もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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ここ最近、感想欄がプラごみ塗れになってて個人的に面白かったです!
今後も呪いなのでチョイ役で出すかも?


ジュエルミートの鉄板焼き

 

 どうも、崖から落ちてジュエルミート編終盤まで気絶していたライズです。

 不幸にもスタージュンと戦い、不意を突かれてデビルアスレチックの谷底へ落されて意識を失い、気が付いたらオブサウルスの背中に乗せられ、ジュエルミートを持ったトリコたちとリーガルマンモスから逃げているところだった。

 

 起きた瞬間に超巨大マンモスが足上げて怒る姿を見上げて生きた心地しなかった。

 あれで捕獲レベル48ってマジか。

 

 リーガルマンモスの子供も親元へ返し、IGO研究所へ戻った時にようやく一息つくことができた。

 

 そして、俺たちは戦利品であるジュエルミートの実食会に来ている。

 研究所の屋上にテーブルを置き、皿に大量に盛り付けられたジュエルミートの発する光で夜の屋上を明るく照らすシチュエーションは最高である。

 

 「すっげ、ここまで光るのか」

 「う、うううう美味そうじゃねえか」

 

 原作でも1,2位を争うほど読者が食べてみたいと思っている絶品食材を目の前にすると感動する。

 生肉ってところは気になるところだが、そんなこと気にならなくなるくらい食欲が湧いてくる。

 いくら自制しようとしても梅干しを見てよだれが出てくるような反射みたいに今にもジュエルミートにかぶりつきたいとさえ思えてくる。

 

 「うっひょー! 美味そー!」

 「綺麗だしー!」

 「なんて輝きだ。神々しささえ感じる……」

 「う、うぅ……(美しすぎる)」

 

 トリコたちも原作と同じく感動をあらわにする。

 こうして原作組と一緒に憧れの食材を囲み、同じ「食いたい」という気持ちを共有していると思うと、感慨深いものがある。

 

 憧れの食材に対面できた感動からセンチメンタルに陥るも、すぐに目の前のジュエルミートへの食欲に上書きされる。

 

 「後でデイビーにも食わせてやりたいな。安く値切れたらいいのだが」

 「相変わらず気が早えよ! 先のことより、今は目の前の食材を楽しむことが重要だろうがぁ!」

 「……それもそうだな」

 

 ゾンゲから言われて反省する。

 今は、今日の頑張った成果を分かち合い、味わうことが必要だ。

 そうして俺たちは前に進めるのだから。

 

 「それじゃあ、早速いただくとしようぜ! ジュエルミート!」

 「「「「いただきます!」」」」

 

 全員で合掌し、待ちに待った時間を迎える。

 綺麗な赤身の中に光り輝く油が脈動している葉脈みたいだ。

 命の脈動を感じるような存在感だ。

 

 ナイフでやさしく切り、一口食べると肉汁が口の中で溢れ出した。

 たった一噛みで旨味のたっぷり詰まった肉汁が出てくる。

 噛めば噛むほど肉汁と肉本来の旨味が絡んで味わい深くなっていく。

 この旨味が続く限り、顎が痛くなろうとも噛み続けたいと思うこの部位はハラミだ。

 

 「う……っま!!」

 

 普段からハラミを好む俺でも、このハラミは今まで食ってきた肉を過去のものにできるほどだった。

 全身に光る肉汁が回り、体が発光する。

 

 他の皆の様子を見てみると、全員が光り輝き、とても夜の屋外の食事風景とは思えない。

 

 「がっはっはっは! これは美味え! 最高じゃねえか!」

 

 相棒もご満悦ながら全身がピッカピカに……って!

 

 「誰だお前!?」

 「ゾンゲ様だ! 見りゃ分かんだろ、このご尊顔を!」

 「眩しくて見えねーよ!」

 「そりゃあオレ様の魅力が常日頃からにじみ出て輝いてんだろ。何言ってんだ?」

 「そういうこと言ってんじゃねーんだよ!」

 

 ゾンゲの体が光りすぎて何も見えねえ!

 巨大な電球がそのまま発光しているかのようだ!

 

 こいつ、グルメ細胞に上手く適合したのもそうだが、ジュエルミートの肉汁を摂取したことで、肉汁をさらに脂汗として体表面に分泌してやがる。

 目を凝らしてもいつもの小汚い原始人の姿が見えねえ、見てると目がやられる!

 

 皆はそれにもかかわらずジュエルミートを食べまくっている。

 そして、原作のように途中で合流してきたキッスとテリー、オブサウルスが旨そうにジュエルミートを食べている姿を見て思い出した。

 

 今、俺がこうして美食會に攫われることなくジュエルミートを食べられるのはテリーのおかげである。

 トリコたちから聞いたのだが、崖に落ちた俺を救出したのはテリー*1とのことらしい。

 それも含め、あの時、俺だけだったらスタージュン相手にどんな結末を迎えていたのか分からない。

 今回、あそこまで粘れたのはスタージュンが生身じゃなかったことと、何より、テリーの献身的とも言える援護があったからこそだ。

 

 トリコ曰く、母親の件で俺やゾンゲに感謝している節があるらしいし。

 いいことはするもんだね、ホント。

 

 よし、今日は食べるだけのつもりだったけど、少しアレンジを加えてみよう。

 

 俺は事前に持ってきていた折り畳み式の簡易キッチンを展開させると、皆の視線が集まる。

 

 「なんだなんだ? ジュエルミートの調理すんのか?」

 「あぁ、食ってたら、何だか手を加えたくなったのと、テリーへのお礼も兼ねてな」

 「よかったなテリー! ありがたくいただこうじゃねえか!」

 「ウオン!」

 

 テリーが嬉しそうに尻尾を振る。

 可愛い。

 

 最初は軽く表面を焼くことにした。

 ジュエルミートを焼いて食ってみたい、その願望がここで叶うわけだが、気を付けることがある。

 

 ジュエルミートの旨味の大半は光り輝く肉汁に占められている。

 そのため、あまり焼きすぎると肉汁が損なわれて旨味が減り、淡白な味わいになってしまう。

 それに、この肉汁は熱ですぐに蒸発してしまうため、ウェルダンにまで仕上げるのはできない。

 

 ここはレアよりもさらに火にかける時間を少なくした超レアの焼き加減にしよう。

 具体的に言えば、表面から厚さ1mmまで熱し、肉汁の排出を最小限にして中の肉汁を閉じ込める。

 そして、焼くことで肉の味わいと風味を引き立たせるのだ。

 

 焼き時間は……2秒くらいか

 

 簡易キッチンの鉄板を最大火力で熱し、その上に薄くスライスした肉を裏表それぞれを数秒間だけ焼く。

 焼いた瞬間に鉄板の熱で肉汁花火が上がる。

 

 「おぉ、焼くことで肉の香ばしさがさらに増した」

 「ジュエルミートの肉汁は融点が低いから僅かな時間でも多くの肉汁が溶け出てしまうが、出て行った旨味をクリスタルソルトで補う」

 「クリスタルソルト!? とある鉱山帯から採れる塩でできたダイヤモンドか!?」

 「ジュエルミートの光にクリスタルソルトが反射して更に輝かしくなってキレーだし!」

 「な、なんだこの美しい光景は……美しすぎる……」

 「泣いちゃった……」

 

 焼いた肉にはプラチナポン酢かわさび醤油かで悩んだけど、今日はジュエルミートと相性のよさそうなクリスタルソルトをチョイスした。

 急ごしらえで持ってきた調味料でできるのは、これで精一杯。

 

 いつか、ジュエルミートで色んな料理作ってみたいな。

 

 そう思いながら、光り輝くジュエルミートのクリスタルソルト添えをテリーやオブサウルス、仲間外れは可愛そうなのでキッスにも上げると皆、美味しそうにガツガツと勢いよくがっついた。

 すると、もともと光っていたテリーたちの体がさらに輝きを増した。

 

 「うおーすげえ! テリーたちが更に光った!」

 「太陽を見ているようで眩しいですね!」

 「クリスタルソルトとジュエルミートの相性がよかったんだろうね。細胞の進化をさらに促す効果があったようだ」

 「そんじゃあ俺たちにも作ってくれ! うっまそ~!」

 「()もあんな輝きが欲しい!」

 「オレももっと輝いてやるぜ!」

 「ボ、ボクも気になるかなって……」

 「ウチも食べてみたいしー!」

 

 トリコとリンは味、サニーとゾンゲは更なる輝きを、小松さんは純粋に料理人として気になるのだろう。

 ココはがっつくことはないが、チラチラ見て気になっている様子だ。

 ていうかゾンゲ、お前はもうこれ以上光るとまともに見れなくなる。

 

 もちろん、そんな状況を予感していたので用意していた調理済みのジュエルミートを配る。

 

 そして、各々がジュエルミートを食べると全員の輝き度が増した。

 うおっまぶしっ!

 

 「うおー! うっめえ! 油が飛んで少し淡白になった肉にあっさりとした上品な塩っ気が絶妙にマッチする!」

 「焼いたことで中の肉汁が溶けて更にジューシーさを増して食べ応えが出てきた」

 「溶けるように柔らかい肉もいいけど、噛み応えのある肉の満足感がサイコーだし!」

 「難しいことは言わねえ! やっぱ相棒の料理は最高ってことだ!」

 

 トリコ、ココ、リン、ゾンゲの反応は上々。

 さらに輝きを増して、全員がもう小林幸〇みたいに極光を放っている。

 ゾンゲに至ってはもう何も見えねえ。

 

 「たった数秒でここまで味わいが変わるなんて……焼き加減一つで味に大きな影響が出る食材をここまで美味しく調理できるなんて流石です!」

 

 小松さんは皆より少し弱いが、さっきよりも輝かしく光りながらいつものように称賛してくる。

 ありがとう。

 

 そして、サニーはというと

 

 「……」

 

 ジュエルミートを皿に乗せ、それを眺めていた。

 一番、こういうシチュエーションに乗ってきそうなサニーが呆然とする姿に少し焦る。

 どこかで失敗したか……そう思っているとサニーが口を開いた。

 

 「市場に出回っているクリスタルソルトの末端価格は1kg単位でおよそ20万……上品なしょっぱさと光沢を放つ見事な見た目が特徴の、超高級塩だ。だが、このクリスタルソルトは普通のと違って七色に光っている……一粒一粒にクリスタルカットを施されている」

 「わ、分かるのか? この一工夫を」

 「勿論(もち)()の触覚は何事も見逃さねえ」

 

 マジか。

 俺がひそかに施したクリスタルソルトの加工がばれた。

 

 このひと手間は調理とはまた別の、俺のこだわりが強く出た一工夫である。

 故に、それがばれたことへの恥ずかしさはあるけど、同時に料理人冥利に尽きる。

 

 「この手間は味の変化には関係ねえ……なんでこんな手間を?」

 「え? ん~、改めて問われるとな~……」

 

 これはどっちかと言えば、節ばあからの教育が結構影響している。

 曰く、「料理人が満足させるのは味のみにあらず」とのことだ。

 

 雰囲気で客をもてなし

 

 見た目で客の気分を高揚させ

 

 味で心と胃を掴む

 

 

 簡単に言えば、ムードにも気をつけろということだ。

 

 例えば、夜景を望める高級レストランで食べるとき、おでんを薦められて食べたいと思えるか、だ。

 その逆もしかりで、こじんまりとした屋台に入って超豪華なフランス料理を食べたいか、という話だ。

 

 シチュエーションと食べるものの雰囲気が不一致だったら、どんなに美味くても違和感を感じ、疑念の心が100%の旨味を妨げる。

 案外、精神状態と味覚って親密な関係にあるからムード作りも大事ってこと。

 

 それが俺なりの食材への感謝である。

 

 以上の俺なりの感想をたどたどしく述べ終えた時、サニーはおもむろに俺の手を取った。

 

 「最近はトリコたちのように食材のみを追求する無神経な奴らしか周りにいなかったけど……お()に会えたのは運命だったかもしんねえ」

 「まあそうでしょうね*2

 

 なんかすっごく嬉しそう!

 

 「誰もがお()の見えない努力に気付かなくても()には分かる。一瞬の輝きのために気の遠くなるような加工と時間をかけるこだわりに敬意を表する」

 「お、おう……味にあんま関係ないけどね……」

 「!? 馬鹿野郎……馬鹿野郎(っかやろう)! そうじゃねえだろ!? 芸術ってのはそんな軽いモンじゃねえ! お前のこだわりは美しく、尊いものだ!」

 「そ、そうかな? 個人的なこだわりをそれとなく入れただけだから評価とはそんな……」

 「味しか興味ねえキショイヘドロみたいな奴らのために、その高潔さは失っちゃいけねえ!」

 (ついにヘドロ扱い……)

 「サニーも相変わらずだな……」

 

 俺の手を取って強引に熱弁する姿に圧されてしまう。

 仲間をヘドロ扱いとはこれいかに、そう思うも、俺の見えない努力に気付いて全肯定してくるのだから、どうしても嬉しく思ってしまう。

 遠くで小松さんが愕然とし、ココはため息を漏らしているのが見えた。

 

 「なんだあいつら? 仲いいな?」

 「いいんじゃねえの? ってか誰だお前!?」

 「ゾンゲ様だよ! お、このクニクニ感はホルモンか!?」

 「お、これはハラミか!? 油は少ないが、赤身の旨みがダイレクトに伝わってうめえ~!」

 

 まさかヘドロ扱いされているとは知らないトリコとゾンゲ(と思われる発光体)は味付けしたジュエルミートを頬張っていく。

 

 そういえば、小松さんは料理という共通点で話が合うが、料理以外の要因に無頓着な所がもったいないと思っていた。

 それも、小松さんはホテルグルメの従業員でしかないから、演出とかそういうのに関わってこなかったが故なのかもしれない。

 

 ここまで価値観の合う人に会ったのはこの世で初めてかもしれない。

 

 少し考えていると、いつの間にかサニーは調理したジュエルミートを食べて体を発光させていた。

 やっぱり眩しくて見えない、サングラス持ってくればよかった。

 

 「決めたぞライズ! 美しい食材、演出、そして同志と出会った今日この日を忘れないために、ジュエルミートを()のフルコースに入れる!」

 「え”!?」

 「「なんだと~!?」」

 

 突然のジュエルミートのフルコース入りに思わず変な声を上げてしまった。

 こんな流れで来るとは思ってなかったから虚を突かれたけど、そこは別に問題はない。

 ただ、ここでトリコが原作通り、ジュエルミートのフルコース入りを狙っていたことは予想していたから突っかかってくるのは分かっていた。

 

 ただ、ゾンゲも一緒に突っかかってきたのは意外だった。

 お前もか。

 

 「芸術品(ジュエルミート)をお前らみたいな審美眼の無え奴等のフルコースに入れるより相応しい()のフルコースに入ってこそ(つく)しくなれるんだよ!」

 「知らねーよ! お前のほうがフルコースメニュー埋まってんだからオレに譲れー!」

 「それはお前(まえ)のせいだろうが! それに、お前より()の方が光ってんだからジュエルミートが()の方を選んだってことだろ!」

 「そんなお前よりオレ様の方が光ってんだから選ばれまくったのはこのオレ様だ!」

 「「お前のはただの脂汗だろうが!」」

 

 原作と少し違う構図でジュエルミートの取り合いが始まった場面に、長い一日が終わったことを実感し始めた。

 テリーとサニー、そして美食會と出会い、ぶつかり合った。

 

 徐々に原作との接点が増えていき、既に原作との相違点が目立ち始めてきた。

 この先、この出会いが俺にとって、そしてトリコたちや物語の流れにどう影響を及ぼしていくのかはわからない。

 

 だが、そんな困難多い先の展開よりも先に、これから出会っていくであろう美味な食材のことが先に頭に浮かび、それが楽しみになってきた。

 俺もだいぶこの世界に染まってきたと思いつつ、それも悪くないと思いながら手元のジュエルミートを食べる。

 

 満天の夜空の下で食べるジュエルミートはやはり、どうしようもなく美味かった。

 

 

 

 余談だが、結局、ジュエルミートは原作通り、三人がかりのジャンケンでサニーのフルコースとなった。

 食運に恵まれたゾンゲが負けたってことは、まだまだ世の中には相棒に相応しい食材があるってことだ。

 落ち込む相棒を慰めることとなった。

 

 「やっぱ、ジュエルミート欲しかったなあ……お前ならオレ様の方が相応しいって思うだろ?」

 「ん~、確かに古代の原始人がプロポーズにジュエルミートを捧げたっていうし、ある意味ゲーミング原始人にはぴったりだったかもしれねえな」

 「ゲーミング原始人ってなんだよ!?」

*1
オブサウルスも

*2
食運




トリコ:原作よりハンデを抱えたスターと善戦するも、最後は原作通りジュエルミートで勝利

小松:原作通りサニーにロックオンされる。やはりギャルゲヒロインは伊達じゃない

サニー:原作通り、小松に興味を示す  おっと? ライズを見る目に異変が?

リン:ハンデを抱えたスター相手にわき腹をえぐられるだけで済み、原作より軽傷だった。いつか、ライズに媚薬を作ってもらおうかと企んでいる。

ココ・ゾンゲ:能力の相性がいいということで巨大GTロボとタッグで交戦。当然のように勝利

テリー・オブサウルス:テリーがオブサウルスを下した後に崖に落ちたライズを救出した。ライズの料理であれば喜んで食べる。
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