ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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連続投稿二話目です!




幕間 サイカという少女について~『Cleaning&Clearing』編~

「____しかし、僅か数日で(くだん)のターゲットを見つけ出せるだなんて...流石、ミレニアムが誇る『全知』の仕事ですね」

 

 舗装の荒れ果てた道路を走行する、ミレニアムが独自の改造(アレンジ)を施した特殊車両。

 後部座席で装備の最終チェックを行っているのは、メイド服に身を包んだ4人の少女達。

 

「でも本人は、『別の目的で張っていた監視網にたまたま引っかかっただけなので...これでは先生に自慢できませんね』って言ってたから...その内潜伏先や目的も全部解き明かすつもりなんだと思う」

「あははっ!最近ずっと張り切ってるよね、ヒマリ部長。やっぱり()()()()()()で先生に頼られたのが嬉しかったのかな!」

 

 『Cleaning&Clearing』____通称『C&C』。ミレニアムの生徒会(セミナー)直属の組織である彼女達は、その一人一人が校内トップクラスの戦闘能力を有する優秀なエージェントだ。

 

「あっ、この間の会議って言えばさ...()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!ホントに美味しかったよね!」

「そうですね...あの鼻腔を抜ける香ばしい香りと、舌を包み込む奥深いコク...先生が毎日リクエストするようになったというのも頷ける味わいでした」

「うん、最近になって急に腕を上げたから驚いた...リーダーもそう思うだろう?」

「...んぁ?......ああ、そうだな」

 

 『リーダー』と呼ばれた少女____美甘ネルの反応が妙に素っ気なかったため、角楯カリンはどうしたのかと首を傾げる。

 

「気にしなくていいですよ、カリン?部長はただ、最近サイカさんが戦闘訓練に参加しなくなったのは自分のせいなんじゃないかと()()()()()()()()()()、実はコーヒーの研究をしていただけだったと知って少し不貞腐れてるだけですから♪」

「ばっ...!アカネてめっ、テキトーなこと言ってんじゃねぇっ!!」

「え〜?でもこの前シャーレの廊下でさ、『最近アイツ、全然訓練に顔出さねーけどよ......大丈夫だよな?あたしの()()()のせいで訓練がイヤになったとかじゃないんだよな...?』ってご主人様に相談持ちかけてたじゃん!」

「...っ!?聞いてたのかよ...じゃなかったっ、話してねーしそんなこと!どこのどいつと間違えてやがんだ、あぁん!?」

 

 取り繕いようがない部分まで言葉が出ちゃってる我らがリーダーの慌てぶりには、3人の部員達____アスナもカリンもアカネも、肩を竦めて笑うばかりである。

 

「部長がサイカさんを気に入っていることは知っていますが...あんなに悩むくらいなら、普段からもう少し手加減してあげても良かったのでは?部長も...それに、正義実現委員会のツルギ委員長も、どうしてサイカさんとの訓練では徹底して本気を出すんですか?」

 

 これ以上しらばっくれても往生際が悪いと自覚したのか、組んだ足に頬杖をついたネルは開き直ったように口を開く。

 

「...はっ!確かにサイカは弱っちいけど、根性だけはホンモノだからな!毎回半泣きになって逃げ回っちゃいるが...目の奥には、あたしらから一個でも立ち回りを盗んでモノにしてやろうっていう貪欲さが渦巻いてやがる」

 

 ...話しながら、脳裏にどんな彼女(サイカ)を映し出したのか。

 言葉を切ったネルの顔に浮かぶのは、鳥肌が立つ程ギラギラとした獰猛な笑み。

 

「____あんな素敵(さいこう)な目ぇ向けられて、手を抜くことなんざ出来るかよ...!」

 

「...っ!......もう、本当に困った部長ですね」

「うん...部長はそこそこ難儀な性分だと思う」

「あははっ!でも、『C&C(わたしたち)』のリーダーはそうでなきゃ!」

 

 コールサイン00(ダブルオー)は、『約束された勝利の象徴』。

 ソレを『通説』たらしめている彼女の中にある衝動は...きっと、そう都合の良い具合に我慢が利くモノでは無いのだろう。

 

 ...でも、今はそれでいい。

C&C(じぶんたち)』もサイカも先生も...シャーレの部員を含む、彼女を取り巻く多くの生徒達も。

 そんな『個性』1つ受け入れられないような人間は、きっと誰一人としていないのだから。

 

「...そら、着いたぞテメェら。無駄話はこれで(しま)いだ」

 

 装甲車がゆっくりと停止し、立ち上がったネル達はバックドアを開けて外に出る。

 降り立ったのは、ミレニアム近郊に位置する正体不明の立ち入り禁止区域____通称『廃墟』。

 

 最近はゲーム開発部が()()()()()を発見したり、特異現象捜査部が奥地で『デカグラマトン』と邂逅したりと、きな臭さに拍車がかかっている件の区域(エリア)でネル達が始めるのは____謎の少女『シキ』の捜索・交渉任務。

 

 シャーレではなく()()()()()()()()()()()本任務の目標は、『廃墟』で行動しているシキを捜索・接触し...()()()()()()()()()()()()()、ミレニアムまで大人しく同行してもらうこと。

 

 何故シャーレの前にミレニアムへ連れていくのか、何故珍しく『連行するための手段は選ばなくていい』と遠回しに言ってきたのか...『算術使い(ユウカ)』の真意は定かでは無いが、正直その辺の思惑なんてどうでもいい。

 ゲヘナの風紀委員長にあそこまで言わせた存在と、相まみえることが出来ると分かれば十分だった。

 

「任務開始だ、『C&C』____久しぶりに大物の予感だ。気合い入れろよ、テメェら...!」

 




...消費するアイテムが『神名文字』だからってことで、少し前まで『神秘解放』のこと『神名解放』だと思ってた同士おりゅ?

この世界のブルアカをプレイしている先生達からの印象として、サイカは某アイドル育成ゲームに必ずいらっしゃる『事務員さんポジション』のキャラをちょっとモブっぽくした感じ...といった具合です。

アロナちゃんというスーパーアシスタントがいるおかげで、ごく一部のチュートリアル説明と各イベストのプロローグで物語の導入(『おはよー先生、今日は〇〇に行ってくるんだっけ?』みたいな感じで会話する)兼、出掛ける先生に『いってらっしゃい』を言う係だと大半のプレイヤーは思っておりますわ〜。

メタ的な余談ですが、三人称視点で書かれている地の文がまるっとゲーム内ストーリーのテキストになっているわけではありませんわ。
多分そこまで考えて地の文を練ると脳が爆発しそうになるので、その辺を整理する意味も込めて、この世界のブルアカプレイヤー視点の掲示板スレ回を数話先で予定しています。

日記形式に掲示板形式と、書き方が増えるばかりの本作ですが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

明日は三話連続投稿になります!
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