでおこう。

 

「……おっと」

 

「えへへ、そうでも……あっちゃうかも~♪」

 

 とはいえいくら誉められたにせよ、やけに莉芬ちゃんが上機嫌なのだから、やっぱりそこら辺に理由があるのかなぁと思わないでもない。

 

「ところで、莉芬さんは大丈夫ですか? さっきは疲れがって……」

 

「ほら、あたしってば本番に強いタイプだからさー? いざ実戦になれば気にならないっていうか?」

 

 二水ちゃんへの言い訳も流石に戦闘中に用意していたのか、さっきよりは苦しくない……けどねぇ。

 

「……昔っから、『あんな』感じ?」

 

「え? そう、ですね……昔っから、莉芬って危なっかしくて」

 

 戦闘中、雨嘉ちゃんはほとんど莉芬ちゃんに付きっきりの援護役になっていたから、自然と今日の私の仕事量も増える羽目に。

 幸い修理帰りのブレイザーを持ち出せていたから、いくら飛行型だろうとソードビットで小型の制圧は楽だったけど、どうにも夢結や楓さん辺りは、引っ掛かる部分がある様子。

 

「姉の雨嘉さんから見てもそうなのなら、間違いはなさそうね」

 

「確かに、莉芬さんは既に個の戦力としてはかなりのレベルですが、どうにもレギオン単位の戦闘においては、雨嘉さんの言葉通りかと」

 

「うっ…………」

 

「いえ、別に莉芬さんの戦い方を否定しているわけではありません。ただ、もっと戦術的に考えて戦い方を選べるのなら、臨機応変に対応出来るでしょう?」

 

 テンションの乱高下を見て、楓さんも少し言い方が優しくなっているけど、いつまでも姉離れ出来ないと、先に引退するのはどっちだという話で……そういう目線で見ると、夢結としてはある意味他人事ではないのかもね。

 

「……大体分かって来たかな」

 

「なにが?」

 

 さっき莉芬ちゃんと一緒に盛り上がったからか、結梨ちゃんも機嫌は普段通りのようで、返事をする代わりに後ろから抱き寄せてみる。

 ともかく先の莉芬ちゃんの言い訳もあって、疲れてるだろうから早く帰ろうと梨璃ちゃんを先頭にガーデンへ戻ろうとしているのを眺めていると、左右を楓さんと神琳ちゃんに挟まれていた。

 

「雪華様で分かるようなら、相当重傷ですわね」

 

「というより、必死に悟られまいとしている二水さん以外には……ちょうど似たような具合ですね」

 

「んー?」

 

 切り替えが早いというか、もうそこまで気にしてなさそうな結梨ちゃんの頭を撫でながらの神琳ちゃんの言い方には、まあ同じ次元だったということで。

 

「とはいえ理由までは分かりませんし、わざわざ問い詰めるのも違いますでしょう?」

 

「ま、こればっかりは外野がどうこう言ったところで、ねぇ?」

 

「ふふ、その節はご心配をおかけしました」

 

 ただ休暇を満喫しようだなんてことじゃないのは、最初から分かりきっていたこと。だからせめて、莉芬ちゃんも神琳ちゃんのように、過ぎたことだと笑って流せるようになれればいいんだけど。

 

◆◆◆

 

 次の日、世間が夏休みなんて時期だからか今日は出撃待機や見回りとかの当番以外午後はフリーの日になる訳だけど、空いたら空いたで何をしたものかと校内を適当にフラついていたら、階段を降りて踊り場に差し掛かったところで、見たような顔が。

 

「亜羅椰ちゃん? こんなとこで何を……って、あぁ」

 

 いかにもそういう雰囲気というか、壁際の相手に寄って片腕を肘まで顔の横についた、所謂壁ドンの形で片手は相手の顎、片足は股下へ……なんてのを見せられたら、()()をしようとしていたか、とか今更聞くのも野暮というか。

 

 こういうまあ、なんだ。言い方を一切選ばないならオープンスケベなリリィの中でも、亜羅椰ちゃんは『本命以外なら』結構喰えてる手合いらしいとは二水ちゃん情報だけど、いやでも、いきなり知り合いのこういうシーンを見せられるっていうのはなぁ。

 

「あら雪華様、ごきげんよう。でも仕方ないんです、わたしはいつも餓えていますので」

 

「そりゃあ、本命にちょっかい出そうとしたら毎度袖にされてるの見てるとね。別にそれを止めろとまでは言わんけど……せめて人が通らないところにしなさいって」

 

 なんか蠱惑的な雰囲気で髪をかき上げながらしれっと変なことを告げられても、本当にそういう『息抜き』をやってる子はそこそこいるとは聞くけども、いざこんなところでってなるとなんとも言えないってだけだし。

 で、そんな亜羅椰ちゃんのお相手は……となんだかんだ言いつつのデバガメ根性で覗いてみると、灰被り(アイボリーホワイト)の髪にターコイズブルーの瞳な、少しは覚えのある顔。

 

「柚子ちゃん、だっけか。こんなんなっちゃって、鶴紗ちゃんのことはいいの?」

 

「? なんで遠藤さんと遊ぶ程度で鶴紗が出てくるんです?」

 

 あ、これ多分『イケナイ遊び』とかボカした言い方で誘われて、ナニされるかいまいち理解してないやつだ……箱入りの多い百合ヶ丘とはいえ、だからってなぁと頭を掻いていたら、何かを察した風の亜羅椰ちゃんがペロリと舌で自分の唇をなぞる。

 

「こういう誰に見られるか分からない場所で、というのもスリリングなのですが、雪華様には刺激が強すぎたようなのでわたしたちはあっちで楽しみましょうか」

 

「そこまでピュアぶるつもりもないけど、火遊びもほどほどにね?」

 

「……花火?」

 

 いや、時期的にはそうだけど、時間的には早いってば。

 

「大丈夫かなぁこれ?」

 

 なんて下の階に二人が去っていくのを見送った後、一応レギオンの方に通報しとくかとスマホを取り出したところで、上から降りて来るのは──

 

「雪華様、それには及びません。まったく、いくら欲求不満だからってうちのクラスの子に手を出そうだなんて、亜羅椰の色ボケめ……」

 

「ま、ほどほどにね」

 

 このタイミングで壱ちゃんまで来るとか、送り狼どころか添え狼になりそうだけど、亜羅椰ちゃんからのアプローチを捌くのには嫌という程慣れてるだろうから、ここは任せていいのだろう。

 

「やれやれ、姫歌ちゃんには慣れとくとは言ったけども、こういうサプライズ的なのじゃなくてさぁ」

 

 とはいえ梨璃ちゃんも最近は夢結へ甘えるのも落ち着いて来たし、樟美ちゃんと天葉もそこまで所構わずではないのだから、出くわす可能性が高いのは亜羅椰ちゃんみたいな節操無しだっていうのも事実なもので……百由? もうミリアムちゃんの方が世話係で、どっちが姉なんだか枠でしょ、あれは。

 

「そうなると、一番目につくのって……」

 

 レギオン内ってのもあるんだろうけど、元よりそこら辺に肩を並べられるレベルだったのに、佐世保の一件からやけに距離の近くなった神琳ちゃんと雨嘉ちゃんか。

 なんとまあタイムリーな……とか色々コメントに困っていると、階段を降りた先で固まっているのが一人。

 

「今のは、亜羅椰さんと……」

 

「あー二水ちゃん、多分そっち行くと紅巴ちゃん案件だから……」

 

 いや、でも今はその紅巴ちゃん本人とも個人的なパイプがあるんだし、止めるための文句には弱いどころか、火に油……なら、気になったことで話題を逸らすとしよう。

 

「てか、今日は午後空いてるからって莉芬ちゃんにインタビューするんじゃなかったっけ?」

 

「あはは、そのはずだったんですが……どうにも話題選びを間違えちゃったみたいで」

 

 曰く、莉芬ちゃんはインタビューの途中で露骨に元気が無くなった後、やってきた雨嘉ちゃんに連れられて行ったとのことで。

 

「まあ、元々おかしいところはあったけど、何聞いたのさ?」

 

「その、向こうでのレギオン予備隊のことを」

 

 ……あー、多分だけどその理由分かった気がする。

 

 莉芬ちゃんは元初代アールヴヘイムの二人から見ても十分な腕ってことは、中等部の生徒としては頭ひとつ抜けた実力者になるし、それであのスタンドプレー癖と来た。

 家族の雨嘉ちゃん、それと向こうにいるお姉さんは普段からずっとそうだから慣れっこだとしても、予備隊の面々はそうでもない……ってところかな? 楓さんの分析に黙ってたことや、あの性格から周りがあの子についていけないのを無意識下で不満に思ってて、それが戦闘にも影響出ちゃったとか、そんな感じ。

 

「で、こっちの方ってなると……屋内訓練場ねぇ」

 

「……あれ、メール?」

 

 それ自体は結局本人が気づいて認める以外の解はないとして、気落ちしてたところにわざわざ連れ出して何をしているのかなんて気になってたところには、雨嘉ちゃんからレギオン全員宛てに『莉芬とノインヴェルトの訓練をしてる』なんて読み通りの場所も含めたメールの着信が。

 

「……ふーん。抜き打ちテストってところかな」

 

◆◆◆

 

 訓練場に入ってみると、姉妹だけでノインヴェルトのラリーをしている状況で、どちらかと言えば莉芬ちゃんの方がリードしようとして、それに雨嘉ちゃんが付き合ってあげてるような感じ。

 

「随分と調子良さそうだねぇ」

 

 結構大きめに上がったパスを見ると、ソードビットの内先端のふたつを連結させて、ブーメランのように投げて模擬弾のマギスフィアをかっさらい、アリーナ状になっている訓練場の客席から飛び降りて、戻ってきたビットごとキャッチしながら着地する。

 

「あ、雪華様」

 

「いや、昨日の訓練は結局途中でお流れになっちゃったから、やってるって聞いたら気になっちゃって、さ!」

 

 返事は雨嘉ちゃんに、マギスフィアは莉芬ちゃんに返していれば、ぞろぞろと他の面々もやって来た気配が。

 

「…………っ」

 

「ま、皆気になってるってことだよ、言うだけはある実力をね」

 

 皆の代弁のような言葉にも、マギスフィアを受け取ったまま固まる莉芬ちゃんからの返事はない。とはいえ、わざわざあんな連絡を寄越した以上雨嘉ちゃんは驚くようなこともなく、皆を迎えている。

 

「……うん、皆来たね。ウォーミングアップは終わってる」

 

「では、昨日のリベンジと参りましょうか。今日は莉芬さんも加えた、全員で」

 

「規定の人数は越えていますが、せっかくですし雨嘉さんと同じ環境で、やってみませんか?」

 

 雨嘉ちゃんがわざわざメールなんて送ってきた以上、この状況はそういうことだろうと察して取り仕切る楓さんの発言に付け加えるように、提案の形で神琳ちゃんが勧めてくれば、莉芬ちゃんも即座に断りの言葉を返せず、固まったまま。

 

「っ、あたしは……」

 

「やるよ、莉芬」

 

 しかし、他ならぬ雨嘉ちゃん自身がこの場をセッティングしたのだから、少し強引にでも背中を押すのは当然というか。

 

「っ…………しっかたないなぁー! そこまで言われたらあたしの腕前、皆に披露するしかないじゃんね!」

 

「やったぁ! ありがとう莉芬ちゃん!」

 

 うーん、そこから切り替えて即座に空元気出せる莉芬ちゃんもだけど、全く裏を感じず素直に喜んでる梨璃ちゃんも大物というか、なんというか。

 

「同意も得たことだし、じゃ、いこうか」

 

「……あっ」

 

 とはいえ、折角途中のマギスフィアがあるのなら、使わない理由もないとビットを飛ばして回収させてもらうけど、連結してもCHARMとしては小型なビット越しでも、まだ問題はないくらいの重さ。

 

「二人で軽く回してたんならこれくらいかな、ほら梅!」

 

「おぉう、いきなりだゾ」

 

 そのままさっきのようにブーメラン投げをすれば、その先に回り込んだ梅が確保して、少し走った後で放る。

 

「んじゃ次は、鶴紗ぁ!」

 

「またわたしですか……っ、神琳!」

 

 しかし、そこで手元を狙って何かが飛んで来たのを見るや、鶴紗ちゃんは慌てつつもコントロールは失わず、正確なパスを。

 

「さーて、仮想敵って程でもないけど、モタモタしてたら取っちゃうよー?」

 

 まあ、何をしたかなんてさっきと同じようにビットで横槍を入れた訳だけど、今は全基シールドを離れているんだから単純に6つの妨害役がいきなり生えた状態。それを一度前方に広げるよう停滞させてアピールしてみれば、鶴紗ちゃんからマギスフィアを受け取った神琳ちゃんも「なるほど」とどこか感心した様子。

 

「では、そのまま雪華様には妨害役をお願いします」

 

「もし途中で取られるようなことにでもなれば、その直前にパスを投げていた方が他の全員に購買部のアイスを奢ることにしましょうか」

 

 なんて楓さんが乗っかって付け足せば、ミリアムちゃんが「なんじゃとー!?」といつもの過ぎる驚きを返しているけど……これ、もし最後まで取られなかったら御褒美として私が奢れって言われるやつでは? と思わんでもない。

 

「では、雨嘉さん!」

 

「……ん、莉芬!」

 

「う、うん!」

 

 さて、やれと言われたからにはボーッとしてもいられないなと、今更神琳ちゃんから雨嘉ちゃんに割り込むのは間に合わずとも、莉芬ちゃん前後には介入しようかとソードビットを雨嘉ちゃんからの射線と、その後届きそうな位置の面々との間へ飛ばす。

 

「莉芬さん、次はわたしに!」

 

「ぬぅ、楓に奢るなどと冗談ではない! 次はわしじゃー!」

 

「わたしのところでもいいよー!」

 

 ふーむ、私の狙いを逸らす狙いもあるのか、初心者トリオが揃って莉芬ちゃんにパスを要求しているけど、当の本人は向けたみっつのソードビットを避けたり弾いたりしながら、大分ノリノリに。

 

「……あはは♪あたしってばモテモテだー!」

 

「じゃあそれついでに、包囲攻撃!」

 

「そうはいくかー!」

 

 多少パス先のマークが薄くなっても構わないと、一基増やした四方を囲んでの同時突撃。莉芬ちゃんもそこで開いてるのが上空と分かれば、即座に跳べるのだから確かに言うだけの実力も、状況判断能力もある。

 

「……だからこそ、なのかねぇ」

 

「……えっ?」

 

「ええ、あれ程の実力であれば、きっとご自分のレギオンでも中心的存在なのでしょう」

 

 私の言いたいこと、組み立てている予想も神琳ちゃんとしては今更なんだろうと零した呟きに混ざって来て、雨嘉ちゃんを挟む形になっていると、観念したような様子に。

 

「うん、そうみたい。だけど……」

 

「ぬわあぁぁぁ~!?」

「ひゃあぁぁぁ~!?」

 

「……っ!」

 

 さて、結局気を逸らしていたなと前を向き直せば、莉芬ちゃんからのパスでマギスフィアがちょうどミリアムちゃんと二水ちゃんの真ん中に落ちそうなところで、二人がぶつかりそうになったのを結梨ちゃんがマギスフィアを確保しつつ、二水ちゃんの方を抱えて滑り込む場面。

 

「へぶっ」

 

 その結果ミリアムちゃんは床に顔から倒れ込む羽目になってるけど、ギリギリノインヴェルトは続けられる状況。なら私もサボってられないなと結梨ちゃんへビットを飛ばしてみるけど……

 

「夢結、あとお願い!」

 

 結梨ちゃんはマギスフィアを放った後、最初の一基を指で白羽取りみたいに止めて、手動でグリップを出して奪いながら残りのビットを即席の二刀流で切り払うなんて芸当をしてくるのだから、これは『使えるな』とちょっとした悪巧みが浮かぶ。

 

「梨璃、あなたでラストよ!」

 

「あ……はい!」

 

 こうなった以上二水ちゃんとミリアムちゃんは途中リタイアだと、倒れていたミリアムちゃんを抱えるように起こしながら夢結が梨璃ちゃんにマギスフィアをパスすれば、とりあえずの人数はやれたことになる。

 

「目標、敵役の雪華!」

 

「………………えっ?」

 

 けれど、そこでこの前の神琳ちゃんの真似なのか、結梨ちゃんがとんでもないことを言い出すものだから、雨嘉ちゃんを神琳ちゃんの方に押して、ビットも全基呼び戻す。

 

「えっと、いいんですか?」

 

「まー、雪華サマならへーきへーき」

 

「模擬弾なら本物程の威力もないわ、遠慮は無用よ」

 

 梨璃ちゃんも最初こそ流石にそれは……という風に戸惑ってくれてはいたけど、梅だけじゃなくて夢結の方も止める気配がないから「じゃあいいのかな……?」という空気。

 

「い、行きます! やあぁぁぁぁっ!」

 

「ああもう、フォーメーション!」

 

 ブレイザーのシールドだけじゃなく慌てて起動させたライザーのシールド二枚も、半身に構えた背中側からサブアーム越しに前へ移動させて、ビットも前面に展開して各々の機構を作動、『聖域転換』も合わせた全力防御──なんでギガント級相手にするようなのを、訓練でする羽目になってるのやら。

 

「……む、無傷???」

 

 流石にここまでやれば、模擬弾程度に抜かれるようなこともないけど、これまでの無法の限りを知らない莉芬ちゃんは、傷ひとつなく切り抜けた私が煙の中から現れた光景に、鳩が豆鉄砲どころか折り畳み式グレネードキャノンでもブチ込まれたような顔にもなる。

 

「って、なんで私なのよ!?」

 

「なんとなく、勢いで?」

 

 矛先逸らしにしたって、比喩でなく物理的にすることもないでしょうが……なんてシルトに呆れはするけど、まだ立ち上がれずにいる二水ちゃんとミリアムちゃんの方には、梨璃ちゃんが向かっていた。

 

「だ、大丈夫?」

 

「あはは、ちょっと腰が抜けちゃいました」

 

「うぅ……鼻がまだ痛いぞい」

 

 そうなるとまあ、結局莉芬ちゃんの『やらかし』の結果だけが残ってしまう訳で、誰が指摘せずとも自覚のある本人が、二人に駆け寄って謝っている。

 

「ご、ごめんなさい、あたしのパスコースが悪かったから……」

 

「まあ気にするでない、結梨がノインヴェルト自体は続行してくれたからのう。雪華様といい、シュッツエンゲル揃ってこういう役回りじゃ!」

 

「な、なんでミリアムさんが自慢気なんですか……?」

 

 実際フォローされた側の台詞ではないし、そんなだから隣の二水ちゃんにすら『雑に扱っていい』って思われてるんだろうなぁと、納得しかない。

 

◆◆◆

 

「はい、もーらい!」

 

「あ…………」

 

◆◆◆

 

「大丈夫、雪華なら当てない」

 

「……うん。でも」

 

◆◆◆

 

「ぬわーーっっ!!」

 

◆◆◆

 

 さて、その後はもう散々だったというか、私が途中で莉芬ちゃんからビットで奪えたのが三回、莉芬ちゃんがビットに囲まれて動けず、時間切れでマギスフィアをロストするまで立ち尽くしたのが一回、あと単純にミリアムちゃんが盛大にコケたのが一回あったけど……そのパス元は、やっぱり莉芬ちゃん。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

 

「莉芬……」

 

 それ以外のノインヴェルトも全て失敗で、決まって最後に莉芬ちゃんがパスをミスしてのもの。途中からは見るからにムキになっていたのもあって、ペース配分なんて考えから飛んでたろうから、一人だけ肩で息をする程に消耗している。

 

「わたくしから少しアドバイス、よろしいですか? 莉芬さんの出されるパスですが「い、いらないよっ! お小言とかいらないから。あたしは間違ってないもん……これでいいんだもんっ」

 

 だから私が……私たちが予想していた通りの状況な莉芬ちゃんは、神琳ちゃんがアドバイスをしようとしたのにすら、過剰に拒否反応を返すしか出来ない。

 

「さっきのパスだって、きっとゆー姉だったら「莉芬っ!」っ……!」

 

 その上ただの言い訳に他人を使うのはよくないと、当たり前なことを姉に咎められるのすら、最早怯えている、と言える程にオーバーリアクション。

 

「……雪華も、あんな頃があったの? なんだか、懐かしんでるような匂い」

 

「さあねぇ。自分じゃ分からないもんだからさ、こういうのは」

 

 それより昔は置いておいて、中等部の頃の私は他の誰かのせいに出来るような状況でもなかったし、ヒュージを憎む。なんてお誂え向きの逃げ道すら、どうにも『ヒュージが人類の敵』だなんて建前がいやに嘘臭くて使えなかった、謂わば半端者だ。

 だから、自分を守るための行動を取れてるだけ、莉芬ちゃんの方があの頃の私より、よっぽど子供らしく振る舞えてはいるんだろう。

 

 ……こんなことを考えてるようだから、母さんには「自分を抑えていた」だの、クラスメイトからも「達観してる」だの言われるんだけど。

 

「莉芬さん、あなたはご自分の朋友と会話をされていますか?」

 

「な……っ!?」

 

 朋友……中国の方だかの友達を指す言葉、だっけ。神琳ちゃんらしい言葉選びだとは思うけど、直接言われた莉芬ちゃんだけじゃなくて、二人の間でそれを聞いた雨嘉ちゃんが少し身動ぎしたのは……

 

(とりあえずストップね)

 

(むぐっ……)

 

 恐らく結梨ちゃんの能力なら、なんで雨嘉ちゃんまで反応したかの理由も分かるんだろうけど、それはなんだかズルい気がしたからと口も鼻も手で塞いで止めておけば、その間も神琳ちゃんは莉芬ちゃんへ、立ち位置はそのままに言葉だけで詰め寄る。

 

「相手を知るのに最も有効な手段は会話です。言葉を交わし、その心を知ることが何よりも重要だと、わたくしはそう思ってこの場に立っています」

 

「……神琳」

 

 チラリと向けられた視線に、雨嘉ちゃんが不安は隠せずともどこか誇らしげに見えたのは、やっぱり二人だけに伝わる何かがあるのだろうから、外野が踏み入る必要はないと再確認。

 

「ご存知の通り、あなたのお姉様……雨嘉さんは口数が多い方ではありません。それでも彼女は彼女なりに、わたくしたちを知る努力をしています。それはきっと、もっとずっと長く一緒にいた莉芬さんの方が知っていらっしゃるでしょう?」

 

「………………」

 

「あなたのお姉様は誰よりも一柳隊の皆を理解しています。だから、どんなパスだろうと確実に受け取ることができるのです」

 

 多分、そんなことは莉芬ちゃんも分かっている。理由も分からず姉だから凄いと、ただ憧れているだけの子ではないと努力の成果がはっきりと出ているのだから。

 

「……わないで」

 

「莉芬……?」

 

瑞希(るーしー)姉様と同じことを言わないでっ! そんなの……聞きたくない!」

 

 ああ、やっぱり向こうのお姉さんの方も気付いていたか。というより、日本に来た決め手はこっちの方? だから、百合ヶ丘の方にも先んじて連絡が出来たのだろうし。

 

「あたしはゆー姉じゃない! 瑞希姉様みたいにもなれない! そんなこと、分かってるんだから……

 

「あっ、莉芬さんっ!」

 

 なんて分析していると二水ちゃんが伸ばした手も届かず、光る雫を落としながら莉芬ちゃんは訓練場を飛び出して行く。

 そのすぐあと、ヒュージの襲来を告げる鐘の音が鳴り終わったのと入れ換えに、梨璃ちゃんの懐から着信音が。

 

「も、もしもしこちら一柳……えっ? 本当ですか祀様!?」

 

 学内回線なら……と相手も分かってるしでグループ通話に切り替えてもらって、驚く梨璃ちゃんに代わって読めてはいる続きを聞いてみる。

 

「……この状況でって、まさか?」

 

『残念ながら、そのまさかです。ヒュージ警報の出た直後、莉芬さんがCHARMを持ってガーデンを飛び出した姿が目撃されました』

 

 だから当番外とはいえ緊急任務という形で一柳隊も出るように、そう話は決まっているらしい。

 

「そんな、莉芬……」

 

「あの様子じゃ莉芬さん、一人で戦い始めちゃうかもです……!」

 

「ええ、あの状態の彼女を一人きりで戦わせるのは危険だわ、急ぎましょう」

 

 夢結が状況をまとめてくれれば、反論などあるわけもなく訓練中だったのもあって準備も今更不要だと、取り急ぎ訓練場を後にする。

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