仕事が忙ちい……
GTロボを撃退してから色々とありすぎて既に疲労困憊の私はライズです。
もうね、割と洒落にならんのよ、ここまでのハイペースっぷりが。
まず、GTロボを倒した後のことなんだけど、ほとんど原作と同じだった。
母ウルフは残念ながら寿命で死に、その子供はテリーと名付けられてトリコの相棒となった。
その後、トリコを含めてマンサムのフルコースと研究所で培養した食材を使った食事で体力回復を目的とした宴を開催しているときにリンと顔合わせした。
元来より人当たりのいい性格だから普通に問題なく知り合いになれた。
「ハゲから聞いたんだけど、デビル大蛇を手懐けたってマジ?」
「マジだけど、それが何か?」
「トリコをメロメロにする料理を作ってほしいし」
「無理っす」
こんな一幕もあったが、普通にいい関係を結べそうだと思った。
そして、美食會に先手を打ってリーガルマンモスを運んできたサニーとも出会った。
案の定、ゾンゲの姿を見た瞬間に「きしょーっ!」と絶叫したのを見てなんか安心した。
これでこそ、想像に思い描いていたサニーだ。
主要人物との対面を果たしたところで、嫌な予感がしていた通り、ジュエルミート奪還のメンバーにされてしまった。
こんな経緯を経て俺とゾンゲはリーガル島に来ていた。
今までの経緯を振り返っていた間にトリコとリンに混じってゾンゲはココアマヨネーズで黒草を食ってた。
もはや、ゾンゲが美食會との戦いに巻き込まれるという原作からかけ離れた事態にため息を吐く。
「おい、これ美味えぞ! お前も食ってみろよ!」
などと人の気も知らずに暢気やってる相棒に不安を覚えながら、これから起こるであろう強敵との戦いにヤキモキしている自分が馬鹿みたいに思えるのだから何とも言えない。
そんな風に思っていた時、横から意外な人物が声をかけてきた。
「
「そういうあなたは四天王のサニーか」
どうやって接触しようかと思っていた時にあっちから近づいてきたのは予想外の出来事に思わず身構える。
しかし、サニーは俺を値踏みするように視線を向けるだけだった。
いや、なんか体がゾワゾワしてきたのを感じる。
くすぐったいような感覚だが、全身に虫が這うような感じがした。
「これ、もしかして……」
「へぇ、オレの触覚に気付くのか。鋭いな」
「ちょ、マジ止めてこれ……すごいゾワッとする……全身に虫が這いまわってる感じがする……!」
「オレの触覚を虫扱いすんな。少し肌質を見ただけだ」
ここで変な感覚が収まった。
サニーが触覚を引っ込めてくれたっぽい。
「触ってみたけどお
「え、まあ、健康には気を遣ってるから、ですかね」
意外なことを言われたから反射的に答える。
美食屋や料理人の体は資本……グルメ細胞に心配は無用と思うが、健康第一の栄養を考えてゾンゲたちに料理を振舞っている。
ゾンゲにはいろんな物を私情で食わせてる分、有害なものを食べさせた後は体に良いものを食わせているのだ。
どうやら、その結果が出たということか。
「内面を
「えっと……」
「だが、食うものも少しこだわった方がより
「え、じゃあ今度の機会に……てか、皆に渡すものがあるからちょっと集まってくれ」
あ、やばいこの人グイグイ来る。
我が強いと覚悟はしていたが、予想以上だった。
このままだと話が進みそうになかったので多少強引ながらも話を遮ってトリコたちを呼び寄せた。
トリコとゾンゲは黒草をモシャモシャと頬張りながら集まってきた。
「お、どうした? またなんか食わせてくれんの?」
「この黒いのイケるぞ。ライズも食ってみろよ」
「俺がいつでも食わす訳じゃないんだけど、渡すものがあるんだよ……お、酸味と苦みで黒草の味が引き立って美味い」
最近思うんだが、トリコに会うたびに飯をねだられている気がする。
もしかして、餌付けしてしまったのか。
それは小松の役目だから止めなさい。
ちょっと俺は自重した方がいいかもしれない。
そう思いながらゾンゲからココアマヨネーズ付きの黒草を受け取って食べる。
ココアの香ばしい風味と苦みがマヨネーズの酸味と絡まり、黒草の食が進む。
野菜スティックみたいに手軽に食べられるものとして結構いけるな。
ここにチョコの甘さとマヨのしょっぱさを足したら色んな料理に合う何かができるかもしれん。
この件が終わったら早速研究や。
帰った後の楽しみができたところでトリコたちに用意していた料理をそれぞれに渡す。
見た目カロ〇ーメイトの食材を不思議そうに受け取るトリコたち。
「これは、食材か? にしても風味が薄いな」
「それは俺自作の体力回復料理だ。腹が減った時に食えばすぐに腹が膨れるはずだ」
「これでか~? そんな料理聞いたこともねえぞ」
「俺の能力で無理矢理作ったオリジナルだ。今回は味より効能を重視したから風味は落ちるけど、エネルギー摂取効能は無類だからやばいときに食うといい。摂取してから全力で闘っても一時間程度は保つはずだ」
「つまり、高カロリー料理ってことね。ちと
「こんなものまで作れんのか。器用な奴だな」
サニーの言う通り、トリコたちに渡したのは瞬間的にカロリーを摂取する非常食だ。
原作ではリーガルマンモス編の終盤でやって来たココを除いて主戦力のトリコとサニーの体力がやばい描写があったことを知っていた。
そのため、あったら楽かなって程度のものを用意した。
原作では勝利を収めたとはいえ、この現実では何が起こるか分からない。
念には念を、という奴だ。
皆が特に気にするでもなく、俺のドーピング料理をポケットにしまった。
そんな時、リンが思い出したかのように俺を呼び止める。
「そういえば、ウチもライズに渡すものがあるし」
「俺に? トリコじゃなくて?」
「なんでオレが出てくんだよ」
「所長から新しい発明品の感想を聞かせてほしいって。なんかでかくて邪魔だから早く受け取ってほしいし」
意外な人物からの贈り物に顔をしかめてしまう。
リンの場合、求愛のためにトリコに貢ぐイメージしかない。
ていうか、リンに贈り物をされるようなことをした覚えがないと思っていたが、マンサムからの贈り物らしい。
そういうのはあまり本人の前で言ってほしくないと思いつつもガサガサと荷物から取り出したものを見て
背筋が凍った。
忘れるはずもない、昔の忌まわしき記憶
人の人生はどんなに良く生きていても、絶望と後悔を繰り返していく。
一時の気の迷い、激情に任せた、または止む無く行ったことが心の中に巣食って離れないこともある。
“それ”の姿が露わになるにつれて世界の流れが遅くなる感覚が襲う。
やめろ、“それ”を俺の前に出すな。
心がきしみ、呼吸が荒くなる錯覚を覚える。
いや、それは錯覚じゃない、“それ”の存在を俺の心が否定しているのだ。
決してこの世に出てはならぬ
出してはならぬ
関わってはいけなかったと後悔し、昔のうちに排除したはずの過去の遺物
恐怖とは過去からやってくる。
「過去」というものは人間の平和をがんじがらめにする。
何故か、この言葉が薄れつつある前世の中の記憶からよみがえった。
「なんだこれ?」
「所長から預かってきたグルメグッズの試作品だって。たしか……名前は、グルメスパイz……」
「そいつを俺の傍に持ってくるなあああぁぁぁぁぁぁ!!」
その場の全員がビクっと体を震わせるのも憚らず、俺は魂からの絶叫とともに皆から距離を取った。
若かりし俺が一時の気の迷いで生み出してしまった呪いのアイテムもとい、
最大の恐怖がこれから会うであろう美食會副料理長と思い込んでいた主人公の急所にクリティカルヒット!
色んな観点から呪いのアイテムの正式名は今後とも明言せず、忘れたころに主人公の前に現れて苦しめます。
それでは、次回に会いましょう!