もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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執筆用のパソコンを買ったばかりでセットアップ等で執筆が遅れました。
個人的にも早く書きたいのですが、どうすればいいか分からないのでマイペースに書きました。


まさかのロボ退治

〇月〇日

 

 宴会で目一杯騒ぎ、心身ともに充実した。

 そしてやってきた、トリコがここに来る日。

 つまり、最初のGTロボ戦の日だ。

 

 コロシアムのバトルウルフの出てくる日が分からなかったが、トリコが来る日だということは分かっていた。

 既にやることもやってきたので、ここからは事件が起こるまでやることがない。

 ゾンゲは俺の疲労も知らずにはしゃいでコロシアムを見に行った。

 俺は流石に疲れてたから用意された自室で休んでいる。

 

 部屋からもコロシアムの様子はモニターで見れるため、何か異変が起こればすぐに分かる。

 それに、コロシアムのプログラムももらったため、大体の時間も分かる。

 とりあえず、今はもうひたすら眠い。

 

 前世でもそうだったが、何もしてない時間を過ごす方が個人的につらい。

 少し休めば全快になるのだが、最近は碌に寝る時間も確保できてなかった。

 1時間は休む時間はあるだろう。

 

 それまで少し寝ていよう。

 

 

 

 

 やばい、寝すぎた。

 3回目の目覚ましでようやく起きて状況を確認した。

 起きたら既に外がパニック状態だった。

 

 もうこのまま出るしかない、間に合ええええぇぇぇぇ!!

 

 

 

 

 

 

 グルメコロシアム

 

 IGOが上流階級にのみ開放している非公式の催しである。

 

 元々は猛獣同士を戦わせたりと戦闘能力を見て捕獲レベルを定めるための闘技場である。

 だが一方で、猛獣同士の戦いを観戦する賭博場としても高い人気を博している。

 さらに突っ込んで言うのなら、ミサイルですら敵わない猛獣同士の戦いを安全を確保した上で観戦するためにIGOに加盟する国もあるという。

 

 金と興奮で渦巻くコロシアムは現在、猛獣の唸り声と人々の悲鳴に覆われていた。

 安全対策を万全に備えたコロシアムでは考えられないような異常事態だった。

 

 屈強な猛獣の攻撃や猛獣の観客席への侵入を防ぐ超強度のアクリルドームが壊されたのだから、無力な観客がパニックになるのは当然のことだった。

 そして、その原因となったトリコの成長にマンサムは喜んでいいのか、嘆くべきかと頭を抱えていた。

 

 「トリコめ、まさかバリケードを難なく破壊するとは……相当いいもの食ってるな」

 

 そもそもの話、こうなった経緯の全てが異常事態だった。

 

 ことの発端はトリコとバトルウルフの戦いを観戦しようと誘ったことだった。

 

 はるか太古の昔、世界の森林を食い荒らし、生物の大量絶滅の危機を招いた超巨大草食獣デスゴール

 

 幾多の肉食獣をも物の数ともしなかった魔獣を絶滅させた大陸の王者。

 この世に現存する最強の狼、バトルウルフ。

 

 デスゴール終焉の地から採取したDNAを元に復元したクローンといえど、現代に復活した雄大な姿に誰もが感動した。

 その卓越した戦闘力も並の猛獣では届かないと判断し、ガウチ、ゲロルド、エレファントサウルス、シルバーバックの4体をあてがわれた。

 本命となるデビル大蛇の前の前哨戦という扱いであるが、その熱気は本日最高潮のものと言えた。

 

 観客もトリコ、4体の猛獣さえも現代に復活した王者の姿に身も心も震わせていたが、観客はともかく猛獣さえも圧倒されていては賭けにならない。

 猛獣使いのリンに猛獣の闘争心をあおらせることでようやく、バトルウルフに襲い掛かった。

 

 ここでバトルウルフの実力を見られると思ったところで最初の異常事態が起きた。

 バトルウルフは反撃はおろか避けるそぶりも見せずに猛獣たちの攻撃を無防備に受けた。

 その異常事態に真っ先に動いたトリコがコロシアムに乱入してバトルウルフから4体の猛獣を引き剝がした。

 

 これが二つ目の異常事態

 

 トリコの乱入にヒートアップする観客だが、そんな事情も知らずにトリコは事態を瞬時に把握したと同時にバトルウルフがその場に倒れた。

 息を引き取る最期の時まで直立を保つほどプライドの高いバトルウルフが見せた服従のポーズを見せた三つ目の異常事態に流石のマンサムも試合を無理矢理中断させようとした。

 

 しかし、一度高めた猛獣たちの戦意が収まらないことと、リンの行動が遅れたことでコロシアムは一触即発の状態にまで発展した。

 

 そんな狂暴猛獣をあろうことかトリコはぶん投げ、唯一のバリケードであるアクリルドームを破壊してしまったのだ。

 これから生まれるであろう命のために短い寿命とプライドを投げ打つ誇り高い王者のために、出産の手助けと見世物にされる屈辱を払拭しようとしたトリコなりの尊敬の念がいささか過剰だったと言えるかもしれない。

 

 そんなこともあり、観客が全員パニック状態に陥り、マンサムは開き直ってそんな状況さえも楽しんでいた時、違和感を感じた。

 一人だけ静寂を保ち、微動だにせず席に座り続ける大統領の姿に違和感を覚えたマンサムが避難を呼びかけたその時、主賓である大統領の手がマンサムの腹部を貫いた。

 

 「フライパンチ!!」

 「……っ!」

 

 あらゆるセキュリティーを突破して侵入してきた美食會、もといGTロボの強襲によって戦いの火ぶたが切って落とされたのだ。

 

 

 

 急速に移り変わる事態にトリコも驚愕するも、マンサムの実力を理解しているトリコはGTロボを一旦無視し、目の前の脅威に集中する。

 

 リンによって強制的に狂暴化したデビル大蛇がコロシアムに乱入し、4体の屈強な猛獣たちを丸呑みにしてしまった。

 もはや自我が残っているかも怪しいデビル大蛇と相対するのは満身創痍のバトルウルフ。

 出産によって体力どころかクローン故の少ない寿命をさらに削り、立っていることすら奇跡と言える。

 

 トリコでさえココと協力してやっと倒したデビル大蛇がさらに興奮し、さらに強力な相手なのは一目瞭然。

 一瞬だけ協力することも考えたが、死の淵に立たされてもなお衰えぬ戦意。

 そして何より、子を守らんとする母としての気迫にトリコすらも気圧されて動けなかった。

 

 結果、刹那の瞬きすら許さないほどの圧倒的な実力を、王の片鱗を見せつけてデビル大蛇を屠った。

 ただし、一瞬とはいえ、無理をした代償は大きかった。

 

 もはやまともに立つことすらままならないバトルウルフの命は風前の灯火。

 残された命が続く限り、バトルウルフの子供に甘えてくるよう背を押してやる。

 これからの生涯を孤独に生きていく子に、遺す最初で最後の母としての愛を注ぐために駆け寄ってくる我が子の姿をひたすら待つ。

 

 太古から変わらぬ愛情を注ぐために。

 

 

 

 しかし、そんな尊く、美しい愛を解さぬ者がいた。

 

 「ナンダ、アノ犬不味ソ」

 

 生命の神秘を理解しないGTロボの頭部が開き、レーザー砲台にエネルギーが集束する。

 この場の誰も気づいていない、砲台を向けられたバトルウルフでさえ。

 

 操縦者にとっては目障りだからという理由だけで行われる下種の極みともいえる凶行。

 数秒後、バトルウルフの体をレーザーが貫くだろう。

 

 「スプーン……」

 「ン?」

 

 その瞬間を予見していた第三者が防ぐことさえなければ

 

 「ハンッマー!」

 「ゴゲッ!?」

 

 巨大なスプーンがGTロボの頭部を殴打し、頭が勢いよく弾かれた。

 バトルウルフを狙っていたレーザーはバトルウルフの足元を掠めただけに終わった。

 ここでトリコたちも事態に気づいてGTロボの存在に気付いた。

 

 「ライズ!?」

 

 そして、観客席に突如として現れた見知った料理人が初めて見せる、憤怒に染まる(ように見えて、急いで駆けつけて余裕のない)表情でのけ反ったロボを見据えていた姿にトリコは事態を把握した。

 

 トリコが状況を見極めていることも関係なく、すぐに別の人物が姿を見せた。

 のけ反ったロボの腰に毛深い丸太のような太い腕が絡みついてきた。

 

 「ゾンゲ、ウルトラスープレックスボンバー!!」

 「!?」

 

 一瞬の浮遊感の直後、頭部に強い衝撃を感じ、視界が真っ暗になる。

 

 いつの間にか背後から忍び込んでいたゾンゲがロボにジャーマンスープレックスをかけて地面にめり込ませたのだ。

 間抜けな姿で地面にめりこんだロボにトリコたちが呆然と眺めていると、ライズは声を張り上げてトリコに叫んだ。

 

 「まだこいつ以外に仲間がいるかもしれん! だから、こいつの相手は」

 「!? そうか、そういうことだな……おう! こっちは任せろ!」

「トリコに任せ……え?」

「心配いらねえよ。さっきは不意を突かれたが、次はそうはいかねえ!」

「いや、そうじゃなくて、バトルウルフの護衛は俺たちが……」

 

 トリコはライズの言わんとしていることを理解し、バトルウルフの傍で周囲を警戒する。

 ライズが何か言いかけた気がしたが、リンのフレグランスの煙幕がコロシアムを包み込んだため、思考を中断する。

 

 ライズは頼りにしていたサムズアップしていたトリコの姿を呆然と立ち尽くして見つめていると、ロボが地面を引っぺがして起き上がっていた。

 ロボの性能が高い分、操縦者の怒りがここまで伝わってきた。

 

 「邪魔シヤガッテ、ウゼエ! 腸ヒキズリダシテ喰ッテヤル!」

 

 そりゃ怒るわな、そう他人事のように現実を受け止め切れていないライズは漠然と思っていた。

 その言葉にゾンゲは高らかに笑い声をあげる。

 

 「ぐっはっはっは! オレ様の技を食らって立ってるとは大したもんだ! 誉めてやろう!」

 「アァ!? ナニ上カラ言ッテンダ雑魚ヤロウ!!」

 「あぁん? どこかから負け惜しみが聞こえるが、気のせいか?」

 

 自分の行動を邪魔されたロボは激昂して体を震わせる。

 しかし、ゾンゲのメンタルと自己肯定感はロボの罵倒程度では収まらない。

 それどころか、こうなったゾンゲを止めることはできないことをよく理解している。

 

 「アァ!? ドッチガ負ケ惜シミダ!? 雑魚ハ雑魚ラシク絶滅サセテヤロウカ!?」

 「ふん! 口で言って分からねえならトコトン分からせてやる! おい、さっきから黙ってねえでお前も何か言ってやれよ」

 「……イイダロウ来イヨ。狩リヲ邪魔シタ奴ダナ? テメエモスグニ殺シテヤル」

 

 ゾンゲが珍しく黙っている相棒の方に腕を回す。

 その様子にロボもライズもついでに殺してやろうと口にする。

 自分の狩りを邪魔した罪は大きいぞ、と言うように。

 

 その様子にライズは焦っていた。

 本当はバトルウルフを助けた後にトリコと交代して引っ込むはずが、トリコが何か深読みしてGTロボに仕掛けなかったことで自分たちにヘイトが集まってしまった。

 何故か自分たちが戦うことになっている、しかもゾンゲもノリノリで巻き込んできたために逃げ場はない。

 

 その気になった相棒のしつこさは長年コンビを組んだ自分だけが思い知っている。

 こうなったゾンゲからは逃げられない。

 その事実に行きつき、ライズは諦め、考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 「べらべらキメエ口で囀ってんじゃねえぞ、このゲテモノ野郎!! 単細胞ごときがハイテクな玩具もらったからって勝ったつもりか!? 高性能すぎて伝わってくるぜ、知性のかけらもねえド低能っぷりがよおおぉぉぉぉ!!」

 

 早口でまくしたて、罵倒に次ぐ罵倒を重ねた。

 現在、ヤケクソ中である。

 

 この言葉にゾンゲは吹き出し、喉から血を流しているマンサムは遠くからでも聞こえるくらいの大音量で笑っていた。

 

 そして、ライズの罵倒を全て受け切ったGTロボは。

 

 「殺ス!!」

 

 その場にいなくても分かる、きっと操縦者の頭には多くの血管が浮き出ているだろう。

 操縦者の殺気が膨れ上がった瞬間、観客席でロボとライズたちが駆け出した。

 

 

 美食會との戦いが幕を開ける。




マンサム……原作通り喉をやられてナンチャッテ負傷中。

バトルウルフ親子……救済措置を受けたご一行。現在無傷のため、原作より長く甘えております。

トリコ……バトルウルフが無事だったため、怒りはすぐに収まって冷静になっている。ライズの行動を深読みし、他の襲撃者に備えてバトルウルフの触れ合いが終わるまで待機中。

ゾンゲ……さっきまで混乱でオロオロしていたが、ライズのGTロボ襲撃の瞬間を見たため精神を持ち直した。ライズに勝算があってGTロボに戦いを挑んだものと考えている。そのためGTロボを挑発中。

ライズ……寝坊して計画通りの行動ができなかったためにバトルウルフを救出させた後、代わりにGTロボと戦う羽目になった。今更逃げられそうもないと判断し、ヤケクソで迎え撃つ。相手が生き物でないため、戦闘アレルギーは発症しない。最近、強者として振舞っていたメッキが剝がれている。

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