めっちゃ難産……バトル描写めっちゃムズい……( ; ᷄ᾥ ᷅ )
ユルシテ·····ユルシテ·····
発電所の電脳で繰り広げられる、白と黒の激闘が始まった。
1発1発の攻撃の余波で電脳世界は揺れを起こしている。踏ん張らなければ立っていることすらキツい環境だ。縛られているエレキマンは拘束を解こうともぞもぞしている。
『ブルース。スラーを援護出来るか?』
「困難を極めるかと。両者とも、俺の最高スピードを大きく上回っています。それにも関わらず、あれ程の攻防とは……」
『……そうか。兎に角、警戒を怠るなよ』
「承知しています」
ブルースと炎山は、目の前で繰り広げられているバトルを見て悔しさに歯を大きく噛んでいる。
ブルースの十八番は音速の剣技だ。ネットナビの中で最高のスピードを誇り、裏にもその名が轟いている。
今まで、何体もの犯罪者のナビをデリートしてきた。一瞬の内に斬り捨てた者。少し骨があった者。苦戦した者。様々なナビをだ。
戦ってきたネットナビ。その中でも、苦戦させた強者の事を時々思い出すのだが、白と黒の戦いは今までの常識がぶっ壊されるような錯覚を覚えてしまっている。
それはロックマンと熱斗も同じだ。
デカオとガッツマンに負け続け、ファイアマンとの戦闘で才能が開花し、ワールドスリー相手に大立ち回りを繰り広げた。
今回も、ワールドスリーのネットナビ……ボンバーマン相手に余裕で勝利した。スラーとブルースはエレキマンを無力化した。そこからの……この展開だ。
ロックブースターを使っても、追いつける気がしない。ブルースと一緒に戦っても、勝てるビジョンが思い浮かばない。
先程2人がやった、恐らく最高の技同士のぶつかり合いに、立っているのがやっとの状態だったのだから。
熱斗とロックマンも。炎山とブルースも。悔しい思いを胸に、見ているだけしかできなかった。
ーーーーー
「ヘルズローリング!!」
「転輪煌斬!!」
フォルテが闇の円盤状の刃を放つと、スラーも光の円盤状の刃を放つ。
光と闇の刃は交錯し、互いを切りさこうと回転を強めていく。
金属同士で擦り付けるような、嫌な音が鳴り響く。
「ダークアームブレード!」
「プラグソード!」
互いの円盤刃が相殺され、爆発を起こした。瞬きする暇もなく、煙の中から紫の剣を構えたフォルテが現れる。
スラーはプラグソードでガードし、押し出すように切り払う。
2体のナビは上空へと飛翔。そのまま斬り合いの姿勢に移り代わった。
『バトルチップ!バリアブルソード、ナイトソード!スロットイン!』
スラーが持っているプラグソードが三日月のような曲剣と、切っ先が鋭く長い剣に変形する。
「はぁっ!!」
スラーが大きく横を切り払う。何の変哲もない、単純な横斬りもスラーに掛かれば必殺の剣技に早変わりだ。
その横斬りを、フォルテは少し上昇することで避け、スラーに叩きつけるように剣を振りかぶる。
その攻撃を、スラーはサマーソルトキックで弾き飛ばす。想定外の攻撃により、よろけてしまったフォルテに一閃。ウッドオーラを消し飛ばした。
「中々やるな」
思わぬ一撃に、フォルテは笑みを浮かべた。
今まで、自分とここまで戦えた者はいない。攻撃を多少避ける者はいたとしても、攻撃を当てた者など居なかった。
ましてや、自分を守っているウッドオーラを消し飛ばしたのだ。フォルテはより好戦的に笑みを浮かべた。
対して、スラーはとてもイラついていた。相手がフォルテと聞いて警戒していたのだが、いざ戦ってみると最初に戦った時位の強さだったのだ。
オーラを纏っているか否か。その程度の違いでしかない。
だが、スラーは1度デリートされかけた影響か、酷く弱体化しているのだ。
それでも、フォルテと互角に戦えるだけの性能はある。カスタムナビも含め、その他大勢のネットナビと比べてもぶっ壊れ性能と言っていいほどに。
自尊心の高いスラーにとって、そんな事はなんの慰めにもならない。アステロイドの創造も出来ず、ディメンショナルチップの精製も出来ない。
火力も、耐久力も以前よりも弱くなっている。かつてはその身で受けても大したダメージにはならないが、今は一々防御したり、回避したり、迎撃しなければならない。
今の性能で、あの時の4体のナビに圧倒する事が出来るのだろうか?そんな事まで考える始末だ。
「エクスプロージョン!」
フォルテが腕にパワーを溜め、両手でエアバーストを連射する。
単純に沢山放つだけ……などと侮ることなかれ。フォルテ級の実力者となれば、単なるバスター攻撃でも充分に驚異となり得るのだ。
1発1発が対象を破壊する光の弾丸だ。隙間を埋め尽くすほどの弾幕がスラーに襲いかかる。
スラーはナイトソードを投げ捨て、プラグシールドを展開。
「喰らいなさい!」
フォルテの放つ、大量のエネルギー弾に対抗するためにスラーは光弾で対抗する。
光り輝く、2種類の弾丸がぶつかり合い、小さな爆発が次々と起こっていく。それはまるで、空に輝く花火のような感じだ。互いに拮抗しているからこそ成し得る事だ。外野から見れば感動ものだろうが、やってる本人からすればたまったものじゃない。
光弾とエアバーストの撃ち合いが終わりを迎え、煙が晴れると再びフォルテがウッドオーラを纏っているのを確認した。
同じものを複数入れているのか、使用したチップを再生できるのか。どちらにせよもう一度破らなければいけなくなった。
「レイチェル!」
『バトルチップ、スーパーキタカゼ!スロットイン!』
先ずは邪魔なオーラを剥がす。話はそれからだ。
スラーならば今更ウッドオーラ如き、なんの驚異にもならない。が、纏っている相手がフォルテならば話は別だ。
スーパーキタカゼは、問答無用で相手のバリアを剥がす効果を持つ。それがバリアだろうが、ドリームオーラだろうが関係ない。
「転輪煌斬!!」
スラーは再度光の円盤刃をぶん投げる。邪魔な緑のオーラは強風で吹き飛ばされ、今ならばダメージを与えられる状態だ。
無論、それだけで攻撃を当てられるとは思っていない。スラーの転輪煌斬には多少の追尾性能はあるが、そんなものは大きく回避をすれば全く無意味となる。
フォルテも同じような技を持っているからか、スラーの円盤刃に対しては大きく回避行動を取った。
回転する刃を飛び越え、スラーに向かって突進。ダークアームブレードを構える。
スラーはブレードに向かってワイヤーを飛ばした。本体を拘束するのではなく、敢えて剣を縛り付ける。
元の時空でブルースとロックマン相手にやった事と同じだ。相手の剣にワイヤーを絡ませる。
フォルテという実力者相手ならば、それが時間稼ぎにしかならないのは重々承知の上だ。だからこそ、拘束が解かれるまでの数秒間。己を支点に、ブレードごと縛り付けたフォルテの腕をハンマー投げのようにぶん回す。
「ドォォォォォリャァァァァッ!!」
充分に回転がかかった状態でフォルテをぶん投げる。
隕石のように落下するフォルテに、向かって迎撃の光弾!
ガトリングガンのように放たれる光の弾丸はフォルテに向かって一直線だ。
相手は拘束され、勢いよく落下している状態。ここから追撃が来ればデリートは間違いない。
「ダークネスオーバーロードォッ!!」
ここで終わらないのがフォルテだ。
拘束しているワイヤーごと、巨大な闇のエネルギーボールで粉砕する。
それは拘束しているワイヤーを消滅させ、迫り来る光の弾丸も消し飛ばした。
この技こそ、アースブレイカーと並ぶフォルテ最大の技。攻撃力こそ劣るものの、余波だけで下にいるブルース達を吹き飛ばす程の威力と範囲を誇っている。
「やってくれたな……!!」
確かに、スラーは強者だ。それは間違いない。
フォルテ相手にここまで渡り合い、少しとはいえ傷を負わせたのだから。
強者を求めるフォルテにとって、自らが待ち望んでいた楽しい戦いではある。
とはいえ、相手は人間という憎い存在が操っているネットナビだ。たかが人間の操り人形等にここまで翻弄されている事に、フォルテの誇りは傷ついていた。
「シューティングバスター!!」
フォルテが両腕を前方に突き出し、バスターに変形。凄まじい勢いで乱射していく。
威力は少しの溜めいるエアバーストよりも少し低いが、その分スピードが段違いだ。本気の本気で仕留めようとする気迫が感じられた。
「ちぃっ……!!レイチェル!!」
『う…うん!バトルチップ、ソード、ワイドブレード、ロングブレード!スロットイン!』
「ドリームソード!!ハァァァァァァァッ!!」
巨大なエネルギーソードが、フォルテのバスターを粉砕する。
「カオス・ナイトメアァッ!!」
フォルテも負けじと巨大な闇のエネルギーボールを精製する。
ダークネスオーバーロードと並ぶ、フォルテ自慢の破壊力を持つ闇の弾。それとスラーが放つドリームソードがぶつかり合った。
巨大な光の剣と、闇のエネルギー弾。2つの大きなパワーが衝突し、発電施設の電脳中にトップウが吹き上がったかのような風圧が発生する。
そして、光の剣と闇の弾は相殺し合い、爆発した。
「ダークアーム・ドリームブレード!!」
「……!!」
2つの大技が相殺し合って爆発した煙の中から凄まじい勢いでフォルテが接近してくる。
フォルテが構えているのは、ダークアームブレードよりも一際大きい闇の剣だ。ワイドソードとロングソードを合体させたような巨大な剣。それがスラーに向かって振り下ろされる。
咄嗟にスラーはプラグソードで対応する。
ドリームソードを使い終え、次の動きに入るまでの僅かな隙間を突かれてしまった。
「ち……調子に乗るな!地球のネットナビ風情が!!レイチェル!!」
『ば……バトルチップ、エリアスチール!スロットイン!』
元の時空でフォルテに倒された自分とは違う。
確かにパワーは以前とは違うが、精神面で大きく成長しているのだ。諦めかけたあの時とは違う。無様に負けてしまったあの時とは違う。
プラグソードにヒビが入ったその時。スラーはフォルテの背後に高速移動する。
ーーーあの時とは違う!ソードが折れて呆然とした、あの時とは違う!
損傷したプラグソードを仕舞い、新しく作成したプラグソードを振り下ろす。
「ガハァッ!?」
『パパ!?』
……前に、フォルテの手がスラーの腹を貫いた。
「……消えろ」
フォルテがスラーにトドメを刺そうと、貫いた手にエネルギーを溜める。
この状態では、バリア系のバトルチップを使っても無意味だ。内側から破壊されてしまう。
ーーー完全に詰んでしまった。
レイチェルが咄嗟に懐から虹色に輝くチップを取り出した。
隣にいた科学者は隣の部屋に行っている為不在だが、隣には熱斗と炎山がいる。故に、人目に触れてしまうがそうは言っていられない。
このままフォルテからトドメを喰らえば、スラーはデリートされてしまう。
スラーにバックアップは無い。故に、デリートされたらそこまでだ。
『ディ·····ディメンショナルチップッ!!スロットーーー』
「アース・ブレイ」
「ロイヤルレッキングボール!」
「ガァッ!?」
エネルギー波を発射しようとした途端、側面から突如としてモーニングスターが飛んできた。
側頭部に硬い鉄製の物がクリーンヒット。溜めていたエネルギーが四散してしまった。
その上、フォルテは吹っ飛ばされた事によりスラーから手を離してしまった。如何にフォルテといえど、100パーセント想定外。視界すら映っていない攻撃に対応出来なかった。
その結果、スラーはデリートされずに地面に落下する事となる。
「弱者風情が·····!やってくれたな·····!!」
トドメを刺そうとした時に飛んできた、想定外の攻撃。仕留め損ねた、虫の息の白いナビ。
立ち上がったフォルテは攻撃が飛んできた方向を睨みつける。
視線の先には鉄球を戻したナイトマンの姿があった。
「消え去れ。アースブレイカー」
最早闘争は不要だ。
強者の波動を持つスラーは倒れ、残っているのは弱者のみ。
多少の波動は感じるのだが、フォルテにとってはそんなもの誤差レベルでしかない。精々、弱者よりほんの少しだけマシな程度だろう。
フォルテがパワーを溜め、拳を振り下ろそうとした·····その時だった。
ザ·····ザザー·····ザ·····
『聞こえておるか?フォルテよ。ワシじゃ。ワイリーじゃ。たった今、全てのプログラムが揃った。ドリームウイルスの完成はもうすぐじゃ』
「全てのプログラムが揃っただと·····!?まさか·····!!」
それを聞いたブルースは周囲を見渡すと、転がっているワイヤーのみが残っていた。
そこに居たはずの者がいない。プログラムはワイリーの手に。完全にやられてしまった!
「·····ふん。老いぼれか」
ワールドスリーのボスからの通信を聞き、フォルテは拳に溜めていたパワーを四散させる。
元々、フォルテはドリームオーラを手に入れる為にワイリーに協力していた立場だ。ここに来たのは、ワイリーが言っていた強者がいる可能性が高かったからに過ぎない。
そして、その強者もフォルテが蹴散らした。デリートはされていないが、あれ程の損傷だ。消えるのは時間の問題だろう。
フォルテの目的は強くなる事。強くなる為にはどんな手段でも使う。それが例え、憎むべき人間と協力する事でもだ。
「·····興が冷めた。勝負は一旦お預けだ」
マントを翻し、エリアスチールを何枚も使ったかのような高速移動でこの場を去る。
フォルテが協力している目的はただ一つ。全ての究極プログラムで作られる強力な無属性のバリアだ。それと弱者を消す手間を天秤に乗せた結果、バリアの方を優先したのだ。
『レイチェル!急いでスラーをプラグアウトさせなさい!』
『う·····うん·····!!』
レイチェルは急いでスラーをプラグアウトさせる。
幸い、ここは科学省。ネットナビの病院も兼ねている所だ。急げばまだ間に合うかもしれない。
発電所の機能も回復し、エレベーターも動いたハズだ。レイチェルは急いでスラーをPETに戻し、猛ダッシュでエレベーターへと向かった。
・転輪煌斬
このSSオリジナル。光弾を円盤状の刃に変化させ、対象に向かって放ち斬り裂く技。要するにスラー版ヘルズローリング。
・動けなかったロックマンとブルース
力の差を本能レベルで理解してしまった。スラーの場合、威圧感は抑えている為にあまり無いが、フォルテはデフォルトで撒き散らしているためその部分も関係している。
更にスラーとフォルテの高次元の戦いについていけていない為、攻めあぐねている部分もある。例えるならフリーザ最終形態と悟空が戦っているのを見ているクリリンと悟飯のような心境。
ちなみに鷹岬版では初対面時、オーラは破壊しているのだが、その後すぐにフォルテの威圧を受けて吹っ飛んでしまっている。
・ダークアームドリームブレード
ドリームソードの攻撃範囲をもつダークアームブレードがあるので勝手に命名。
・吹っ飛んだフォルテ
流石に100パーセント想定外の不意打ちには対処しきれなかった。例えるならフリーザが元気玉に気づき、悟空にトドメをさそうとした際にピッコロから不意打ちを食らうようなもん。
・描写外でプログラムを奪ったエレキマン
スラーが大怪我した時に拘束が解け、急いでエレキプログラムを吸い出して逃走した。
フォルテに気を取られている隙を着いたスピードのある吸い出し。超ファインプレーである。