もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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繁忙期のせいで更新が遅れました。

毎年そうだけど、なんで年末近くってこんなに忙しいん?

合間合間に書いたものだからかなり適当になって丁寧に書けませんでした。
とりあえず、今回はただの世間話で終わります。


メルクさん家で一休み

トリコがオゾン草から総スカンを食らいながらもオゾン草をゲットしてから数週間が経った。

あれからというもの、トリコはオゾン草の他にも修業食材の捕獲を依頼、もとい課題を課せられた。

ほぼ同じタイミングでココとサニーも本格的にグルメ界入りに向けての修業が始まった。

 

ここまでは原作と同じ流れであり、違う点で言えばトリコがオゾン草から嫌われた決定的瞬間を会長やココやサニーに見せて大爆笑鑑賞会を行ったらバレてトリコにボコボコにされた上に食材調達をタダ働き同然に手伝わされたことくらいだった。

 

ちなみに、俺はあの旅で野菜を堪能すると同時に野菜の種と良質な土、そしてミネラルミミズを持って帰って、再生屋の技術を駆使してそれを家庭菜園で育てている。

 

未だに衰えを知らない極光出汁の量産にも慣れてきたところで、いつかやってみたいと思っていた家庭菜園をやろうとしたのだが、やはり一筋縄でいくものでもなかった。

植物の育ちが環境の違いからか遅かったり、味が再現できないなどという困難に現在直面中だ。

空で食べた時と違って味も薄いし、青臭さが残るが、市場に出回っているものと比べても一線を画すほどに旨味が深い。

 

試しに『へるすぃ~』に野菜を売り込んでみたら二つ返事で卸してほしいと言われたので、すぐに承諾した。

流石に劣化品をそのまま卸すのも申し訳ないし、俺の試みについて知った店長が俺の家庭菜園の手助けをしたいと言ってきてくれたというのもあるので、早めにベジタブルスカイの味を再現させてやる!

 

そう決意して日々研究しながらも、それ以外は今までと同じような日常に戻っていた。

 

「そういえば、トリコが小松くんとコンビ組んだ時にライズたちもその場にいたんだよね?」

「まあ、そうだけどよ、急にどうした?」

 

今日はココの自宅で料理を振舞いつつ世間話をしていたら、急にそんなことを聞いてきた。

本日は俺とゾンゲにココが食材捕獲の依頼をしてきたため、その成功祝いとして御呼ばれされたのだ。

 

ココ曰く、「ライズとゾンゲが一緒に来てくれれば環境克服の修業でいい見本になるし、なんでか知らないけど捕獲成功率が格段に上がるんだ」とのことらしい。

最近、ココだけでなくトリコやサニーたちからも幸運のお守り扱いされてきているのはやはり気のせいではなかった。

 

そこでも料理人(社畜)根性が発動して食事を作っている中でココから先の発言が出てきたのだ。

それに対して卓についていたゾンゲが代わりに答える。

 

「いや、そこで何か変わったことがなかったかと気になったんだけど」

「トリコがオゾン草にシカトされただけだったよな?」

「まあ、ていうかそれの印象に全部上書きされてあんまり覚えてない……」

「ぶふっ……そ、そうかい。それならいいんだけど、何だかトリコに死相ってわけじゃないけど、かなりの危機が訪れるような予感がね……」

「肩震わせて言われても……」

 

トリコのオゾン草の話が今でもツボなのか少し吹いたけど、すぐにポーカーフェイスに戻る。

でも、トリコの危機なんてオゾン草の後で言うと……あ、グルメ界の洗礼のことか。

 

原作だとサニーが先にグルメ界に入って死にかけた後、トリコも腕試しで入って同じく死にかけたんだっけ。

しかし、それをまさか占いで勘づくなんて、この世界の占いって結構バカにならないのかもしれない。

 

原作では触れられてなかったけど、ポイズンデビルってそういう能力持ってたりして。

 

そんなどうでもいいことを考えていると、コーヒーで一服していたココはため息を漏らす。

 

「まあ、多分だけどグルメ界に入ったんだろうね」

「なにぃ! そうなのか!?」

「サニーもこの前グルメ界で洗礼を受けたって聞いたし、最近ではサニーとトリコが二人で食事したってのも聞いたし、思いつくのは当然の帰結だよ」

「あー、何となく想像できる」

「あの性格じゃやるよなぁ」

「君たちも大分トリコへの理解度深くなったよね」

 

ココが苦笑してコーヒーを飲み干す。

 

「ていうか、ココは腕試しはしないの?」

「正直言うと、試したいとは思うけど、グルメ界に蔓延する電磁波を見ると、あぁ、自分じゃまだ無理だっていやでも思い知るんだよ」

「グルメ界の入り口まで行ってるんかい」

 

うーん、ココもやはり四天王というのか。

挑戦しようとしたんかい。

 

しかし、ココは直感というか第六感というか、そういうのを重視してるせいか他の面子より堅実な面がある。

まあ、それが生き残るうえで最も的を射た選択なんだよなぁ。

 

「まあ、ボクたちが言うのもあれだけど、細胞のレベルがまだ不十分なうちにグルメ界に入らないようにね」

「いや、言われなくても分かってるってば」

「ていうか、オレ様たちが行こうとするたびに別件があったり、レアな食材の依頼だったりで邪魔が入るんだよなー。なんでだ?」

「……君たち、その運は大事にした方がいいよ。絶対に」

 

あぁ! ココの目が遠くを見るような目になった。

やはり俺たちの食運に関しては占い師として何か思うことがあるのだろう。

 

にしても、トリコがグルメ界の洗礼ってことはメルクの星屑も間近ってことか。

その関係で思い出したってわけでもないけど、最近()()()に顔を見せてなかったし、久々に行ってみようかね。

少しお土産も添えて。

 

 

 

 

「という訳で、久しぶりに遊びに来ました」

「という訳でって気軽に来れる場所じゃないんだけど?」

 

メルクマウンテン頂上に構えるメルクの鍛冶場で挨拶を交わすと数年ぶりの再会とは思えない突っ込みが返ってきた。

 

火を扱い、刃物を研ぐ職人にしては艶やかで美しいロングヘアーを靡かせ、仕事終わりだったのか休憩中に顔を洗っていた鍛冶場の主の仕事場へお邪魔する。

 

出迎えてくれたのはもう一人の幼馴染ともいえるメルクだ。

 

「いやー、いつ来てもここの包丁はいいよなぁ……これ一つあるだけでどんな食材も捌けそうだぁ」

「色々と種類あるんだからその通りに使ってほしいんだけど。それはさておき、ここに来る前に連絡してくれればいいのに」

「いやぁ面目ない。最近会ってなかったよなぁって思ってから弾丸旅で来ちゃった」

「……まあ、いいけどさ。紅茶かコーヒー、緑茶あるけどどれがいい?」

「じゃあコーヒーで」

「はいはい」

 

こことの唯一の連絡方法であるポチコに手紙を出す時間もなかったので急な訪問になってしまって申し訳ないと思うが、それでも迎え入れるだけでなく茶を入れてくれる辺り、相当に彼女の人が良い。

 

「本当に久しぶりだな。数年ぶりってとこか?」

「数年たってもこっちは相変わらずだけど、ライズの方は随分と変わったじゃないか。極光出汁も凄い評判だって聞くよ」

「センチュリースープで色んな素材が手に入ったから趣味で作ったんだけど、IGOがどこからか聞きつけて商品化させられたのが運の尽きだ、まったく……」

「あはは、昔からそういうの興味なさそうだったもんね」

「で、そっちはまだ伝えなくていいのか?」

「伝えるって、何を?」

「分かってるくせに……()()()()()()()()()()()()()()()ことだよ」

 

二代目就任の話になった瞬間、メルクは困ったように頬をかく。

 

「それなんだけど、もうちょっと名前を背負わない、ただのメルクとして仕事しようかなって……」

「……つまり、メンドくさいと?」

「君と一緒にしないでくれるかなぁ!? オレはこの名前に誇りを持ってるんだ。それを誇りこそすれ重荷と思ったことなんて一度もない!」

「わかったわかった。俺が悪かった」

 

俺の一言が心外だと言わんばかりに必死の形相でまくし立ててきた。

そういえばこの子って原作でもメルクの名前を背負うことに関して長年苦悩し続けてきたほどのマジメちゃんだった。

 

しかし、これでもかなり姿勢も軟化しているからかしばらく見させてもらった仕事も自然体だったと思える。

原作で抱えていたスランプやコンプレックスなど微塵も感じられない。

 

そもそも、この世界線のメルクは初代の仕事のことを把握しているため、思い詰めてもいないのだ。

これについてはワケがある。

 

俺がまだ節ばあの所で絶賛しごかれていた時、料理人として包丁の研ぎの基礎を学ばせるためにここへ連れてこられたのだ。

世界一の砥ぎ師から砥ぎ方教わるって英才教育ってレベルじゃねえから。

 

それが初代と二代目メルクとの出会いだった。

 

最初は初代の声量の小ささからコミュニケーションできなかったり、メルクに関してはどこからともなく現れた俺に対して不信感を抱いたりと、ここでやっていける気がしなかった。

 

しかし、日ごろから節ばあのしごきを受けていた俺は初代からのしごきに付いて行けたし、何ならここで読唇術も覚えたりでいい関係を築くのはそう時間がかからなかった。

 

しかし、二代目はそう簡単にいかなかった。

 

「あの時のメルクはめんどくさかったな~」

「し、仕方ないだろ! あの時はその、色々とあったんだ!」

「あぁ、思春期なあれか」

「君は少しデリカシーを持ったらどうだい?」

 

いつの間にか昔話をしていると、どんどん昔のことを思い出してくる。

 

「あの頃は師匠が急に知らない子供連れて来てオレよりもライズのことを急に鍛えたり砥ぎ方を教えたりと贔屓にしていたと思ったから、見捨てられると思ったんだよ」

「なお、そのことについてはずっと前に初代が通告済みだったがな。声が聞こえていなかっただけで」

「今思えば、あの時の心配も余計なことだったんだよね……」

 

ここまで聞くと初代の罪は重いのだが、本人も悪気がなかったのだから余計に性質が悪かった。

 

「まあ結局、IGOの技術を駆使したマイクをメルクからプレゼントという体で渡してからずっと付けてから全部解決したけどな」

「いや、まぁ……そうなんだよね……」

「あ、その時のカンペまだ持ってたんだ。『大好きな師匠へ♡ 私が師匠と出会ってから今日までずっと楽しかったよ。鍛冶場のお仕事は喉に負担がかかるとライズから聞きました。だから、これを付けて元気な師匠の声を聞かせてください。それと、これからはお父さんと呼んでもいい?』……うわ~、子供のあざとさ丸出しだ」

「何勝手に人の荷物漁ってるんだ!? ていうか、君が作った奴だろそれ!!」

 

当時、ライズの甘言に唆されて初代にマイクを送った時のことを思い出して慌てたメルクは顔を赤くして反論する。

 

そもそもの話、ライズはメルクの声量の小ささをあらかじめ分かっていたため、円滑なコミュニケーションのためにマイクを持ってきていたのだが、急に赤の他人の自分が渡すと『声が小さいんだよクソボケェ!』と遠回しに伝えるようで気が引けていた。

そんな時、自分に対して明らかに嫉妬の念を込めていたメルクを利用するために甘言で近づき、適当に歯が浮くセリフを伝えながら渡したのだ。

この男、詐欺師としての腕も確かなのである。

 

その結果、子煩悩でメルクを溺愛していた初代に効果は覿面であり、娘からのプレゼントということでマイクを四六時中着用し、お互いにコミュニケーションできるようになった。

 

更に、ライズのカンペはコミュニケーション改善だけでなく、メルクが『お父さん』と呼ぶきっかけとなり、二人の絆はより一層深くなった。

後に、『お父さん』と呼ばれないと気持ちが沈むくらいの親ばか初代が完成するきっかけとなった。

 

「あの頃からメルクの態度も柔らかくなったっけ」

「まあ、君には感謝してたし、元から大人げないとは思ってたから……」

 

今となってはいい思い出となった昔話にしばし、花を咲かせる。

そして、話題はライズの近況のことで盛り上がった。

 

「それにしても、メディア嫌いの君が最近のトレンドに上がった時は何かの冗談かと思ったけど、本格的に復帰したんだね」

「不可抗力だったけどね……」

「メディアでもそうだけど、ライズってセンチュリースープの小松シェフのことすっごい褒めてるよね。そんなにすごい人なのかい?」

 

メルクがインタビュー雑誌か何かを見たのだろうか、小松のことを話題に上げる。

元々は注目の的を小松に向けさせるための大々的な宣伝だったのだが、結局は無駄な抵抗だった。

 

「半年はずっと一緒に料理してきたけど、見込みしかないって感じ。期待の新人どころか節ばあすらも上回るポテンシャルはあると思う」

「国宝節乃以上って……いや、でも君がそんな冗談を言うとは思えないし……」

「ぶっちゃけ、初代も彼の包丁見たら興味示すと思う。あんなに使い込まれて魂のこもった包丁は初めて見た」

「!……へぇ、それは興味深いな」

 

俺のウソ偽りのない賛辞にメルクの目の色が変わる。

包丁のこととなると一瞬で凄腕職人のメルクへと変わるのは相変わらずだった。

 

「あ、そうそう。これ初代の所に寄ったときに見つけたから食おうぜ。今日は蟹鍋だ」

「これって、ルビークラブにサファイアクラブ、エメラルドクラブじゃないか!? 滅多に見つからない食材をこんな大量に!?」

「試しにゾンゲの適当な毛をお守りにしてみたら、こんなに見つかっちった」

「気持ち悪っ!」

「いる?」

「いらんわ!」

 

ここに来る前にヘビーホールで仕事をしている初代の下へ立ち寄って包丁を研いでもらっていた間に集団で密集していたところを見つけたので乱獲してきた。

身だけ取って殻だけにしても大量のルビー、サファイア、エメラルドの殻はかなり高く売れるから一石二鳥である。

ちなみにゾンゲは現在、家でゲームに勤しんでいるころだろう。

土産に何体かは持って帰ろう。

 

その後、極光出汁で作った光り輝く宝石とオーロラの蟹鍋の想像をはるかに絶する旨さに俺とメルクはだらしない顔を互いに見せ合いながら堪能するのであった。

 

 

 

 

ヘビーホールの最下層で豪壮たる巨大な包丁に囲まれながら、伝説の食材を捌くための包丁を作っている巨大な人影がある。

 

体中に切り傷をこしらえながらもより良い包丁を追い求める寡黙の職人、初代メルクその人である。

 

既に娘に家業を引き継いだ彼は存分に人間界最後の仕事をこなしながら、今日訪れた珍しい客人のことに思いを馳せていた。

 

(久々にライズの包丁を研がせてもらったが、やはりあの包丁は今まで見てきた包丁の中でかなりのじゃじゃ馬だった)

 

仕事の手を休め、ライズの包丁を研がせてもらった時の感触に思いを馳せる。

その持ち主であるライズとの出会いは偶然のものであったが、その包丁と出会うべくして出会ったのだと思うほどに興味深い代物となっていた。

 

見る限り、スーパーで買ったような市販品なのだろうが、長年使われた包丁には、その持ち主の魂がこもる。

そして、それを見た時のメルクの衝撃は節乃や調理王ザウス、そして神の料理人フローゼの包丁を見た時に匹敵する。

 

(あそこまで自分の意識がはっきりしている包丁は珍しい。砥いでいるときも自分の意思をはっきり伝える我の強さはライズらしい)

 

初代にとってライズは数少ない興味を持った包丁の使い手であり、二代目との絆を強くさせてくれた恩人でもある。

もし、彼がすぐにでも包丁を鍛えなおしたいというのなら、喜んで引き受けるだろう。

 

しかし、彼も、その包丁もまだ輝けるからこそ、無粋な真似をするわけにもいかない。

いや、むしろ、これは二代目に任せたらいいのではないか……

 

本人は気づいていないだろうが、ライズの包丁には強い意志が宿り、じゃじゃ馬過ぎて包丁に精通している初代か二代目メルク、もしくはライズ本人にしか砥げないほどのじゃじゃ馬っぷりを見せている。

 

そして、包丁と向き合う初代ははっきりと感じていた。

ライズの包丁からあふれ出る程の、口にすることすら憚られるほどに強い()()があることに。

 

恐らく、並の職人や赤の他人が使おうものなら本来の力は発揮しないだろう。

それどころか、認められてない者が手にすれば確実に何か不吉なことが起こる予感さえした。

 

(まさに妖刀ならぬ、妖包丁……)

 

この歳にまでなって世界の広さを改めて思い知った。

 

 

そんなことを思いながらも、仕事の手は緩めない。

今日も変わらずただひたすらに包丁と向き合い、仕上げていく。




トリコ……現在グルメ界の洗礼を体験中

初代メルク……ライズの包丁がどうしても忘れられない。それはそうと、二代目とライズをやたら二人っきりにさせようとしてくる。真意は不明

二代目メルク……原作と違って初代から正式に襲名されたため、コンプレックスはない。それはそうと、昔、ライズと風呂に入った時のことを今更になって思い出し、顔を赤くしてもだえるようになった。

小松……二代目のカウンセリングによりデロウス包丁フラグは消えたとかのように思われた。無敵の食運でなんとかしてくださいよぉ~!!(何とかなった)

ライズの包丁……元は曰く付きの呪われた包丁などではなく、普通のスーパーで買った妖包丁。もはや斬魄刀となりつつある。ライズにクソでか感情を向ける今日この頃

ライズ……自分の包丁が斬魄刀になっているのに気づいていないクソボケ。この後、カニの甲羅を考え無しに売り払って市場を混沌に陥れる。

ゾンゲ……山に登るのは面倒なので家でゲームしている。土産のカニ美味え



次回はグルメピラミッドとなります。
ここは少し話数がかさむと思いますがご容赦ください。
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