※二次創作かつ、未完結作品の非公式妄想補完です。あらすじは原作・公式に準拠します。

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※印付き文は作者の声や希望が多分に含まれたものです。場面は17話、ラストシーンから⎯⎯アクション


ぼくのかんがえた水星の魔女18話

「さようなら。水星の、おのぼりさん」

「う、うわああぁぁぁ…………」

 

 ⎯⎯パシャッ⎯⎯パシャッパシャッ⎯⎯

 

 絶叫するスレッタの表情を、フラッシュとシャッター音が捉える⎯⎯

 

「⎯⎯………え……」

 と、一瞬、我に戻るスレッタ。それを見たミオリネは⎯⎯

「⎯⎯ぷっ、ふふふ…………あははははは…………!」

「は……え……? み、ミオリネ、さん……?」

 スレッタに呼ばれたミオリネは自分の端末を操作して。

 

『⎯⎯あんたはいい弾避けになってくれたわ』

『ま、待って下さいミオリネさん! グエルさん、もう一度決闘しましょう⎯⎯』

 

「こ、これ、は……」

「うーん、我ながらよく撮れたわ。こんなに上手くいくなんて」

 一部始終の再生をそのままに二人は状況を整理する。

 

「……スレッタはこういうの知らない? “ドッキリ“っていうのよ」

「ドッ……キリ、って……」

「そ。グエルにも、協力してもらってね⎯⎯」

「⎯⎯して……」

「えっ?」

「ど……して、どうして……! どうしてこんな事するんですか!? 私は、真剣に決闘に臨んでいたのに! ミオリネさんと結婚したくて! 本気で戦っていたのに! それなのに! どうしてミオリネさんは笑ってられるんですか!? 私、本当に無くなったと思って……! 怖くて! びっくりして⎯⎯!」

「⎯⎯スレッタ」

 ミオリネは普段の調子で呼び。

 

「いい? 覚えておきなさい。それが“恐怖“よ」

「恐、怖……」

「……全てを失って“恐ろしい“と思う……それは、人を殺す事と同じなのよ……! 亡くなった人も、同じように全てを失うの……⎯⎯」

 スレッタは、その言葉を温室での出来事と思い当たらせる。

「⎯⎯だけど!」

「っ!」

 

「あんたは殺しちゃう……笑顔で……お母さんに言われて……エアリアル(家族)で……!」

「⎯⎯ッ!!!!」

「敵も、味方も……あたし達も何もかも! あんたは殺しちゃうのよ!!」

 

 ミオリネに諭されるスレッタは、ぎくりと背筋に冷たいモノが走り、思わず悲鳴を上げる。

「だから、私はあんたをそれから降ろすの。もう二度と、これには乗せない」

「あっ、あの! でも、エアリアルが家族なのは本当で⎯⎯!」

「そこは安心して。壊したり解体したりはしないから」

 スレッタはその言葉に小さく息を吐く。

「とにかく、これからの事をみんなと相談するから早く降りて来なさい」

「は、はい……」

 

 一人コクピットに残るスレッタは、全てが芝居であったという大きな安堵と⎯⎯

『あたし達も何もかも! あんたは殺しちゃうのよ!!』

 ⎯⎯ミオリネの、言葉による恐怖がない交ぜになり、体が、硬直してしまっていた。

 

 

※アバン終。Aパートアクション

 

 

  ⎯⎯ベネリット社・会議室⎯⎯

 

「⎯⎯と、いうことなのよ」

「いや全ッ然わかんねぇんだけどっ!?」

 ミオリネが説明を終えても、不満とばかりに抗議するチュチュ。マルタンはそれを苦笑して宥めた。

 スレッタをエアリアルに乗せ続ける事が危険と判断したミオリネは、グエルに協力を仰ぎ、あえて決闘を敗北した。こうする事で、“スレッタを降ろす“、“エアリアルを信用出来る人間に預け、引き離す“⎯⎯この二点が満たせるのである。

 

※前回から今回に挟まった“おさらい回“をそのまま説明パートにしつつ

 

 ミオリネはリリッケを補佐に置き、株式会社ガンダム(以下ガンダム社)とジェターク社の首脳達に経緯を説明した。

 ガンダム社にはマルタン、チュチュ、スレッタを。

 ジェターク社からはグエル、ラウダ、ペトラである。

 

「……この件の、君の動機は分かった。けど、僕達の会社は、どうなっちゃうの……?」

 マルタンが今後の不安をミオリネに訊ねる。

「そうね……社長の私がグループの総裁になるのだから⎯⎯“吸収合併“というかたちで、ベネリットグループの末席に加わる事になるわね」

「!? まじかよっ!? スペーシアンの下でなんか働かねぇぞ⎯⎯」

「どのみち⎯⎯」

 ミオリネの回答にチュチュが悪態を取るもその言葉は続き。

「私が総裁にならなければ、別の誰かがその椅子に座るだけよ。そうなれば、この会社が買収工作を受ける事は明白。経営どころではなくなるわ」

「…………」

 彼女の言葉にガンダム社の三人は息を飲む。ベネリットグループの強大さを、改めて知った。

「……不満なのはわかるけど、これも貴方達を守る為なの。わかって頂戴⎯⎯」

「⎯⎯あ、あのっ!」

 ミオリネが言い終えるとスレッタが。

「そ、それって、つまり……あの……! 私っ……これからも、ミオリネさんの傍に居られるんですか!? 居ても、良いんですか!?」

 と、言葉を詰まらせながら訊ねた。ミオリネは彼女の言葉に短く息を吐き、顔を背け。

「……だから、そう言ってるでしょ……」

「っ!! う……ぅうわあぁぁ……ん! よがったぁぁ……よがったよぉぉ……! わ゛だじ、ほん゛どに゛ぎら゛わ゛れ゛だどお゛ぼい゛ま゛じだぁ~~……!」

「うっわ汚なっ、顔を洗って出直しなさい」

 号泣で顔を汚したスレッタが、抱きつこうとするもミオリネは冷静に拒絶する。それに“がんっ“と衝撃を受けたスレッタはリリッケに引き剥がされ、彼女のハンカチで少し乱暴に拭かれるのだった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ⎯⎯!」

 と、そこへ次に声を上げたのは。

「何かしら、ラウダ」

「決闘に勝利したのは僕達だろう!? どうしてそちらの主導権で話が進んで行くんだ!」

「⎯⎯落ち着けラウダ」

「! 兄さん……」

 グエルはラウダを静かに制止させた。

「今ジェタークの代表は俺だ。だから、俺が決める」

「……そうっだけどっ、なら兄さんはこれで納得がいくの!?」

「確かに、そうだな……お前の言う通りだ」

 自分の言葉が兄に届き、安堵の表情をするラウダ。グエルはその場に居る全ての人間の視線を集めた。

 

「……じゃあ、ジェタークは協力をしてくれないの?」

「協力しないとは言っていない。ただ、こちらを納得をさせるだけの交渉をしてほしい」

 ミオリネが改めて確認をするとグエルが答える。彼は不敵な態度を取り彼女の言葉を待つ。

 

 ミオリネは仕切り直すようにお茶を一口飲む。そしてゆっくり話を切り出した。

 

「……あのねグエル⎯⎯」

「⎯⎯ぁん?」

「実は、私の端末に“こういうもの“が残っているの⎯⎯」

 彼女が自分の携帯端末を操作しながら“それ“を再生する。周囲の者にも充分聴こえる様スピーカーで。

 

『……ならもう一度だけ言うからよく聞けよ? 俺は、お前の事が⎯⎯』

 

「⎯⎯どぁあああぁぁ!?」

 グエルは奇声を上げて聞かせまいと阻み、彼女の端末を取り上げようと試みるがそれをかわされる。記録されていた内容は、自分とスレッタしか知らない⎯⎯はずのものであった。

 ミオリネは再生を止め。

「協力……してくれるわよね?」

「ええい……まず“それ“を消去しろ!!」

「……生憎だけど、これを消してもパソコンの方に転送済みよ?」

「ッ!?!?」

 完全に弱みを握られてしまうグエル。だがその様子を、ラウダとペトラが強く反発し。

「た、他人の弱みにつけこむなんて……! こんなものは交渉じゃない!」「そうです! これはもう脅迫です!」

「なッそれを君達が言うのかい!?」「てめぇらだってあちこちから手ェ回してただろうが!!」

 二人の言葉にマルタンとチュチュが応戦を始めた。そんな白熱する交渉(?)を苦笑して見守るスレッタとリリッケ。

 

 だが、それすらもミオリネの想定内なのだろう、周囲とは対照的に静かに茶を飲み進める。

 

「お前……一体何時からそんなに性格悪くなった……!?」

「呆れた、今さら気付いたの? 褒めてくれて、ありがと。全然嬉しくないけど」

「褒めてねぇ……。わかった……もういい。お前の、好きにしてくれ……」

「兄さんっ」「社長……!?」

「……成立ね」

「⎯⎯けど」

 グエルがミオリネの提案を飲み込むが付け加える。

「この先も、何かあった時は一言相談してくれ……! お前についていく以上は、俺達にも知る権利があるだろう? 何より⎯⎯」

「?」

 彼が言い淀みスレッタに少し目をやる。そして「いや、なんでもねぇ」と、言葉を終えると。

「ええ……覚えておくわ」

 ミオリネもまた、彼の言葉に少し反省してそう告げた。

 

 深く息を吐くグエル。その視線の先のリリッケは、スレッタを小さな子供のようにあやす。

 

「……ラウダは、ああいう旦那になるんじゃねぇぞ……」

「えっ、はは……善処するよ⎯⎯」

 

 ⎯⎯だんっ

 

 グエルの軽口にペトラが立ち、机を叩いた。そして。

「わっ私は、ラウダ先輩にそんなことしませんっ!」

「………………んだよ、正妻に落ち着く気まんまんじゃねぇか……」

「んなッ?!!!!」

 ペトラはグエルの言葉に赤面すると、そのまま黙り込み座り直した。

※という生温かい空気も醸しつつ

 

「んんんッ」

 茶を口から離したミオリネが咳払いすると。

 

「……んーで、あーしらはこれから具体的にどう動くんだ?」

 話が一段落し、チュチュは茶飲みを続ける自分達に疑問を持つ。

「相手の出方を待つ」

「「相手……? って?」」「しかも待つって、それで良いのかよっ!?」

 マルタンとペトラは言葉を揃え、チュチュがミオリネに突っ込む。

「……ええ。何より、この状況を静観出来ないのは、向こうの方でしょうから」

「「ミオリネさん……?」」

 

 と、そこへ会議室の通信機が鳴り、リリッケがそれに応対した。

 

「⎯⎯ミオリネさん。グラスレーのシャディクさんから通信会談の要請です、ここに繋ぎますか?」

「……いいえ、別室に移動するわ。私が戻るまでみんなは待機していて。……おおよそ内容に検討がつくから」

「わ、わかりましたッ」

 応接室に残る皆がミオリネを見送ると。

 

「なんでここに繋がねぇんだ……?」

「そりゃあわざわざ密談アピールなんかしないでしょ、なにより⎯⎯」

 チュチュの疑問にマルタンが苦笑して答えると、彼女を見つめ、付け加えた内容を察して貰おうとする。

「けーーッ、うるさくて悪かったなーッ!」

 

 ガンダム社のやりとりを眺めるジェターク社の三人だが。

「……悪い、俺達も少し席を外す」

「えっ」「兄さん?」

「いい機会だから、お前達には、先に伝えておきたい事があるんだ……俺の、親父の事で」

 グエルは神妙な面持ちで二人に伝えると、三人も会議室を後にした。

 

 

 ⎯⎯ミオリネが移動した別室では、シャディクとの会談が用意された。モニターでお互いの顔を確認出来る。

 

『⎯⎯始めに、先の敗戦の件は残念だった……いや、それとも⎯⎯君の思い通りに事が運んでいるその手腕を、褒め称えるべきなのかな』

「挨拶はいいわ。それより、こちらも総裁選の下準備を始めるところなの。要件を」

『やれやれ……』

 ミオリネの釣れない対応にシャディクもかぶりを振り、その表情を笑顔から真剣なものへと切り替える。

『ミオリネ・レンブラン、君に決闘を申し込む』

「……ふぅん、決闘に勝利したグエルではなく、私なのね?」

『……結局のところ、糸を引いてるのは君なんだろう? 総裁選に出馬を決めたのなら』

「なるほど……つまり、そちら望みは」

『ああ、君に総裁選を諦めて欲しい。僕は……グラスレーは、ペイル社と同盟を結んで総裁選に出ることにした。だから、出来ることなら決闘をせずに済ませたい』

「あぁ……それは、無理な相談ね」

『……だろうね。ルールは前回と同じ⎯⎯』

「⎯⎯違うわ」

『何……?』

「私が無理と言ったのは総裁選よ、決闘なら受けて立つところだわ。ただ」

『…………』

「エアリアルがジェターク社の預かりになった事で、こちらはほとんど戦力が無い状態なの⎯⎯」

 

※シャディク陣営のモニターへ

 

『⎯⎯それとも、次期総裁にもなろうとする人が、手負いの者に勝利して満足なのかしら? ……だとしたら、弱った獲物をしつこく付け狙うハイエナだわ』

「……わかった。そこまで言うなら、期日はそちらが決めていい」

『そう? なら⎯⎯出馬の準備と並行して、これからの説明、資材の調達、MS(モビルスーツ)の準備……もろもろ含めて、1ヵ月⎯⎯』

「⎯⎯くっ……そんな悠長に待っていられるか! ……一週間だ」

『……三週間』

「二週間⎯⎯!」

『三週間』

「っく、……ふぅ。わかった……期日は三週間後。ルールは前回と同じ、六対六」

『ええ、いいわ。……せいぜい引き立て役になることね』

「ふっ……そちらこそ、逃げ出す為の時間稼ぎでないことを祈るよ」

『あっははは…………新総裁をアピールする絶好の機会、みすみす逃す訳はないでしょう⎯⎯!』

 その言葉を最後に、ミオリネは通信を一方的に切った。

 

 

「⎯⎯ちッ、ミオリネめ……もう決闘に勝った気でいる……! まだ何か切り札があるのか、それともただのハッタリか……(しかし、獲物を横取りするのはライオンの方が多いって、知らないのか……?※ココ作者の豆な)」

 通信会談を行っていたシャディク陣営。そこでは本人の他、秘書、エラン、ニカ、ノレアがその現場に立ち会って居た。

 

「シャディク様、少々甘いのでは?」

「なぁに。一城の主たる者、何事も余裕を持って取り組まないと。彼女の言葉を借りてしまうけれどね。それに」

 秘書の言葉にシャディクが付け加え、立ち会った三人を見る。

「準備が進められるのはこちらも同じさ……さて、ニカ」

「っ!」

「この場を持って、ひとまず君は解放しよう」

「なッ!? 本気ですか!?」

 シャディクの提案にノレアは目を見開く。

「……サビーナが、君を誘いたがっている。君の役目はわかるね?」

「そんな……っ!? 出来ません! 今更⎯⎯」

「戻った所で怪しまれる。けれど僕達はいつでも然るべき所へ君を突き出せる……君にはもう、破滅の道しか残されていないのさ……」

 その言葉にニカは愕然とする。

「だからせめて、少しはマシになるよう上手く立ち回ってみることだ」

「…………」

「ノレアに見張りと中継役をさせる、定期的に連絡を取りたまえ」

 シャディクが秘書に目をやると、彼女はニカを連れ立ちその場を後にする。そしてニカは、シャディクがノレアに“何か“を渡す光景を部屋の外で僅かに捉えて、その扉が閉じるのだった。

 

「⎯⎯必要ありません」

 シャディクがノレアに差し出していた“何か“、それは彼女のナイフと、彼が別に用意した拳銃であった。

 しかし、彼女が拳銃の受け取りを拒むとシャディクが説得をする。

「まあ、そう言わずに持って行くんだ。使わなければそれでよし、ただの保険だよ。扱えない訳じゃないんだろう?」

「はァ…………バカなんですか? それが自分にも向けられるとは考え無いんですか?」

「……そうならない事を願うけれど、こうする事で君への信用を示しているんだが……」

「…………」

「へぇ~、良いなぁ。僕には無いの?」

「そうだね、彼女が不要だと言うなら⎯⎯」

「⎯⎯わかりました。……そこまで言うなら」

「ああ、是非ともそうしてくれ。君もここから離れる身仕度をするんだ」

「……言われずとも」

「ええー」

 ノレアが拳銃を受け取るとエランが残念がり。

「……後悔しないで下さい」

 彼女は恨み言を付け加えて部屋を出ていく。

「こっわ、なぁにアレ……」

「最後に君だが⎯⎯」

「まさか、僕も追い出したりしないよね? まだ処分されたくないよ僕~」

「……君の置かれた状況を知らない訳じゃないが……ペイル社と組んだ以上、このままという訳にもいくまい……」

「そんなぁ~……」

「同盟にある僕の言葉がどこまで届くかはわからないが、掛け合うだけならしてみよう」

「…………は~~あ、わかった……それでいいよ……僕も支度をしてくる……」

「ああ……」

 シャディクが短く応えて最後の一人を見送ると、彼は深く息を吐いた。そしてごちる。

「……ようやく、三人を追い出す口実を作れたか」

 

(……こちらが抱えるリスクは、老人一人で、十分なんだよ……)

 

 そう思い捨てるシャディクも、自身の仕事に取り掛かるため、その部屋を出て行った。

 

※ここでAパートカット。軟禁状態のサリウス氏が映ってもいいかも

 

 

  ⎯⎯数日後・ジェターク社⎯⎯

 

 ペトラが事務に追われていると、グエルから明かされた告白を思い返す⎯⎯⎯⎯

 

『うそ、だろう……父さんを殺したのが……兄さんだなんて……!?』

『……俺も嘘だと……思いたい……けど! MS(モビルスーツ)に乗って戦うと、嫌でもあの時の事が瞼に蘇るんだ……!!』

『けどそれは事故、なんですよね……?』

 ペトラの言葉に頷くグエル。

『……あの時の俺は逃げる事に頭が一杯で……追跡されたから迎撃してみれば……!』

 なんで……なんで俺なんかが、生きてるんだ……と、彼は頭を抱えて自嘲する。

『兄さん……どうしてそんなことを僕達に話すのさ……!? 黙っていれば誰にも知られない事じゃないか……!』

『…………お前が、家族だからだ……』

『!!』

『いや……嘘だな……俺は、甘えているんだ……。自分の辛さをお前に吐き出す事で、楽になろうとしているんだ……』

『先、輩……』

『会社を引き継ぐなんて言っておきながら、お前に会えれば気が楽になると思っていたのが本当のところだ……だから……ラウダ、お前に決めて欲しい』

『……!』

『俺を代表から降ろすか、断罪するか……でなければ、俺は進めない……! 何も……手に入れられない……!』

 苦悶ともに心内を明かすグエル。兄の告白にラウダは歯を食い縛った。そして。

『そんなこと! するわけないだろう!』

 小さくなった兄の体を抱きしめる弟。

『本当に……! 本当に、よく戻ってきてくれて……話してくれて……ありがとう、兄さん』

『!!』

 グエルは、ラウダに抱き止められたまま、大きく嗚咽をした。

 その光景を見たペトラも思わず涙腺が緩み。

『……ペトラ、この事は僕達だけの話だ。約束、してくれるね?』

『はい……はい……⎯⎯!』

 

 その後、グエルが落ち着きを取り戻して間もなく、通信を終えたミオリネがその場に現れる。彼らは会議室を出てすぐの休憩所で話していたのだ。

 

『どうしたのこんな所で。悪巧みかしら』

 ミオリネは普段の調子で三人に話し掛ける。勝手な言いがかりにペトラは反応するも。

『なっ違います⎯⎯!』

『ああ。お前の言う通り、悪巧みをしていた。……聞きたいか?』

 グエルが軽口でそれをいなし。

『……別に。興味ないし』

 ミオリネは素っ気なく答えると会議室に向かって歩きだす。

『……いいのか? お前の花婿が泣くことになっても?』

『そ、それはダメよ!!』

 その背中を追う形になりつつグエルが返すとミオリネは振り向く。

『ああ。油断するなってことだ⎯⎯』

 調子を取り戻したグエルが、ミオリネと共通に思い合う人物の話題で談笑する。その後ろ姿を見守るラウダとペトラは、改めて、グエルに付いて行くと決心するのだった。

 

 ⎯⎯⎯⎯ペトラがはッとすると時計のアラームが鳴り、次の予定を報せている。彼女は目の前のモニターをスリープさせると、それに取り掛かる為、部屋から移動した。

 

※シミュレーター訓練~グエル、フェルシー。その後ペトラ到着

「⎯⎯先輩! グエル先輩!!」

 シミュレーター訓練を終えたグエルとフェルシー。その装置から降りたグエルは青い顔で激しくえづき、フェルシーが名を呼び介抱する。

「社長!?」

 そこへ、タオルとドリンクボトル持ったペトラが現れ二人に駆け寄った。

「しっかりして下さい! これを……!」

 グエルはペトラを確認すると、その様子のままに差し出される物を受け取る。

「あ、あぁ……ありがとう……ペトラ……………うぅッ!?」

「い、一体どうしちまったんだよ……」

 フェルシーは初めて見るグエルの様子に動揺を隠せない。

「フェル、シー……お前が、気に病む必要は、無い……。これは……俺が、解決すべき問だ⎯⎯げっほげほ……」

 だがフェルシーは心配そうに彼に寄り添い続けて。

「……社長、ご予定をキャンセルされたほうが……」

「はぁ、はぁ…………大丈、夫だ……じきに落ち着いてくる……世話を、掛けるな……」

「……わかりました」「あっ……」

 辛うじて気を取り戻すグエルが移動する。フェルシーは、掛ける言葉がみつからない。しかし。

 

「……フェルシー」

「は、はいッ!」

「今のこんな俺を見せられるのは、お前しかいない。悪いが、調子を取り戻すまで付き合ってくれ」

「わ、わかったっす……」

「……ありがとう。ふぅ……行こう」

 

 シミュレーター室を去る二人の姿を、フェルシーは名残惜しそうに眺める。だが彼女は、彼の言葉を思い返すと小さく拳を握り、自身の訓練を続行した。

 

 

※社長室~グエル、ペトラ、スレッタ、プロスペラ

「⎯⎯では、改めて自己紹介を。シン・セー代表を務める、プロスペラ・マーキューリーです。この度のエアリアル受領変更に伴い、挨拶に伺わせて頂いた次第です」

「……前代表、ヴィム・ジェタークに変わり代表となりましたグエル・ジェタークです。……いつかの廃棄処分会議の際は失礼をいたしました」

 グエルとペトラは社長室でプロスペラと挨拶を交わす。その場には⎯⎯

「さ、あなたも挨拶を⎯⎯スレッタ」

「はッ、はい……! よ、よろしく、お、お願い、します……」

 微妙な空気で挨拶するスレッタに、グエルはふっと表情が和らぐ。

 

「……前代表の訃報には、心より、ご冥福をお祈りします」

「……ありがとうございます……」

「ヴィム前代表には、色々と相談に乗って頂いたこともございますの……出来る事なら、きちんと感謝を申し上げたかったのですが……残念です」

「そう……でしたか……」

「……代表のわたくしから、引き続きジェターク社からの変わらぬお力添えを、よろしくお願いいたします」

「新任の私がどこまで勤まるか分かりませんが……微力を尽くしましょう⎯⎯」

(…………)

 ペトラは緊張の面持ちで二人のやりとりを見ている。

「……ふふふっ」

「? ……何か?」

「いいえ、申し訳ございません。ただグエル代表の御召し物」

「……服、ですか?」

「はい。数日前までは娘が着ていた物を、母でもあるわたくしの前で身に付けて、堂々としていらっしゃるので……少しばかり、思う事があったのです。気を悪くなさったのなら、平にご容赦下さいませ」

「ああ……いえ。こちらこそ、気が回らず……」

「どうかお気になさらず。……決闘者のホルダー⎯⎯ミオリネ嬢との、婚約の証だとか」

「そうですが……まだ、わかりません。……総裁選の準備と重なり、正式な決定は延期されました。ですのでその間に私が負ければ、その権利は勝者へと譲渡されます」

「まあ……! ですってスレッタ。まだあなたにもチャンスが巡ってくるかもしれないわ、あまり落ち込まないで」

「おッ! お母さんっ……!?」

「ふふ……では、世間話はこのくらいにして、わたくしはエアリアルの様子を見に、この辺りで失礼します……」

 退出しようとするプロスペラだが、ペトラが反応し呼び止める。

「お、お待ち下さい! 勝手に歩かれては困ります……! 社外秘もありますので………」

「あら、わたくしとしたことが。失念しておりましたわ……」

 すかさずペトラは通信機を手に取り、スタッフと連絡を取る。

「社長室です。シン・セー代表が退出されます、案内役を一人⎯⎯はい……」

 通信する間、スレッタは母の横顔を眺めて、ここ数日間あったミオリネとの交流を思い返す。しかしそれは、部屋に届くノックの音でかき消された。

 

 案内役が到着し、プロスペラが挨拶をする。

 

「……それでは、わたくしはこれで⎯⎯スレッタ」

「は、はい」

「学園のお勉強も()()も頑張ってね⎯⎯」

「⎯⎯えっ……?」

「? どうかした?」

「う、ううん、何でもない。お母さんもお仕事、行ってらっしゃい」

 スレッタの挨拶を聞き届けたプロスペラは、行き先を案内役に告げ、社長室を後にするのだった。

 

 それを見送ったペトラは、グエルと静かに言葉を交わす⎯⎯

 

「⎯⎯ミオリネさんの言っていた『クワイエット・ゼロ』……その話はありませんでしたね……」

「ああ。……俺達はかやの外なのか、ただ単にまだ話す時期ではないのか……そして、それすらもあの人の掌の上でしかないのか……まったく油断ならない人物なのは確かだが⎯⎯ん?」

 と、グエルは、ぼうっと社長室の入口を眺めたままのスレッタに気付いて声をかける。

 

「どうしたスレッタ。何か気になることが?」

「あっ、い、いいえ! 大したこと、じゃ、ないんです。……けど…………」

「? けど……なんだ? 教えてくれ。俺達はあの人の事をほとんど何も知らない。少しでも情報が欲しい」

「は、はい……その……」

「ああ」

「なんでか知らないけど、お母さん、決闘をする事を、知っていたみたいで……」

「…………話して、無いんですか?」

「は、はい……。最近色々あって、頭の中、整理したりしてたら、すっかり言いそびれてて。けど、時期が近くなったら伝えれば良いかなって思ったりして、まだ、話していませんでした」

 スレッタの回答にグエルとペトラは疑問符を浮かべて。

「……あ、もしかしてあれじゃないですか? エアリアルはずっと決闘続きだったから、あると思い込んでいた、とか……?」

「…………だが当のエアリアルは、どんなに軽く見てもあれは“中破“だぞ? とても戦える状態じゃないと思うが……」

 うぅ~~ん……と頭を傾げる三人。やがて。

 

「⎯⎯駄目だな、ここで悩んでいてもわからん。とりあえずのところは学園にいくか」

「「はいっ⎯⎯ぁっ……」」

 グエルの登校合図に、不思議と声が揃ってしまう二人だった。

 

※格納庫~ラウダ、ケナンジ他メカニック

「…………」

 搬入されたエアリアルを厳しく見つめるラウダ。その機体のほとんどはシートに覆われている。

「しかしまさか、辛酸を舐めさせらた相手を、こうして目の前にするなんて経験……あの時は思いもしませんでしたねぇ」

「ああ、僕もだ」

「けど本当にいいんですかい?」

「そうだね……何も思わない、と言えば嘘になるけど、兄さ⎯⎯代表が決めた事だから。なら僕達は応えるだけさ」

「…………」

 ラウダとケナンジが会話していると他の作業員達も、それを眺め始めて。

「ほ~ら、まだ作業は終わっていない。持ち場へ戻れ」「「「了解~……」」」

「ふ……じゃあ、僕は学園に行くよ。ここは任せた」「はいっ」

 ケナンジの指揮で気を楽にするラウダ。彼もまた学園に登校するのだった。

 

※登校~グエル、スレッタ、ラウダ、ペトラ、フェルシー。ミオリネ登場で〆

 ⎯⎯街を歩き、学園へ向かう一同。

 開始スレッタは、グエルとペトラと共に歩いていた。だがその後、ラウダとフェルシーの二人も偶然合流し、その所帯を大きくしていた。

「⎯⎯あ」

 と、この状況にスレッタは思う。

「どうした?」

「今、私、“やりたい事リスト“が、また一つ埋まりました……!」

「……やりたい事リスト?」「なんだいそれは……」

 ペトラとラウダはスレッタに訊ねて。

「はいっ。私、今みたいにこうやって、たくさんのお友達と、登校してみたいって、ずっと考えていたんです……!」※ここ作者アレンジ

「「……お友達、ね……」」

「はッ!? あぁッえぇっと、ご、ごめん、なさいっ! 急に突然お友達なんて失礼ですし迷惑ですよね!? 私なんかがお友達なんてっ!」

 早口でスレッタが慌てて取り繕い、その場に微妙な沈黙が流れる。と、そこへ。

 

 グエル~……

 

「あ、み、ミオリネさん……。あの、それじゃ、私はこれで、失礼します……」

 遠巻きにミオリネが現れ『婚約者』を呼ぶ。彼女の計画上、学園では表向きそういう“てい“で進める為、必要な時を除いて二人は距離を置くようになった。

「……スレッタ・マーキュリー」

 だが、ラウダは彼女を呼び止め。

「思えば君には、失礼な態度を取り続けてしまった。……今となってはこうして頭を下げる事しか出来ない……この場を借りて、謝罪させてくれ」

 頭を垂れる彼の様子にペトラもフェルシーも倣い。

「「……ごめんなさい……」」

「あぁッそ、そんなええっと、じゃあ一つだけ、お願いを訊いてくれませんか……?」

「僕達に出来る事ならなんでも……!」

「は、はい……その、ち、地球寮のみんなとも、仲良く、して欲しいなって。す、少しずつ、で、いいので……」

 そんな四人の様子に安心したグエルも表情を明るくして。

「……よし。じゃあ俺は、ミオリネのところへ行く」

「はい、私もこれで。よろしく、お願いします」

 スレッタは三人に、改めて丁寧に頼むとその場から離れて行った

「「…………」」

 ラウダとペトラは静かにそれを見送り。

「……あ~あ、グエル先輩。結~局ミオリネさんと結婚しちゃうのかぁ……」

 フェルシーは少し寂しそうにごちる。そしてそれに目をやる二人は⎯⎯

(ど、どうしましょう……ラウダ先輩……)

(うぅん、気の毒だけど、まだ伏せておこう。僕達に話してくれたように、きっと彼女にも話すはずだ……)

 ⎯⎯心苦しく思いながらも、ひとまずは明かすことを保留した。

 

※学園~ミオリネ、グエル。(スレッタとニカ、テキストのみ) 回想~ミオリネ、マルタン、ラジャン。回想後、女生徒二人登場で〆

 

  ⎯⎯学園・エントランスホール⎯⎯

 

「⎯⎯どうだった? あの人の様子は」

「うん⎯⎯」

 ミオリネとグエルが婚約者同士らしく会話する。しかし内容は、そんな関係とは程遠いモノである。

 周囲も二人に気を使っているのか、寄り付く気配がない。だが興味自体はあるようで、階下や階上では横目で見る生徒が少なからずいる。

 

「……お前が話してくれた“プラン“とやらだが、あの場で出る事は無かったな……」

「っ……そう」

「ただの世間話をしたくらいで解散した。あの場には、スレッタもいたからな……」

「あのコも? ……だから今朝は一緒に登校していたのね」

「……スレッタと言えば、気になることを言ってたな……」

「気になること?」

「ああ⎯⎯⎯⎯」

 

『⎯⎯お母さん、決闘をする事を、知っていたみたいで⎯⎯』

『⎯⎯最近色々あって、頭の中、整理したりしてたら、すっかり言いそびれてて。けど、時期が近くなったら伝えれば良いかなって思ったりして、まだ、話していませんでした⎯⎯』

 

「⎯⎯⎯⎯………」

 グエルの話をミオリネは沈黙を持って応える。彼もそれを見つめていたが、階下でその渦中の人物が目に入り視線を落とす。そこには一人の見覚えのある女生徒が、スレッタと談笑しているようだった。

「……確か彼女は“ニカ“といったか。学園に戻ってこれたようで何よりだな……」

「えっ? ……ええ、そうね……」

「なんだ、お前こそ気になることがあるみたいじゃないか」

 グエルの疑問にミオリネは、ニカが戻った時の事をかいつまんで説明する⎯⎯

 

  ⎯⎯決闘後の翌日~ベネリット社・ミオリネの部屋⎯⎯

 

 ミオリネは、正式な引き継ぎに必要な手続きと、会議に出席する為に本社自室に居た。その時、ガンダム社と定時連絡をする。

「どうだった? そっちの様子は⎯⎯どうかした、マルタン……?」

 通信相手のマルタンは正装のミオリネに少し気を取られ。

『あ、ああごめん。えっと、みんな混乱したけど、なんとかわかってくれたよ』

「よかったわ、今度そっちに戻れたら改めて説明の機会を設けて、質問があるならその時にでも」

『うん……わかった、みんなにもそう伝える。……それでなんだけど……実はニカが、参考人聴取を終えて戻ったんだ……』

「あぁ……良かった。彼女も解放されたのね。それで様子は?」

『……うん、普段通りに振る舞おうとしてるよ。でも腕をケガしていて、見てて痛々しいかな……ランブルリング襲撃の時、倒壊した瓦礫に挟まれたって。だから戻ってこれなかったんだね……』

「そう……。他にも何か、変わった様子は無い?」

『他に……他にかぁ……あっ』

 マルタンは、腕を組み頭を傾げるとそれに思い当たる。

『大したことじゃあないんだけどね、聴取を受けて色々訊かれた割には、初めて聞く事ばっかりみたいで驚いてたな……』

「……まあ人間だれしも、混乱すれば人の話なんて理解も難しいでしょう」

『うーん……けど、僕達が決闘を受けた事は、知ってるふうだったんだよね……』

「……えっ……!?」

『まあ彼女の事だから、別の誰かに訊いただけなんだろうけど⎯⎯ミオリネ?』

 マルタンが呼ぶミオリネの表情は険しく。

「あ、ああ、ごめんなさい。なら、そうね……私が留守をする間は、彼女に社長代理を任せようかしら? 伝えてもらえる?」

『えぇッ!? 随分と思いきった采配だね……!』

「……腕をケガしてるんでしょう? それなら現場より、まとめ役を頼んだ方が良いわ。大丈夫、彼女なら適任だから」

『うん、まあ、それは否定しないんだけどさ……他にもいないかなあ…………僕、とか』

「……マルタンは頼りにならない……」

『たっは!? 言われちゃった……』

「……ごめんなさい時間だわ。とにかくそっちはそれでお願い」

『……わかった。ミオリネも頑張って』

 ミオリネは、マルタンの応援に感謝を告げて通信を終える。そして一息つくとまもなく、社員から会議の準備が完了したと連絡が届く。

「……ごめんなさい、二分だけ頂戴⎯⎯ラジャン、急ぎ相談が……」

 彼女はその連絡に断りを入れると、然るべき相手に通信をするのだった。

 

  ⎯⎯現在⎯⎯

 

「⎯⎯彼女を社長代理にしたのか……!?」

「ええ。リリッケは私の補佐に付きっきりだし、他に適役が思い付かなくって」

「……そして、そのコも何故か知っている決闘……か……ふむ」

「ま、()()()()()()はしたから、大丈夫よ。……一番良いのは、全てが私の思い過ごしであることだから」

「……しかし、お前が言う“最低限“は良い意味でアテにならないからな……!」

 グエルは先日スレッタを陥れた(?)出来事を重ねて笑いながら話すと。

「なッ!? それはどういう意味よ!?」

「そのままの意味だ。我が身を振り返ってみるんだな⎯⎯!」

「ちょッ!? 待ちなさいってば⎯⎯!」

 ミオリネの引き留めの言葉は学園の鐘の音によって上書きされる。そして⎯⎯

 

「⎯⎯……なんだろうアレ……?」

「さーあ……? 痴話ゲンカかな……」

「折角『元サヤ』に納まったのなら仲良くすれば良いのに~」

「「ね~~え?」」

 ゴシップを好む女生徒二人が、階上で現場を目撃し感想を述べていた。

 

『表向きは婚約者』というカムフラージュは、上手く、機能しているようである。

 

 

※放課後~ニカ、ノレア

 ⎯⎯時刻は夕方。放課後になり、寄り道をして社屋へと向かうニカ。少し緊張しながらも、何食わぬ顔で端末を見ては歩き、歩いては立ち止まり端末を見る。

 そんな、挙動不審な彼女の後をつける一人の“影“。

 

 ニカは立ち止まり、周囲を気にしながら人気のない路地へ曲がると、その“影“も、彼女を見失わぬように距離を詰める。そして“影“が路地を覗くと。

「っ!?!?」

 ニカの姿が跡形もなく消え“影“は混乱する。影は彼女を探す為に、手当たり次第、建物の扉を調べた。

 

 ⎯⎯ある無人の建物内。そこではニカが息を潜め、影をやりすごそうとしている。

 ニカは近付く足音に息を飲む。それが扉の前で止まるも、開ける事を諦め、足音は遠ざかっていった。

「はぁ~~……」

 安堵し、ニカが息を吐いた直後⎯⎯

「あんった……」

「⎯⎯ッ!?」

 背後の暗がりからノレアが現れる。彼女はニカの口を塞ぎ、壁に押し付けるとその顔の横にナイフ突き立てる。ニカは片腕を負傷したままで、満足に抵抗も出来ず、ノレアにされるがままだった。

「⎯⎯良いですか? 今からこの手をどかしますが、絶 対 に 叫 ば な い で 下 さ い わ か り ま し た ね ?」

「~! ~!」

 口を塞がれるニカは、もがきながら首を縦に振り肯定を示す。

 ノレアは怒気を込めた息を吐き捨て、ゆっくりとナイフ、そしてニカの口から手を離す。

「っ……はぁっはぁっ……!?」

 ニカは恐怖で腰を抜かし、酸素を求めて床の空気で呼吸する。

「まっったく……あんた、解放されてまだ三日も経ってませんよ!? なのにもう尾行されてるとか、一体どれだけドンくさいんですか!?」

「ごめん……なさい……! ごめんなさぃ………!」

 狼狽と、嗚咽と、謝罪を同時に行うニカに、もう正常な判断は難しい。

「……襲撃事件に関してはグラスレーが根回ししました。それでも尾行(つけら)れてるって事は、そもそも信用が無いんですよ」

「…………」

 ニカはその言葉で自分に味方が居ないと悟ってしまう。

 

 ノレアはニカの端末を奪うと操作して。

「……ん? へぇ……」

「……?」

 口元を邪悪に歪めた彼女を不思議に見るニカ。

「これ、MSの企画書ですね? どうやって手に入れたか教えて下さい」

 ニカはノレアから、自分の端末に記録したそれを見せつけられる。ニカは袖で顔を拭い。

「は……はぃ……ミオリネさん、から……代理を任されて……その会社の端末に入ってました……」

「……データを直接コピーしなかったのは?」

「記録が残る恐れがあったので、アナログで……写真に収める事にしました……」

「……画質が荒いですが……内容としては上出来でしょう。見直してあげます⎯⎯」

 ノレアはニカに背を向けたまま、その情報をグラスレーへと転送する。

「⎯⎯が、滑稽ですね。折角の信用を、こうしてふいにしているのですから……!」

「それは……! あなたが他の人に危害を加えるって言うから……!!」

「だから?」

「!?」

「だから……なんだっていうんですか!? 自分が手を汚して! 他人を助けているつもりですか!?」

「ち……違⎯⎯!」

「違いません! 結局ッ、あんたは自分が可愛いんです! 自分を正当化する事ばかり並べて! 自分がすでに汚れた人間だと気付いてない!!」

「……ッ!?」

「……あんたはもう、“こちら側“の人間なんです、諦めて下さい⎯⎯ああそれと、撮影データを消しても無駄ですよ。私の端末にも転送したことで、その記録が残ったでしょうから」

 用事の済んだノレアは慎重に建物を後にする。

 

 我が身が可愛いく、他人も粗末に扱えない⎯⎯ニカは、自分がただ落ちていく人間でしかなくなったことに、うちひしがれていた。

 

※ペイル社の一室~シャディク、エラン、ペイルCEO、オリジナルエラン? 一幕後サビーナ登場。

「⎯⎯手を煩わせましたね、シャディク」

「いえいえ。お役に立てたのなら、同盟社として幸いに思います」

「フフフ……心にも無いことを」

 ペイル社の一室。そこではシャディクがペイル社のCEO四人の前に、エラン事『人工人士五号』を連れて来ていた。そして、大型モニターに向き、背を見せたままの男。

「さて……人士五号、何か申し開きはありますか?」

「~~……ちっ、ベルメリアだよ……!」

 人士五号が思い付くままに言い訳にをすると続きを促される。彼は後に引けず、もう適当に言葉を並べるしかない。

「あと……あと少しだったんだッ! ヤツは協力するどころか、諦めるように言ってきたんだ! 俺だってむざむざ処分なんてされたくない!」

「ふん……ベルメリアですか。何度も出頭を求めていますが、応じる様子はありません」

「成程。彼女が姿を見せない背景は、そういった理由でしたか」

 彼の言い文は、まぐれながらも大きく外れていなかった。人士は胸を撫で下ろし⎯⎯

 

「っざけんなよ……!」「ッ!? がはッ!」

 

 ⎯⎯かけて、それをさせまいと、床に組み伏せる人士と同じ顔をした男。

「一体……! お前に……! どれだけのカネと時間を掛けたと思ってやがるッ!」

「ぐぁああ……!? がっああぁぁ……」

 人士の腕はぎりぎりと捻り上げられてゆく。その行動には一切の容赦が見られない。

「ぉ……ぃ……シャディク……!? 掛け合って、くれるん、だろぉ!? あああぁぁぁッ……!!」

「ふぅ……すみません、私から提案が」

「ああン!?」「待ちなさい。聞きましょうシャディク」

「……はい。彼をここで処分する事は、得策では無いかと」

「ほぉう……?」

「私が総裁になればエアリアルが手に入ります。その時、彼無くして、一体誰がアレを解析出来るのでしょう……?」

「…………」「確かに……」「……真にアレがGAND-AMともなれば、常人には難しいですね……」

「……まあ、そちらが新たな人士を用意する準備があると言うならお構い無く」

「オイ!?」

「しかし、忠告はしました。後はそちらでお決め下さい⎯⎯」

「⎯⎯もういい、お前は邪魔だ。出ていけ」

「かしこまりました、どうか賢明なご判断を⎯⎯」

「出 て い け !!」

 

 組み伏せられる人士には目を瞑り、言われるがままにシャディクは部屋を後にする。

 その後ろで、自分の名が悲鳴のように叫ばれているが、彼は振り返ることなく、去ることを選んだ。

 

「⎯⎯お帰りなさいませ。少しお顔色が……」

「何でもないよ。それよりそちらの進展は?」

 シャディクは部屋の外でサビーナと落ち合う。二人はそのまま車両まで移動し、乗り込むとグラスレー社までの帰路につく。

「⎯⎯二人から送られてきた情報は企画書のようです」

「一体なんの……モビルスーツ? 新型?」

 シャディクは、サビーナが持つ連絡用のダミー端末を覗き、おおよその見当をつけて。

「はい、おそらく。ただ画像が荒く、確証は持てません。足が付くのを嫌ったのでしょう、直接写真に収めたようです。……こちらで鮮明化処理が必要ですね」

「……なるほど。その為の時間稼ぎかい、ミオリネ。空恐ろしいな……グエルの帰還から時間もそれほど経っていないというのに⎯⎯」

「そして、どうやらパイロットは、スレッタ・マーキュリー……」

 何? と、改めて端末を覗くシャディク。荒いが、確かにそう読み解ける。

「彼女も、いよいよ持って信用出来なくなったかな……ガンダムに」

 二人を使い、情報の入手に成功したシャディクは、ガンダム社もといミオリネの目論見を、すっかり看破した気になるのだった⎯⎯

 

「⎯⎯それとノレアから別件の打診が」

「聞かせてくれ」

「決闘までの中継と、見張りの連絡頻度を落としてくれ、と」

「……大方、ニカあたりが尾行されたんだろう……わかった、受け入れて良い。彼女達の働きぶりに応えて、ね」

「了解いたしました⎯⎯」

 

 こうして、四社の思惑が交錯する中、彼らの時間は瞬く間に過ぎ行く。決闘の期日は、もう、目前にまで迫っていた⎯⎯

 

  ⎯⎯決闘前日・日没⎯⎯

 

※シャディク、ガールズ五人

 グラスレー陣営、その集会室⎯⎯

「⎯⎯お疲れ、みんな。どうだい? 訓練の成果のほどは」

 そこに集っていた女生徒らは、彼の挨拶をそれぞれに応じた。

「サビーナ。今日の連絡は?」

「はい、例の新型ですが……」

 サビーナの言葉に注目が集まり。

「決闘、スレッタ・マーキュリーの搭乗機は⎯⎯」

 

「⎯⎯()()()()()だ、と」

 

 サビーナを除いた五人は、その意味をすぐに飲み込めず固まる。が、一人が吹き出すと。

「「「アッハハハ……」」」

「ふふふふ……あーあ、ミオリネさんかわいそー。結局間に合わなかったんだあ~」

 集会室は黄色い笑い声で満たされた。

「フフ……おいおい……あんまり笑ってやるなよ?」

「いやだってさあ……! どんな思わせ振りだよ!?」

 宥めるよう促し、呼吸を整えるシャディクは続けて。

「……そうやって甘く見て、前回敗れた事を忘れていないか?」

 女生徒達は、はッとすると姿勢を伸ばして。

「ちぃ~……ッ!」「そうだった……」

「そういうことです。緊張しすぎる事も、気を抜きすぎる事も、あまり感心しません」

サビーナ(彼女)の言う通りだ。何せ今回は、ジェタークの奴らと、組んでいるんだから」

「はンっ! 所詮付け焼き刃だろ……!?」

「甘く見るな、と言ったぞ?」

 軽口を吐かれシャディクは、少し語気を強くする。

「……とにかく⎯⎯今回は、初めから気を引き締めて掛かってくれ。ここが、正念場なんだ……!」

「「「「「………………!」」」」」

 

 女生徒達は、彼の言葉を胸に刻むと、勝利への意識を高めていった。

 

※地球寮~ミオリネ、スレッタ

 ⎯⎯ガンダム社で決闘前最後のミーティングが終わる。

 ミオリネは、地球寮の近くで端末に届いたメールを確認し終えると、帰宅の挨拶をした⎯⎯

 

「⎯⎯!! お帰りなさいっ、ミオリネさん!」

「わああぁぁっ!? ちょ!? 離れなさいッ!」

「イヤですっ!」「はあ!?」

 ミオリネはスレッタから、入室とほぼ同時に抱き付かれて、()()()()()()()()()()()()

「会議室で、顔を洗って出直せと言われたあの日から毎日……ミオリネさんが帰るまでにはお風呂を済ませて、ずっと待っていました……」

 確かに、スレッタは髪を卸し、寝間着であることから入浴後であることが窺える。またあの日を堺にして仕事に忙殺されるあまり、寮に戻ることは実に久しい。

 

 彼女のあまりの健気さに、ミオリネは思わず気を許しかけるも。

「い、一体、何時の話しをしてるのよ!? 意味わかんない!」

「ぁぅ……」

「それにっ……あんたが入っててもあたしがまだなんだけど!?」

「えぇっ~!?」とスレッタは驚き、その言葉に思わず鼻を鳴らして⎯⎯

「~~!? 嗅ーぐーなーッ!! ばかーーッ!!」

「きゃあ~!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」

 ミオリネは赤面してスレッタに怒り、強引に振りほどいて謝罪させた。

※ニカの謝罪と温度差を出しつつ

 

「⎯⎯ま~ッたく……! 少し気を許すとすぐこれなんたからー……!」

「……ぅぅぅ……」

 寮の部屋でようやく気を落ち着けるミオリネと、気落ちするスレッタ。

 

 距離を置くこと三週間⎯⎯二人の間には、以前と変わらない空気が流れると。

 

「でも、本当に良かったです」

「スレッタ……うん……」

「私、わかりました。あのとき、どうしてミオリネさんが怒ったのか……」

 スレッタは温室での出来事を思い返し。

「……このままじゃ、私、ほんとになんにも無くなっちゃう……」

「ん……」

 ミオリネは静かに肯定する。

「私、もう、殺したく、ありません。壊したくありません……。ミオリネさんも、学園での生活も。だから、これで良いんです」

「……学園生活で、決闘は避けられない。けどあんたはエアリアルに乗っちゃう。……いつか殺しちゃう……殺されちゃう……」

「はい……否定、しません……」

「だったら、あんたに“代わり“を用意すれば済む話だったんだわ。最初からね」

「……本当に、ありがとうございます、ミオリネさん。全部……無くなる前で……ほんとに」

 声を震わせるスレッタは、ミオリネに慰められる。

「私には、お母さんと、エアリアルしか、ないから……だから、絶対、手放しちゃいけないって……考えてました。でも、今は、ミオリネさんが居ます」

「⎯⎯えっ……」

「私は、手放したくありませ⎯⎯! 痛い痛い痛い!? な、何するんですかミオリネさん!?」

 ミオリネは全てを知ったような口をきくスレッタの頬をつねた。

「あんた、まだわかってないわよ」「⎯⎯え……」

「もう一度思い返しなさい! あんたが今ここまでこれたのは! 本当に私だけだった!?」

 

「!!!」

 

「学園に来て、最初に助けてくれたのは誰⎯⎯!?」(ニカさん……)

「地球寮のみんなと、ここまでの関係を作れたのは⎯⎯!?」(チュチュさん……)

「いままでずっと決闘のバックアップをしてくれたのは⎯⎯!?」(地球寮の、みなさん……)

「そして今それに気付けて、協力してくれたのは⎯⎯!?」(グエルさん……ジェタークの、人達……)

 

「私はあんたに! 私だけを大切にして欲しいんじゃない!! あんたの事を……! 大事にしてくれる全ての人を! 大切にして、手放してほしくないのよ!!」

 

 ミオリネの激しい叱咤に、スレッタの両目からは熱いものが、込み上げていた。

 

「……ようやくわかってくれた?」

 スレッタが小さく頷くと、ミオリネは彼女を優しく抱き寄せる。

 

 スレッタは、自分が如何に危うい人間であったかと認識して、その腕の中で、謝罪の言葉を繰り返していた⎯⎯

 

 

 

 ⎯⎯スレッタが落ち着きを取り戻すと、二人は冷静に話し合う。

「⎯⎯あのっ、ミオリネさん。本当に、ありがとうございました。それで、あの、私達……仲直り、出来ました、か……?」

「……馬鹿ね。ケンカなんて、初めからしてないわよ」

 ミオリネが柔らかい笑顔みせて、スレッタも明るい表情を取り戻す。そして。

「あの、これ、受け取って欲しいです……!」

 スレッタが差し出す水色の、ミオリネが彼女に投げ渡した人形。だが、ミオリネは手を伸ばし切らずに躊躇した。

 

 ⎯⎯あの時、ミオリネは本気であった。あそこまでして、それでもわかってもらえなければ、本当にスレッタを見限る心算だったのである。

 

 彼女は良心の呵責に苛まれて。

「…………」

「⎯⎯ミオリネ、さん?」

「ごめん。私はまだ……心の整理がつかない……。あ、勘違いしないで。これは、スレッタのせいじゃないから」

「……そう、ですか……」

「私の心の整理がつくまで、あなたが預かっていて。それじゃ⎯⎯」「あ、それなら⎯⎯!」

 と、スレッタはミオリネの手を掴むと、彼女のそこへ無理矢理何か握らせる。

 

 驚いたミオリネが拳を開くとそれは、色違いの、スレッタの、オレンジ色の人形だった。

 

 感極まりそうになるミオリネはスレッタに背を向け。

「……ミオリネさんに、私の人形預かって欲しいなって、思ったんですけど……駄目、ですか?」

「……!」

 ミオリネは首を横に振りその言葉を否定した。それ以上の言葉が出ない彼女は思わず。

「⎯⎯それじゃあ、おやすみ」

「ってあれぇ!? ミオリネさんお風呂は!?」

 部屋に入り扉を背にしたミオリネは、はッとし。

「あっ、明日! 明日の朝に、入る……」

「……そうですか」

 そう答えを聞いて柔らかく返すスレッタ。そして。

「スレッタ」

「なんですか?」

「その、色々と、ごめん。あと、温室のお世話、ありがと……」「……はい」

 

「おやすみ……」

「おやすみなさい、ミオリネさん」 

 

 就寝の挨拶を聞き届けたミオリネは、スレッタから預かった人形を握りしめる。

 彼女はそのまま端末を操作し、一人を除くガンダム社員全員に、あるメールを、送信した。

 

 

  ⎯⎯決闘当日・格納庫⎯⎯

 

※フェルシー回想、グエル。その後ペトラ、チュチュ

 出撃直前⎯⎯フェルシーはある機体を、真剣に見上げていた⎯⎯⎯⎯

 

  ⎯⎯昨日~ジェターク陣営⎯⎯

 

『⎯⎯グエル先輩、相談がありますッ』

『どうしたフェルシー、改まって』

『先輩の機体(ディランザ)をあたしに、貸して下さいッ』

『……! 良いぞ』

 フェルシーは声にならない声を上げて喜んでいると⎯⎯

『フェルシー』

『はいッ』

 名を呼ばれて素早く居直す。

『この決闘が終わったら、お前()()、話しておきたい事がある』

『……な、なんですか? それは⎯⎯』

『お前に決闘に集中してもらうため、今まで黙っていた。訓練に付き合ってくれて、助かった。決闘に間に合ったのはお前のおかげだ、ありがとう』

『先輩……』

『明日も、お前の働きに期待している⎯⎯』

 

 

「⎯⎯⎯⎯フェルシー!」

 挨拶に来たペトラが名前を呼ぶ。

「あっ、聞いてくれよペトラ。グエル先輩が決闘の後話しがあるって言われたんだ! くーッ! なんだろうなあ!?」

「そ、そう、なんだ……(グエル先輩なんて伝えたの……!?)」

 不要な期待を抱くフェルシーにペトラは苦笑いする。

「それよりも⎯⎯」「おう⎯⎯」

 

「…………ちッ」

 チュチュはジェタークの二人が会話しているのが目に入り少し気分を害した。

 

※コクピット~ミオリネ、スレッタ

 スレッタが機体に乗り込み、計器チェックしていると。

「⎯⎯スレッタ」

「ミオリネさん!」

「どう? いけそう?」

「はい、任せて下さい! もう、誰も殺しません。誰も、殺させません。私は、手放したくないものしかないので……!」

 スレッタの頼もしい返事を聞き、ミオリネは心の底から安心した表情をする。だが

 

「いーい? ()()()()()()にキズの一つでもつけてみなさい? その時はまた、婚 約 を 解 消 す る か ら」

 ⎯⎯彼女は軽い怒気を込めてスレッタに告げた。

「はッ、はい!」「……よし」

 

「……子、供……? あの、ミオリネさん……?」

「何よ、文句ある?」「い、いえ!? その……」

 何を口走ったのかミオリネ本人も自覚し、その顔は赤い。

「……家族なんでしょ、エアリアルは。あんたにとって。だったら、この機体も⎯⎯私達の家族だと思いなさい……!」

 

「…………はい……っ!」

 

※オペレーター室~ミオリネ、ニカ、その他ガンダム社生徒

 ⎯⎯社員達がオペレーター室に着席すると、パイロットが順次発進コールをする。

※すみませんここは各自で補完願います。グエル/ダリルバルデ、ラウダ/ディランザ、フェルシー/ディランザ、チュチュ/デミトレーナー、リリッケ/デミトレーナー……です。

 

 そして⎯⎯

「スレッタ・マーキュリー、(新型機体名)! 行きます!」

 

「⎯⎯ッ!?!?」

 オペレーター室が湧く中、ただ一人、晴天の霹靂をその身に浴びる人物。それは⎯⎯

 

「どうしたの? ⎯⎯ニカ、顔色が良くないけれど?」

「!!」

 そう訊ねられたニカはミオリネに振り向き、茫然自失といった表情で、決闘はまもなく決心解放(フィックス・リリース)⎯⎯




※お読みいただきありがとうございます。原作のアンチ・ヘイト、妨害を行う意図は全くありません。本当にこうなる(当たらずとも遠からず)期待を込めて書きました。
もしも、あまりに内容とかけ離れていた場合、この小説は筆者における『理想ルート』ということで、ご理解いただきたく思います。

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