デーッデデッ、デッデデーンデン
デーンッテデデン、デッデーデッデデッ
信号機パニック事件から数日が過ぎた。
メイルと熱斗とレイチェルは学校に来るやいなや、クラスメイトに心配された。スーパーのバーゲンセール並にどっと押し寄せたのは言うまでもない。
ここ数日間、ワールドスリーを見かけなくなった。信号機事件の前は毎日のように出ていたのだが、打ち合わせでもしたかのようにピタリと止んだのだ。コレには熱斗やレイチェルも「うーん……」といった反応を示した。
ほんの1ヶ月前まで、ワールドスリーの事件はソシャゲの周回イベントのように頻繁に起こっていたのだから。いきなりピタリと止んだのは不自然と感じるのは当然と言えた。このまま解散してくれればいいのだが……。
プライド王女も、パーティーが終わってからも1ヶ月は秋原町に滞在するらしい。コレにはレイチェルは大喜び。
撮影は既に終わっているし、公務はこの家で出来るものが多いとの事。この日の為に大急ぎで国内で行う仕事を1ヶ月分終わらせたようだ。9年前、何徹もした王女だ。面構えが違う。
「レイチェル。今日は科学省の合同庁舎でパーティーが開かれるの。一緒にどう?」
「え?ホントに?行く行くー!!」
「じゃあ、午後7時に科学省のテレビの前で集合しましょ」
「はーい!」
プライド王女はそう言ってレイチェルが開発したネットバトル練習用プログラムを起動する。
そう言えば今日だったか。科学省で行われるインキュベーションパーティーは。
プライド王女を初め、様々な科学者が集まって行うプレゼン。どんなものが出るのだろうか?とてもワクワクしている。
レイチェル達が準備している中、プライド王女はナイトマン同士によるミラーマッチ戦を行っていた。
相手側の使うバトルチップはパネルスチール位のものだが、それを除けばほぼ動きが再現出来ている。ちなみに難易度はSPだ。
相手目線で動きを視認することにより、ナイトマンとプライド王女はバトルでの癖や特徴を見ることができた。コレはいいものだ。
2人が再現データと戦っている時、レイチェルは着ぐるみの最終チェックを行っていた。準備は万端。機能も万全。見た目もよし。満足いく仕上がりだ。
「ふぅ。じゃあレイチェル。私はこれから最終ミーティングに行くから、遅れないようにしなさいね。……それから、スラー。この子の見張り、お願いしますね?」
「当然です。私を誰だと思ってるんですか?私はレイチェルの父親であり、超高性能ネットナビです。その他大勢のネットナビとは違います」
『姫とスラーの会話に齟齬が生じている気がするのだが……』
プライド王女はネットバトル練習用プログラムを終了し、公務用のドレス衣装に着替えて家を出た。ちなみにバスティングレベルは10で勝利したようだ。
特撮番組、ネットセイバーの3作目を見ながら、スラーと共に最終チェックをする事1時間。遂に完成した。
「ではレイチェル。私はこの着ぐるみをPETに持っていきます。出す時は誰にも見つからないような場所で、ディメンショナルチップを使ってくださいね」
「ありがと、パパ!では、科学省へ、しゅっぱーつ!!」
ママをびっくりさせてやるぞ〜!と意気込むレイチェルはテンション爆アゲで家を出た。
目指すは、科学省。そこのパーティー会場でクリームランドのアンチウイルスプログラムの勇姿をこの目に焼き付ける為に。
ーーーー
科学省へ行くため、まずはメトロへと足を運び、官庁街行きの切符を手に取った。
今日のメトロ客はデンサンタウンが開通した時位の乗客で賑わっている。タウン開通の時と違う点は、家族連れではなく科学者や研究者のような者が多いというところだろう。
こんなにも集まるパーティー。その中心で公開する自慢のママ。想像するだけで誇らしい。めっちゃ自慢したい。
「アレ?レイチェルじゃん。こんな時間にどこ行くんだ?」
「あっ、熱斗くん」
『これはこっちのセリフです。光熱斗の方こそ、どちらへ行くのですか?』
同じくメトロに居たのは、共にワールドスリーの事件を解決したバンダナの少年、光熱斗だ。
『僕達はこれから、科学省に行ってパーティーに参加するんだよ』
「そ!久しぶりにパパと会えるからめっちゃ楽しみなんだー!」
「え?熱斗くんもなの?ボクもママと一緒にパーティーに行くんだよ!」
お互いに同じ目的で、同じ場所に行く。特に、父親の話をしている熱斗はとても嬉しそうだ。
そこから、「パパのこんな所がすごい!」になり、レイチェルも負けじと「ママのこんな所がすごい!」と、どんどん父親、母親の自慢話、ベタ褒め話に花を咲かせた。コレには互いのナビも微笑ましいものを見るような感じで見守っている。それぞれが家族として上の立場だからだろうか。
そんな話をしていると、いつの間にか官庁街へ。時が過ぎるのは早いものである。
集合場所も2人とも同じだ。水道局から科学省へと続く廊下を仲良く歩く。
科学省に到着し、テレビあるスペースへと移動する。そこには見覚えのある白髪の少年がいた。
「またお前らか。科学省は一般の子供が遊びに来るような所じゃあ無いんだがな」
開口一番、やはりこちらを軽んじるようなキツい言い方をしているのは、伊集院炎山だ。
一般の子供……と言っている辺り、彼なりに言葉を選んでいるのだろう。
科学省は一般的には科学者や研究者が来る所だ。後はたまに企業や政府のお偉いさんが視察に来るくらいであり、一般人はPET料金を払うくらいしか用は無い。小学生以下は無料なのだから子供が来る理由は無いだろう。熱斗もレイチェルも、それぞれ小学五年生だ。
「なんだと!!お前だって俺たちとそんなに歳変わらない癖に!」
「そうだそうだ!」
故に、2人とも炎山の言葉に噛み付いた。相手はオフィシャルとはいえ、熱斗と同い年だ。なんでそんな相手にこうも言われなければならないのか。
水道局での初対面が悪かったのもある。あの時はこちらを見るや否やガキ扱い。邪魔者扱いだったのだから。感じ悪い、嫌な奴と思われても仕方がない。
最も、レイチェルの方は熱斗より2歳歳下なのだが。
「ふん。それがガキの反応だと言ってるんだ。特にレイチェルとやら。お前がガキみたいな行動をすると、プリンセス・プライドの顔に泥を塗る事になるぞ。せいぜい気をつける事だな」
「む〜……!」
頬を膨らませているレイチェルを尻目に、炎山は「会場の警備があるので失礼する」と言ってその場を後にした。
「やっぱ感じ悪い奴だったな!」
『ですが、言っていることは間違ってはいません。彼はオフィシャルですから、人生経験が2人よりも多いのでしょう』
「ボクだって、ママのお手伝いしてたもん!」
『その程度で自慢されても困りますよ、レイチェル。ガキ扱いされたくないのなら、もっと精進しなさい』
レイチェルが年相応に頬を膨らませて怒るが、スラーは厳しく一蹴。
公務の事は今は勉強中の身だ。初めてやった頃と比べて出来てはいるが、それでもナイトマンの補助有りで、プライド王女の2〜3倍の時間がかかっている。
子供のやることならば貴重な経験だろうが、1人前と言うには烏滸がましい。飴はプライド王女とナイトマン、鞭はスラーの役割なのだ。
「あっ!パパだ!」
そんなこんなで熱斗と話をして時間を潰していると、熱斗のパパが到着した。
久しぶりに会った親子のような会話。熱斗のママはおめかしの時間がかかっているようだ。それは熱斗のパパも知っているのか、笑い飛ばしていた。
熱斗のパパはレイチェルに軽く挨拶し、3人で会話しているとふと思い出したように熱斗に切り出した。
「そうだ、熱斗。昨日、ロックマンの強化パーツが出来たんだ。良かったら組み込んでみてくれ」
「何なのパパ。新しいアーマーみたいだけど……」
アーマーパーツ。それはネットナビに属性付きの鎧を装着する事で、耐久力をアップさせる強化パーツだ。
その代わり、弱点属性のダメージ量は倍増するが、それを差し引いても凄い物だ。もし、全属性のアーマーを持っているならば、相手によって使い分ければいいから、デメリットはあってないようなものだ。例えば、ファイアマン相手なら木属性以外のアーマーをつければいいのだ。
「ああ。コレは、ロックマンの機動性……スピードを上げるためにパパが開発したアーマーパーツなんだ。その名も、ロックブースター!」
『ロックブースター……』
「コレをつければ、今まで以上にスピーディーな戦闘が出来るだろう。ただし、その分オペレート能力が求められるからそこは気をつけてくれ」
「ありがと!パパ!大丈夫、俺とロックマンなら使いこなせるさ!」
パパから強化パーツを貰って熱斗はとてもいい笑顔だ。父親からの手渡しなのが更に拍車をかけている。
「あ、ママだ!」
早速ロックマンに装備し、自販機の電脳で軽くテストをしていると、プライド王女が向かってくる。熱斗のママも一緒だ。どうやら会話が弾んでいるらしい。仲良しなママ友と言ったところだろうか。
みかけるや否や、プライド王女に向かってダッシュ。抱っこをせがんだ。
スラーは微笑ましい様子でレイチェルを見る一方、「コレで炎山にガキ扱いされたの怒ったのか……」と思っていた。口には出さなかったが。
「ったく、レイチェルってまだまだ子供だよなー」
『なんだかんだ言って2歳歳下だもんね。それに、熱斗くんだって、パパと久しぶりの食事に嬉しそうだったじゃない』
「それとこれとは別だって」
「ハハハ!熱斗はまだ11歳だもんなー!」
「ちょっと〜、からかわないでよパパ〜!」
こっちはこっちで親子のじゃれあいを楽しんでいる。親にとって、子供はいつまでも可愛いものだ。
熱斗のママは熱斗のパパを見掛けると、直ぐに体調を確認。問題の無いことを確認した。
「皆さん。時間が迫ってきているので、そろそろ会場に行きませんか?」
「え?もう?みんな、早く行こ行こ!」
『楽しそうですね。レイチェル』
「それもそうですね。話の続きはパーティー会場でやりましょうか」
「祐一郎さん!久しぶりに親子3人での食事、楽しみね!」
「よっしゃ!ご馳走をたらふく食うぞ〜!!」
『もう、熱斗くん。はしたないよ』
5人は会話をしながら地下のパーティー会場へと向かっていった。
熱斗は久しぶりの家族団欒。レイチェルはプライド王女の勇姿を見届けるために。
ちなみに互いの連絡先を交換したのである。
・それいけ!ボーン一家
エレキマン事件の回のいちばん最初のロックマンと熱斗のやり取りで登場したテレビ番組。某アンパン的な番組なのだろうか。スカルマンが主演をやってそう。
・ネットナビ戦のバスティングレベル
仰け反らずに30秒以内でデリートするのがSランクの勝利条件。フルカスタムやクイックゲージ等のカスタムゲージバフチップを使わなければ、大体3ターンとちょっとくらいが30秒。
・電子保存
アニメ2期でバーナーマンが現実世界のレアメタルを強奪した際、現実世界のものなのに電脳世界に持っていってる事から可能と判断。このSSでは実体化出来るスラーだからこその芸当と言える。
・時系列
エレキマン事件が終わって、時間の経過する描写が無いことからそんなに時間は経ってないと思われる。長く見積っても1週間程度だろうか。
と、言うわけでワールドスリー攻略メンバーにプライド王女がログインしました。
・プライド王女の描写
王女を抜かすとキャラ名なのか名詞的な意味なのかややこしくなるので、基本的に王女を付け足します。抜かすとたまにどっち書いてるかわからんくなるのよ……(´・ω・`)
・レイチェルの身長
やいとよりも数センチ高い程度。熱斗と比べると結構小柄。
・熱斗のママとプライド王女
子供同士が友達だからか、異様に会話が盛り上がった。そこに子供父親が混ざり、もっと盛り上がることに。