ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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本作は原作ストーリーのネタバレを多分に含みます!
独自解釈がモリモリだけど、どうかご容赦くだせぇ!



ヘイローが『反転』したらしい

 どういう訳か、ボクのヘイローは『反転』したらしい。

 教えてくれたのは、ゲマトリアとかいう組織の『黒服』さん。

 

 以前先生が『絶対に信用しちゃいけない『大人』第1位』って言ってたけど...シャーレに年賀状とか送ってきてたし、実は先生にちょっかいをかけて楽しんでるだけの愉快な人なんじゃないかなとも思ってる。個人的にはだけどね。

 

 黒服さんの所まで来た経緯を簡単にまとめるとこんな感じだ。

 2時間くらい前かな?シャーレへの簡単な依頼で外に出ていたボクは、突如武装したPMC5人に囲まれてこの建物に連れてこられた。つまり拉致ですね!

 

 どうやらソイツらは黒服さんがけしかけていたらしく、目的はボクをカードに先生との交渉を優位に進めるためだったようで。

 『そんな強引な手段をとるなんて意外ですね』と聞いてみたら、『どうしても先生の協力をお願いしたい事案でして』とのこと。

 

 まあ結果として、ソイツらは突然『反転』したボクに一瞬でやられてしまった訳だけど...正直、拉致されたことについてはどうでもいい。

 

 

 ____重要なのは、この『反転』という現象がとっても便利であるということ!

 

 

 だって凄いんだよ!普段の状態から反転...黒服さんが言うには『恐怖(テラー)』になると戦闘能力が飛躍的に向上するし、見た目も大きく様変わりする優れモノ!

 黒服さんが雇っていた残りのPMC50人と同時に戦ってみたけど、感覚に慣れてきた頃には全員戦闘不能にしていて自分でも驚いたよね。

 

 鏡を見せてもらった時なんか思わず息を飲んだよね!セミロングだった髪の毛は腰の辺りまで伸びてるし、髪色も白から淡い虹色みたいなグラデーションカラーになってるし。

 どことなく『眼』みたいだった黒丸のヘイローからも、6本くらいの帯が渦を巻くように伸びて色鮮やかな風合いに変わってるから超綺麗!

 

 ...後ろで黒服さんが『神秘』と『恐怖』がどうのとか『崇高』がうんたらとか話してたけど、()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()急に黙り込んじゃった。

 

 えっ、反転したら元に戻れないの?普通に戻れましたけど?

 神秘と恐怖を併せ持つことが何を意味するかって?知りませんが何か?

 

 ...まあとにかく、ヘイローの『反転』によって高い戦闘能力と実質的な変身能力を手に入れたボクは思いついちゃったわけだ。

 

 

 ____これを使えば、憧れの『()()()()()()()()()』が出来るんじゃないかって...!

 

 

 『謎のヒロイン』、それはアニメやゲームに時折登場する魅力的なポジション。

 物語の途中から登場し、限られた出番の中で鮮烈な印象を残していく正体不明の女の子。

 圧倒的な戦闘能力で苦戦していた敵を倒してくれたり、主人公の前に突然現れては意味深なセリフを残して去っていく。

 

 割とあっさり味方サイドについてくれることもあれば、終盤ギリギリでラスボスを倒す最後の一押しになってくれたりとムーブは様々なんだけど...これ以上は長くなるから割愛するね。

 

 プランとしてはこうだ。表向きはいつも通りシャーレで働いて、先生が直接出向く必要がありそうな依頼の情報を収集する。

 先生の日程が決まったら、目的地に先回りして戦闘に乱入してみたり、先生の前にふっと現れて意味深なセリフを残してみたりするのだ。

 

 ...先生は段々、『謎のヒロイン』であるボクのことが気になってくるだろう。

 仕事中もボクの姿や意味深なセリフなんかを思い出して、どうして自分の出向く先々でボクと遭遇するのかを考えちゃう筈だ。

 

 疑念は部員達にも伝播して、ボクのことを捜索し始めたりもするだろう。まあ『反転』すると見た目もヘイローの形も変わるから、見つけ出すのは不可能だろうけどね!

 

 

 ...どうして『謎のヒロイン』に拘るのかって?フフん♪いい質問ですよ黒服さん!

 確かにここから逃げ出して、先生にボクの身に起こったことを全て話してしまうのも選択肢としてはアリだろう。

 色々検査はされるかもだけど、いずれは『反転』を使いこなすシャーレの大きな戦力として活躍出来るかもしれないね。

 

 でもさぁ...そのポジションって制約が多いし、人数も足りてるんだよね。

 ゲヘナの風紀委員長、正義実現委員会委員長、C&Cのコールサイン『ダブルオー』、等々(エトセトラ)

 

 シャーレの中でも戦闘能力の高さで貢献してくれる部員達は、度々暴れ出す『ビナー』や『ケセド』なんかの撃退戦には引っ張りだこだけど、その分普段の任務ではお留守番になることが多かったりする。

 

 ...いつ先生のカッコいい活躍が見れるか分かんないのに、お留守番してるなんて勿体ないじゃん?

 せっかく反転出来るんだもん。どうせなら目立ちたいし、今まで報告書でしか知り得なかった分、比較的自由なポジションで先生に関わってみたいからね!

 

 ん?先生からは別人として認識されるけどいいのかって?

 構いませんとも()()()()()!先生からはどうであれ、中身はボクであることに変わりはないからね!

 

 『謎のヒロイン』として先生の周りで暗躍できるなら____事務員としてのボクは、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ...どうしたの黒服さん、急に黙り込んじゃって。

 はは〜ん?さてはボクの完璧なロールプレイ計画に驚いて言葉も出ない感じだね?参ったな〜まったくもう♪

 

 

 ...えっ!ボクのパトロンになってくれるの!?黒服さんが!?

 

 そりゃまあ『謎のヒロイン』っぽい装備を色々用意しないといけないし?資金援助してくれたら助かるけどさ......代わりにロクでもないこと要求するんでしょ?

 先生に対しては何とも言えないけど、生徒に対しては純度100%の『悪い大人』みたいですからね。対価によっては断るし、『反転』すれば()()()()ここから離脱できますよ?

 

 ...『反転』して『謎のヒロインごっこ』をやってる間、記録用ドローンを追従させてほしいだけ?そんなんでいいの!?ラッキー!

 ほんほん......うん、じゃあ連絡貰ったらまたお邪魔しますね!契約書のサインはその時に!

 

 

 ......ふう♪実に有意義な時間だった。これからのロールプレイが楽しみで仕方ないね♪

 色々準備しないとな〜。顔を隠すマスクや装備各種、念のため車かバイクも用意したいよね。

 

 後は...そう!日中のシャーレからどうやって抜け出すかも考えないとね!

 勤怠システムをちょろまかすのは難しそうだし、捜し物系の依頼を優先的に引き受けるとか.........って、やっば。

 

 

 ......そういえばボク、外回りの途中だったじゃん...。

 

 

 

 

-----------------

 

 

「......行きましたか...いやはや、『想定外の存在』には慣れたものだと思っていましたが...この『キヴォトス』という箱庭は、本当に()()()()()()()分かったものではありませんね」

 

 

 呟きながら、『黒服』を名乗る『不可解な存在』はデスクチェアに深く腰を落とす。

 

 ...当初は、先生との交渉カードとして()()()()という認識だけだった件の少女。

 脅威になるような能力もなく、話し方から仕草まで世間一般的な『普通の少女』の範疇だった筈の彼女に...ほんの数時間で、これまで積み上げてきた研究をひっくり返された。

 

 ヘイローの『反転』によって漏れ出る、根源的な恐怖を呼び覚ますようなプレッシャー。

 50人を超える武装PMCを、武器を使わずに薙ぎ払っていく鮮烈な光景。

 

 そして...『神秘』と『恐怖』を自在に切り替える、彼女の平然としたあの表情。

 

 

 ...今思えば、だ。

 彼女が覗かせていた違和感(ズレ)を、どうして自分は察知できなかったのか疑問で仕方ない。

 

 拉致される際には案の定全力で抵抗していたが、これからどうなるか分からないという根源的な恐怖を感じている程の()()()()()を見せていただろうか?

 

 『反転』すれば逃げ切れるという自信があるとはいえ、先生から存在を教えて貰っただけの『黒服(じぶん)』という存在に対して...あんな『顔見知りの大人』と話すような雰囲気を出せるものなのだろうか?

 

 ...事前情報など当てにならない。

 あの少女は『反転』を知る前から...本当に普通の『一般生徒』だった時から、()()()()()()()()()()()()()()

 

「ええ、ええ......()()()()()()、貴女を観察させて貰えれば十分ですとも」

 

 ヘイローが『反転』することを知り...自分が夢想していた『きっかけ』のカタチを知り、彼女は『普通』という殻の中身を晒し始めた。

 ...『謎のヒロインごっこ』などと突飛なことを言い出しはしたが...いずれ『ごっこ遊び』では済まなくなることを予感していても、黒服はソレを止めるつもりはない。

 

 彼女の言う通り、自分は『悪い大人』であることに変わりはないのだから。

 

「クックックッ......同志である『ゲマトリア』...特にベアトリーチェの場合、彼女のことを知ったらどうなってしまうことやら」

 

 デスクの中央に置かれたA4サイズの資料をつまみ上げ、黒服はライターで火をつける。

 彼女の事前調査内容が記載されたその紙に、角からどんどん炎が燃え広がっていく。

 

 ...焼けて崩れ去る顔写真の隣、資料が完全に燃え尽きる最後の(スペース)を眺めながら、黒服は愉快そうに肩を震わせる。

 

 

「どうか最後までやり遂げてくださいね...連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』所属、一般事務員の『色波(しきなみ)サイカ』さん____」

 

 

 

 

 

 




ということで色彩ちゃんです。
ヘイローのデザインはアリウス自治区にあったステンドグラスそのまんまです。

うん、もう本人の思惑関係なく存在がアレだね!救いがあるといいね!(他人事)
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