日暮闇太郎とナンバーマン。それから、ボンバーマンによる秋原小ジャック事件から放課後になった。早いものだ。
共に事件を解決したからなのか、はたまた4人のコミュ力が高かったのか。レイチェルに友達ができるのにそう時間はかからなかった。最初の友達が熱斗達4人なのは言うまでもないだろう。
英語や算数では優等生っぷりを見せたが、反対に国語が壊滅的にダメだったというのもギャップがあったのだろう。元気よく手を挙げ、珍回答を連発したのはいい笑い話である。
ネットナビ同士との交流も、悪くない結果に終わった。
事件が終わり、共に解決した者同士であったことからか、雑談は盛り上がりを見せた。
無論、スラーは当初、自身の性格の悪さを隠す必要は無いと思っていた。
ナンバーマンと戦ったロックマンに対し、見下す様子を隠すこと無く、傲慢さも隠すこと無く、純度100%の嫌味を言おうと思っていた所だった。
ーーー所詮は地球のネットナビ
とはいえ、内心思っているだけで言葉には出していないし、なんなら事も荒立てては居ない。
プライベートならいざ知らず、ここは学校。1つの交流がオペレーターの学校生活の行く末を左右するのだから。
我が子があれだけ楽しみにしていた学校だ。自身の行動1つで台無しにはしたくない。スラーも成長しているのである。
……最も、仮にプライベートだったならばそれこそボロクソに言っていただろうが。
スラーの1番の問題といっていい、その性格の悪さを出さなかった結果、美少女ナビであるロールと並んで人気者になった。
例えるならば、クールなミステリアス系美少女転校生ナビと言ったところか。
更に事件が起こったとき、ウイルス相手に無双したパワー。
佇んでいるだけで感じる気品、美しさ。その2つの要因が噛み合わさった結果と言えるだろう。
本性を出さなければ美人。それがスラーだ。
昼休みはガッツマンとロックマンを2人まとめて相手をし、難なく勝利した。なんならその時の欠点もズバズバ言ってのけた。
バトルをしたスラーはというと、欲求不満というか、不完全燃焼というか。とにかく不機嫌だったが、それをレイチェル以外に隠す事は容易い。
ガチでバトればサディスティック。話せば侮蔑。進む姿は戦略兵器というのがスラーの本性なのだが。ただ我が子のために猫を被っているだけである。その位の分別はつくのだ。
「今日は大変な日だったよね〜。ママは、ニホンは治安がいいって言ってたのに……」
『ええ。まさか留学初日にあのような目に会うとは。あのような吐き気のする演説、二度と聞きたくないですね』
「だよね〜……」
ぐったりした様子でレイチェルは言った。
世界で1番と言っていい治安の良さ。その国であんな事に巻き込まれたのだから。
アレから調べたところ、ワールドスリー以外は全く出てこなかった。精々が小さい規模での軽いネットワーク犯罪が起きている程度だ。
ただ、スラーのいた時空ではワールドスリー、ゴスペル、ダークロイドとネビュラ以外にも、ネットワーク犯罪はそれなりにあった。
ちょっとアステロイドを渡しただけで簡単に堕ちてくれるのだ。チョロいにも程がある。
特にソードマン、ブライトマン、ネオワールドスリー、外国に送り込んだアステロイドから送られたエネルギーは特に多く得られた。所詮はただのEXPだ。うまうま。
「おーい、レイチェル〜」
バンダナが特徴の活発そうな少年、光熱斗が声をかけてきた。
「今日さ、メトロが開通する日なんだけど、一緒に行かないか?」
「メトロ?ナニソレ?」
『ネットワークで管理されている電車の事だよ。コレで僕たちも遠出が出来るようになるんだ』
行ける範囲が広くなる。即ち、秋原町以外にも足を運ぶ機会が多くなるということだ。
それに、小学生以下はメトロ代はタダ。好きなだけ好きな所へ行けるのも魅力的だろう。
「ゴメンね〜。今日は引越しの準備があるから無理なんだよね」
『そういえば、今日が留学初日だったっけ。それじゃあ仕方ないね』
『荷物は既にクリームランドから届いたものを置いてあります。なので、後は家具や荷物の配置位ですが、何分時間がかかりますので』
「というわけで、そろそろ帰るね。バイバーイ」
「また明日なー!」
こうして秋原小への留学初日は幕を閉じたのだった。
そして引越し先。2人暮らししても十分な広さ。2階へ続く階段。整頓されたダンボール達。
「これより!お引越しの荷物を配置する作業に移る!」
その中心で踏み台に乗り、隊長のように号令しているのはレイチェルだ。
胸元と背中が開けた露出度の高いゴスロリチックなドレス。胸元はスラーの衣装に寄せている。頭にはスラーのナビマークをつけたヘッドドレス。さらにその上には、プライド王女が私用の時に使う帽子を被っていた。
気分はさながらリーダーなのだろう。ノリノリである。
「助手のスラーくん!君なら、どう家具を設置するかね!?」
『はっ!自分ならここにソファーとテレビを置いて、部屋にベッドを設置するであります!』
「宜しい!して、ベッドの大きさの方は!?」
『こちらも抜かりなく!きちんと2人寝てもスペースを取れるほどの大きさであります!』
なんなら、スラーもノリノリである。レイチェルの幼少期には何度かままごとを一緒にやったし、ごっこ遊びにも興じていたのだから。
その際、高速移動用の形態に変形して城内を飛び回った結果、2人共カンカンに怒られたのだが、それはまた別の話。
「では早速作業を始める!“ディメンショナルチップ”、スロットイン!」
ゲーム機のようなPETに虹色に輝くバトルチップを入れた。
すると、レイチェルの隣が眩い光に包まれ、スラーが現れた。
スラーはレイチェルを見下ろすと、優しそうな笑みを浮かべ、頭を撫でる。
レイチェルも「えへへ〜」と満更でも無い様子で笑っているようだ。傍から見ると仲のいい姉妹や親子に見えるだろう。
その後もイチャつきながら一緒に作業をし、家のレイアウトを終えたのだった。
・画面外の熱斗くん
メトロ運行の妨害をしてるストーンマンを撃破。ただし、一撃でボンバーマンがやられたのを知ったワイリーは急遽ストーンマンをV3に強化。落石の数も5個になっており、ロックマンはナンバーマン以上に苦戦を強いられた。デリート寸前でようやく勝てた。その後、パパへの伝言を科学省に残して帰宅。学校ジャックからここまでが一日ってマジ?
・二面性スラー
要するに身内には親身だが、他人には冷たいという感じ。オペレーターのレイチェル相手だと教育面以外では結構甘やかしているし、2人きりだとイチャついている。
・お引越し
互いと一緒に作業がしたかったから業者に荷物だけ置くように頼んだ。
「後は私たちがしますのでここに置いてもらって大丈夫です」
ちなみに家は熱斗くん家の前の空き家。