ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。 作:YEBIS_nora
唐突だが、ボクはシャーレで最も存在感のない部員だと思っている。
『シャーレ』発足当初に連邦生徒会から無作為に選抜、派遣され、夜遅くまで膨大な書類仕事を先生と一緒にこなしていたのも今や昔の話だ。
先生が活躍する度に部員は増え続け、組織化して仕事を振り分けていった現在のシャーレは非常にホワイトな職場と言えるだろう。(先生を除く)
それとボクの存在感の薄さにどんな関係があるのかって?
...有り体に言えば、ボクには突出した能力が何も無いのである。
エンジニア部みたいな技術があるわけでもなく、料理や掃除なんかもC&Cやフウカちゃんには敵わない。
ヴェリタスみたいにソフトウェアに明るいわけでもないし、事務処理能力は...もの凄く頑張ったらユウカちゃん達とギリギリ渡り合えるレベルだろう。
おまけに戦闘能力に関しては、ボクはシャーレで一番弱いと言っていい。
後衛でのサポートが主体の面々にすら開始10秒で瞬殺されるレベルのクソザコっぷりである。
もちろんボクだって努力はしたよ?暇さえあれば皆の戦闘映像を全部見て、一人一人をメタれる戦術を考えてみたり。
夜な夜なブラックマーケットの射撃場やジムに通って
基本インドア生活のゲーム開発部や『普通』を自称するヒフミちゃんだって戦闘任務に選抜されているのに...ボクは一度も、先生の指揮で戦ったことはなかったりする。
...そんな具合で絶賛シャーレのモブ部員をやっているボクは、最近心の友である先生ともロクに話せていない。
先生とは会話しても疲れないし、プラモやハマってるスマホゲームの趣味も合うから一緒に玩具屋へ出かけたりもしてたんだけど...もはやそれも半年以上前の話だ。
どうしてか?それはボクを除くシャーレの部員全員が先生にガチ恋していることに起因する。
もうホント凄い。仕事中でも昼休憩でも生徒達を帰らせる時間になっても、先生は個性的で魅力的な女の子達に囲まれていて近付くことすらままならない。
休日も部員の誰かしらとお出かけと言う名のデートの予定が組まれており、いつ1人だけの時間を取っているのか不思議になるくらいだ。
...まあ正直、彼女たちが先生に惚れてしまうのも仕方ないとは思ってる。
先生は『キヴォトスすべての生徒の味方』を本気で志し、助けを求める生徒がいるなら銃弾飛び交う前線にだって迷わず飛び込んでしまえるヒーローみたいな
出向く先々で活躍し、年頃の女の子達が持つ『理想の男性像』を無自覚に塗り替えて帰ってくる一連の流れは、もはやシャーレの様式美として捉えていいだろう。
そうやって自分を導いてくれた先生を支えるため、力になるため...あわよくば、
お給料が貰えるとはいえ、一人一人がその能力を惜しみなくシャーレに提供してくれるのは非常にありがたい話だ。
...うん。白状すると、ボクは皆のことが羨ましい。
ボクだって誰でも出来る事務仕事じゃなく、何か突出した能力で組織に貢献してみたい。
周りも認める程の戦力になって、度々事件に巻き込まれてしまう先生の力になってみたい。
____親愛なる『
...なんて願望を持ってはいるけれど、結局ボクはシャーレの一般事務員のままなのだろう。
先生とは廊下ですれ違いながら挨拶を交わして、その後はオフィスの片隅で書類仕事をしながら皆の活躍を眺めているだけなのだろう。
...そう思っていたボクを、どうやら神様は見放さないでいてくれたらしい。
主人公の名前は次回のお披露目になります。