まどいとレイチェルという関係性にしようかなって。
次回はプライド殿下視点で始めれたらなぁとか思ってたり。
「なんだよ!コレ!」
「どう見てもバグってるのは信号機だよね?なんで車がバグってる事になってるの!?」
2人はワールドスリーから届いたメールを見て怒りを顕にしていた。
信号機が全て青なら、互いの交差点から入ってくる車が直進してぶつかるなんてことは当たり前だ。事故が起こって当然の結果だろう。
車が原因じゃない。信号機が原因だ。この場にいる人間なら普通、分かるだろう。
だが、ワールドスリーは車が原因と吹聴。値段も100万ゼニーと、この惨状の原因を知ってる人から見れば、やってる事は悪質な詐欺だ。
「クソ!ワールドスリーのヤツら!人の弱みにつけ込みやがって……!!」
『人の恐怖を煽り、正常な判断力を失わせて救いの手があるかのように錯覚させる。シンプルですが、確実な手ですね。限定品だと注釈がつくのもより効果を出しているようです』
『納得してる場合じゃないよ!早く何とかしないと……!!』
向かいにいる人々は我先にと例のプログラムを買いに、デンサン中央へ駆け足で行くのを確認した。
コレが詐欺行為と分かるのは、冷静な人間であるだろう。信号機を見れば一目瞭然だ。小学生でも分かる。
パニックになり、冷静さを失った人間は正常な判断が出来なくなってしまう。視野が狭くなってしまう。ワールドスリーは、そこを突いたのだ。
『熱斗くん!信号機を狂わせて、車のオートドライブシステムをおかしくしたのはきっとワールドスリーだよ!』
「俺もそう思う!よし、ロックマン!信号機にプラグインするぞ!調べてきてくれ」
『では、私達は中央広場の対応をしましょう』
「うん!こんなこと、絶対やめさせなきゃ!」
「プラグイン!ロックマンEXE、トランスミッション!」
やる事は決まった。熱斗は信号を何とかして、レイチェルは広場へ向かった人たちの対応だ。
熱斗は早速信号機にプラグイン。レイチェルは地下歩道を使い、広場へと向かった。
「……こういう時、急がなきゃ行けないから、地下歩道、結構辛いよ……」
『……体力も鍛えないとダメのようですね』
「辛辣!?」
恐らく、地下歩道は万が一の為の避難経路のようなものなのだろう。現に信号機が青になった時、歩行者が飛び出さないための電子バリケードが張り巡らされている。
そんな地下通路は階段が多いし、通路も距離がある。おばあさんがキツいと言っていたが、これは本当にそうだ。本当にキツい。レイチェルは身をもって体験したのである。
「やっと出れた……」
『レイチェル。さっさとしなさい。急ぎますよ』
全力疾走で地下歩道を駆け抜け、肩で息をしているレイチェルにスラーは厳しい言葉を投げかけた。
(全く……最初からあんなに飛ばせばこうなることは明白でしょうに……。あるあると言うやつでしょうか。最初だけ飛ばして、後からどんどん抜かれていくのは)
溜息を吐きながら、スラーはペースが著しく落ちているレイチェルを見ている。
やっとの思いで広場に着くと、そこには人だかりができていた。
買いたいものを我慢して買いに行こうとしているおじいさん。借金をしてまで買おうとしているサラリーマンの男。オークションのように100万ゼニー以上を出そうとする若い女性。
それを見て、プログラムを売っているワールドスリーの女性はニヤニヤしている。
レイチェルは疲れを少しでも和らげるために大きく息を吸って、吐いた。
「みんな!冷静になって!ワールドスリーに騙されてるんだよ!」
『既に、私のオペレーターの知り合いが信号機を止めるために奔走しています。彼なら止めることが出来るでしょう』
レイチェルがそう呼びかけると、プログラムを買おうとしていた人達は一斉にこっちを見た。
パニックになったとはいえ、元はこの事態に対処するために集まったようなものだ。それを解決できると言ったのだから、注目が集まるのは当然だろう。
そんな時、タイミングよく熱斗から通話が入ってきた。
『レイチェル!こっちの信号機は止めたから、もう大丈夫だ!』
流石は熱斗くんだ。仕事が早い。
幸いにも、メールではなくオープン通話だ。周囲の人達にその言葉が行き届いている。
信号機を直せると分かった以上、ワールドスリーのプログラムを買う必要は無い。冷静な思考を取り戻した人達は1人、また1人とその場から離れていった。
その光景を見て、ホッとするレイチェル。後はバグっている信号機を直すだけだ。
「ひゃんっっ!」
そう思い、引き返そうと後ろを振り返った瞬間、尻を握られた。
突然のことに声を上げてしまい、何かと思って振り返ると、見覚えのある女性が怒りの表情でこちらを見ていた。
「よ、く、も!邪魔してくれたわね!しかも、アンタまた……!!」
「あっ!この前、水道局で会ったおねーさん!やっぱり、ワールドスリーのオペレーターだったんだね!」
確かあの時は、見回りをしていると言っていたか。あの時は本気で信じていたが、汚水を流した時のオープン通話や、今回の事件で確信した。
「おねーさんがこんなことしちゃったから、あちこちで事故が発生しちゃってるんだよ!今すぐこんなことやめて!あとどうしてお尻触ったの!!」
「い、や、よ!アンタこそ、私たちの邪魔をしないでちょうだい!かなり迷惑してるのよ!それの迷惑料としてなら安いものでしょ!」
「そんなの、知らないよ!ひゃっ!?やめて!服に手を入れちゃダメ!」
派手な女性はことある事にセクハラ行為を働きながら、レイチェルに対して文句を言った。
彼女は先日、ワールドスリーを統括しているワイリーから思いっきり罵倒を受けた立場だ。
勿論、その場にはヒノケンともう1人いたが、派手な女性……色綾まどいはそんな事関係なかった。
きちんと仕事をして、成果を果たしたのになぜそんなことを言われなければならないのか。
更に、ワイリーは資金を何とかしろとの命令を受けた。これだから癇癪持ちの老人は……。無茶振りが酷い。
そんな時、まどいの頭に考えが浮かんだ。これならばストレス発散も資金調達も両方できる。正しく一石二鳥の作戦だ。
「それを!アンタが!台無しにしたのよ!だったら!尻や胸の1回や2回!別に構わないでしょ!ガタガタ言うな!」
「やめっ!?んっ!?そんなのっ!?知らな……!ひゃああん!!」
『レイチェル!』
あっさりと組み伏せられてしまった。子供と大人では、どうしても力の差が浮き彫りになってしまう。ましてや、レイチェルはさっきまで全速力で走ってきたのだ。疲労は全く回復していない。
「おいお前!何やってるんだ!」
「ちっ!今度は光熱斗か!!」
ワールドスリーのA級賞金首の2人。作戦を尽く台無しにしてきた2人。
それに、こんなことをしている場合ではない。確かに癖になる柔らかさだったが、それとこれとは話が別だ。
まどいは八つ当たりをするかのようにレイチェルを熱斗にぶん投げた。慌ててキャッチには成功したものの、下はコンクリートだ。出来なかったら怪我どころではすまなかったかもしれない。
熱斗はこんな事をしたまどいを睨みつけた。
「ふー……ふー……少し、落ち着いたわ……。でもねぇ、頭に来てるのはこっちも同じよ!」
「お前……!確か水道局にいた……ワールドスリーのオペレーターだったのか!」
「そのやり取り、2回目よ!ほんっと頭にきちゃう!こうなったら、町中全ての信号機をバグらせてやるんだから!し、か、も!今度は狙い撃ちしてやる!アンタらの事は念入りに調べてるんだからね!」
『……!まさか!』
嫌な予感がする。杞憂であって欲しいが、相手はこちらの情報を知っている。
ワールドスリーの組織力ならぱ、確かに人間1人調べる事など容易い事だろう。思考しているスラーをよそに、まどいは得意気に話し始めた。
「どういう事!?」
「ふん。そんな事、もうすぐ分かるわよ〜。かなしいよ〜、大切な人が傷つけられるってさぁ〜。ま、そういうわけだから、精々良い苦しみを味わっちゃってね〜」
ヘラヘラと悪巧みをするような顔で、まどいはその場を後にした。何気に去り際に投げキッスをしている。
『みんな。なんか、嫌な予感しない?』
「うーん……確かにそうだけどさ……」
「とりあえずさ、待ち合わせ場所に戻ろうぜ」
こんなところで考えても仕方がない。2人はデンサン一丁目に戻るために歩き始めた。
みんなで対処法を考えればいい。幸い、レイチェルのママが来ているのだから、子供である自分達が考えるよりもすごいものを提案してくれるだろう。そう思いながら、地下通路へ入ろうとした時だった。
ピリリリリリリ!!
『熱斗くん!電話だよ!』
「ったく……誰だよ。もしもし」
『ね……熱斗、私!レイチェルちゃんもいる?』
「メイルか。レイチェルも一緒に居るぜ……って、まさか!」
さっきのまどいの狙い撃ちと、を念入りに調べていた発言。そして、今のメイルの電話。2人の嫌な予感が的中した。冷や汗が1滴、流れてくる。
町中の信号機が全て青になってしまっており、バスは猛スピードでデンサンタウンを走っているらしい。
熱斗が直した一丁目の信号機のある交差点。そのたった1箇所でさえ、あれだけの事が起こったのだ。それが町中となってしまうと……。
「メイルちゃん!ママはオフィシャルネットバトラーなんだ!だから、それも解決出来……」
ピリリリリリリ!!
『レイチェル。オート電話です』
熱斗のPETを通じて、メイルを安心させる為に言おうとした矢先、通知音によって遮られてしまった。
渋々通話をとった、今現在、取り込み中だと通話を切ろうとしたが、通話相手が先程の派手な女性だったのだ。
『もしも〜し。この私、色綾まどいが送ったプレゼント。気に入って貰えた?』
「気にいるわけないでしょ!今すぐこんな事止めて!」
「アハハ!!止めるわけないじゃないのさ。言ったでしょ?町中の信号機をバグらせるってね」
だからこそ、切れなかった。相手はこの事態を引き起こした張本人だ。
まどいの感覚では、ドッキリが大成功したような気分なのだろう。声が弾んでおり、とても楽しそうだ。
だが、レイチェル達からしてみれば、楽しいはずがない。熱斗はメイルを。レイチェルはプライド王女をそれぞれ暴走バスに乗せられているのだから。
だが、プライド王女はオフィシャルネットバトラーだ。特に守備戦においてはめっぽう強く、ちょっとやそっとの攻撃では全くひるまないポテンシャルを持っている。バスがバグっても瞬時に解決してくれるだろう。
だが、熱斗とレイチェルを徹底的に調べたまどいにとって、そんな事はとっくに知っている。さすがにオフィシャルが乗っていることは想定外だったが、バスにはとある細工を施してある。それでバスの乗客を人質に取れば、完全に無力化。邪魔するものは居ないのである。
『オフィシャルでもある王女様に解決してもらおうなんて無、駄。なんたって、こっちはバスに時限爆弾を仕掛けたからさ!王女様が少しでも怪しい動きを見せれば、どんどんタイムを縮めてドカン!って寸法ってわけ』
「お前ぇっ!!」
レイチェルは激怒した。かの邪智暴虐なワールドスリーメンバーを必ずとっちめてやらねばならないとケツイした。
レイチェルは元は捨て子である。レイチェルはスラーとプライド王女の拾われっ子である。幼少期からスラーに英才教育を施され、プライド王女からは公務を教えられた立場であり、教育に関しては厳しいスラーから扱かれて育ってきた。
だからこそ邪悪に対しては、人一倍敏感であった。
そんなレイチェルはまどいに向かって怒りを顕にした。あまりの出来事にディメンショナルチップを取り出そうとしたが、熱斗のPETからプライド王女に注意を受け、舌打ちをしてケースにしまった。
『怖いわねぇ。可愛い顔が台無しよ』
「どの口が……!!」
『うんうん。苦しいわねぇ。辛いわねぇ。……だ、か、ら、ゲームをしましょう?』
「ふざけないで!」
『いいえ。ふざけてないわよ。ま、どっちにしろアンタ達は参加する他無いんだけどね』
内容は、こうだ。デンサンタウンを爆走するバスを止めるために信号機を直す。ただし、バスの制御権はこっちにあるので無理やり止める必要がある。信号機の電子バリケードを利用してバスの制御を狂わせ、停車すればクリア。という形らしい。
『これは言わば余興よ。あなた達が無力さに絶望する為のね。ま、精々無駄な努力を頑張りなさいな。それじゃあねぇ〜』
ブツ!ツーツーツー
『レイチェル!聞こえますか?』
「ママ!無事なの?」
『今はまだ何とか……。こっちのことは私達に任せなさい。何とかして持ちこたえます』
「メイルちゃん!今、どの辺に居るか分かる?」
『ちょっと待って……。今さっき三丁目のバス停を過ぎた!次は四丁目に向かってる!』
『レイチェル!このバスは四丁目、二丁目、三丁目、中央の順番で運行しています!』
「わかったよママ!じゃあ熱斗くん。ボクは二丁目に行くから、熱斗くんは四丁目をお願い!」
「おう!メイルちゃん、レイチェルのママ!また後でね!」
そうと決まれば、やる事はわかった。
バスを止めるため、熱斗は今向かっている四丁目へ。レイチェルは次に向かっている二丁目へダッシュで向かった。
「プラグイン!スラー、トランスミッション!」
二丁目にたどり着き、急いで信号機にスラーをプラグイン。熱斗とレイチェルは手分けして暴走バスを止めるためにそれぞれ動いたのだった。
・事件の時系列
最初に信号機がバグり、事故発生→熱斗が信号機を止めて広場の人たちを説得→まどいがキレてバスに細工。そこからメイルから通知が来てバスの暴走を止めるために奮闘→バスを止めて、カラードマン撃破が一連の流れ。
・セクハラまどい
水道局で見かけた時から目をつけていた。そこから邪魔され続けて発展した感じ。ここが1番楽しかった。どうしてこうなった……(´・ω・`)
結構事件がシャレにならないし、こんなんかなって。
・プライド王女が表立って動けない理由
まどいは熱斗達が奔走する姿を眺めていたい。だからオフィシャルが解決すると楽しめない。だったら脅せばいいじゃない!って考え。プライド王女は乗客全て人質に取られてるようなもん。
・激おこレイチェル
滅多に怒ることは無いが、1度キレると事態が収集するか、スラーやプライド王女に止められるまではオペレートも暴走する。今回はエグい事件を起こされ、セクハラをされた上身内と友達を人質に取られたので激おこ。ただし、本人にキレてる自覚はない。例えるならブチ切れたジュア=ム・ダルービ。
ちなみにセクハラされた事でスラーもブチ切れていた模様。