強すぎる味方扱いづらい(´◉ᾥ◉`)グヌヌ
なんだろう、スラーが負けイベ戦の強敵に見えて、炎山ブルース組が主人公に見える……。このSSでの主役はスラーなのに……(´◉ᾥ◉`)
スラーの剣とブルースの剣。2つの剣は、互いを排除しようと前へ前へと接近していくように見える。
キリキリと、金属が擦れるような音がこの電脳中に響き、火花も散っているようだ。
(なんだ、コイツは?)
ブルースが相手の剣を押しやろうと必死な表情をしている傍ら、スラーは涼しげな表情だ。どこか余裕があるように見える。
ブルースは剣の達人だ。彼が使う音速の剣技は、斬られた事に気づかずに相手がやられてしまうほどに。
そんなブルースと、剣で競り合う目の前の相手。しかも、固有武装は剣では無く、ワイヤーだ。単なるハリボテだろう。
「ふん!!」
力を入れ、はじき飛ばしたのはスラーだ。
ワイヤーで作られた、細剣の形をしたエネルギーソードが紅色の実体剣に余裕で勝利。弾き飛ばされたブルースは、その場で回転をとり、何事も無かったのように着地した。
(この俺が、剣の力比べで負けただと……?ヤツめ!どうなっている……!!)
だが、ブルースの内心は疑問と焦燥の嵐だ。
何故、たかがワイヤー如きに弾き飛ばされる?
ワイヤーとは、一言で言えば紐。ロープの事だ。針金やケーブルとも言われている。
物によってはクレーン車に使われる等、頑丈なものもあるが、所詮は紐でしかない。ブルースの音速の剣技の前にはまな板の上のキャベツ同然だ。
「炎山様!」
『ああ。あのスラーとかいうナビ、一筋縄ではいかんと見えるな』
それがブルースをはじき飛ばしたのだ。
ワールドスリー構成員達の連続逮捕の貢献。そして、給水プログラムを調査する過程で見たクレーター。電脳空間中に響き渡る轟音と揺れ。
これだけの状況証拠が揃えば、もはや言うことはないだろう。
『久しぶりに本気を出すぞ!ブルース!』
「はい。炎山様!!」
ブルースと炎山の瞳が、変わった。身体中に熱がこもったかのような。気合いが入ったかのような表情をしている。
スラーは油断ならない相手。ひとつの油断がブルースのデリートに繋がると理解したからだ。
今までのような、淡々と仕事をこなすだけのサラリーマンのような瞳ではない。邪魔者と見下すような瞳でもない。
ーーーー全力をもって、斬る!
『バトルチップ、パラディンソード、バリアブルソード!スロットイン!』
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
氷を利用し、スケートのような高速回転。
ブルースの音速並の速度から放たれるそれは、旋風を超えたハリケーンそのもの。そこから放たれる斬撃は、攻防一体をより極めている。
その上、ブルースはとてつもない速度で接近もしてくる。攻撃しても弾かれ、遠距離からは斬撃の嵐。近接戦がブルースが最も得意とするものだ。一般どころか、ベテランでも恐怖だろう。
その攻撃にも、スラーは平然としている。
プラグソードの刀身を長く調整。細剣から大剣のような形にし、深く腰を落とす。
剣を高く上げ、切っ先を相手に向け、反りを掌の上に乗せた。
「舞いなさい!!プラグソード!!」
スラーの身の丈程の大きさのプラグソード。刃を太く、鋭くした大剣をぶん投げる。
大車輪の如く回転しながらブルースが放った斬撃を砕き、障害物を斬り裂いた。
それでも尚勢いが止まらない。それどころかどんどん勢いを増している。
「うぉぉおおおおおおあああッ!!」
ブルースの剃るような回転と、プラグソードの抉るような回転。金属を爪で引っ掻いたような嫌な音が電脳世界中に鳴り響き、大きな火花が散っている。
その火花を間近で浴びているブルースの表情は、苦しそうだ。汗を流し、歯を食いしばり、それでも回転し続けている。
「ぐああああっ!!」
それも長くは続かなかった。ハリケーンのような回転は扇風機が止まるように大きく衰え、プラグソードの回転が勝利。そのままブルースをかち上げた。
『バトルチップ、ロイヤルレッキングボール!スロットイン!』
「発射!」
すかさずモーニングスターの先端を大砲のように発射。
スパイクが付いている鋼の弾は落下しているブルース目掛けて、直進。
「まだだ!!」
『バトルチップ、ナイトソード!フミコミザン!スロットイン!』
鉄球が直撃するかと思ったその時。ブルースの手が瞬時に剣に変形。その後、瞬間移動をしたかのような高速移動で、スラーの懐に忍び込んだ。
フミコミザン。エリアスチールとソード攻撃を組み合わせたような効果を持っている。
『ぴっ!?』
「し……しまっ……!!」
「貰ったぞ!」
スラーがワイヤーの展開中に驚愕してる中、ブルースの一閃。音速の剣技がスラーを斬り裂くーーーー
ーーーーギリギリギリギリ
「などと言うと思いましたか?」
ーーーーことは無かった。
「なんだと!?」
『ブルースの本気の踏み込みを……いとも容易く……?』
悪巧みが成功したかのよつに、スラーは嘲笑う。
ブルースが懐忍び込んだ瞬間、プラグソードを展開していたのだ。困惑しているブルースをよそに、スラーはまた弾き飛ばす。
『よ……よかったぁ……』
「なにがよかったですか。この程度の攻撃、パネルスチールやドリームオーラの1枚でも送っていれば対処出来ていたでしょう。あの啖呵はなんだったのですか?やる気あるんですか?どうなんですか?」
『ごめんなさい……。って、今はそういう場面じゃないよパパ!』
『私にはなんの支障もありませんので。粘るにしろ押し通るにしろ、先ずは貴方の腕を上げることが第一です』
『う〜……』
「もしこれが私以外のナビならば、先程の一撃で終わっていましたね。大幅減点です。待ち時間中、アステロイドを相手にした時のオペレートの方がよっぽどなっていましたよ。もう少し判断力でも上げなさい」
『はーい……』
目の前で繰り広げられている、反省点をオペレーターに突きつけているネットナビ。
それはまるで、子どもにネットバトルを教えている場面のようにも見えた。とても今の騒動に似つかわしくない様子だ。オペレーターの方は真剣に事件解決に取り組む姿勢が分かるが、ネットナビの方はそれが何も感じられない。
『貴様!!今こんな大変な時に、呑気にオペレーターとネットバトル教室でもやっているというのか!?』
「炎山様!?」
この様子に、炎山はキレた。今も尚、街中に流されている汚水で苦しんでいる人がいる。浄水プログラムを復旧すれば、これ以上増えることは無いのだ。
それなのに、目の前にいる白のネットナビは、「少し待て」と言い放った。その理由は分からない訳では無い。だが、待った時間だけで、それだけ犠牲者が多く出る。救急車ももうパンク寸前だろう。
だというのに、このスラーとかいうネットナビはなんだ?今のこの状況で、オペレート練習でもさせているのか?
『事件は、ネットバトルの練習場じゃないんだよ!』
「ええ。知っていますとも。ですが、私は言ったはずです。少し待っていただけませんか?と」
『……もういい。ブルース!プログラムアドバンスだ!』
もういい!話にならない!そう判断した炎山の行動は早かった。
『バトルチップ、ソード!スロットイン!』
ブルースの片腕が紅色のソードに変形した。
目の前にいる白いナビのような輩はこちらの話を聞かない。愉快犯の方がまだ可愛いだろう。
『バトルチップ、ワイドソード!スロットイン!』
ブルースのもう片方の腕が、刃渡りの広い紅色のソードに変形した。表情もどこか険しそうだ。怒りのような表情で、涼しげな表情のスラーを睨みつけている。
『ぴぇっ!?』
『バトルチップ、ロングソード!スロットイン!!』
「はァァァァァァっ……!!!!」
ブルースの掲げる両手に、莫大なエネルギーが溜まっていく。
それは徐々にソードの形を取り、見る者誰もが<めっちゃ強いやん>と確信する程の存在感。
その光景を見て、レイチェルは軽く悲鳴を上げていた。炎山の怒りを感じ取ったのかもしれない。
『くたばれ!プログラムアドバンス!』
「ドリームソード!!」
ブルースが両手を振り下ろし、上空にあった巨大なエネルギーソードがスラーを襲う。
『ぱ……パパ!なんかこう……受け流すことって出来る!?』
「ええ。容易いことですよ、レイチェル。ナイトソードを転送しなさい」
『うん!バトルチップ、ナイトソード!スロットイン!』
とてつもないエネルギーを見ても、スラーは涼しい顔だ。それどころか、それを見て滑稽だと思っている節すらある。
ドリームソードが直撃したとて、スラーにとってはなんの痛手も無い。精々が少し傷つける程度か、身体に汚れが着く程度だろう。ふん、くだらん技だ。ただ埃を巻き上げるだけとはな。
スラーの腕に大きな剣が握られた。ドリームソードの巨大な波はスラーを飲み込もうとどんどん迫ってくる。
「はぁっ!!」
一閃。プログラムアドバンスの巨大なエネルギーを、スラーは両断した。
ただの教科書通りの唐竹割り。あまりにも綺麗に、洗練されたフォルムはどこか美しさを感じさせる一撃。
スラーを飲み込もうとしてきた巨大な奔流は形を崩し、四散。その粒子がキラキラと散る様がどこか神秘性を出しているように見えた。
「きれい……」
「バカな……!!」
『プログラムアドバンスが……?』
そんな光景に驚愕したのは炎山とブルースだ。無理もない。相手はプログラムアドバンスを斬ったのだ。
不完全なベータソードでは無い。完成形のドリームソードがいとも簡単に破られた。その事実が、2人の思考を鈍らせる。
「スラー、おまたせ!」
そんな時、ロックマンが駆けつけてきた。疲れているのだろうか。息が乱れている。呼吸が早い。
「遅いですよ。ロックマン」
『ちっ!新手か……!!』
とても厄介だ。スラーだけでも勝てるか分からないのに、そこにロックマンが駆けつけてきたのだから。
それに、先程完成されたプログラムアドバンスを使ったばかりだ。消耗が酷い。
どうしようか。対処法を考えていると、PETから通信が入った。
『……!!ブルース!いっぱい食わされたようだ!コイツらはただの囮だ!水道局に、ワールドスリーのオペレーターが2人、紛れ込んでいたらしい!奴らの真の狙いは……アクアプログラムだ!』
『ワールドスリーのオペレーターって……あのガスバーナーナビのオペレーターと派手な女の人?』
炎山は鬼気迫る表情でブルースに伝達した。
アクアプログラムは、究極プログラムと呼ばれるものだ。アクア、ファイア、ウッド、エレキの4種類あり、その内の3つがワールドスリーの手元に転がってしまっている。
「スラー!この借りは必ず返すぞ!」
こんなことをしている場合ではない。早く痕跡を探せば、奴らの居所が分かるはずだ。炎山はそう考え、その場を離脱した。
今、この場にいるのはスラー、アイスマン、ロックマンの3人だ。光熱斗がここに来たということは、人質を無事助けてくれたのだろう。
「さて、もう安心です。貴方達がワールドスリーに従う理由は、もう無くなりました」
なるだけ相手を安心させる為に、優しい声音で言い聞かせた。
「……か……カッコイイです……!!」
「……へっ?」
そんなアイスマンは、尊敬するようなキラキラした瞳でスラーを見ている。当然、スラーにとってはなんのこっちゃという話だ。尊敬できる性格では無いし、元の時空ではデューオの審判の元、地球を消滅させようとした地球外ネットナビだ。赤子の頃から育てたレイチェルならいざ知らず、その他大勢から尊敬のようなプラスの視線を向けられる覚えがない。
だが、アイスマンからしてみれば、怖い人から自分を守ってくれた、カッコイイ大人の女性だ。そして、子供というのはカッコイイ大人に憧れるものである。
スラーの身長は、ロックマンの頭1つ分高い。ロックマンやロールが中学生だとするならば、スラーは高校生といったところだろうか。対して、アイスマンの身長は幼稚園生並だ。とても小さい。
「ぼく、アイスマンって言うです!水道局でオペレーターの氷川清次さんの元でお手伝いしてるです!お名前、なんて言うです!?」
「えーっと……スラー……と言います」
「スラーさんというですね!カッコイイ名前です!よろしくお願いするです!ところでーーーー」
キラキラした目でマシンガンのようにガンガン話すアイスマン相手にどう対応したらいいかオロオロし始めるスラー。
その様子を見て氷川清次とレイチェルは慌てだし、ロックマンはアイスマンを宥め、熱斗は吹き出すという光景が映っていた。
とても、水道事件が起こったとは言えないような風景。その時のスラーは、「どうしてこうなった……」と虚ろな目だったという。
スラーは傲慢に振舞ってこそと思ってしまうワイ(´・ω・`)
・ワイヤー
ピアノ線や針金単体の事を指す。それを金属束を混ぜてねじり合わせたものをワイヤーロープという。ちなみに、複数の導線だとケーブルというようだ。
つまりスラーの固有武器は針金という事か?
・舐めプスラー
今回やっている事は要するに時間稼ぎ。それとブルースの実力把握及び、レイチェルのオペレート練習。ただし、レイチェル本人は事件解決に真面目に取り組んでいる。
・レイチェルのスラーを呼ぶ時の人称
2人きりの時はパパ呼び。それ以外は基本スラー呼び。感情が昂ったり弱音吐いたりする時はパパ呼びになってしまう。熱斗くんが彩斗兄さん呼びするよりも頻度が高い。
・ブチ切れ炎山
水道の事件という大事件を利用してオペレート練習をさせているスラーにブチ切れた。「遊びでやってんじゃないんだよー!!」
初期炎山は沸点低そうっていうのもある。
・ドリームソード
初出は2から。1ではベータソード。ソード、ワイド、ロングの特徴全てを受け継いだ使いやすい広範囲ソード。威力は400で、最も有名なプログラムアドバンスと言えよう。エグゼ2のみ、ドリームソード1〜3に分けられている。
今作では、出力が不十分なのがベータ。完成形がドリームとする。同じチップで2種類あるからね。仕方ないね。
ゼータとギガはどう分けようか……( `・ω・) ウーム…
・ドリームソード受け流し
アニメ1期ネタ。炎山が新型PETを作る為の材料を回収する為にそこに行き、成り行きでバイトする羽目になった回。そこでソードの扱いを学んだことから、炎山にとっては大きな財産になっただろう。
・スラー推しアイスマン
アイスマンとのネットバトルをスキップ。なんか知らんけど懐いてしまった。
どうしてこうなった……書いていくうちに頭から離れんかった……(´・ω・`)