もう食運なんてコリゴリだあぁぁぁぁ!   作:おむれっつごー

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リアルが忙しくて中々筆が進まない。

感想にようやく全て返し終えたのでアップします。
しばらくは原作突入前が続きますのでご了承ください。



六日目

〇月〇日

 前回はつい愚痴を零しただけで終わってしまったが、今は少し慣れて落ち着いてきたので日記を再開する。

 ちなみに、書いている隣ではゾンゲがグロッキーになって横になっていたが、汗と悪臭が凄いから風呂の中に突っ込んだ。

 意識は戻らなかったけどやばい時は起きるだろう、食運があるから。

 

 今日までに起こった内容を事細かに書くのは難しいので簡単にまとめると、こうだ。

 

 ・節乃さんからセツ婆と呼ぶようになった。

 ・朝4時からセツ婆の仕込みの手伝い、そこから座学、調理実習を行い、深夜1時くらいに寝られれば御の字

 ・実習が無いときはゾンゲと狩りに行って猛獣にボコボコにされる。

 ・狩りで手に入れたなけなしの食材で死にかけながら作る料理をゾンゲと一緒に食う。

 

 基本的に上の流れを繰り返してるだけだが、慣れるまでが地獄だった。

 

 基本的にセツ婆は料理の腕が尋常でないくらい早いため、横でセツ婆が調理をするのを追うように同じ食材、同じ調理で食らいつこうとしても当然、引き離される。

 10工程以上の差が開くと殺気を出して「はよついて来い」と脅してくるから圧迫感と「死」のイメージと共に心臓がキュっとする。

 これだけで一日の気力と体力が尽きそうになる。

 

 これパワハラにならんの?

 

 そのおかげ?で料理のイロハをその場で覚えられるから何とも言えない。

 頭じゃなくて細胞レベルで記憶に刻み付けられる。

 

 それ以外の場面では基本的に好々爺だからまだ大丈夫。

 ちなみに好々爺とは字の中に爺の字が入ってるけど、実は老人全般のことを示しているのでセツ婆は好々爺でいいのだ。

 好々婆という言葉は存在しない、要チェックや!

 

 そして狩りについては初心者らしくゾンゲは原作のように斧を振り回してヘビガエルのような捕獲レベル1~3くらいの猛獣を狩っている。

 普通ならレベル2、3の時点で猟銃装備の大人が30人がかりの強さではあるが、俺たちの狩場では戦闘力よりも逃げ足が速い、擬態などで隠れる能力が優れている猛獣しかいない。

 強い猛獣がいないのは会長のご厚意として今日も姿を見せぬ会長に拝んでおく。

 

 それとついでに驚くべき事実が2つ発覚したので書き記す。

 

 まず最初に、俺のグルメ細胞は戦闘向きじゃなかった。

 

 俺にグルメ細胞があるのは村にいた時、ライズの髪の色と急にできた顔の傷から察していた。

 それもあって狩りの時に俺も戦闘を行おうと武器で猛獣を攻撃したのだが、まったく攻撃が通らなかった。

 それどころかセツ婆との料理と狩りを通して体力が付いたというのに、攻撃一回で体力の八割が消費された。

 その様子にセツ婆も何かおかしいと感じたのか俺のグルメ細胞を調べてもらって初めて知った。

 

 俺が攻撃する際、グルメ細胞は多大なストレスを受けて拒否反応を示し、それが体力の消費につながったのだ。

 これにはセツ婆も目を見開いて驚き、ゾンゲは何が何だか分からないという感じで鼻をほじっていた。

 ゾンゲは無視してグルメ細胞を調べていくと、大方の性質が分かった。

 

 俺のグルメ細胞は俺が殺気を出すか、明確に害意を抱こうとするときだけ拒否反応を起こして体力を低下させる。

 その代わり、殺気を向けられたり実際に攻撃を受ける時には細胞は活発に反応して体の柔軟性と頑強さを劇的に増やすといった防御姿勢を見せる。

 また、怪我などの再生機能にも優れており、並の傷なら1時間以内で治る。

 そして、グルメ細胞の記憶能力と学習能力が高いとのことだった。

 

 あまりにピーキーな性能に体から力が抜けてしまった。

 片腕を生やす時のトリコのように、場合によっては宿主さえも殺すほどの獰猛性を見せるグルメ細胞と同じものとは思えない。

 つまり、それは俺一人で猛獣に襲われた際、対抗手段がないということを示している。

 猛獣との戦闘はまさに人任せ……苦手なことを他人に押し付ける性質はまさに他力本願の極みであり、どうしようもなく利己的である。

 

 これに対し、セツ婆は俺の狩りについて教育方針を変更する。

 あまりにもあんまりなグルメ細胞に相当頭を悩ませたのか、少し狩りは控えるようにとお達しを頂いた。

 それから今に至るまで食材調達は必要最低限に抑え、調理技術と知識を深めるのに集中している。

 

 

 

 そして、もう一つ判明したことがある。

 なんと、ゾンゲにグルメ細胞が見つかったのだ!

 

 ある日、狩りに失敗して猛獣の群れに襲われてタコ殴りにされる、という所でゾンゲが力んだのか屁を出した。

 屁を出した瞬間、猛獣たちが奇声を上げて逃げていった。

 横にいた俺はそれを不審には思わなかった、涙と鼻水が止まらないほどの悪臭が辺りに漂っていたのだから。

 助けに来た職員の人も顔をしかめたのも一瞬、その場で吐いたのだから。

 かくいう俺も吐かされた。

 

 あまりの悪臭に職員が不審に思ったらしく、ガスマスク着用で悪臭が止まらないゾンゲを研究所へ連れていき、検査を受けさせた。

 その結果、ゾンゲにグルメ細胞があり、そいつが毒ガスを発生させていた。

 特性はそのまんまスカンクのようなもので、猛獣に襲われたことで生存本能が働き、グルメ細胞が働いたのだという。

 

 たしかに原作の記録上ではアカシアの三弟子が叩き出したビックリアップルのLV90台に次ぐLVを屁一発で叩き出した。

 トリコでもLV50辺りだったのに。

 

 前世でネタにされていたグルメ細胞保有説がくしくもここで証明されたのだった。

 本人曰く、よく分からんとのこと。

 とりあえず美味い飯食ってれば強くなると言ったら「料理バフ的なあれだな」とゲームに見立てて自分なりに納得していた。

 それでいいのか、そう思ったが、グルメ細胞については未知な部分が多いからそれでいいかと俺も思うことにした。

 

 

 

「怠惰なグルメ細胞とは、これはまた珍しいのう」

「我が生徒ながら難儀なものじゃ」

 

 深夜の節乃食堂で箸で豆煮を食べながらカウンター越しの節乃に面白そうに言うが、節乃はため息を吐く。

 ライズがグルメ細胞を持ち、その相方であるゾンゲもグルメ細胞を持っていると知った時は、これも食運かと思ったが、現実はそんなに甘くなかった。

 

 ライズのグルメ細胞がまさかの非戦闘型で他力本願だったのだから無理もない。

 自分で料理を作って、それを食べるなら細胞を進化させて二人とも強くなっていくはずだった。

 だが、蓋を開けてみたらどちらも生存能力を高めるだけに特化した変則型だった。

 ゾンゲはまだ悪臭を上手く駆使すれば戦闘面は何とでもなりそうだが、ライズは完全に自分が生き残ることだけしか考えてないような性質だった。

 

 もちろん生き残ることは大事だが、コンビの二人が変則型というのはバランスが悪い。

 

 しばらくは途中経過を見ながら教育方針を変えていこうと考えていると、一龍がじっと見てくるのに気づき、その真意を理解する。

 

「料理の腕については順調じゃよ。グルメ細胞のおかげで呑み込みも早いから少しペースを早くしても食らいついておる。最近では生意気になったのもあって教え甲斐が出てきたんじゃよ」

「そりゃよかった」

 

 節乃がグルメ細胞と本人の記憶に確実に技術を叩きこむ意味で少し圧をかけているのだが、一龍はその事実を知らない。

 こうしてパワハラはバレることなく、過激になりつつある教育方針が続いていく事実をライズは知らない。

 

「忙しい時にすまんの。才能を持ちながら教育の機会を受けられず料理人の道を諦めさせるにはもったいなかったとはいえ……」

「危険な力を制すには、まず正しく導かなければの。そこらの料理人に任せるのは危険だとわたしゃ分かっとる」

「あぁ……世話になる」

「礼はええよ。個人的には食材を進化させる能力が料理界にどんな影響を与えるか、楽しみじゃったからな……ただ、気になるところがある」

「なんじゃ? 問題か?」

「まだ問題にはなってないから安心せえ。修行で追い詰めすぎたからかもしれんが、ライズからは焦りが感じられる。まるで料理人になるしかない、と言わんばかりじゃ」

 

 節乃の言葉に一龍は思案する。

 確かに狩りに行かせるということもあり、生と死について実感する機会が増えたからかもしれん。

 それだけ聞けば順調に試練に当たっているという印象を受けるが、節乃もとい、料理人にとっては問題なのだろう。

 

「焦りや不安、恐怖はもちろん憎悪を抱えながら作る料理は食べる側にも負の感情を伝える。そこを何とかせねば料理人として育てるのは危険じゃ」

「ふむ……料理人として、いや、美食屋とのコンビとして大事なものが二人に欠けるものか……」

 

 しばらく一龍は考える。

 

 ライズは謎の強迫観念で客に料理を作る意味をまだ理解していない。

 ゾンゲも美食屋としての面子に目が行き、食を隔てなく分かち合う心を理解していない。

 

 そんな二人に必要なものは……それを考えた一龍は決心して節乃に提案する。

 

「ちょうど今、与作経由でIGOに依頼があっての……それを二人に任せようと思うんじゃが」

 

 恐らく、これが二人にとって最も難易度の高い試練となるだろうが、これを乗り越えられれば間違いなく大きな成長につながる。

 

 二人に試練を乗り越えてほしいと祈りながら、しかし多分大丈夫だとも感じている。

 

 ゾンゲとライズは互いに抱く感情はそれぞれ違うものと感じている。

 単純なゾンゲは面倒見のいい性格からか、頑張っている舎弟の手助けをしてやるか、とくらいにしか思ってないだろう。

 ライズに関しては何らかの理由で打算的にゾンゲの舎弟で納得している印象を受ける。

 

 片や打算での関係だが、それでもライズがゾンゲの『何か』に強い信頼を抱いている気がする。

 

 自分たちがただの少年にここまで入れ込んでしまっているのは類まれなる食運の成せる業なのだろう。

 二人は今後の世界に必要な気がする、そう思ったからだ。

 

 

 ゾンゲの身内にしか向けない優しさが周囲に向けられるようになったら……ライズが料理人としての心構えを理解できた時は。

 

 その時、何かが変わると確信しながら二人の成長を心より願うのだった。




ライズのグルメ細胞……食べた食材の再現など学習能力が高い、体がやたら頑丈で生命力と回復力に優れている、戦闘行為が苦手

ゾンゲのグルメ細胞……悪臭を始めとした様々なガスの生成

今のところのプロットはこんな感じです、
どっちも自分が生き残ることしか考えてねえ……

今後の成長で性質がコロコロ変わる予定ですが、ご了承ください。


そして、次回は新たなキャラが登場です。
アンケート取っておいてあれですが、ティナの登場は相当しばらく後になります。
また、出てきても日記描写の中でしか出てこない予定で考えています。
アニメの方はあまり見ていないのでキャラが掴み切れていないからです。
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