ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

20 / 53
今週は土曜日に一話、日曜日に二話更新予定ですわ!
...というのも、今投稿している一連のお話の合計文字数が半端ないことになってるんですよね。
加えて締めにあたるお話までキッチリ完成してないのが現状で...ホシノが絡むこの一連の章は、投稿頻度を保つために小出しで投稿しようと思います。
掲示板回などを上手く使ってお話のテンポが冗長にならないよう頑張りますので、のんびりお付き合いいただけますと幸いですわ。




『謎のヒロインごっこ』活動記録~お出掛け準備編~

○月‪✕‬日

 

 色々あった有給消化期間も終わり、久しぶりにシャーレへ出勤したボクなわけなんだけれど......コンディションは経験上稀なレベルの寝不足で、先に来ていたチナツちゃんに『予鈴が鳴るまで仮眠室から出ないでくださいっ』と有無を言わさずベッドまで引き摺られてしまう始末だった。

 

 『そんなっ!始業前に休み中の状況確認と引き継ぎまで済ませようと早めに出て来たのに!』って言おうとしたら、チナツちゃんが(おもむ)ろに眼鏡を外して睨んで来たので途中で言葉を引っ込めました。

 ひぃんっ...流石に長い付き合いなだけあって、ボクを速攻で黙らす(すべ)を心得ていらっしゃいますわ!

 

 ...まあ一応、こんなバキバキの目で出勤することになったのには理由がある。

 深夜に交わした、『シキ』と先生とでお出掛けをするという約束...その日に着ていく服装決めや諸々の準備をするために、夜明けまで黒服さん達と白熱のリモート会議を繰り広げていたのだ。

 まあ厳密には、白熱していたのはボクじゃなくて黒服さん含む自称『悪い大人』の皆さん達だけどね。

 

 だってアレ絶対ふざけ半分で話してたもん!『クックックッ!やはりここは王道を征くモノトーンコーデ...!』やら『少女の髪色と合わせた薄いグラデーションカラーのワンピース...先生に『品位』をアピールするなら最適な選択だろう』やら『いえいえ、ここは敢えてゴスロリという『記号』を加えることで』やらっ!

 もう『ガスマスクしててもバッチリ決まるコーデ』っていう大前提忘れてるじゃん!

 自分の好みをひたすらプレゼンし合う会になっちゃってるじゃん!あとなんか好みのクセが強い...!

 

 ぐぬぬ...真っ先にあのヒト達に聞いたボクがバカだった。何だかんだ立ち振る舞いがスマートだし、それぞれ心の余裕?みたいなのを持って『大人の趣味』を楽しんでる姿も見てきたから、ファッションについても良いアドバイスをくれるんじゃないかって変な期待を抱いちゃってたぜ...。

 

 その後髪型はどうするかという名目の好みの髪型談義に発展したけど、結局何一つ決まらないままボクだけが疲労する形で朝を迎えてしまったのだ...つまりツッコミ疲れである。

 

 ...仮眠室に放り込まれたボクはボフンッ!とベッドに倒れ込み、うつ伏せのままグリグリと枕に顔を(うず)める。

 枕から鼻腔に広がる()()()()()()()()よって...思い起こされるのは、昨晩から今日の深夜にかけて先生と過ごした......本当に、本当に久しぶりな2人きりのひと時。

 

 ____やぁぁぁぁぁぁっぱ落ち着くんだよなぁ、先生とのんびり他愛ない話するのって!

 もう後半1時間くらいなんて『雑談』ですらなかったもんね!『鶏肉の皮ってめちゃ美味しいよね』って話をした後に、ふと自販機に目が向いた先生が『そういえばこの前、自販機に500円玉吸い込まれたんだよね』って話題の方向転換するくらい何の中身もないようなこと話してたんだから!

 

 でもさぁ、これが全然疲れないんだよ不思議なことに!寧ろ気が緩み過ぎて、うっかり『シキ』のロールプレイから外れた素のリアクションが出そうになってたくらいだよ!

 なんて言うんだろう...部員の皆が言ってるような『ドキドキする』感覚はないんだけど、リラックスできると言うか、胸の辺りがポカポカしてくると言うか...そんな感じ?

 そんでもって、帰り際に突然お出掛けのお誘いじゃん?もうOKするしかないでしょうよ久しぶりなんだから!

 

 ...むん、もちろん『サイカ』ではなく『シキ』としてお出掛けするって事実を忘れてはいないよ?

 『謎のヒロイン』のヒロイン力を存分に披露出来るまたとない機会...時間は少ないけれど、当日までにはキッチリ仕上げてみせますとも。

 

 だけど『サイカ』も『シキ』も、他ならぬ『ボク』であることに変わりはないんだから...ボク自身がちゃんと楽しまないと勿体ないし、ヒロイン(りょく)アピールだけに傾倒してたら先生に『ちゃんと楽しめてる?』って勘繰られちゃうかもだしね。

 

 ......とか何とか考えていたら、結局寝ることすら出来ずに始業5分前の予鈴が鳴ってしまった。

 むん...それもこれも、このベッドの常連である先生が匂いを残しまくっていたせいである。また皆が熾烈なベッド争奪戦を繰り広げないよう、後で洗濯しておかなきゃいけないね。

 

 しかし、ホントに当日の服装はどうしたものだろう。

 漫画やアニメで言うならば、ヒロインの魅力でグッと距離を縮められるデート回。『謎のヒロイン』なんだし『シキ』の普段着で良いかなとも思ったけど...やっぱりここは、普段と違う装いで積極的にアピールポイントを増やしていくべきだと思う。

 

 そう思いはするんだけどね...ボクも一応人並みにファッション知識はあるけれど、実際は動きやすい格好やオフィスカジュアルくらいしか着てこなかったから、『自分に似合ってるコーデ』というものがイマイチ分かっていないのだ。

 おまけに『ガスマスクは外さない』という縛り付き...時間も惜しいし、目についたコーディネートは片っ端から試していくしかないよね。

 

 下のコンビニにファッション誌って置いてたっけな...昼休みにでもソラちゃんのとこに行って、あるだけ全部買わせてもらおっと!

 

 

○月△日

 

 ......なんか部員のほぼ全員に、()()()()()()()()()()()()()()()っていう噂が広まってる件。

 

 ウソでしょ...?昨日1日、休憩時間や空き時間にファッション誌を3冊くらい読み(ふけ)ってただけなのに、どう深読みしたらそんな結論になるn____ヤバい囲まれたっ!ユウカちゃんもノアちゃんもセリナちゃんも、ボクを視認してからの動き出しが機敏過ぎますことよ!?

 

 ...その後『どどどどどどういうことか説明してっ...!』とお目目グルグルにしながら詰め寄ってくるユウカちゃんを宥めつつ、何とか『噂は誤解』だと納得して貰うことが出来た。

 有給期間中は()()()()のお手伝いとかしてただけって話したし、直近の先生とのモモトーク履歴も証拠として見せたしね......うん、まあ嘘は言ってないかな☆

 

 『ていうか、もし仮に噂が本当だったとしてさ...クソザコ一般事務員の『サイカ(ボク)』が皆とのヒロインレースに勝てるわけないじゃん』って笑いながら言ってみたら...何か3人の空気が固まった。

 もっと言うなら、周りで聞き耳を立ててたっぽい面々(みんな)の息遣いまでピシャリと固まった気がした。

 

 ...セリナちゃんは『熱でもあるんじゃ...?』みたいな感じでおずおずと体温計渡してくるし、ユウカちゃんは何かこう...気持ち的には言いたいことが山ほどあるけど全部ぶち撒けてやろうか迷って顔芸劇場とか始めちゃってる感じだし。

 ノアちゃんに至っては...なんか笑顔のまますっっっごいガリガリ手帳に書き込んでるんだけど!?えっ待って恐い、今のやり取りにそんな記録(メモ)するような内容無かったじゃん!

 

 直後、タイミングよく始業時間になったから自然に解放されたんだけど...別れ際、ボクの脇腹にちょい強めの貫手をお見舞いされた。おゥ、デュクシッ!

 

 その後普通に一日過ごしたものの......誰かとすれ違う度に軽めの腹パンされたり両手で髪の毛ボサボサになるまで撫で回されたり太腿にゲシゲシ膝蹴りされたりと...スキンシップと呼ぶにはちょっと荒々しい絡み方をされるボクなのだった。

 

 

○月□日

 

 先生とのお出掛け前日、ここでボクが検討と試着を重ねて纏めあげたコーディネートを紹介するぜ!!

 

 先ずは上から、ちょっと大きめのキャスケット帽!人とすれ違う時だけでも深めに被って俯けば、じっくり見られでもしない限りガスマスクに目が向くことはないだろう。

 更に保険として、無地の白スウェットの上から帽子と同じキャメルカラーのフード付きポンチョを採用!途中何か食べ歩くことになっても、横から口元が見えなくなるよう慎重に活用しようね☆

 

 後は黒のロングスカートとスニーカーを合わせ......最後に、まるでワイシャツに飛んで出来たコーヒーのシミのように悪目立ちして仕方ないスタイリッシュなガスマスクを装備すれば完成です...。

 

 ____もう無理だよ、これが限界だよぉ...!ガスマスクしててもバッチリ決まるコーデなんて存在しないよ、『如何にガスマスクを目立たせないように』するかを考えるので手一杯だったよっ!

 

 ...姿見の前で情けなく(うずくま)るボクを見ていたのか、隣にしゃがんで肩をポンポンしてきたのはデカルコマニーさん。

 ......んぇ?何その真っ白なお面みたいなやつ...へー、このガスマスクと同じ素材で作ったんだ?

 そこにゴルコンダさん達がよく使う『記号』を刻印して?......おぉ、すっごい!一瞬でボクのコーデに色合いを合わせたデザインが塗装されて、なんか『尖り散らかした先端アート作品』みたいになっちゃった!

 被ってみろって?......おお、これなら『ワイルドハントの生徒が制作した流行の最先端に行き過ぎなファッションアイテム』としてギリギリ何とか許容できるラインになったんじゃないかな...多分っ!

 

 ううっ...ありがとね、デカルコマニーさん。黒服さん達は『コレ着てみて』『アレ着てみて』ってちょっかいかけてくるだけだったから、純粋にボクを想って手を貸してくれるその気持ちだけで泣けてきちゃいますわ...!

 

 うん...うんっ!任せてデカルコマニーさん!あなたの心遣いに恥じないよう、先生にヒロインとしての魅力をバッチリ見せつけてくるからね!!

 

○月✕日

 

 ____悲報。めっちゃ頑張って準備した先生とのお出掛け、始まる前から終了する。

 

 うおおぉぉぉぉぉぉどぉじでだよぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!

 

 

 

 

 




作者はファッションセンスがドブカスなので、作中で書いたコーディネートに違和感があるかもですが気にしないでいただけると幸いですわ~!

部員達はみんな色彩ちゃんと親交が深いので、彼女が嫌味で言ってるわけじゃないことも十分理解はしています。
でもそれはそれとしてムカつくから手が出ちまいますわねぇワタクシもそうしますわ~!
次回は明日、三人称視点と色彩ちゃん視点を一話ずつ連続投稿します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。