この時期、ケチらずクーラーを付けて熱中症には気を付けましょう。
体調も戻ったので頻度を上げていきたいと思います!
小松にとってトリコはカリスマ美食屋であり、今のグルメ時代に火を点けた先駆者である。
ホテルグルメで出すガララワニの捕獲に同行し、トリコの野生なまでの強さに惹かれてか、今回の虹の実の捕獲依頼にも付いてきた。
そして、第8ビオトープへの送迎車の中でトムからもらった大量の金色イクラを頬張って上機嫌になるトリコから気になる情報を確かに聞いた。
「依頼と言えば、IGOが依頼したもう一組の美食屋と料理人コンビはどうなったんだ?」
「お二人は既に第8ビオトープに入りました。先にビオトープ内の食材で英気を養いたいのだとか」
「おぉ!? そりゃ楽しみだ!
小松は正式に依頼されたわけでないため、詳しい依頼内容を知らない。
そのため、トリコの言う「もう一組のコンビ」について気になった。
「もう一組って、ボクたちの他にも虹の実を?」
「あぁ、二人とも無名ってことで実力の程は未知数だが、料理人に関しては小松、お前にとってはラッキーかもしんねえぞ」
「ラッキー……ですか?」
首をかしげる小松に対し、トリコは口角を上げる。
「今回来ているライズってコックは節ば……節乃の第一弟子って話だ」
「えええぇぇぇぇぇ!? 節乃って、あの美食人間国宝の!?」
トリコもいつになく騒がしいと思うが、小松の気持ちも理解できていた。
既知の仲である節乃に弟子がいたことはもちろん、そもそも節乃からの修行に耐えられる料理人がいたことに最初は驚いていた。
節乃の年と熟練された技術を考えれば、跡取りを育てて後世へ技術を残す考えも理解できるが、実際にそれに足る人物がいたとなると驚きはひとしおである。
「それって本当なんですか!? もし本当なら大ニュースですよ!?」
「オレも実際にあったことねえから確信持って言えねーが、信頼できるスジから聞いたから間違いねえはずだ」
「そ、そんな人と会えるなんて……来てよかった~! テンションメガメガだ~!」
「今日は虹の実がメインだからな。楽しみなのは察するが、目的忘れんなよ」
「あぁ、こんなことなら色紙を持ってくるんだったぁ……服に何か書いてくれるかな?」
「聞けよ」
まさかの出会いに気が弱いと思われていた小松も子供のようにはしゃぎ、顔が凄いことになっている。
余りの変わりようにトリコも本来の目的を忘れられても困るから軽くたしなめるも効果は見られない。
めんどくさくなって放っておこうと思ったとき、目的地が見えた。
「お、見えてきたな」
これから危険地帯に足を踏み入れるとは思えないくらいに楽しそうにするトリコと小松の様子に車を運転するヨハネスは苦笑するのだった。
目的地に着いてからビオトープ内に入っていない時点で既に依頼は始まっているとトリコは再認識させられた。
トリコという強者が放つ匂い、もしくは雰囲気を感じ取ったのかトロルコングの先制攻撃は安全とされる壁の向こう側から始まっていた。
地鳴りがするほどのドラミングで姿が見えないはずの獲物に威嚇をしたのはひとえに野生の勘と言わざるを得ない。
普通ならこの時点で大抵の生物は恐れをなして逃げていくのだが、いかんせん相手が悪かった。
トリコの「威嚇には威嚇を」という発想で小松たちを困惑させながらも、驚異的な腕力でそれを実行した。
戦車でも攻略困難な分厚い壁を釘パンチ3連でこれみよがしに破壊することでトロルコングへの威嚇及び、ゲート5km圏内に猛獣がいる限り出入り口は封鎖と言うルールを突破した。
大穴を開けたトリコが意気揚々と入場したその時、ゾンビタイパンを投げつけられ攻撃を受けるも、葉巻を咥えて全身からゾンビタイパンの嫌がる煙を出して難を逃れた。
トリコからの威嚇をも逆手に取り、人間に近いやり方で攻撃する様子からトロルコングが腕力だけでは出せない厄介さを持ち合わせていることを示している。
ビオトープ入り口付近で既に今回の依頼が一筋縄でいかないことを身に染みて感じたトリコが気合を入れていたその時だった。
「おわああああああああああぁぁぁぁ!」
突然聞こえてきたマヌケな叫び声にトリコが反応し、堀の向こう側に意識を向ける。
すると、そこにはこっちに向かって原始人が空を飛んで来ていた。
「なんだぁ!?」
「ぎゃー! ゴリラが飛んでるー!?」
さすがのトリコも人間ロケットの如き奇麗なフォームとスピードで突撃してくる原始人だかゴリラだかに似ている謎の生き物に驚きを隠せなかった。
一瞬だけ新種の猛獣かと焦ったものの、よく見なくても人間だったため事情は分からずとも反射的に受け止めようとしたその時だった。
「トング」
静かな声が聞こえた後に見た光景は、宙に浮く巨大なトングにつままれて停止している目前にまで迫っていた原始人だった。
「えええぇぇぇぇ!? 空中に浮いてる!? 本当に新種の猛獣ですか!?」
「くらぁ! 偉大なるゾンゲ様に向かって何が猛獣だ、この小僧め!」
「しゃべったああああぁぁぁぁ!?」
宙に浮かんでプラプラしている締まりのない格好をしながらも尊大な態度を崩さない謎の原人にトリコが困惑していると、堀の底から何かが飛び出してきた。
「!? 下がれ小松!」
咄嗟に猛獣が出てきたのだと思って飛び出してきた何かに構える。
小松も何事かと思いながら緊迫したトリコの声に反射的に後ろに下がった。
何が来ても対処できるよう相手を見定めると、それは意外にも人間だった。
白髪で鼻頭に引っかき傷のような傷が残る青年が屈強な猛獣でも容易には登れない堀の中から飛び出し、すぐ近くに着地したのだ。
その瞬間、トリコの驚異的な嗅覚がトリコに見せつけてきた。
地平線の果てまで際限なく並べられた、あらん限りのまばゆいごちそうの数々を。
「うお!?」
余りに非現実的な光景に驚愕と大量の涎を出すも、次の瞬間には現実に戻っていた。
夢か幻かも区別できないほどに強烈なイメージと匂いにさっきまで見ていたご馳走を探すも、どこにもない。
小松には見えていなかったのか、急に驚き、涎を流すトリコに対して驚きを見せているだけだった。
(今のは夢か……いや、今はそんな場合じゃねえ)
何が起こった……そう思う思考をこの場で振り切ったトリコは目の前の人物に再び警戒を抱かせる。
食うことよりもまず、目の前の人物の正体を掴むことが重要だと考えたからだ。
この短時間で何度か驚かされたトリコだが、その驚愕の大部分は謎の原人を掴んでいる巨大なトングの方に見せていた。
(これは、オレのフォークやナイフと同じ類のものか……だが、それを離れた場所から操作しているだと?)
自分の肉体をフォークやナイフになっていると強くイメージすることによって強靭な武器に変える戦法を取るトリコだからこそ巨大トングの正体にすぐ気が付いた。
このトングは自分の
だからこそ戦慄した、目の前のトングが自分のそれとは比べ物にならないほどの練度を誇ると。
(オレでもフォークやナイフを飛ばすことができねえのに、それを難なく使いこなしてやがる)
自分の身体の一部を基礎部分とし、そこにフォークとナイフになるようイメージで肉付けをすることでトリコ自身はもちろん、トリコの肉体さえも自分の腕がフォークやナイフになったという錯覚を起こさせる。
それこそがトリコの武器の正体なのだから。
だが、それはひとえにイメージを働かせているだけであり、グルメ細胞の本領ではない。
この時点でグルメ細胞のエネルギーを具現化させる方法を知らないトリコにとって
「いや、うちのツレが迷惑をかけてすまなかった。運悪くトロルコングに見つかって捕まったタイミングとあんたらへの攻撃のタイミングが重なったんだろう。ゾンビタイパンと一緒に投げ飛ばされてしまった」
トリコの戦慄もそっちのけで敵意も殺意も含まない声色で話しかけるのと同時に原人を捕まえていたトングが消えると、原人は落下して「ブゲッ」と潰れた声を上げた。
敵でないと分かるが、自分より技量の高い相手にトリコが警戒していると、原人は飛び起きて白髪頭に突っかかる。
「おいこら! オレのコンビってんならもっと丁重に扱え! ED後の勇者が姫を抱えて城に帰るくらいの寛容さはねえのか!?」
「お前が油断してたからだろうが。激突する前にキャッチしてやったんだから文句言うな」
「んだとコラ!」
「あ、あの……あなた方は……?」
目の前で喧嘩し始めた二人に対して小松は何とかなだめようとするが、トリコはそれどころではなかった。
突然のことに驚き、頭から抜けていたが、一つのことが頭に過ぎっていた。
自分の予想が正しければ……そう思って喧嘩している二人にトリコは意を決して話しかける。
「取り込み中の所悪いんだが、あんたらはライズとゾンゲでいいのか?」
そう聞くと、二人は喧嘩を止め、原人……ゾンゲはくっくと不敵に笑いだした。
「お前のような有名人に知られているオレたちこそ、何を隠そうカリスマ美食屋のゾンゲ様とコンビのライズだ! 覚えときやがれ!」
「と、すぐに調子に乗る原始人の戯言はスルーしてやってください。あ、あと俺がライズと申します」
「「ええええぇぇぇぇぇぇ!?」」
突然の会合にトリコと小松は驚きのあまり、恥も外聞もなく叫んだ。
これが後に語られる
ゾンゲとゾンビタイパン……ゾンビネタで繋がれた両者を結びつける話として書きました。
それにしてもこの主人公……チョーシに乗って強者面してますが、戦闘力はトリコよりもはるか下です。
数話でメッキは剥がれます。
基本的にはゾンゲも原作より真っ当に戦えますが、四天王よりははるか格下なので、生存能力向上とデバフ能力に力を入れた強化にしています。
地平線の料理ネタは刃牙道が元ネタです。