ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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※本作の先生は明確に男性となっているため、少々語気が荒くなる描写がありますのでご注意ください。



大人の舞台

 ...嫌な予感があった。

 『そんな筈はない』と必死に論理的な否定材料を探しながらも...先生は、全身から沸き立つ()()()()()()()()()を抑えることが出来なかった。

 

「...()()()()()()()()()()

「「「「____っ!?」」」」

 

 周りに多くの生徒達がいるという単純な事実すら、頭の中から抜け落ちていた。

 普段の彼からはとても想像出来ないような『敵意』とドスの利いた声に、部員達は一斉に身体を硬直させる。

 

「「......ぁ...」」

 

 間近でソレを受けたユウカとノアに至っては、鮮烈な驚きと微かな恐怖と...状況的に似つかわしくないゾクゾクとした感覚によって、先生を拘束する自身の腕に力を込められなくなっていた。

 

「____どうしてお前が、()()()()()()()()()()()...っ」

「ククッ......いかがなさいましたか、先生?以前お会いした際に纏っていた『底知れなさ』が、今の貴方からは微塵も感じられませんよ?」

「話を逸らすな、いいから答えろ...お前は何の権利があって、『先生』である私の目の前で...っ、『生徒』の近くに立っている...!」

 

 更に強く、張り詰めていた場の空気が引き締まる。

 

『『『『____っ!』』』』

 

 ...本能で、部員達は理解した。

 既にこの場は...安易に生徒(こども)が口出ししたり、銃を構えていいようなセカイじゃないことを。

 『ルール』と『事実』、『仮定』と『解釈』。

 未成熟な『精神』で踏み込んだら即座に呑まれて詰まされる...ヒリつくような『大人の舞台』が、()()()()()()()()()()()()()展開されているのだと。

 

「.........っ、」

「...せん、せ......っ」

 

 空崎ヒナも、天雨アコも...まるで、背後から伝わる空気に押し退けられるように。

 ぎこちない動作で外側へ移動して、ゆっくりと歩を進める先生に...何時(いつ)だって()()()()()()()()()と後ろに控えてもらっていた『大切な存在』に、最前線へ続く道を開けてしまっていた。

 

「____ククッ、クックックックックッ...!」

 

 ...だが、そんな場の空気なんて微塵も気にしていない様子で。

 或いは、先生が作り出した珍しい空気感そのものを愉しむかのように。

 右の(てのひら)で額と目元を覆い、黒服は堪えきれなかった様子でただ嗤う。

 

「.........何も、可笑(おか)しなことを言った覚えはないぞ...?」

「ククッ、これは失礼......ですが先生、貴方は何も分かっていない...本当に、()()()()()()()()()()()()

 

 『質問の答えになってない』と言い始めるより前に...黒服は、すぐ隣に立つ少女の方へと向き直る。

 

 ...たったそれだけで、嫌な予感が膨れ上がる。

 直視したくない現実が、もうすぐそこにまで迫っているような...奇妙で底気味悪い確信が、ゾワりと全身を駆け抜ける。

 

 そんな先生の精神状態に構うことなく____黒服は、芝居がかった動作で()()()()()()()

 

「____()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「..................................................は.........?」

 

 意味が。

 分からなかった。

 

 黒服が現れた時よりも、遥かに思考を凍りつかせる衝撃に襲われる先生を差し置くように...続けて少女が口を開く。

 

『...何度も言ってるけど、貴方達の『姫』になった覚えは無い......しつこく言い続けていれば、ツッコミを諦めてなし崩し的に認めてくれるとか思ってる...?』

「クックックッ、滅相もございません...私はただ、貴女を何時(いつ)でも『ゲマトリア』に迎え入れる用意があることを示し続けているだけですよ」

『...()()として結んだのは、『(こちら)の生体情報や戦闘データを提供する代わりに、資源と情報を共有する』というビジネスライクな協力関係...期待してるとこ悪いけど、()()()()()の仲間になる未来は万に一つも有り得ないと思うよ?』

 

「...な、にを...?」

 

 ようやく思考が正常に回り始めても...先生の中にある困惑は深まるばかりだった。

 

 どうして()()黒服が、一人の生徒を相手に恭しさを滲ませている?

 どうしてシキは、目的のためなら生徒を『道具』として利用するような存在相手に____()()()()()()()()()()()()調()()で言葉を交わしている...!?

 

『...というか、いい加減跪くの止めて。芝居がかってるのもあって尚のこと胡散臭い...可及的速やかに立ち上がって』

「クックックッ、これは失礼...ですがつれませんねぇ...貴女が『目的』を果たす上で役に立つだろう知識や情報を授ける過程で、もう何度も()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(............めろ)」

 

『...それ、『説明したがりで話が脱線しがちな黒服さん達のペースに付き合わざるを得なかったから』っていう前提を忘れないでほしいんだけど......?』

「はて?そうは言いつつ、毎回とても真剣な面持ちで...()()()()()()()()()()()()、我々の『授業(はなし)』に耳を傾けていたのも事実では?」

 

「(......めろ...)」

 

『......それも、私の欲する知識や情報が何時(いつ)どのタイミングで出てくるか分かったものじゃないから仕方なく「クックックックックッ...!」____()()()()()()()()()()()

 

「(____やめろ...っ!!)」

 

 周囲を____自身を蚊帳の外にして繰り広げられるやり取りに...目に映る光景に、先生の奥底にある『何か』が蝕まれる。

 喉が干上がり、嫌な汗が背中を流れ落ち...形容し難い圧迫感に、頭と胸が押し潰されそうになる。

 

 生徒の模範たる『先生』が...自らが理想とし、そう在らんとする『大人』が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が...泥のように、彼の全身を侵食していく。

 

「ククッ、なるほどなるほど...()()()()()()、まだ気が変わるような段階では無さそうですね......それでは貴女の支援者(パトロン)として、一つ『提言』をいたしましょう」

『...?』

 

 シキにグイグイと腕を押し退けられた黒服は...仮面の下にある瞳を覗き込むように、少女の方へ半歩距離を詰めながら言葉を続ける。

 

「先生とのんびりお出かけしようとしたり、回避可能だった筈の無駄な闘いに興じたりなどと____()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

『____っ!....................そう、だったね...』

 

 ...傍からでは、言葉の裏にどんな事情と意図が潜んでいるのか分からない。

 それでも、たった今黒服の放ったその言葉は...彼女の足を、『良くない方向』へ向けさせるだけの引力を備えていたことは確かだった。

 

「...さあ、間もなく完全に日も暮れます。今日のところは、一先(ひとま)ず退散「____逃がすと、思っているのか...っ」......クックックッ」

 

 射殺さんばかりの視線と、()()()()()()()()()()()()()()()が突き刺さり...黒服は、再び先生の方へと目を向ける。

 ...その右手には、先生(かれ)の『切り札』たる()()()()()()が握られていた。

 

「以前も申し上げた通り...そのカードはしまっておくのが賢明ですよ、先生?」

「この前対峙した時と何も変わらないさ...お前に退()く気がないのなら、私は何の躊躇いもなくこのカードを使う...!」

 

「ふむ、なるほど...時に先生____()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「____な...っ!?」

 

 ...その光景を見て、先生は驚愕と動揺で大きく目を見開く。

 

『............』

 

 黒服の(かたわ)らに立つ少女が...シキが、ゆっくりと一歩前に出て。

 ____()()()()()()()()()()()、ボロボロの身体で左腕を大きく広げてみせたのだから。

 

「どうして......どうしてっ!そんな奴のことを庇う必要があるんだ、シキ...っ!!」

『......ごめん、先生』

 

 右手でハンドガンをギュッと握りながら、シキは俯いたまま言葉を続ける。

 

 この人が『悪い大人』であることは、自分だってよく理解していると。

 巧妙に、狡猾に...最終的にこちらが不利になる『契約』を少しずつ仕込んでいるかもしれないと。

 この人と先生は......どう足掻いても、相容れることのない関係なのだということを。

 

『____それでも、今は私の支援者(パトロン)だから......ここで、この人を失うわけにはいかないの』

「____っ、」

 

 ...全身を包んでいたドス黒い激情は、たった一手で敢え無く霧散した。

 

 悲痛に顔を歪ませて...先生は、カードを掲げた右手を下に降ろす。

 ...使える筈がない。

 あらゆる危機的状況を打開できる可能性を秘めた強大な『切り札』...それを生徒に向けて使うことだけは...っ!『先生』として、絶対に容認するわけにはいかなかった...!

 

「...何か勘違いをしているようなので、お節介ながら訂正(はな)しておきましょう」

 

 背後に『影』のような()()()()()を作った黒服は...そう言って、仮面の少女の肩にそっと右手を置く。

 

「『反転』に『恐怖』、そして『厄災』...彼女に関わる事象や問題について____部外者なのは寧ろ貴方の方です、先生」

「...どういう、意味だ...?」

「どういう意味も何も、貴方は何も知らないではありませんか...『厄災』の正体も、()()()()()()()()()()()()

「...っ!」

 

 突き付けられた。

 よりにもよって...想像出来る範囲で最も突き付けられたくない相手に、ずっと胸の奥で(わだかま)っていた事実を口にされてしまった。

 

「............お前は、どちらも知っているって言うのか...」

「ええ、勿論...だからこそ彼女は、『シャーレ』でなく我々『ゲマトリア』に取引を持ち掛けてきたわけですから」

 

 息を詰まらせる先生に追い討ちをかけるかのように...黒服の言葉は止まらない。

 

「相手をより深く知るため、一緒に出掛けることを提案する...成程、()()()()()()()()()()()()()なら悪くない選択だと思いますが...彼女に対しては悪手にしかなり得ません」

「......どうして...」

「____()()()()()()()()()...目的を果たすため、ただの『生徒』で在ることを捨てて『こちら側』に進むと決めた...彼女の決意そのものを」

 

 ...言葉が一々抽象的過ぎて、具体的な情報がサッパリ入ってこない。

 

 彼女の『目的』は、ただ単に『厄災』を殺し尽くすことだけなのか?彼女の振るうあの力は、他の生徒と具体的にどう異なるのか?

 ......先生(じぶん)彼女(シキ)は、本当にあの廃プラントでの邂逅が初めての出会いだったのか...?

 

「.........っ」

 

 ...考えるほどに浮き彫りになる。

 黒服と自分の間にある隔絶...『知識』と『情報』の有無によって生じた、彼女に対する理解度の格差を。

 

「____彼女は、我々と共に来るべき『生徒(さいのう)』です」

「『資源』に『知識』に『情報網(ネットワーク)』...彼女の活動をサポートするにあたり、我々ほど万全の用意が出来る支援者(パトロン)もそうはいないでしょう」

 

「そしてご安心を。私個人といたしましても、()の『厄災』は煩わしい存在であると認識しております...全てが終わるその時まで、彼女との『契約』を()()するようなことはしないと約束いたしましょう」

「故に...この件からは手を引いてください、先生____来たる『厄災』は、()()()()()()()()()()()()

 

 ...最早、先生はその場で奥歯を軋ませることしか出来なかった。

 シキとホシノの衝突に間に合った時のような、たった数十分の周回遅れとは比較にすらならない。

 先生(じぶん)は、シャーレは____シキという少女について、どれだけ離されているかも想像出来ないレベルの周回遅れに陥っていたのだと。

 

「ふむ......個人的には()()()()()()ですが...『門』を維持するリソースもタダではないので、本日はここまでにいたしましょう」

「............っ」

 

 先生と黒服...二度目となる『大人同士の戦い』は、そもそも片方が『戦い』の土俵にすら立てていなかった。

 多くの生徒達が見ているこの場で...先生は、為す術もなく黒服に出し抜かれてしまったのだ。

 

「お先にどうぞ、我らが姫」

『.........』

 

 黒服に促されるまま、『門』と呼ばれる空間に近付いたシキは...その場で立ち止まり、逡巡し...弾かれたように、先生の方へ身体を向ける。

 

『____約束する、先生』

「......シキ...?」

 

 言葉を受け、先生はゆっくりと顔を上げる。

 ...視線の先には、小指だけを立てた右手を真っ直ぐに伸ばす色鮮やかな少女の姿があった。

 

 曰く...自分は、必ず『厄災』を殺し尽くす。

 先生(あなた)が生きるキヴォトスを、全霊を賭して守り抜いてみせると。

 

 故に...自分のことは気にしなくていい。

 先生(あなた)の時間と能力は、助けを求める他の生徒達のために使ってほしいと。

 

 だから...一つだけ約束して欲しい。

 

『全部終わったら、今度こそ____2人で、沢山お出掛けしようね...?』

「____っ!」

 

 ...ほんの僅か、小首を傾げる少女を見て。

 か細く尻すぼみになっていった最後の言葉を、零すことなくハッキリと聞き届けて。

 

「......約束出来るわけ、ないだろう」

『......えっ...?』

 

 ____ドクンッ!ドクンッ!と...先生の心臓が、全身に『熱』を回し始める。

 さっきまでのドス黒い激情とは性質からして異なる、()()()()()()()()()()()()が...先生を、自身が理想とする『大人』の姿へと引き戻す。

 

「周回遅れだろうと関係ない____『()』はキミに...っ!自分だけが大きな負担と苦しみを背負う『選択』を『正しいこと』だなんて思って欲しくないんだ...っ!!」

 

 ...彼女の言葉は、こんな返答を貰うために紡がれたモノではないのかもしれない。

 黒服の言う通り、彼女の決意を鈍らせてしまうだけなのかもしれない。

 

 だけど...感情があったのだ。

 別れ際の運動公園での一幕よりも遥かに色濃く...無機質なフィルターを介した彼女の声に、絶対に無視出来ない『諦め』と『寂しさ』が表出していたのだ...!

 

 故に踏み出す...『それだけあれば十分だ』と。

 シャーレの先生はそれだけで...持てる全てを、『生徒』のために費やせる。

 

「追いついてみせるよ、シキ」

『......ぇ...?』

「『厄災』のこと、キミの扱う『力』のこと。各地に点在する遺跡や『遺産』に、キヴォトスで起こる『不可解な事件』の数々...調べて、学んで、解決して____キミの見ているセカイまで追いついてみせる」

 

 『それだけじゃない』と言葉を切って...先生はゆっくりと、後ろと周囲に目を向ける。

 

「____!...先生......」

「ヒナ..................」

「............総員、厳戒態勢を解除。速やかにこちらへ集合して」

 

 数秒に渡る見つめ合いの末、ヒナは観念した様子で指示を飛ばす。

 『詳しいことはまた後で...』と強烈に目で訴えかけてくる彼女達に頷き返しつつ、先生は再びシキの方へと向き直る。

 

「部員のみんなに連邦生徒会、各学校のリーダー達にも、理解と協力を得られるよう掛け合い続けるよ...以前キミが言ってた『防衛力の強化』を実現するためにも、みんなの力が不可欠だからね」

『...さっきから、何を...』

「____()()()()、かな。他ならぬキミと......余裕綽々な態度でキミの隣に立っている『悪い大人』に向けてのね」

「____!......ククッ」

 

 チラリと自身に向けられた瞳を見て、黒服は微かに息を呑む。

 ...黒服(じぶん)の姿を捉えた直後からの()()()()()()も悪くなかったが...やはり、『こちら』の方がより一層興味深いと...!

 

「____()()()()()()()()()()()()()()()

『...!?』

「知識を蓄えて、情報網を拡充して、組織体制をもっと磐石にして...『ゲマトリア』の支援を受けるより、『シャーレ』と一緒の方が心強いって思わせてみせる...!」

 

 そう言って、先生はシキの方へと手を伸ばす。

 自分と彼女の間にある()()()()()()()()()()()()を...必ず手の届く距離まで縮めてみせるという決意を込めて...!

 

『............きっと、貴方は後悔する』

 

 数秒の沈黙の末...シキは、無機質な声音でそう告げる。

 

『ある程度調べた段階で痛感する...キヴォトスやその『外』に眠るモノの不気味さ、存在している目的、解読方法の複雑さ......黒服さん達との間にある、途方もない程の『知識』の開きを』

「例え何度打ちのめされようと、キミの所まで進み続けてみせるよ...なんたって私は、連邦()()()の『先生』なんだからね」

 

『『厄災』を相手に、()()()()()()()は通用しない可能性が極めて高い...安易に関わったら最後、貴方や貴方の生徒達が何も出来ずに命を落とす危険だってあるの...っ』

「誰も死なせない...私が必ず、全員が『これから』を生きていける未来を掴んでみせる」

 

『......』

「.........」

『................そう...』

 

 見つめ合った末...そう呟いたシキは、『門』の方へと踵を返す。

 

『.........』

 

 果たして先生は...遠目では分からない程ゆっくりと進行するその()()を、認識することが出来ただろうか。

 

 彼女のヘイローの一部たる虹色の(スペクトル)が、黒い天輪のもとへと収束を始め。

 淡い虹色の長髪が、少しずつ脱色しながら短くなっていく変遷の過程を。

 

『......期待は、しないから』

「...うん、それでいい____ちゃんと追いついてみせた時、キミの驚いた表情が見られるかもしれないなら...尚のこと、私も頑張れそうだ」

『.........ばか

 

 直後...ボコリ、ボコリと。

 黒い『何か』がみるみる内に全身を覆い隠して。

 少女はどろりと、『影』の中へと落ちていく。

 

 か細く零れたその言葉に乗る感情は、果たしてどんな『色』だったのか...現状で、確かめることは叶わない。

 ...だけど、それでいい。

 ()()を気軽に聞けるほどの実績と信頼を勝ち取れるようになるまで、先生(じぶん)が進み続ければいいだけの話なのだから。

 

「...............、」

「....................ククッ」

 

 そして、黒服と先生...相反する2人の大人が、今もう一度向かい合う。

 

「...言いたいことは、一つだけだ」

「奇遇ですね...私も同じことを考えておりましたよ?」

 

 ザリッ、ザリッ...と地面を踏みしめ、二人は互いの方へと歩みを進める。

 纏う空気に『隙』など見せず...睨み合うように合わせた(まなこ)に、『不安』や『油断』など微塵も映さず。

 

 さながら...一昔前の戦争で行われたとされる『一騎討ち』のように相対し____二人の大人は言葉で以って、揺るがぬ意志にカタチを与える。

 

「____支援者(パトロン)の座は奪い取る...彼女は、私の大切な『生徒』なのだから」

「____支援者(パトロン)の座は渡しません...彼女は、我々と歩むべき『生徒』なのですから」

 

 

-----------------

 

 

 ...もう完全に日も落ちて、表通りの光だけが夜闇に差し込む路地裏のバスケットコート。

 

「____全員揃ったわ、先生」

「...うん」

 

 シキと黒服がこの場を後にして数分後...ヒナの呼びかけで、ずっと佇んだままだった先生はゆっくりと生徒達に向き直る。

 

「...さっきはごめん。我を忘れて、皆にも怖い思いをさせてしまった」

「......私達の方こそ、ごめんなさい。今にして思えば、彼女の振りまく『恐怖(プレッシャー)』を抜きにしても...私達は、内心で明確に冷静さを欠いていたわ」

 

 揃って、先生と生徒達は頭を下げる。

 どれだけ考えたいことがあるにしろ、心中が複雑に荒れ狂っているにしろ...『自身の非はしっかり謝る』ことを後回しにしちゃいけないことを、皆当たり前のように理解しているのだから。

 

「...それじゃあ、先生...明日話し合う内容についてだけれど...」

「......そうだね。突然で申し訳ないけれど...私の口から、直接皆に話をしたい」

 

 

「____今後のシャーレが進める捜査指針と、私の今後(これから)...部員のみんなから見て、シキは本当に『脅威』となる生徒だったのかも含めてね」

 

 

 

 




この回で正体バレすると予想してくださった皆様が想定以上に多く、本当に申し訳なく思っています。
本作初期構想段階からずっと、色彩ちゃんの正体が暴かれるのはエデン条約編でと決めておりました。
加えて、色彩ちゃんには調印式周りでやってもらいたい役割があるため、今暫くは一般事務員も兼任してもらう予定です。
ご期待を裏切ってしまう形になり申し訳ありません。今後もお付き合い頂けますと幸いです。
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