もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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誤字脱字の指摘ありがとうございます!

それと、読者からの質問にもありましたが、ティナの登場はそろそろ出そうと思っています。
その時をお楽しみください。


ベーコンエッグとセンチュリースープの再生依頼

 

 「あ~……生き返るわ~」

 「zzz……」

 

 BBコーンを収穫して十数日が経った。

 現在、俺は癒しの国ライフに来ていた。

 

 原作でも大人でなくても実在するなら行ってみたい観光スポットである。

 そんな所であるが、残念ながら今回来た目的は観光ではなく仕事の依頼なのだ。

 そもそも、再生屋としての技術を叩きこまれた経緯もあり、ここには何度も来ている。

 

 半ば仕事場という感覚もあるが、ここが行楽地であることには変わりない。

 そのため、約束の時間よりも早く来て温泉やマッサージを堪能している。

 今はついでに着いて来たゾンゲと一緒にサボテンドクターの上に寝ている。

 

 ゾンゲは既に爆睡してしまっている。

 

 かくいう俺も油断していると眠ってしまいそうになるほど体が温かくなっている。

 サボテンの針がチクチクするが、この痛気持ちいい感覚がたまらない。

 時間がたてば血行の流れを察知してサボテンの針が刺す場所を変えていく。

 

 これで一時間2000円は嬉しい価格設定である。

 

 日々の疲れや苦労が口から洩れたように深いため息が漏れてくる。

 もう仕事の話なんか放って、このまま今日一日、ここで過ごそうかと思っていた時、緑髪の男が俺の傍で立ち止まった。

 

 「探したぜ。そろそろ時間だ」

 「……おのれ鉄平」

 「いや、恨めしそうな顔すんなよ。文句は師匠に言ってくれ」

 

 あぁ、休みが終わった。

 長身で緑の髪のリーゼントに見慣れた俺は思わず正直な気持ちを表情に出していたようだ。

 反省である。

 

 気持ちを切り替えながらサボテンドクターから降りる俺と違ってゾンゲは未だに爆睡中である。

 起こしてもいいが、ここまで気持ちよく寝られると、このままでいいか、と思ってしまう。

 ただ、この後朝ご飯を食う予定なので、店員さんに伝言を伝えた上で、お代を払って外に出ると鉄平は後を追いかけてきた。

 

 「おいおい、置いてっていいのか?」

 「まあいいよ。今回、あいつは着いて来ただけだし……横にいると変なこと言いだすからいないほうが話進むんだ」

 「相変わらずいいコンビしてんなお前ら」

 「るっさい」

 

 好き勝手言う十年来の顔馴染みにさっきとはまた別のため息が漏れる。

 

 「だから、オレ見て溜息つくなっての」

 

 たまにはゾンゲみたいにゆっくりしたい、そう思いながら鉄平からの抗議を無視してマザーウッドへと向かう。

 

 

 

 そもそも鉄平と出会ったのは次郎さんからノッキングの修業を受けていた時、一緒に切磋琢磨する仲間がいたら修業も捗るんじゃないかということで顔を合わせたのが始まりだ。

 会った当時はリーゼントもしてなかったし、次郎さん曰く美食屋をまだ目指していた時だった。

 

 急に会わされたときは俺は原作キャラとの出会いによる驚き、鉄平は祖父が急に見知らぬ子供を連れてきたことによる驚きでお互いに気まずかった。

 しかし、そう時間も経たないうちに打ち解けることとなった。

 

 『最終的には吐息でノッキングをかけられるようになってもらうが、楽勝じゃろ?』

 『『無理だよ』』

 

 原理もクソもない無茶ぶりをお互いにさせられる同志として認定させられるのもそう時間はかからなかった。

 

 それからというもの、鉄平が再生屋として与作に弟子入りしたときも連鎖的に俺も再生屋としての技術を叩きこまれた。

 これはまたリュウさん経由で与作が俺の話を聞いて面白そうだから会ってみたら鉄平の知り合いだということで仲間がいれば修業も云々で強制的に巻き込まれた。

 

 もちろん、二人はゾンゲとも知り合いである。

 ちなみに与作もゾンゲの完全回避能力を気に入り、定期的に運動がてらゾンゲをボコろうとしてくる危険人物である。

 

 そういえば、あの件はどうなったのだろうか?

 お互いに軽い近況報告をしていたので、ついでに聞くことにした。

 

 「そういえば、あの件はどうなった?」

 「あ、あ~……あの件って……あれ?」

 「うん」

 

 それを聞いた時、鉄平は何とも言えない表情で頬をかく。

 その反応に、怪訝に思って見つめると慌てた様子で否定する。

 

 「いや、違うからな!? ちゃんとやってる、やってるけどよ……よくあんなのをフルコース候補にしようと思ったなって……」

 「……俺個人でもそう思うが、相方の適合食材かもしれねえんだ。好き嫌い言ってる場合じゃねえし、俺が美味しく調理すりゃいいだけのことだ」

 「……ま、それでいいんならいいんだけどよ……ちゃんとやったら出すもん出せよ。こっちもタダじゃねえんだ」

 「そういうなよぉ。この後もちゃんと飯食わせるからさ~。鉄平ちゃ~ん」

 「すり寄んな気持ちわりい! お前じゃなきゃ断ってたよこんな依頼」

 「依頼されてなくてもいつかうっかり再生させそうだけどな」

 「うっせ」

 

 鉄平と話す内容はおいそれと部外者に聞かせる内容じゃない。

 もし、与作にでも聞かれたら止められそう……なことはないかも。

 ルールは破るためにある、って言っとけば納得する、てか一度その言い訳で成功したから間違いない。

 それよりもプキンさん辺りには聞かれないようにしよう。

 普通に怒られる。

 

 そんなことを考えている内にマザーウッドの所までやってきた。

 こうして来るのも久しぶりだから懐かしい。

 

 「いや~……懐かしい。ここも相変わらずだな」

 「たまには顔出してやれよ。他の皆も心配してたぞ」

 「それを言われると弱いな……ま、考えておく」

 

 ここにくるのも一通りの再生屋としての技術をマスターしたと認められた時以来か。

 普通に考えれば料理人の俺が再生屋の聖地に来るのもおかしくないか、そう思うも、ここの顔見知りの再生屋たちやプキンさんにはたくさん気にかけてもらったのも確かだ。

 用が済んだらもう来ない、は少し薄情だったかもしれない。

 

 これからは顔を出していこう。

 と言っても、すぐにここに来るかもしれないけど。

 

 そう思いながらマザーウッドの中を進み、やがて目的の血に塗れた部屋に到着した。

 そこには大男が一人、フラスコをいじって仕事をしていた。

 

 「師匠。連れてきましたよ」

 「おぉ来たか鉄平! 待ってる時間が退屈だから一仕事終えたいいタイミングだ! それに」

 

 そう言って、背を見せていた大男……俺と鉄平の師匠である与作が相も変わらない凶悪顔でこっちを見てきた。

 

 「久方ぶりだなライズ! 腕は衰えてないだろうな!?」

 「そんな柔な生活は送ってないんでね……師匠もお変わりなく」

 

 あぁ、やっぱり変わってなかった。

 久しぶりに見た師匠は相も変わらず血まみれでヘビースモーカーだった。

 

 

 

 

 「お前らを呼んだのは他でもない。アイスヘルでセンチュリースープの再生を行ってくれ」

 「あぁ、やっぱり」

 「? 何だ知ってるのか?」

 「こっちの話なんで続けて」

 「なるほど、セツ婆から聞いたんだな……なら話は早い。本当はセツ婆からオレへの依頼なんだが、訳あってオレにはやることあるから手が離せん。代わりにお前らが行け」

 

 何となく、それこそまさかな~、程度に考えていたが、やっぱりそうなるか。

 アイスヘルのセンチュリースープ編が始まる。

 

 BBコーンが終わった後に与作から連絡があり、さらにはセツ婆からも連絡が来た時から予感はしていた。

 まあ、予感は当たってしまったが。

 

 「セツ婆から言われたんなら師匠が行ってくださいよ。セツ婆からの依頼なら尚更でしょう」

 「セツ婆からの依頼だから極力断りたくないが、今回は本当に別件で手が回せん……だからお前たちを呼んだんだ」

 「……そこまで重要なことなんすか?」

 

 鉄平が与作に聞くと、少し言うのを躊躇うようにタバコを吸うが、観念して煙を吐き出して答えた。

 

 「……アカシアのフルコースの再生」

 「アカシアのフルコースって……!?」

 「というわけだから、オレはどうしてもやらなければならない……」

 「……」

 

 いつもの豪快な笑みも鳴りを潜めた真剣な表情に鉄平もその本気度を悟る。

 こっちを見てきたから断るのは無理だという意味を込めて首を横に振ると、鉄平は深くため息を漏らす。

 

 「分かりましたよ。やりゃいいんでしょやりゃ」

 「おう、頼んだ」

 

 結局こうなるのか……そう思いつつもいつものように原作からは逃げられなかったことにため息を漏らす。

 もっとも、セツ婆から依頼があった時点で諦めてはいた。

 

 いつか、こうなるだろうと覚悟はしていたのだから。

 

 

 とはいえ、今はそんなことを考えても無駄なので、気持ちを切り替えるために二人に提案した。

 

 「まあ、もう決まっちまったことは仕方ねえ。気分転換に朝飯を食おう!」

 「……まあ、美味いモンでも食えば少しはやる気は出るかもな」

 「がっはっは! 腕は衰えていねえだろうな!?」

 「衰えてるかどうかは文字通り、味わわせてやる」

 

 今から料理を始めれば、出来上がる時間的には指定の時間に起こされたゾンゲもここに来ているころだろう。

 

 「ほら、飯にありつきたきゃテーブル片付けろ」

 「分かったよ。ほら師匠も手伝って」

 「キッチンはあそこの使え」

 「おう」

 

 鉄平はテーブルを片付け、与作は親指でキッチンの場所を示す。

 台はもちろん、流しも含めた全てが木でできたキッチンに本日の食材と自前のまな板を置いて準備を始める。

 

 と言っても、今日は至極単純な朝飯……ベーコンエッグだ。

 

 料理人になったことを機に生前に見たことのあるジブリ飯を思い出しながら日夜努力と研究を重ね、至高のジブリ飯、いや、アニメ飯のコンプを目指している。

 

 今日はその成果を実践方式で確かめるいい機会だ。

 最近、レアな食材を見つけたのだから。

 

 まず、鉄のフライパンに油を塗ってベーコンを焼く。

 

 このベーコンは俺のお手製である蟹豚を燻製にしたものだ。

 常夏の島に咲く常夏桜の桜チップで蟹豚の肉を燻した自慢の逸品である。

 この他にも生ハムなども最近では作っているが、まだまだお試し段階ということで今回のお披露目は無しである。

 

 探せば燻製味の豚もこの世にいるが、そう簡単に手に入るわけでもないので、ポピュラーな食材で工夫して作るのが世のコックたちのやり方である。

 そうでなくても、蟹豚の旨味を残して作る燻製が俺にとってはベストマッチだったので、今日の朝飯に使うこととなった。

 

 分厚いベーコン肉を包丁で分厚く切り分け、熱したフライパンで焼く。

 油が飛び跳ね、ジュウウゥと快音を響かせる。

 少し焼いて裏返すと、表面に程よい焦げ目が付き、油がプツプツと泡立つ。

 

 燻製のいい匂いが立ち込めるベーコンの横のスペースに卵を落とす。

 

 使うのはアーモンドを主食とする鳥、アーモン鳥の卵を使用する。

 卵の形もアーモンドにそっくりで卵からもアーモンドの香りがほんのり香る高級食材である。

 ゆで卵にしても、独特の硫黄臭はせず、アーモンドの香りがするからゆで卵の匂いが気になる人から根強い人気を博している。

 

 フライパンに落として焼けば、これでもう出来上がるお手軽にして朝食の原点。

 今の段階で作り得る最高の一品だ。

 

 出来上がった料理を持って鉄平たちの下へと向かうと、予想通り、ゾンゲが既にそこにいた。

 

 「やっぱり来たな。時間ぴったりだ」

 「ぴったりだ、じゃねえよ! オレ様を置いてくんじゃねえよ! お前、あれだぞ、オレ様がいねえと始まらねえだろうが!」

 「いや、話は既に終わったんだけどな……ちなみに聞くけど、天然物のセンチュリースープの捕獲なんだけど、行くか?」

 「美味そうじゃねえか! よし、行くぞ!」

 「お前ならそういうだろうよ……」

 「相変わらずだな。はらわた」

 「ゾンゲ様だ! いい加減、そのあだ名止めろ!」

 「がっはっはっは! 久しぶりだな! お前を見ると腕が鳴るぜ」

 「ぎゃあああこっち来んな!」

 

 たった今着いただろうゾンゲはセンチュリースープの依頼を二の句を告げずに了承した。

 もう少し吟味してから了承しろと普段から言うとろうに……まあ今更だから別にいいけど。

 そんなゾンゲに鉄平は再会を喜びつつ昔ながらの渾名でゾンゲをイジる。

 

 そして、与作は昔から掲げている『ゾンゲに一撃与える』ためにゾンゲの姿をとらえた瞬間に拳を振り上げて戦意を高める。

 その姿を見てゾンゲは逃げ惑うが、これから朝食なのでなだめて席に座らせようとした時だった。

 

 「あら、私のことは無視するの?」

 「え?」

 

 この場にいなかったはずの、懐かしい声に反応してその方向に視線を向けると、そこには四本腕の女性が腕を組んでいた。

 

 「プキンさん……なんでここに?」

 「今日来ることオレが伝えといた。お前が来たら知らせろって言われてたんだ」

 

 意外な人物の登場に驚いていると、鉄平がシレっと答えた。

 何してんだ、そう言おうと思ったが、続けて言われた鉄平の言葉に何も言えなくなってしまった。

 

 疎遠になった覚えはなかったが、確かに料理に没頭して最近会っていなかったのも事実だった。

 今日、ここにはいないかつての再生屋仲間用に料理の作り置きも後で作っておこう。

 

 「いや~、最近は色々とありまして……お久しぶりですプキンさん。会えて嬉しいです」

 「えぇ、私も嬉しいわ」

 

 にこっと笑いかけるプキンさんは俺の頭をなでてくる。

 この人、昔から大人びていて雰囲気も穏やかだから、偶に姉って感じがする。

 鉄平さえも年下扱いするくらいだから相当に年上……

 

 「何か変なこと考えてない? ライズ君」

 「何でもないっす」

 「まったく、プキンさんも手のかかる弟分を持って苦労しますね」

 「人のこと言えるの? 鉄平君」

 「迷惑をおかけしてすみません」

 

 プキンさんの圧に俺と鉄平も平謝りするくらいにプキンさんに頭が上がらないのだ。

 昔の修業とは言え、よく再生食材とかで二人そろって治療してもらったことが今の関係の形となって表れている。

 

 「ゾンゲ君は相変わらずこの時代の人間には見えないわね」

 「ふふん。そうだろう! 俺は常に時代を先取りするリーダーのようなものだからな。古い時代を置いてくだけだ」

 

 気づいてゾンゲ……それ誉めてない。

 プキンさんは遠回しにゾンゲをよく原始人扱いしているが、ゾンゲの恰好ゆえだから何も言えない。

 ゾンゲの扱い方を熟知している辺り、ただ者でないと分かる。

 

 「久しぶりだなプキン。モーヤンシャイシャイ先生の様子を聞きたいところだが、今は飯でも食ってけ」

 「はい。与作先生」

 

 プキンさんが与作とも挨拶を終えたところで、皆が席に着く。

 そこへ持ってきたベーコンエッグを披露すると全員が喉を鳴らした。

 

 「ほう、シンプルなのを出してきたな」

 「シンプルだからこそ食欲が湧いてくるな~」

 「このアーモンドの濃厚な香り……アーモン鳥の調理もできるようになったなんて、成長してるのね……」

 「なんかその言葉、婆ちゃんみたいアダッ!」

 「今のはお前が悪い……好みの味付けで塩コショウと醤油も用意したから好みで食ってくれ」

 

 余計なことを言ったゾンゲがプキンさんに後頭部を殴られたのを自業自得に思いながら気を取り直して食べるよう促す。

 

 皆が各々の食べ方で食事に口に入れた瞬間、目を見開いていた。

 

 「おぉ、目玉焼きにアーモンドの香りって意外と合うんだな。口の中で風味が湧きたつようだ」

 「黄身も濃厚でまろやかだからそのまま絡めても美味しいけど、醤油で食べるとあっさりとして食が進むわ」

 「このベーコン、厚くて食べごたえがあっていいなこれ! こりゃあ美味い!!」

 「いくらでも食えちまうなこれ!」

 

 鉄平、プキンさん、与作、ゾンゲから高評価をもらい、俺もいただくことにする。

 丹精込めたベーコンと目玉焼きにフォークとナイフを入れ、一緒に頬張る。

 

 「お、美味い」

 

 

 

 

 多く作った目玉焼きを皆で完食し、与作は一足先に仕事に戻っていた。

 ちなみにプキンさんも朝食を終えた後、「あまり無茶しちゃ駄目よ?」と言って帰っていった。

 ちょっと子ども扱いしすぎじゃありません?

 

 フットワークの軽い姉のような人のことを思っていると、鉄平は俺たちと同じくコーヒーを口にしながらセンチュリースープのことについて話を進めている。

 

 「最近、センチュリースープ捕獲を目的として有志を募っている話が出てることは知ってるか?」

 「……小耳にはさんだだけだが、カーネル・モッコイって大富豪が腕利きの美食屋を集めてるってね」

 「なんだぁ? んなことしなくてもオレ様たちだけで十分だろうが」

 

 ゾンゲが不服そうに呟くも、鉄平が「そう単純な話でもなさそうだけどな」とつぶやき返す。

 

 「そいつに関して黒い噂が絶えなくてな、目的の食材がないと分かるや否や美食屋を危険地帯に置いて行ったりと無茶苦茶やる奴って話だから警戒はしておいた方がいいかもしれねえ」

 「最悪、アイスヘルから自力で戻る手段は確保した方がいいかもな……そっちは一応、アテはあるから任せてもらおう……それよりも美食會が心配だけどな」

 「美食會……可能性は十分にありだな」

 

 可能性どころか、ほぼ確実なんだよなぁ……そう言ってもどうすべきか正解が見つかるわけでもない。

 鉄平と同じく厳しい悪環境と屈強な猛獣の住み着く危険地帯の攻略に頭を悩ませるのに美食會という厄ネタをどう処理するかより一層悩んでしまう。

 

 アイスヘルで死んでしまう美食屋たちはどうするのか。

 ウォールペンギンを始めとした美食會にやられる命は。

 

 原作を知っているからこそ多くの命が散っていくことが分かっている。

 そんな彼らに対してどうすればいいのか、実力がないにもかかわらず、どうしようもないことを考えてしまう。

 

 鉄平に悟られないよう考えていると、横で聞いていたゾンゲが暢気に口を開いた。

 

 「そんな分かんねえもん考えても仕方ねえだろ。オレ様たちはできることをやるだけだ」

 「……まあ、それもそうか」

 

 ゾンゲの言葉に思う所があったのか鉄平はため息を漏らし、腰を上げた。

 

 「とりあえず、あらかたの準備はこっちでもやっておくからお前らもちゃんと準備しとけよ。連絡は追ってまたするからな」

 

 じゃあな、そう言って鉄平が部屋を出て行ったところでお開きとなった 。

 ゾンゲと二人きりになったところで用事も終わり、帰ろうとしたところでゾンゲから肩を叩かれた。

 なんだ、そう思って振り返るとゾンゲが俺の顔に握りこぶしを近づけ、手を開いた。

 瞬間に俺の鼻の中を刺激臭が突き抜けた。

 

 「ごっは!」

 

 突然の不意打ちに溜まらず吹き出し、せき込んだ。

 しばらく頭が痛くなるような刺激に悶えた後、止まらない涙を拭かないままゾンゲに詰め寄った。

 

 「何しやがる!?」

 「どうだ? オレ様の握りっぺは強力だろ?」

 「知ってるよ! どういうつもりだ!?」

 

 突然の凶行に怒りを向けるが、今回のゾンゲは態度を崩すことなく鼻をほじっていた。

 

 「なんとなく、お前、考えすぎだと思ったからな」

 

 それを聞いた瞬間、湧き上がっていた怒りが思わず冷めてしまった。

 そして、自覚する……さっきまでのゴチャゴチャした頭の中がすっきりしていることに。

 

 「おま……」

 「さっきもいったけど、お前、考えすぎなとこあるからも少し力抜けってこと。以上、オレ様はもう帰るぜ」

 

 言いたいことだけ言ってゾンゲは部屋を出て、完全に俺一人となった。

 そんな中、俺はゾンゲから言われたことを頭の中で反芻させ、ため息を漏らす。

 

 シンプルながら言われたことだけははっきり分かった。

 

 この世界で唯一、この先の未来が大まかに分かる俺の無用な葛藤を一蹴されて悔しさ半面、感心してしまった。

 

 「こういう時強いよな……あいつ」

 

 ゾンゲからのアドバイスを忘れないように頭の中に刻み付け、今後のことについてすべきことを考える。

 少なくとも、間違っても友人や仲間……相棒が不幸な結末を向かえないように。




原作でもプキンさんのキャラ像が把握しきれなかったので、勝手にこんな感じと思って書きました。
鉄平とは弟、姉みたいな関係だったらいいのにと思った作者の願望を前面に出してしまいましたすみません。

そんなキャラ崩壊から目を逸らしつつ、このままアイスヘル編に突入です!

原作より強化したゾンゲ他、オリ主がどう関わってくるか行き当たりばったりで書くので執筆が遅くなること、すみません!
できるだけ早めに書きたいと思っているので許してください!

これからもこの作品をよろしくお願いします!

急に寒くなったので皆さんも体調にはお気を付けください。
それではまた次回にお会いしましょう!
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