ふと思ったけど某ファンサービスとスラーって相性良さそう。
マジックマンとマハ・ジャラマは、目の前にいるスラーのデタラメっぷりに驚愕していた。
スラーの実力は、あのフォルテと互角だ。マハ・ジャラマも、フォルテの存在は他の人達と同じく都市伝説と言われている位の情報を持ち合わせていない。そんな存在が、ウイルスではなくネットナビを召喚したのだから。
幾らウイルスをほぼ無限に生み出せるとはいえ、所詮はウイルス。蜘蛛やアームガン等の一部を除き、単なる数合わせでしかない戦力である。最も、組み合わせ次第では下手なナビよりも凶悪になるのだが。ティウンティウンティウンティウン……。
スラーのアステロイドシステムは不完全な状態だと言っていた。つまり、万全の状態ならば無尽蔵にアステロイドと呼ばれるネットナビを呼び出せるということだろう。
「くっ……!これは……」
『最悪の状況も考えた方が良さそうですね』
マジックマンとマハ・ジャラマの真の目的。それは、ドリームウイルスを完成させるための時間稼ぎだ。
侵入した4人の精鋭をここに誘き寄せたのも、残っているワールドスリーのメンバーを集結させたのも全てはこの為。少しでも長くこの精鋭達を足止めする事だ。
ドリームウイルスを完全体として生み出す事が出来ればワールドスリーの勝ち同然。その為のお仕置部屋の電脳のギミック。その為の全軍突撃である。
『こうなれば仕方ない。私達の切り札を使わせて頂きます』
とはいえ、勝つ気が無いわけではない。勝算が無いわけではない。
たしかに、今戦っている4人は強敵だ。
今まで幾度となくワールドスリーの事件を阻止して見せたロックマン。オフィシャルのエースである音速の剣士ブルースに、クリームランドの防衛を担っているナイトマン。そして、今戦っているぶっ壊れ性能のスラーという錚々たる面々だ。
今ではエレキマンとファイアマンは倒れ、カラードマンは流された。ボンバーマンとストーンマンがブルースと戦っているようだが、倒されるのも時間の問題だろう。幹部格がほぼ脱落という辛い状況だ。
数を揃えたヒールナビも、範囲攻撃の巻き添いや裏切り者3人により着々と数を減らしつつある。味方同士の連携も訓練プログラムに組んでおくべきだったか。と、今更ながら頭に思い浮かんでしまった。
『仕方ありません。マジックマン!今こそ、我々の切り札を切る時です!』
「了解しました。サモン、ドリームウイルス!」
故に、マジックマンは切り札を切った。最強のウイルスであるドリームウイルス。そう、ウイルスである。そしてマジックマンはウイルスを取り込むことによって、自在に操る事が可能だ。
魔法陣から現れたのは赤、青、黄色、緑、白のクモのような造形をしたウイルスの群れだ。
『ぴっ!?ドリームウイルスも操れるの!?』
「落ち着きなさい。アレはドリームウイルスの幼体です。成体と比べたら大した相手ではありませんよ」
マジックマンが召喚したドリームウイルスの幼体達に、レイチェルは思わず声を荒らげた。そう、ドリームウイルスは増殖するだけではない。スラーが言った通り、様々な属性の幼体を生み出せる要素も持っている。そして5色それぞれが並のウイルスを遥かに凌駕する強さを持っている。それがマジックマンの手によって次々と現れたのだ。
「スラー。先程の発言から推測するに、そのネットナビを生成する機能はまだ不完全。つまり、私のように多くの数を生み出す事は出来ないという事でしょう?」
「フッ。その通りですが……そちらこそ、ソレを召喚するのに相当な負荷がかかっているはず……不完全なのはお互い様でしょう?」
スラーがいた世界ではドリームウイルスは単なる大型ウイルスでしかない。フォルテのように常にオーラを纏っていないし、耐久力もそこまででは無い。ロックマンが少し強めの攻撃をした位であっさりと排除できてしまう程度でしかない。大体の者が存在を知っている、ありふれたウイルスDでしかないのだ。
だが、少なくともこの世界では元の世界のものよりも強いと断言出来る。何故なら、4属性の究極プログラムを使用して生み出された存在だからだ。
例えば、アクアプログラムならばどんなに汚染された水でも天然水レベルまで浄化できる。例えば、エレキプログラムは大国の電気問題を一気に解決可能。同じ究極プログラムであるファイア、ウッドプログラムも同程度のポテンシャルを秘めているのだ。それほど凄まじいプログラムを全て使用したウイルスは、世界にとって脅威その物だろう。ワイリーが終末戦争と呼んでいるのも頷ける。
マジックマンとスラーが不敵な笑みを浮かべながら睨み合いを続けている。スラーはドリームビット達を。マジックマンはスラーとアステロイドを警戒しているからだ。
幾らスラーが強いとはいえ、それでも全盛期とは程遠い。ましてや4つの究極プログラムから生み出された究極のウイルスの幼体が大量にいる。全く未知の相手。
「行きますよ、レイチェル。殲滅開始です」
とはいえ、手をこまねいていてはそれこそ相手の思うつぼだ。
ドリームウイルスが完成間近に迫っている以上、時間をかけている暇は無い。他はどうでもいいが、レイチェルだけは何としても守らなければならない。そのスタンスは今でも変わっていないのだ。
レイチェルはPETを握りしめ、いつでもバトルチップを送信できるようスタンバイしている。スラーも、ワイヤーに括り付けられた鉄球をブンブン振り回している。
強大なウイルス達を従え、いつでも攻撃できる2人。その空気はさながら西部劇の早撃ちである。
少しの呼吸の乱れすら大きな隙になりそうな緊張感。平然としているのはスラーだけのようで、他の3名は空気の重さを感じているように見える。
次に動いた時、この戦いの結末が決まる。スラーのスペックが勝つか、マジックマン率いるドリームビット軍勢が勝つか。と言ったところだろうか。
「……」
スラーが1歩足を踏み出した。
「ケケッ!喰らいな、フレイムクロスゥ!!」
その時、びしょ濡れのカラードマンが背後からプログラムアドバンス仕掛けてきた。
『ぴっ!?』
「アハハハハハ!いくら強くても、コレには対処できなかったようだねぇ!!」
『油断大敵、火がボーボーってね!!キャハハ!』
ブルースに撃退されてずぶ濡れになっていることも忘れ、カラードマンとまどいは得意気にケラケラと笑っている。
流された先にスラーがいることは幸運だった。更に、マジックマン及び、彼が率いているドリームウイルスの軍勢とにらみ合いをしている事も上げられるだろう。
渾身のプログラムアドバンスによる、視覚外からの不意打ち。ファイアマンのフレイムサークル以上の火力を誇る、十文字の炎の渦だ。
「クク、後ろからとはいい戦術ですねぇ」
「……は?」
カラードマンは笑みを止めた。それは、自身の目の前に、拳にエネルギーを溜めたスラーがサディスティックな笑みを浮かべていたからだ。その上目立った傷はないのだから尚更である。
「弱い者が強い者を相手にする時には……!」
『なっ……!?プログラムアドバンスを受けてその程度のダメージですって……!?』
プログラムアドバンスを防ぐのはそう簡単には行かない。防ぐ方法は主に3つ。障害物で防ぐか、プログラムアドバンスや弱点属性で相殺するか、受け流すかだ。
「ふん。貴方の不完全なプログラムアドバンス如きが私に通用するとでも?」
プログラムアドバンスは、発生する膨大なエネルギーを上手く制御する必要がある。それが出来なければ、元の世界のかつてのロックマンのように、ドリームソードが不発に終わる結果となる。
だが、この世界においてはプログラムアドバンスが何らかの形で残るのだ。その筆頭が手数が増えるだけのベータソードと言えるだろう。
それと同じく、カラードマンのフレイムクロスは不完全なプログラムアドバンス。その実体は、フレイムラインを3回、ほぼ同タイミングで放つというものという本来の物とは違うものとなっている。
例えば、ゼータキャノンやオメガキャノンといった、一定時間元となったバトルチップを撃ち放題というプログラムアドバンスが存在する。たしかに、それならばキャノンよりも遥かに強いと言えるだろう。総ダメージ量もキャノン3枚や5枚分よりも多く与えられるだろう。防御力に定評のあるナイトマンでも、当たれば致命傷は避けられないだろう。
だが、威力40のキャノンが撃ち放題になったからといって、フォルテに通用するだろうか?オーラを纏ったドリームウイルスに通用するだろうか?答えは否だ。
「さて。ご高説はここまでにして、この私が裁きを下しましょうか」
「そ……そんな馬鹿な……!!」
スラーは腕を大きく上げ、拳にエネルギーを充填させる。その膨大なエネルギーはお仕置部屋の電脳世界を揺らす程。真正面にいるカラードマンの顔色は悪く、悪い汗もダラダラと流しているようだ。
逃げようにも、足がすくんで動けない。その際にマジックマンがウイルスを放つが、スラーが生み出したアステロイドに阻まれている。僅かに突破したドリームビット達がちらほらいたものの、スラーは涼しい顔で光弾で対処している。
「……消えなさい」
「うぎゃあああああああああっ!!!!!???」
そして、思いっきり振り下ろす。ガイア・ブレイカー。この世界に来てスラーが開発した、いわばスラー版ジャスティスフィストである。
巨大な重機に叩きつけられた岩宜しく、カラードマンは粉砕されてデリートされた。スラーが叩きつけた場所には、その力を誇示するかのように大きな穴が出来上がっている。デスマッチ3もびっくりだ。
「くっ……!!」
それだけには収まらない。スラーが放ったガイア・ブレイカーの余波がマジックマンに襲いかかる。
ドリームウイルス達との連携によってアステロイド達を撃破出来たようだ。それに加え、咄嗟に水晶のような両腕から青い炎をスラーに発射している。流石はワールドスリー幹部ナンバーワン。ワイリーの片腕と言ったところだろうか。
「少しは効いた……と言いたいところですが、やはり貴方では力不足のようです」
「なっ……!?」
カラードマンを撃破したスラーはそれを片手で防いでいた。何ともなさそうな表情で、手にはほんの少しの焦げ目が入っている程度だ。リカバリー10で何とかなるだろう。
周囲を見れば、ロックマンとナイトマンは、ファイアマンとエレキマンを撃破している。ブルースも、ボンバーマンとストーンマンを先程デリートしたようだ。その他ヒールナビも大きく数を減らしており、終わるのも時間の問題だろう。
スラーはマジックマンの炎を握りつぶし、上書きするかのように光弾のエネルギーをチャージする。
『……我々はどうやらここまでのようだ』
「潔いですね……消えなさい!」
エネルギーが発光している手から、特大サイズの光弾がマジックマンに向かって放たれ、地面を削りながらマジックマンを飲み込んでいく。
そして、大爆発。幾らマジックマンがワールドスリー最高幹部とはいえ、この攻撃に耐えられるはずもなくデリートされた。
準最強は普通の時は想像しやすいけど中ボスとの決戦系は沼りまくるんだよね(´・ω・`)
最近、聡明な某えらい宣伝の人を見て関係性について考え始めた。
・スラー「後ろからとは(ry」
スラーがサーチマンの射撃を防いだシーンのセリフ。なんと後ろを見ずに避けるどころか弾をキャッチしているため、実力差がありすぎる強敵シーンになっている。好き。