もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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自分の役目

 

 センチュリースープRTAはっじまーるよー!(キュー〇ー3分クッキング的なBGM)

 

 まず最初にスープの味を思い出し、市場でそれっぽい食材を買い占める。

 その後、覚えのある食材を全部味見し、調味料の種類を変えたり煮込みや仕込みの手順も順次修正する作業を100~くらい繰り返していく。(洒落にならない数のためNG)

 

 以上、やることはそんな感じで繰り返せばセンチュリースープの出来上がり!

 

 できるか!

 どんだけかかると思ってんだ!

 

 ていうか、今の時点で色んな所と仕事掛け持ちしててパンク状態になってるの知ってるよなぁ節ばあは!?

 フリーの美食屋はもちろん、再生屋、IGO技術開発部、スラムへの派遣教員、その他もろもろ手に職付けてて割と時間がない。

 

 本業は料理人なのに何やってんだ俺は。

 

 「手伝うのはいいけど、事が事だから他の仕事との掛け持ちなんてできないんだけど……」

 「あたしゃからイチちゃんに言って融通してもらうから心配せんでええ」

 

 これまた会長荒れるな。

 今度会いに行くときは何か美味しい差し入れでも持っていこう。

 それこそセンチュリースープとか。

 

 とりあえず、今は旅の疲れがどっと出て来て疲れた……

 少し休もう。

 

 薄れていく意識に抗うことなく微睡の中に何もかも投げ出した。

 

 

 

 

 トリコの腕の治療のためライフでトリコたちを下ろした節乃と小松、旅の疲れでソファーの上で横たわるライズはリムジンクラゲで帰路についていた。

 

 「よかったんでしょうか……ボクに付き合ってライズさんまで手伝わせて、一体何年かかることやら」

 「ええよええよ。いくらでも付き合わせても文句は言わん。料理人たるもの生きている内は勉強じゃ」

 

 自分の挑戦になし崩し的にライズを巻き込んだことに罪悪感を抱く。

 自分が足を引っ張ってしまうんじゃないかと。

 

 そんな彼の不安を読んだのか節乃は人のいい笑みを浮かべる。

 

 「口ではああ言っててもセンチュリースープへの興味が隠せとらん。ずっとソワソワして内心ではやる気に溢れとるからのう」

 「え、そうなんですか?」

「こんなんでも根っからの料理人じゃ。自分で自分に言い訳してるあたり、まだまだじゃな」

 

 口ではライズの未熟さを指摘するも、その表情は慈愛に満ちていた。

 

「前にも言ったが、この子は長らく学ぶだけで競うことをしてこなかった。じゃが、今回がいい機会だと思ったんじゃ」

「機会、ですか?」

「奴には手伝うように言ったが、今回の調理の主役は小松くんじゃ。ライズができるのはせいぜい、その補佐くらいじゃ」

「ぼ、ボクが主役って…………」

「いいかい小松くん。繰り返しになるが、料理人が食材を選ぶんでない。食材が料理人に歩み寄ってくるのじゃ。それをゆめゆめ忘れなければ、いい料理人になれる」

 

 恐れ多い美食人間国宝からの賛辞に反射的に否定の言葉が出そうになるが、節乃の強い意志のこもった表情に言葉が止まる。

 これ以上言えば、何か大事なことを否定してしまうと漠然と思ったから。

 

 自覚はないが、小松の引き締まった表情に節乃はふにゃっと笑う。

 

「それでええ。ライズが興味を持った君ならあの子と競い合える友になれる。あやつに見せつけてやりんしゃい。君の、下から追い抜こうとする者の実力を!」

「は、はい!」

 

節乃からの激励に小松は胸に去来する熱い何かに突き動かされるような感覚を覚えた。

 

(この気持ちが何なのか分からない……でも、これを気のせいだと無視しちゃいけない気がする)

 

小松は自分でも競争心がないとよく分かっている。

自分が料理にやりがいを感じるときは食べてくれた人の喜ぶ顔を思い浮かべながら料理をするとき。

 

同期の大竹のような野心があれば独立し、地位も名声も得られただろうが、そんなことに小松は興味がなかった。

ただひたむきに料理と向き合い、人のためにやることが好きだった。

 

だからこそ、自分の胸の中で沸騰するかのような熱い気持ちを抱くのは初めてだった。

 

 

食材や調理器具にさえ敬意を払い、食材から愛される食運を持った小松はこのままでも伝説のフルコースに導かれる実力になるのは疑いようがない。

 

しかし、そこに真に対等なライバルがいたら?

そのライバルに追いつき、やがては追い抜きたいという僅かな野心が少し芽生えたとしたら?

 

 

その果てに至る成長の果ては

 

 

食運ですら知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひと眠りしたらもう既にホテルグルメに着いていた。

起きて目にしたのは小松さんがやる気満々でリムジンクラゲから降りてすぐにでもスープを作ろうと走り出す姿だった。

 

「いやぁ、元気ねー。あの情熱があればスープもすぐにできるさ」

「なに他人事のように言ってんだい! はよいけ!」

「分かったから放り投げるのはやめて!!」

 

命のやり取りを終えて再び寝ようとした弟子の首根っこ掴んで外へ放り出す師匠。

人の心ないんか?

 

ここで粘っても碌なこともなさそうだし、観念してホテルグルメへと向かう。

だるいなー、と思ったけど自分の体が既に全快になっていることに気が付いた。

寝る前に確かに感じていた、一日やそこらで取れないほどの疲労が確実に消えたことに驚き、さらには意識も精神的疲労も完全に消えていることにより一層驚く。

 

まるで何日も眠り、朝ご飯を食べて目が覚めたかのような心地さえ感じた。

 

「まさか、グルメ細胞の進化で自己治癒能力も上がったのか……」

「ほう、そりゃいい能力をもらったのう。それならもっと活動時間も増やせるのう」

「一番聞かれたくないのに聞かれた……その年で地獄耳とかさぁ……」

「…………」

「すんませんナマ言ってすんませんっした! だから俺の周りの圧力変えて窒息させるの止めウゲェ!」

 

小さくぼそっと言っただけなのに聞かれて不穏なこと言ってきた。

ていうか、まだいたんかい。

節ばあはナチュラルに気配隠すし、リムジンクラゲは移動するとき静かだから普通に気が抜けてた。

 

息苦しくなったから節ばあの攻撃範囲から急いで出てホテル内へ避難する。

流石にホテル内で攻撃してくるはずもなく、諦めた節ばあがリムジンクラゲと飛び立ったことを確認して一息つく。

 

本当はこのままホテルにチェックインして一休みしてもいいんだが、生憎と疲労は抜けて今にも作業に入れそうなのが憎い。

 

ていうか、俺よりも小松さんの方が心配だ。

普通に疲労溜まっているだろうし、何ならミクロGTロボにケガさせられてたし。

冗談抜きで小松さんには一日くらいは休ませた方がいいと思う。

 

今回のスープ作り、俺は恐らくサポートくらいしかできないだろう。

 

原作でも小松さん一人でスープを作ったから展開的には分かる。

しかし、俺の長年料理人やってきた勘が言っている。

スープは小松さんを選び、俺はあくまで助けられただけだと。

 

マンガを読む側では決して分からない、食材が料理人を呼び寄せる声をリアルに感じていた。

だからこそ、俺の役目はスープを作る前からすでに分かっている。

 

「うおおおおおぉぉぉ! 待っててください皆さん! 一日でも早くスープを作り上げてみせますよ!」

「当て身」

「くぺ」

「ユン!?」

 

とりあえず、テンション上がり切った小松さんを休ませることから始めよう。

 

「あ、すいませんが、小松さんは見ての通り疲労が半端ないのでしばらく休ませますがよろしいですね?」

「は、はぁ……」

「よし、行くぞユン」

「ユンユン!」

 

驚くホテルグルメの支配人とユンに声をかけて休ませた(ノッキング済み)小松さんを抱えてホテルから出て行った。

 

そういえば、ゾンゲいなかったけどトリコたちとライフに降りたのだろうか。

原作よりも常識を覚えさせたから大丈夫だと思うけど、もし食い逃げで捕まってたら一回ボコす。




現在のゾンゲ

与作「トリコの治療のために食材調達してこい。報酬は治療期間中に限り、ライフでの飲食やレジャー施設を無料にしてやる」

ゾンゲ「マジで!?」

鉄平「師匠、そんな権限ないでしょうが」



こんな感じでゾンゲがわりとまじめにトリコの治療にがっつり協力すること以外、原作と同じ流れになってます。
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