もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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余談ですが、この回のゾンゲは終始原始人スタイルです。


オゾン草②

いや~、ゾンゲが飛んでったねー。

普通はあれで生存は絶望的なのに、あのまま雲の上まですっ飛ばされている姿が容易に想像できてしまう。

 

やっぱりあれじゃあ死なねえよな。

根拠のない自信だが、100人に聞けば100人が納得してくれそうな辺りゾンゲへの信用が強い。

 

とりあえずあっちは心配しなくていいとはいえ、俺の方は積乱雲を自力で越えなければならない。

ダウンバーストによる気温低下も呼吸による身体能力向上+新陳代謝アップ+体力消費高効率化で乗り切る。

極寒に限ればアイスヘルの方が過酷だったのだ、ここで折れるわけがない。

 

しかし、今回の環境は超極寒だけでなく、超巨大な雹や不規則に流れる強風、雷も一斉に襲い掛かってくる。

それらの災害が日の光が一切入ってこない暗黒の世界の中で終始襲い掛かってくる状況下で残念ながらゾンゲの心配をしている余裕はなさそうだった。

 

ピカッと光った瞬間、ライズは全身に微弱な雷をまとってその場から姿を消した。

その瞬間に佇んでいた場所に落雷が轟き、蔦を大きくえぐった。

 

ライズはアルファロ戦で編み出した技を既に習得し、モノにしていた。

神速(カンムル)を駆使して落雷と雹の嵐の合間を縫ってスカイプラントを登っていくが、足場の悪さと反射故の柔軟に対応できないというデメリットが付きまとう。

 

それでもかろうじて環境の変化にアンテナを立てているおかげで変化の激しい天気相手にも対応できている。

積乱雲の中でなければ自慢の逃げ足で切り抜けられる。

 

しかし、積乱雲の中ではそうはいかないだろう。

黒い雲の中は視界ゼロと強風など生ぬるい暴風の嵐。

突入すれば数秒も持たずに体重の軽い自分の体は持っていかれるだろう。

 

原作でもトリコは呼吸法を会得する前に苦しめられていたが、自分は既に想定済みだった。

どんなに踏ん張っても抗えないのなら身を委ねればいい。

 

トリコは自然現象に順応し、やり過ごした。

 

しかし、俺はこの自然現象を味方にして先へ進む。

 

積乱雲の中に入ったその瞬間、想定通り強風に体を浮かされて縦横無尽に振り回される。

 

しかし、今の俺はここいら一体の環境を把握する能力を得た。

風や空気の流れと自分の体がどんな風に振り回されたかを吹き飛ばされた時から記憶していればスカイプラントの位置はもちろん、上下左右の感覚を見失うことはない。

 

両手に巨大なスプーンを出し、羽ばたく。

ただし、普段の様に羽ばたくのではなくスプーンで受けた強風を推進力に変えて強風の流れに乗って空を飛ぶ。

 

もちろん、流れに乗るだけでは目的地に着くわけでもないので、スプーンで別の乱気流を捕まえて乗り移る。

その間に襲ってくる雷もスプーンでガードしてやり過ごす。

 

その度に具現化している手が痺れるが、ライズからすればかすり傷にもならない。

 

基本的にダメージは問題なく、節乃達から教わった体力を温存する呼吸法を独自に改良し、前世の知識から真似た自己流・全集中の呼吸で体力を温存しながらいつも以上の筋力で暴風を捉える。

その間にも神速(カンムル)を維持して不測の事態にも対応できるよう万全の状態を維持しながら徐々に目的地へと向かう。

 

そして忘れてはならない、ライズは基本的に自然災害への対応には強いが、猛獣からの猛攻には弱いのだ。

 

「キョオオオオオオオオォォォ!!」

「え!?」

 

暴風と雷の轟音の中で、それらをかき消す程の猛獣の咆哮が響き渡った。

 

咆哮の聞こえた先へ視線を向けると、そこには雷をまとった伝説の雷鳥がこっちに向かって突っ込んでくる。

暗闇に慣れ始めた目でこっちに向かってくるライトニングフェニックスを観察してみると、どうにも食べようと襲い掛かってきているわけではない。

 

精細な動きも見られないほどふらついている所から、何かに驚いてバランスを崩しているように見える。

つまりライトニングフェニックスは今、パニック状態ということだ。

 

「おわ!」

 

激突する寸前に片方のスプーンで別の風に乗り移って衝突を免れるが、咄嗟の行動だったので目的地から遠ざかってしまった。

しかも、ライトニングフェニックスも風に乗ってスカイプラントの周りを不規則に飛び回っているために先へ進めそうにない。

 

本来ならそこまで好戦的な性格ではないので、その姿を見ても襲われることがないことから幸運の象徴として見られるくらいだ。

まさかこんなところで襲われるとは、予想外だった。

 

予想外ではあるが、これは想定内だった。

正確には、こんな時のために策を練っていたのだ。

 

「くっそー! こんなとこで使うつもりはなかったんだけどよぉ!」

 

愚痴を零しながらも両手のスプーンを解除し、利き腕を下方に向け、顕現する。

そこには普段よりも巨大化させたグルメスパイザーだが、様子が違うのはサイズだけではない。

 

そのピストン部分には既に食材が入っていた。

むろん、この状況で取り出す食材が普通のものであるはずがない。

 

爆裂胡椒

 

一口食べれば口の中で爆発したかのような刺激を味わえる胡椒であり、主にカレーのような多くの香辛料を使用する料理に使われる。

 

しかし、この食材は特殊調理食材であり、ひとたび扱いを間違えれば文字通り爆発する危険な食材でもある。

 

スプーン一杯だけでも台所はおろか他の店もまとめて鉄骨すら残すことなく吹っ飛ばす威力を持つ。

胡椒自体の可燃性も十分危険だが、胡椒を細かく砕くと広範囲に粉塵爆発を及ぼす可能性を持っている。

 

話を戻すが、ライズはその爆裂胡椒の粉末10tをグルメスパイザーに詰めている。

それがどれほど危険なことか理解しながらも冷や汗をかきながらグルメスパイザーのピストンを高速で上下させ始めた。

 

「元々はダマラスカイ十三世のように猛獣への目くらまし程度だったが、持ってきてよかった」

 

ピストンで空気と爆裂胡椒を高速で圧縮し、内部温度を徐々に上げていく。

そうしている間にライトニングフェニックスが再び戻ってきた。

遠目から見てもこっちに向かって一直線に飛んできている。

 

大方の進路を予測してもほどなくして衝突するのは間違いない。

あの巨体で突撃を食らったら積乱雲から追い出され、このまま避け続けても目的地にはたどり着けない。

 

だからこそ、ライズはこの状況を力技で突破しようとしていた。

爆裂胡椒と空気を高圧にすることで温度上昇を起こして煙を上げる。

 

その合間に、あっという間にライトニングフェニックスが眼前にまで迫ってきていた。

 

雷電ほとばしる巨躯と激突する瞬間、ライズは微塵も視線すら動かすことなく手のひらを開くと、グルメスパイザーも重苦しい音と共に手のひらが開く。

 

「グルメスパイザー……」

 

その瞬間、グルメスパイザーの手のひらが爆ぜた。

 

「スパイスバーン!」

 

胡椒の粉塵爆発と共に手のひらから超高温、高圧空気を同時に放つことで巨大な人間ロケットが誕生する。

巨大なグルメスパイザーからの爆発にライズの軽い体は上空に吹っ飛ばされる。

 

「…………っ!!」

 

特大級のGを受けながら雷の合間を抜け、乱気流すらも突っ切っていく。

多大なGに耐えている今のライズにとってたった数秒でも体感時間的には1時間ほど経過したと錯覚させられている。

 

既に何時間も吹っ飛ばされているという錯覚と疲労感に晒されるライズの心境など筆舌に尽くしがたい。

 

しかし、どんなにつらい時間にも終わりというものがやってくる。

 

爆発の勢いも空気抵抗によって徐々に勢いも弱くなりつつ反面、ライズの周りが明るくなって。

ライズもそのことを認識してかGによって碌に動かない表情も思わず笑みを浮かべる。

 

そして、ライズの体は周りの雲も巻き込んで勢いよく雲を抜けて太陽の下に飛び出した。

 

 

ライズ、ベジタブルスカイに到着

 

 

 

 

 

 

 

 

「って感じで、ここに来てしばらく休んでたって訳」

「普通死ぬようなことを気絶で済ませるお前も大概だからな」

「まるでロケットみたいですねそれって」

「みたいじゃなくて、まんまロケットだったけどな」

 

と、ベジタブルスカイに至った経緯を再会したトリコと小松に散策がてら説明している。

 

結局、俺は爆風によってベジタブルスカイに登頂したのだが、すぐに疲労で気絶してしまった。

遅れてトリコたちが登って来た時にはライズがお目目グルグルで倒れていたのだからトリコたちもビックリした。

 

その後、残っていた食料を与えるとすぐに回復し、事の顛末を語る今に至ったのだ。

 

余談ではあるが、既にトリコも当初の気の迷いも晴れていた。

 

「それにしても、初めて来たけど壮観だなぁ。こんな壮大な大地で育つ野菜はどんな味がするんだろうか。あ、土は持って帰ろ」

相棒(ゾンゲ)が積乱雲の中に消えてったのを『それにしても』で済ますなよ」

「さ、探さなくていいんですか?」

「ん~……まあ、とりあえずそこら歩いてれば見つかるだろうし、このまま行くべ」

「「えぇ……」」

 

背後で人でなしを見る目で見られている気がする。

信頼と呼べ信頼と。

 

トリコ達もこのままじっとしていても合理的でないと分かっているため、その場から立ち上がって散策する。

 

 

その数分後

 

 

「おーい! いたぞー!」

「ミイラじゃねーか!」

「トリコなら分かるだろ。この鼻を突くような臭いは間違いなく奴さ」

「お前、少しくらい優しくしてやれよ!?」

 

わずか数分でフラグ回収してきたライズは片手に干からびたゾンゲ?(のような何か)を持って来た。

トリコも見た目で突っ込んでしまったが、カピカピになった状態でも匂いで認識できるため、信じられないことにそれがゾンゲだとすぐに分かった。

 

 

「ていうかこの匂い……呼吸法を掴んでいる時に嗅いだ臭いそのものだ。嗅いで呼吸を止めちまった時はもうダメかと思ったぜ」

「多分、強風にあおられてパニクって屁こきまくったんだろうな。ライトニングフェニックスが暴れたのも、もしかしたらそれかも」

 

ライズの予想は的を射ていた。

雷雨の中を優雅に飛んでいたライトニングフェニックスは突然、鼻の奥に刺激臭を突っ込まれたかのようにゾンゲの屁を嗅いでしまい、ショックで暴走していたのだ。

 

トリコが見つけたころにはライズの起こした爆発で平常に戻っていたのである。

その後は原作通りにむしった羽で雷を防ぎながらここへたどり着いたのだ。

 

「あの、これ大丈夫なんですか? 何だか生気を感じませんけど……」

「とりあえず、ぬるま湯かければ戻るだろ」

「カップラーメンか何かですか!?」

「は!? ここはどこだ!?」

「よし、戻った」

「えぇ!?」

 

どこからか取り出した魔法瓶からお湯をミイラ化したゾンゲにかけるとすぐに元に戻った。

その様子に小松も驚くしかなかった。

 

「目覚めてから急で悪いけど、ここはベジタブルスカイな」

「なにぃ!? もう着いたのか!? てか、オレ様はいつここに?」

「運命の導きって奴さ」

「おぉそうか! ガハハハハハ! オレ様がここの王になるのはやはり運命だったか! それなら納得だ! よし、このまま野菜を食いつくしてやるぜ!」

 

自分がどうしてここにいるか、何があったのか、なんてゾンゲからすれば些細な事であり、自己完結してすぐそこにあるであろう野菜を探して走り回る。

 

ライズも慣れたようにその後ろを追いかけていく。

 

遠ざかっていく二人の後ろ姿に小松は苦笑する。

 

「あははは……いつものことながら、お二人にしかない信頼っていうんですかね。トリコさん」

「はああぁぁぁぁぁ~……」

「ト、トリコさん? どこか怪我でもしたんですか!?」

「どこもなんともねえよ……ただ……」

 

小松は突然、大きくため息を吐いたトリコのことが心配になって駆け寄るも、トリコは脱力して憑き物が落ちたかのような顔で言った。

 

「あいつらと比較して悩んでたのがバカらしくなっちまった……コンビって形も人それぞれなんだって気付かされたってだけさ」

「えっと……?」

「ま、何でもいいじゃねえか。それより、オレ達も行こうぜ。このままだと野菜一番乗りに出遅れちまうからな」

「……はい!」

 

小松からすればトリコが何を言ってるのか分からないものの、トリコのいつものような邪気のない笑みと、これから出会うであろう美味な野菜への期待に気合を入れて返事をした。

 

そんな感じで進んでいると、豊かな畑があるという証明であるミネラルミミズを見つけて興奮するトリコたちと共に先へ先へと進み、ようやく待ち望んだ場所へたどり着いた。

 

「うおおおおぉぉぉ!」

「すげえええぇぇぇぇぇ!!」

「これがベジタブルスカイですか!?」

「焼いた肉や魚に負けないくらいの強く、深く、濃い緑の香り! たまんねぇ!」

 

巨大で大量の野菜が地平線の先を埋め尽くし、色とりどりな風景を演出する。

この光景が標高数万メートル地点で存在しているとは思えないほど、幻想的な光景だ。

 

そして何より、トリコほどの嗅覚が無くても繊細かつ食欲を刺激する香りが漂ってくる。

野菜を侮っていたわけではないが、まさか野菜の香りで香辛料並みに食欲を増進されるなど想像すらできていなかった。

 

くあああぁぁ、もう辛抱たまらん!

 

既にトリコたちは各々野菜を収穫しに行ったため、俺も適当な野菜を探し回る。

そこで、最初に目に留まったとうもろこしをもぎ取る。

 

ひげを取り、両手でコーンの端を持って一気にかぶりつく。

シャキッシャキッと快音を出しながらコーンを咀嚼し、一気に飲み込む。

 

しばし、喉で味わい、思いのままに叫んだ。

 

「あっっまぁぁい!!」

 

粒の一つ一つが、噛むたびに溢れる風味全てが喉から鼻の先まで突きぬける。

 

コーンの糖度が市販の物よりも段違いで高い!

まるで果物を食べているかのようだった。

 

しかも、ウール火山の土壌で育ったからかほんのりと塩っ気があり、自制しなければ完食するまで食べてしまう。

 

「何じゃこりゃあぁぁ!」

 

ゾンゲの声が響いたので向かってみると、ゾンゲはピーマンを食っていた。

 

「ほう、ピーマンか」

「こりゃうめえ! 何でもいいから食ってみろ!」

「じゃ、これと交換な」

 

手に持ってたコーンと交換したピーマンを食べる。

 

カリっと食べた瞬間にピーマン独特の苦みが広がった。

だが、ただ苦いだけでなく噛めば噛むほど塩っ気と旨味の染み込んだ水分で食べる口が止まらない。

 

「「「「うまああぁぁぁい!」」」」

 

あ、あっちのトリコたちと被った。

どうやらあっちも俺たちと同じ気持ちらしい。

 

ましてやピーマンでさえこの旨みだ。

この野菜畑、相当にやばいぞ!

 

「食って食って食いまくるぞー!」

 

その証拠にゾンゲは既にベジタリアンに改造されつつあるのか目につく野菜を片っ端から食べていく。

負けてたまるか!

 

 

「このセロリ、噛んでて気持ちいいいぃぃ!」

「ナンダ、この無性に手が止まらない旨みは……!」

 

「このトマト、しょっぱい!」

「甘いのと2種類あるのか……王道の旨味は欠かせない!」

 

「まさか、生で食べられるゴーヤがあるなんて……苦みの中にある塩っ気が美味いいいいぃぃぃ!」

「酒だ! 酒を持ってこい!」

 

「おおおぉぉぉ! メロン芋! こんなとこで自生してたのか!?」

「すげえ蜜が溢れ出てくるぅ!」

 

こんな感じで次々と野菜を食べ尽くし、時にはトリコたちと情報交換して目ぼしい野菜を制覇していった。

 

そして、辺り一面の野菜を食べ尽くしたころには四人とも腹を膨らませて心地いい満腹感を堪能していた。

 

「食った食った……野菜でこんなに食べる日が来るとは……」

「偶にはこういうのもいいよなぁ。肉を食べた時の食べた感がある満腹感とは違って罪悪感のない、爽快な満腹感ってのも新鮮だ」

 

堪能した、本当に堪能した。

もうみんな既に旅の終わりって感じがするが、ここに来た本来の目的を忘れてはいけない。

 

と言うのもこんないい空気の中で言うのも憚られるので、口にはしない。

というより、もう()()()()だろうしな。

 

「うわ! 急にお腹が!」

「オレもだ!」

「も、漏れるー!」

 

そりゃあ水分も多く、消化のいい食物繊維豊富な野菜を食いまくったらそうなる。

かくいう俺も腹から音を出しながら便意に襲われる。

 

という訳で、しばしブレイクタイムに入ろう。

 

 

 

 

老廃物と共に全部出し切って心なしかツヤツヤになった俺とゾンゲは本来の目的であるオゾン草を探していた。

 

トリコは少し小松と一緒になりたいと言ったので用を足すときに二手に分かれた。

そして、そのまま休憩挟んでオゾン草を探すに至る。

 

原作からどこにオゾン草があるかなんて予想出来ていたので、偶然見つけたと装ってオゾン草を見つけたのだが、ここで思いもよらない展開が待っていた。

 

「なんでもう開いてんの!?」

「急にどうした?」

「あ、いや、こっちの話」

 

それはもうすぐに見つけた。

ここは予想通りだし、問題はここからゾンゲと協力してオゾン草をゲットするために四苦八苦すると思っていた。

 

 

だけど、だけど……

 

 

勝手にオゾン草が剝き出しになってるって予想できるわけねえ!

 

いくらゾンゲと俺がいるからって、これは予想外すぎるだろう!?

いや、簡単に終わるんならいいんだけどね!!

 

「がっはっはっは! こいつが野菜の王って奴か! 簡単に手に入ったな!」

「ソ、ソウダネ、カンタンダッタネ(震え)」

「お前、さっきからどうした?」

 

やはり食運、食運こそが正義だったんだ!

 

半ば現実逃避も落ち着き、(視界一杯に広がる開かれたオゾン草から目を逸らして)いざ実食とする。

ちなみに食べ方については食材の声で通した。

別に嘘ではないので問題ない。

 

「いくぞ!」

「どんと来い!」

「「せ~の!」」

 

俺とゾンゲはオゾン草の両サイドを咥えながら声を合わせ、一緒にオゾン草を食べた。

その瞬間、カリュっと爽快な音と共に葉肉に蓄えられていたうまみ成分たっぷりの水分が口いっぱいに広がる。

 

食べて味わった瞬間、爽快な旨味と共に体が一瞬だけ震え、消費していた体力が全快……いや、それをはるかに凌駕するエネルギーが溢れ出る感覚を感じた。

 

言わずもがな、細胞のレベルアップである。

 

「「うまああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

さっきまで美味しい野菜を食べ尽くしていたのに、その思い出すら凌駕するほどの圧倒的な旨味に俺とゾンゲは抱き合って喜びを分かち合う。

 

美味い、とても美味い!!

 

これはぜひとも持ち帰って調理したい!

 

しばらくの間、俺とゾンゲは一心不乱にオゾン草を味わっていた。

 

 

 

 

しばらくオゾン草を堪能した俺たちは既にオゾン草を食っていたであろうトリコたちと再会し、そこでトリコと小松のコンビが結成されたことを聞かされる。

俺だけは知ってたけど。

 

しかしトリコと小松の反応がなんだか可笑しい。

 

「あ、小松から聞いたよ。コンビ組んだんだって? おめでとう」

「おう……」

「まあ、オレ様たちの方が完成されているだろうけど、早くこっちのステージにまで来るよう祈ってやるぜ」

「あ、ありがとうございます……」

「じゃあ地上に降りたらお祝いすっか。ココとサニーとかリンも呼んで」

「あ、えっと、それはいいんだ。いいんだが……一つ聞いていいか?

 

 

その大量のオゾン草は何事だ?

 

そりゃ、荷物一杯にギチギチに詰め込んだオゾン草を見れば真顔にもなるか。

原作ではトリコたちは苦労しまくってようやく、一つ食べた先で俺達が大量のオゾン草を持ってたらそうなる。

 

背後に広がる腐ったオゾン草の大群からしてやっぱり苦労しまくったのだろう。

 

「なんでお前らはこんな短時間でそんなに取れてんだよ! なんかコツでもあったのか!?」

「コツって何言ってんだ? オレらが見つけた時には普通にこんなんだったぞ?」

「ウソだろ!?」

 

まあ、食運強いのが揃うとそうなる。(適当)

 

「あ、でも、ボクが最初に見つけた時は確かに葉っぱが開いてたような……」

「え? つまり、何か? この中でオレだけ嫌われてんの!?」

 

という訳で、ここで実験してみた。

 

内容は至ってシンプル、俺とゾンゲと小松だけでオゾン草の収穫を試みるだけ。

その結果は。

 

「取れました」

「マジで!?」

「いや~、まさかあんなにおっぴろげになるなんて思ってませんでした」

「よし、じゃあオレも一緒に!」

 

オゾン草の収穫タイム10秒以内を叩きだされたことにより、ムキになったトリコがオゾン草の前に出てきた時だった。

景色一杯に広がるオゾン草の葉が一斉に閉じた。

 

オゾン草のあからさまな態度に何とも言えない空気になりながらも、ゾンゲはトリコの肩を叩く。

 

「まあ、なんだ、その……元気出せよ」

「納得いかねええええええぇぇぇ!!」

 

結局、GTロボに似た生物に出くわしたとか重要な話すらも忘れるくらいのトリコの悲痛な叫びがベジタブルスカイに響き渡った。

 

 

 

この後しばらく、トリコは「どうせオレだけ嫌われてるよ」などネチネチ文句を言っていたが、関わると面倒になるのは分かっていたので全員で無視してベジタブルスカイから地上へ帰っていった。




小松「食べさせてください!」

オゾン草「ええで」

ゾンゲ「オレ様に食わせろー!」

オゾン草「喜んで」

ライズ「すんません! 一口だけでもいいんで食わしてくださいっす!」

オゾン草「特別だぜ」

トリコ「じゃあオレも……」

オゾン草「ただしトリコ、テメーは駄目だ」

トリコ「なんでだよ!」


原作で見た時、割と本気でこんな印象を受けたのは私だけではないはず

余談ではあるが、ペアはトリコとライズが二手に分かれた時、何と無しにトリコの方に付いて行くことを決めたので、ライズのことは認識していません。
これも食運、食運こそが正義!
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