ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。 作:YEBIS_nora
ギャグ回だと思って気楽に読んでくれるとありがてぇです。
※18時30分頃、本文の一部を追加修正しました。
○月✕日
数日前にヘイローの『反転』を習得し、意気揚々と『謎のヒロインごっこ』の準備を始めたのは良いんだけど...ボクは早速、由々しき問題に直面した。
というのも、契約書へのサインと買いたい装備品リストを渡しに黒服さんの所へ出向いた際に、とある衝撃的な事実が判明したのだ。
驚くことに黒服さん......『謎のヒロイン』に対する理解や
違うんだよ黒服さん。『SRTに匹敵する最新鋭の武器を仕入れることも出来ますよ?』って言ってくれるのは嬉しいけど、他の生徒みたいにオリジナルのカスタムや塗装とかしてない『その辺で売ってる武器』で無類の強さを見せつける方がちょっとカッコいいじゃん?
必要性に首を傾げてるその暗器各種だってさ、戦闘に乱入してきた謎のヒロインになんとか喰らいついてる相手が、隙を突いてこちらの武器を弾き飛ばして『
...その後も疑問符を浮かべる黒服さんに、ボクは残りの装備、服装、小道具などなど、『最新鋭』よりも『ロマン』を重視した構想を一つ一つ丁寧に解説した。
...あっ、黒服さん表情分かりにくいけど今のは分かりましたよ!『よく分かんないけど取り敢えず買ってあげるか』みたいな顔しましたね!?
全くもう...いいですか黒服さん。ボクらはパトロンと支援者の関係である以上、見据えるビジョンはしっかり共有しなきゃ気持ちのいい取引相手になれないと思うんです。
黒服さんが持ち前の知略策略を駆使して手に入れたお金なんですから、使い道や目的にちゃんと納得した上で出資してくれないと...ボクも素直に受け取れませんからね。
____そもそもっ!黒服さんがボクに記録用ドローンを追従させたいって言ってきたのに、『謎のヒロイン』ムーブに対する前知識もなしで一体何を見返して楽しむつもりだったんですか!
『この場面まで戦闘に乱入するタイミング待てたの上出来じゃない?』とか、『ここ!謎のヒロインのことが気になりながらも指揮に集中しようと表情を引き締める先生カッコよすぎない!?』みたいな感じで2人でニチャニチャ見返すためじゃなかったの!?ボク楽しみにしてたのに!!
ええい、言い訳なんて聞きとうないですわ!装備品を揃えるのは一旦保留だよ保留!
ということで今日から2週間!ボクこと色波サイカさんが『謎のヒロイン』系キャラが出てくる作品を『布教』して、黒服さんに豊富な前知識をつけて貰いたいと思います!
任せてくださいって。『謎のヒロイン』や『番外戦士』系キャラが出てくる数多の作品を観てきたボクと一緒なら、入門編から玄人編____沼の覗き方から正しいハマり方と沈み方までバッチリ知ることが出来ますよ!
またまたぁ!時間がないだなんて嘘言っちゃって!自分が動かなくても事業が回って収入が入るよう仕組み化してあるってこの前言ってたじゃん!
...まあそれに〜?ボクと先生って結構好きな作品被ってるから、履修しておくと共通の話題が幾つか手に入るんじゃないかな〜なんて思うんだけど...?
...おっ、急にめっちゃ乗り気になったじゃん!流石、先生の
じゃあボク色々準備してくるから、2時間後くらいにまた戻って来ますね!
ん?何しに戻ってくるのかって...やだなぁ、何を分かりきったことを仰いますの。
____今日からしばらく、
○月✕日
布教活動を始めて早3日。記録も兼ねて、ここでボクらのイカれたスケジュールを紹介するぜ♪
まずはシャーレの仕事が終わったら黒服さんの拠点に直行し、持って来た漫画や同人誌を読んでもらう隣で黒服さんの事務仕事をお手伝い!
夕食やシャワーを済ませたらソファーに並んで腰を下ろし、ボク厳選のアニメや特撮を寝落ち寸前までひたすら鑑賞!
起きたら一緒に朝食をとり、身支度を済ませてシャーレに出勤!
うへへへへへ♪こんな風に、自分の情熱と欲望のままにフル稼働するような日々をボクはどこかで待っていたんだ!
思えば既に色々あったな〜。黒服さんってば『私は食事を摂らなくても生存出来るので』とか言って、嗜好品の高そうなお酒とおツマミ用の食材しか置いてなかったんだよ?
やれやれ全く...オタク談義に花を咲かせながら食べるご飯の美味しさは格別だというのに、なんて勿体ない。以前はボクと先生もそうやってお昼休みを過ごしていたものなのに。
というわけで、布教期間中の食事はこのボクが責任をもって作ってます!フウカちゃん達に及ばないってだけで、一応人並み程度には料理できるからね。
...ちなみに初日は、机に座ってお茶碗と箸を持った黒服さんの姿がどちゃくそ面白くて爆笑した。
今度折を見てエプロンをつけてもらおうと思う。多分3日くらい黒服さんの顔見ただけで笑う自信があるからね。
○月✕日
黒服さんは根が勤勉なようで、登場人物の名前や作品の世界観を早い内に覚えちゃうし、気になったことは素直に質問してくれるので非常に解説し甲斐がある。
漫画を途中まで読んでもらい今後の展開予想をしてもらった時も、伏線になってそうな描写から殆ど正解に近い考えを披露してくるからホントにビックリしたよね。
だから...それ全部読み終わったらさ、連載中のこの作品読んでみない?
続きが気になってボクも考察とかしてるんだけどさ...黒服さんの考えと擦り合わせとかしたらきっと楽しいと思うんだよね...。
...ん、ありがと。お礼に今夜はお酒に合いそうな肉料理作ってあげるね。
○月✕日
止めないでっ!止めないでよ黒服さん!
個人的にめちゃんこ好きなんだけど世間的にはマイナーカプ!この方はそんな2人が絡んでるイラストや漫画を定期的に供給してくれる素敵な絵師さんなんだ!
応援コメントや同人誌買うだけじゃ収まんないんだよ!ついにファンコミュニティ開設したって言うんだから、もう加入するしかないじゃない!
『貴女そのセリフ使うの何回目ですか』って...ええい、やかましいですわ!月額それなりに飛んでってるけど、ちょっとだけ生活を切り詰めればボクはまだ舞えるんだ!
あぁっ!お財布とカード取り上げないで!分かった、加入するコミュニティ見直すから!月額出費抑えるから!だからソレ返してぇぇぇぇぇぇ...っ!
○月✕日
......すっごい今更だけどさ...なんかごめんね、黒服さん。
なにがって...ほら、興奮状態だったとはいえさ、布教だ〜!なんて言って黒服さんのとこ押しかけてるわけで...。
『らしくない態度ですね』って...しょうがないじゃんか。元々利害関係があったとはいえ、自分の趣味を押し付けてることに変わりはないわけなんだし...。
......ははっ!...うん、先生と共通の話題を持てるなら、ボクの突飛な行動に付き合うくらいなんの支障にもならない、か...。
ううん、ここで先生みたいに
ありがとね、黒服さん...じゃあ布教期間の折り返し、遠慮なく付き合って貰うからね。
○月✕日
いいねいいねェ!!その表情だよ黒服さん!
今観ているこのアニメこそ『謎のヒロイン』や『番外戦士』系キャラが迎える結末の1つ、『光堕ちしたと思ったらすぐに死んでしまうパターン』の中でも秀でた傑作!その第20話!
物語序盤から孤高を貫き、そのキャラデザやカッコいい生き様によって多くのファンを生んだ『謎のヒロイン』がさぁ!ようやく主人公達と一緒に因縁の敵を倒して年相応の女の子みたいな笑顔を見せてくれたっていうのに____次の瞬間には背中を敵幹部に切り裂かれるんだよ!?
このアニメ史上最高のキラキラシーンから、史上最悪のトラウマシーンに突き落としてくるこのエッグい構成!
ボクはねぇ、黒服さん。主人公達と視聴者の反応が極限までシンクロする瞬間の、その表情が見たかったんだァ...!
あぁ...その表情が出来たってだけで、黒服さんはまた1歩、沼の深淵に近づけたんだと思うよ。今日は素敵な日になったね...もうとっくに日付け変わってるんだけど。
...このシーンは、3話前からぶっ通しで観ると衝撃が段違いだからね.........夜更かし覚悟で、粘った甲斐があったってものだよ。
...でも、もうホントに限界だから......悪いんだけど、ボクを寝袋まで...連れて行っ...て...............。
○月✕日
目が覚めたら寝袋の中だった。
どうやらあの後、黒服さんはちゃんとボクのお願いを聞き入れてくれたらしい。
お礼を言おうと扉を開けて声をかけたんだけど...振り向いた黒服さんがエプロンをつけていたので、ツボってそれどころじゃなくなった。
○月✕日
2週間はあっという間に過ぎ去って、ボクが計画した布教活動はその全てのカリキュラムを修了した。
黒服さんの要領の良さも相まって、ボクの想定以上の前知識をつけてもらえたと思う。
改めて、黒服さんに買いたい装備品リストと『謎のヒロインごっこ』の概要をプレゼンしたんだけど...以前にはない不思議な手応えをボクは感じていた。
なんていうかな...否応にも言語化し
どうやらソレは気のせいなんかじゃなかったようで、黒服さんはプレゼンを終えてしばらく瞑目し...『よく分かりました』と言ってくれた。
ビジョン共有のための濃密な2週間を経て、ついに双方納得の上での装備品購入が決定したのだ!
デスクチェアから立ち上がり、右手を差し出してきた黒服さんとボクは固い握手を交わした。
...ボソッとだけど、黒服さんが『有意義な時間でしたよ』って言ってくれたのは...結構嬉しかった。
帰り際、黒服さんが『顔を隠す用に』とガスマスクをプレゼントしてくれた。なんでも『ゴルコンダ』さんと『デカルコマニー』さんっていう同志の人に作ってもらったらしい。
表から見ると目の部分が無くて、どうやって外見るんだって思ったんだけど...付けてみたら、どういう原理か何も付けてない時と同じ視野を確保出来る優れモノだった。
鼻まで覆えるネックウォーマーみたいなマスクで済ませようとしてたけど、そうする必要はなくなったらしい。
その後軽く言葉を交わして、いい感じにお別れの挨拶をして黒服さんの拠点を後にした。
......駅で財布を置いてきたことに気付いて、ダッシュで戻ったら黒服さんにアホほど笑われたのは言うまでもない。
✕月○日
自室からの生活に戻って早数週間。
3日前に黒服さんから装備が揃った旨の連絡を貰って以降、ボクは毎日上機嫌でシャーレに出勤していた。
部員証をかざして建物に入り、階段を登ってオフィスに続く廊下を歩いていると、反対側からいつものように先生が歩いてくる。
その隣には同じ古参部員であるユウカちゃん。そういえば今日の当番はユウカちゃんだったっけ。
...しっかし改めて見ると、ユウカちゃんは先生の隣が様になってるよね。シャーレ発足当初からそうだったのもあって、仕事の打ち合わせをしながら歩く2人を見るとボクも気が引き締まるからありがたい。
...まあそれは?表の意味でも
すれ違いながら先生達に挨拶して、オフィスに入ったボクはホワイトボードに書かれた先生の予定表をしげしげと眺める。
...そう、ついに明日。ボクの『謎のヒロインごっこ』を始めるのにうってつけな任務が予定されているのだ!
内容はちょっと手間がかかりそうなレベルの戦闘任務。
選抜メンバーはユウカちゃん・ハスミさん・チナツちゃん・スズミちゃんと、なんとシャーレの古参部員が揃い踏みである!
本当は戦闘に乱入して、『謎のヒロイン』の鮮烈な戦闘能力を披露したいところなんだけど...ここで焦らないのがボクの冴えてるところなんだな~。フフん♪
なんせ相手はよくある、ブラックマーケットを拠点に表で窃盗を繰り返すオートマタ集団。
強いて言えば人数がちょっと多いくらいだから、チームとしてのレベルが高いユウカちゃん達なら難なく殲滅出来るだろう。
...故に初回の『謎のヒロイン』は、ちょっとした顔見せ程度でいい。
任務を終えて帰ろうとした先生達の背後____捕縛されたオートマタ達の前に突然現れ、気配に気付いた先生達にボクの姿を暫く見せてから離脱するだけだ。カンタンだね♪
うへへへへへ♪今から楽しみで仕方ねぇですわ!
明日は初めて『任務先』で、古参メンバーが全員集合する記念すべき日になるよ!知ってるのはボクだけなんだけどね♪
✕月○日
おーおー、やってるやってる。
上手くシャーレを抜け出して来たのはいいものの、
しかしまあ...流石は何度も任務をこなしてきた古参チーム。学校や所属もバラバラなのに、連携レベルが頭1つ抜けてるよね。
ユウカちゃんがフロントで牽制して、スズミちゃんとハスミさんが的確に処理。
チナツちゃんが前衛のサポートをしながら、ハンドガンで先生を狙う相手を撃退して...............って、んん?
なんだこれ、天井から全体を見てなかったら気のせいだと思っちゃうくらいゆっくりではあるんだけど...。
チナツちゃんとユウカちゃん達......
浮かんじまったんだ、色彩ちゃんと黒服さんがわちゃわちゃバカなことやってるビジョンが...!浮かんじまったらソレしか書けなくなっちまったんだ...っ!
今後もこんなことがあるかと存じますが、何卒ご容赦いただけると幸いです。
敬語口調の大人と女子高生のコンビって、なんかよくない?