サブタイは某機人大戦から。
独自解釈のオンパレード回(´・ω・`)
レイチェルは走っていた。ただひたすらに走っていた。それはフォルテによって大きな損傷を受けてしまったスラーを治して貰うためだ。
泣きそうなのを必死でこらえ、PETの中にいるスラーに必死に呼びかける。
エレベーターに乗っている間も落ち着かない様子だ。早く行ってくれ。早く着いてくれ。そう言わんばかりにウロウロしたり、ジャンプしたりしている。
……エレベーターが、水道局の方に着いた。
扉が開くと、すぐに飛び出す。科学省へと繋がっている廊下を爆走し、科学省の扉を開ける。
「……」
受付の方を見てみると、誰も居なかった。
それもそうだろう。パーティー開始時は午後7時。業務は既に終わっている時間だ。
ましてや、今日はエレキプログラム騒動のせいで大分時間が経っている。窓から見える空はもう暗いのだ。
「……そうだ!科学者!!」
受業務が終了したとはいえ、この場には沢山の科学者がパーティーに参加している。
それならば。と、急いで引き返そうとUターン。
「わぷっ!?」
急いでいた為に前が見えなかったのか、エレベーターを降りた男の人にぶつかってしまった。
衝撃で後ろに倒れ、尻もちをついてしまう。今はスラーがこんな状態だ。プライド王女もこの場に居ない。つまり、助けてくれる者が居ない。
「ひっ……!!あ……あう……」
腰が抜けてしまった。
いつもならスラーがフォローしてくれるが、今は自分一人だ。
遥かに高い大人の影。それは自分を踏み潰そうとするように見えてくる。
ーーー言葉が出ない。声が出ない。目が開けられない。
それを見たメガネの男性は、そっと頭を撫でた。
「レイチェルくん。熱斗から話は聞いてるよ」
恐る恐る顔を上げると、そこには優しそうな表情の光熱斗のパパ……光祐一郎が居た。
「あ……あの、パパが大怪我して·····だから·····怪我を治して……!!くだ……さい……」
熱斗のパパだと分かり、安心したのかたどたどしくも必死に言葉を紡いでいく。
基本的に、レイチェルは家族と一緒に居る時位しかスラーの事をパパとは呼ばない。最も、偶に感情が昂った時はつい口にしてしまうのだが。アレ?結構口にしてない?
ともあれ、今はレイチェル自身、感情の制御が全くできていない。
泣きわめく1歩手前の子供のように、慌てふためいている状態だ。しかも後半になるに連れて声が小さくなっている。
そんな様子にも、「大丈夫だよ」と優しく微笑みながら、手を繋いで研究室へ向かった。
ーーーーー
「……ふむ。なるほど……」
研究室にある、ネットナビ治療部屋。深く眠っているような様子のスラーの周りを囲むように、Xの形の物体が旋回している。
「パパ!スラーは大丈夫なの!?」
祐一郎がスラーを見て神妙な表情で様子を見ている時、熱斗達が入室した。
「大丈夫だ。命に別状は無いよ」
「よかった……」
それを聞いて安堵する熱斗とロックマン。
それもそうだろう。留学してきたレイチェルとはもう友達だ。それに、スラーには幾度となく世話になっているし、助けられている。
時々嫌味を言うのが難点だが、それを差し引いてもなんやかんやで面倒は見てくれるし、何度も共に事件を解決した仲だ。
プライド王女とナイトマンは言わずもがな。9年間、共にレイチェルを育てた間柄だ。特に、クリームランドの立て直しの際には世話になりっぱなしであり、王女の代理として様々な仕事をしてくれる。民も国も、そして自分自身も助けてくれたのだから。無くてはならない存在である。
炎山とブルースはというと、オフィシャルの老人達が流した情報でこんなことになっている為気まずそうだ。特に、フォルテとの邂逅の時に何も出来なかった事も大きいだろう。
「……レイチェルくん。プリンセス・プライド。治療するに当たり、スラーを解析したのですが·····この状態でまともに動けた事自体奇跡としか言えません」
「どういう事ですか?」
祐一郎の言葉に、プライド王女は目を見開いた。
いつの間にかレイチェルのPETに居たというスラーは、クリームランドでは何一つ解析出来なかったのだ。
何故チップ1枚で実体化出来るのか。何故あれ程凄まじい性能なのか。あげればキリが無いが、現在の発展したクリームランドでもスラーの事は何一つ分からなかった。
それなのに、目の前の科学省の主任はスラーの事を解析出来たというのだ。驚いて当たり前だろう。
「解析した結果、スラーは様々なネットナビの残骸データが組み合わさって出来たネットナビ……という事がわかりました」
本来、ネットナビとは1つの存在だ。決められたプログラムという物が存在するのである。
規格が統一されているノーマルナビやヒールナビは当然として、カスタムナビもきちんと正しいプログラムでカスタマイズしているから安定している。
ナイトマンは耐久面に優れたカスタマイズをしてあるし、ガッツマンはパワーにすぐれたカスタマイズを施してある。
一言でカスタマイズと言ってもさまざまな物があるが、それはあくまでも「何を目的としたものか」という方向性とバランスが重要だ。
例えば、動きが遅いナイトマンにブルースのようなスピードが欲しい。と考えた時、ブルースのプログラムをそのまま持ってくることはできない。
それはブルースを構成しているプログラムであって、ナイトマンを構成しているプログラムでは無いからだ。何も考えずにそのままやってしまえば、不具合のオンパレードで本末転倒になってしまう。
ナイトマンのスピードを強化するのならば、新しくプログラムを追加するか、いらない所を削るか。はたまたアーマーパーツ等の外付け装備で補強するか。といった風に組み立てる必要がある。
ところが、スラーは中身がごちゃ混ぜになっている。ファミレスでドリンクバーを全部混ぜたカクテルのように。
しかもそれで正常なのだ。驚くなという方が無理がある。
スラー(正常)……いや何処が正常なんだよ!
それを聞いたプライド王女と炎山は驚きに目を見開いていた。
特に、プライド王女の驚き具合は半端じゃない。大量の不純物が紛れ込んで尚あの性能なのだから。
スラーの性能を間近で見続けた者の表情だ。ひと味もふた味もリアクションが違っている。
レイチェルは相変わらず怯えながらスラーを心配してじっと見続け、熱斗は頭にハテナを浮かべているようだ。
「スラーは現在、スリープモードに移行しています。後はPETの自己修復機能が治してくれるでしょう」
その言葉に、レイチェルは「よかった〜」と安堵してPETを受け取る。
フォルテとの戦いでデリートされそうになった際、助ける為にディメンショナルチップの使用を躊躇わない程スラーが大好きだ。
ネットバトルやウイルスバスティング、インターネットの探索は勿論、ご飯を食べる時も、寝る時もずっと一緒だ。なんならお風呂だって一緒に入っている。
一時はどうなることかと思ったが、無事ならば一安心だ。帰ってまた一緒に過ごそう。
「それから一部、スラーには破損したデータ領域がありました。宜しければ、また明日、ここに来ていただくことは出来ますか?」
「そうですね。夜も遅いことですし……」
時計を見ると、既に21時を回っている。良い子はもう寝る時間だ。
プライド王女は、PETを大事そうに抱えているレイチェルをおぶって帰宅する。レイチェルはどうやら緊張が解け、1度ふらついた後眠ってしまったようだ。
炎山も、オフィシャルに対する報告書を作成するために帰るとの事。彼にも思うところがあるのだろう。足取りが重く感じられた。
「熱斗。どうしたんだ?」
夜も遅いし、お前も帰りなさい。祐一郎がそう言うが、熱斗は俯いているだけだ。
その様子を見た祐一郎は、熱斗の傍に行き、しゃがんで目線を合わせた。きっと、相談か何かだろうと、一目見て察せるのは流石パパだ。
「……俺、何も出来なかったんだ」
スラーとフォルテが戦っている時。何も出来ずにスラーが敗れた。その事を引き摺っているのだろう。
『僕達、きっとスラーに甘えていたんだと思う。スラーは誰よりも強いから大丈夫って』
今までもそうだった。
秋原小ジャック事件の時、ナンバーマンの不意打ちから守ってくれた。ボスであるボンバーマンからも守ってくれた上に撃破してくれたし、水道局ではファイアマンを簡単に撃退したのを見ている。ブルース相手に圧勝したとも聞いた。
今回のエレキマン騒動にしてもそうだ。無敵モードと言っても過言では無いエレキマンをいとも簡単にあしらってくれた。
だから、あの黒いナビ……フォルテにも勝ってくれる。そう思っていたのだ。
一方で、祐一郎の方はなんと言ったらいいか分からなかった。
熱斗自身、大活躍と言っても過言では無い程の結果を残しているからだ。
レンジ連続発火事件ではファイアマンを撃破しているし、秋原小ジャック事件やメトロ落石事件も解決している。
水道事件では人質を無事救出したし、今回もエレキマンの相方であるボンバーマンを撃破している。最早ベテランのオフィシャル並に活躍しているのだ。感謝状の1枚や2枚では到底足らないだろう。
今回のフォルテに関しては、ただ単に相手が悪かった……としか言いようが無い。フォルテに関しては祐一郎も知っているし、現にオフィシャル最強との呼び声も高い、ブルースが手出し出来なかったのだから。
「そうか……それが分かっただけでも熱斗。お前は進歩しているぞ」
「進歩?」
相手が悪かった……。そう慰めても熱斗は納得しないだろう。
ならば、素直に成長している事を指摘する。そうすれば、次にする事は熱斗が見つけてくれるだろう。
「ああ。スラーに甘えていた事を、お前達はハッキリと知ることが出来た。それだけでも大きく一歩前進したんだ」
そう言われて、熱斗は顔を上げた。
眼前には、大好きなパパが自分を励ましている姿があった。
一歩前進。その言葉が熱斗の頭を回っていく。
『熱斗くん。一緒に、もっと強くなろ!』
PETから友達の声が……相棒の応援が聞こえてくる。
その一言が、熱斗の鎮火しかけていた心に火をつけた。
「そうだよな、ロックマン!レイチェルにあんな顔をさせないくらい……スラーにも負けないくらい強くなるぞ!」
オー!と元気よく拳を振り上げる。
目指すべき目標が今、見つかった。あとはそこに向けて進むだけだ。
そうして熱斗は急いで自宅に向かい、その様子を見た祐一郎は立ち上がり、頑張れ!と心の中で応援しながら熱斗を見送った。
・レイチェルの行動言動
スラーがいれば明るく活発な元気っ子。いなければ超怖がりな子供。リキとクラッシャーみたいなもん。
・熱斗のパパ
3で熱斗がとんでもないことをやらかしても叱って許すだけの心の広さがあるので、こんな感じかなって。半ば強引かもしれない……(´・ω・`)
熱斗のパパならスラーでも苦戦しながらも解析すると思う。
・このSSでのスラー
スラーを含めた、デリートされたアステロイドの集合体。エグゼ4のジャンクマンの上位互換的存在。弱体化はコレが原因。不純物のオンパレード。
StreamでのスラーがEXならば、現時点ではV1相当になっている。
強化順は、SP>EX>V3>V2>V1で行こうと思ってます。
スラーV2化フラグが立ちました。
・現時点でのスラーの技
《プラグソード》
《プラグシールド》
《ワイヤーショット》
《ワイヤーバインド》
《光弾》
《ストライク・サークル》
《アトミック・スピナー》(カラードマンに食らわせた手裏剣)
《転輪煌斬》
《ガイア・ブレイカー》