デッデッデデデデン カーン
デデデデッデッデデデデン カーン
デデデデッ
割とガバガバな所があるかもしれない……(´・ω・`)
レイチェルは現在、PETの前で正座をしてスラーから小言を言われていた。
ウイルスバスティングプログラムから偶然発生した、アステロイド軍団を使ったオペレート練習の結果は、スラーのお眼鏡にかなわなかった。
特に、ヤケクソでのビッグボム大量投下が大きな減点対象になったようだ。レイチェルの悪い癖である。
その他にも、チップ送信の遅れ。複数の敵がいる中で、1体偶然倒したからと言って、一喜一憂したという気の緩み。敵の回し者か?とツッコミたくなるような酷い指示。そもそも、スラーが呼びかけてくれなかったらチップ転送すらやらなかったであろう確信があった。
「でもビッグボムをいっぱい使ったら、いっぱい倒す事が出来たから結果オーライだよね?」
『いきなり一度にバカスカ送るバカがどこにいるんですかこのバカ。私だったから良かったものの、他のナビならパニックになってますからね?そこにグレイテストボムなんて危険物をーーー』
レイチェルが1言えば、スラーが9を返してくる。
グレイテストボムはビッグボム以上に危険なシロモノだ。
破壊力は折り紙付きだが、それ故に取扱注意なプログラムアドバンス。
うっかり足元に落としてしまえば自爆待ったナシの劇物だ。 時間が経たなければ爆発しないボンバーマンの爆弾とは決定的に違う。
小姑のようにネチネチと的確に急所を抉るような嫌味の数々。理詰めで反論を許さず、ワイヤーで締め付けるようにキツい言い回し。
『まぁ、今回は初めての集団戦でしたし、今回のネットナビ集団戦は偶然の産物でしたし、一応オペレートで勝ちましたし、ここまでにしておきましょう』
「う〜……」
『はぁ……この騒動が解決したらシチュー作ってあげますから、精々精進する事ですね』
「ホント!?ヤッター!!パパの作るシチュー大好き!!」
先程の落ち込んでいた表情とは一変。年相応の満面の笑みをしてPETを高く掲げる。
その際、勢い余って虹色のチップを取り出そうとしたが、スラーに落ち着くよう大声で言われて慌ててケースに入れた。
「お、時間だな!」
『今日は12時、これで職員さんたちは居なくなるはず!』
『さ、行きますよ。レイチェル』
「ま……待ってよパパ……!足が痺れ……ふみゃっ!?」
職員解散のチャイムが鳴り、2人は動き始めた。目指すは、地下の水道施設だ。
ーーーーーー
2人は熱斗のパパの研究所から降りて、科学省から水道局へ移動。
スラーの呼び出しに応じたまり子先生と合流し、エレベーターを使って施設へと向かった。
「ねぇ、このエレベーターは職員さんしか動かせないハズだけど……。もしかして、見学者用のライセンスでも貰ったの?」
「それは……」
『ゆり子先生。光熱斗は、留守中の父上のライセンスを使用しています。無断で』
「ちょっ!?スラー!?」
「私はまり子よ。ゆり子は私のお姉さん。光くん?レイチェルちゃん?後で光くんのパパと一緒に4人で面談する必要がありそうね」
「で……でも、調査をお願いしたのはまり子先生じゃん!」
「なんでボクまで!?」
「無断拝借をしてまで調査しなさいとは言ってません!!」
エレベーター内で先生からのお説教を食らってしまった2人。特に、レイチェルは少し前にスラーから小言を言われてすぐの為、傷口が開いたような反応をしてしまった。
まり子先生の方も、焚き付けた責任があるからか、2人に同行。エレベーターが開くと、3人は管制室のある部屋に入ろうとした。
カタカタカタカタ……
「アレ?おかしいな。ロックがかけられてるぞ」
「キーボードを叩く音が聞こえるね」
『きっと、復旧作業中なんだよ。困ったね。これじゃあ、ネットワークを調べる事ができないよ』
『仕方ありません。どこか、プラグインできる所を探しましょう』
「ここまで来たんだもの。先生も協力するわ」
廊下中をくまなく調べ回る。
全て売り切れの自販機。関係者以外立ち入り禁止の扉。受付の裏。
「2人とも。ここにプラグインできそうよ」
乗りかかった船と言うべきか、大人としての責任と言うべきか。しっかりとまり子先生も協力してくれた。
幾ら2人が秋原小ジャック事件を解決したと言っても、まだ子どもだ。ましてや自分は先生。それも担任である。
あの事件を解決してくれたのだから、今回の事件もきっと。という希望を持っている。エレベーターではああはいったが、実際は熱斗達を焚き付けた事を謝ろうかとも思っている。それはそれとして無断拝借は絶対ダメだが……。
「コレって、壊れてるウォーターサーバーだよね」
『プラグインできるのは好都合です。コレで水道局のネットワークにアクセス出来ますね』
「行くぞ、レイチェル!」
「うん!」
「「プラグイン!ロックマンEXE!(スラー!)トランス---」」
「ちょっと!待ちなさい!」
『『ギクッ……』』
突如、エレベーターから女性の大きな声が聞こえてきた。
熱斗とレイチェルは驚いたように一瞬身体を震わせ、恐る恐る後ろを振り向いた。
「ちょっとボクたち?ここで何しているの?」
出てきたのは、薄いピンク色の髪をツインテールに纏めた女性だ。
白とオレンジのTシャツに、ジーパンというコーディネート。Tシャツにはカラーパレットのようなマークが書いてあった。
「見つかっちゃった……ヤバいよ……」
「えっと……その……」
派手な格好をしている女性とはいえ、ここにいるということは職員なのだろう。そう思うと、言葉が詰まって声が上手く出なかった。
「私の生徒がすみません。この子達が水道について勉強したいというものですから、特別授業を行っていたんです。あまりにも真剣に見学していたものですから、つい時間を忘れちゃって……」
「なるほど。そうなのね……ん?」
派手な女性の視線はレイチェルの方へ向いた。
レイチェルの方は分からず、「?」と首を傾げていたが、女性は近づき、値踏みをするように全身をまじまじと観察する。
『あの……私のオペレーターが何か?』
「いえ。別に大した事じゃないのよ。ただ、このまま順当に成長すれば、お姫様みたいに綺麗になるわよ。この子。そうね……あと7〜8年すれば1番輝くんじゃないかしら」
「ホント!?スラー、聞いた?お姫様だって!わーい!」
『ええ。レイチェルは可愛い男の娘ですから、その評価は当たり前でしょう。アイドルだったら一番星のようなセンターを務めていても不思議ではありませんからね!』
「ロックマン。今の男の子の発音おかしくなかったか?」
『気のせいじゃないかな?それにしてもスラーは、オペレーターの事が大好きなんだね』
初対面の派手な女性の思わぬ高評価に、ぴょんぴょん跳ねて喜びを表現するレイチェル。古参ファンのように「分かってるじゃないか」とウンウン頷くスラー。レイチェルのことならば、日暮闇太郎のような早口で語る事も出来そうだ。
「先生さん。事情はわかったわ。でも、職員達の退社時間は過ぎたから、そろそろ解散した方がいいわよ」
「すみません。そうさせてもらいます。ご迷惑をお掛けしました」
「ところで、おねーさんは帰らないの?」
「私は、コレから見回りがあるの。職員達がきちんと退社しているかとか、戸締りはしっかり出来ているのかとか。怪しい人はいないのかとかね。じゃ、そういうわけだから、あなた達も早く帰りなさいよ〜」
派手な女性はそう言い残し、その場を去った。
褒められて喜んでいるレイチェルに、どこか誇らしげなスラー。そして、何とかやり過ごせた熱斗とまり子先生はホッと息を吐いた。
『熱斗くん。どうするの?あの女の人が言ったように、帰っちゃう?』
「まさか!今度こそプラグインだ!レイチェル!行くぞ!」
「はっ!!そうだった!スラー、今度こそ調査するよ!」
2人はそれぞれ、PETを強く握りしめ……
「プラグイン!ロックマンEXE!トランスミッション!」
「プラグイン!スラー、トランスミッション!」
ウォーターサーバーへ、ナビをプラグインさせた。
水道施設の調査、開始だ。
・スラーとレイチェルの会話を聞いていた2人
羨ましそうな熱斗くんと、少し複雑そうなロックマン。ちなみに、「ネットナビがどうやって人間が食べるシチューを作るんだろう?」と思っていたり。電脳クッキングはまだ先の技術なのだ。4からだっけ?6からだっけ?
・監視カメラ
色綾まどいが潜入しているため、監視カメラは仕事をしていません。良かったね、2人とも。
・同行したまり子先生
調査を頼んだ為、2人の協力をしている。ただし、無断拝借はダメなので、そこは大人として叱っている。
ちなみにスラーが軽く注意しただけに終わったのはまり子先生を呼ぶためでもある。
・親バカスラー
実体化して赤子から育てれば愛着も湧く。クソ重感情を持っている。グエルに対するラウダみたいなものか?ニイサン!