ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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今回も色彩ちゃん視点になります。



『謎のヒロインごっこ』活動記録~復旧作業と考察編~

○月□日

 臨時会議から数日経ち、新たな編成で調査を開始した連邦捜査部シャーレの部員達。

 

 ボクも通常業務と並行してウイちゃんのサポートに回り始めたわけだけど...もう一つだけ、期間限定で絶対に外せないデイリータスクにも勤しんでいた。

 それ即ち___ホシノちゃんとの戦闘でボロボロになってしまった、D.U.の路地裏の片付けと補修工事のお手伝いである...っ。

 

 ()()()()シャーレ部員でありながら市街地で派手に戦ってしまったホシノちゃんに下った反省文代わりの指令...というか、本人も自ら望んで取り組んでいるある種の『けじめ』なわけなんだけど...その話が出た瞬間迷わずボクも参加するって手を挙げたよね。それはそれはもう、周りがビックリするくらい秒速で。

 

 だってボクもこの惨状作った当事者の一人なんだもん...っ!いくらシキの正体がバレてないからって、こんな爆発事故現場みたいな惨状を知らん振り出来るような畜生メンタルは持ち合わせちゃいないんだが...!?

 

 ふぐぅ...っ、ホシノちゃんから向けられる純度百パーセントの『ありがとう』が眩しすぎるぜ...!この()も言われぬ胸の痛みと申し訳なさから解放されるためにも、誠心誠意お手伝いに尽力いたしますわ...っ!

 

 そんなこんなでシャーレから仕事を請けた民間業者の面々や、ミノリちゃん率いる工務部とも協力して路地裏の補修工事に取り組んでるわけなんだけど...その最中(さなか)、偶々作業エリアが被ったホシノちゃんから()()()()()()()を持ちかけられた。

 

 曰く____謎の少女『シキ』の正体は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 交友関係の広いサイカちゃんなら、誰か可能性のある人物に心当たりがあるんじゃないかと。

 

 ...こんな重要ポイントの塊みたいな質問を、ジリジリと陽の差す真昼間に日常会話感覚で投げかけられたボクの動揺っぷりたるや、最早(もはや)言葉で完璧に表現するのも難しいレベルだったことだろう。

 

 理性でふん縛ろうとするも間に合わず、『どど...っ、どどどどどどうしてそう思ったのかにゃ〜ん...?』とかいう我ながらキモ過ぎて洒落にならないリアクションが漏れちまいましたわ...っ!

 対するホシノちゃんも『うへ......なんか想像の3倍くらい露骨に動揺するんだねぇ...』とか言ってじっとボクの目を覗き込んでくるんだが!?

 

 っべー...っべーよやっちまった...!ホシノちゃんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()時点でもっと警戒しておくべきだった...っ!

 こんな分っかりやすいキョドり方見せたら絶対怪しまれる...っ。あれだけの大立ち回りを演じておいて凡ミスで正体バレなんて、ダサ過ぎて目も当てらんないじゃんかよこんにゃろー...!

 

 炎天下の影響以上にダラダラ汗を流しながら目を合わせること数秒...ホシノちゃんは『うへ、やっぱ真っ先にサイカちゃんに相談して正解だったかもね』と言って、いつものゆるゆるな笑顔を見せてくれた。

 

 どうやら普段の言動や戦闘能力的に初めからそんなに疑ってなかったけど、今ボクが見せた動揺っぷりを見て『高度な演技や化かし合いが出来るタイプじゃない』と改めて確信してくれたらしい......なんだろう、命拾いしたんだけどあんまり素直に喜べないですわ...!ホントはホシノちゃんのすぐ目の前にいますけどね!イッツミー!

 

 さて。そんな一幕から(やや)あって、ボクらはテキパキと働きながら『シキ』の正体を絞り込むための条件出しや該当しそうな人物についてあーだこーだと言葉を交わす。

 

 ...ホシノちゃんの話を聞いてると、やっぱり前の臨時会議でこのことを言わなかった理由も分かってくる。

 一見すると超マイペースとも受け取られがちなホシノちゃんだけど、実際は誰よりも仲間想いの頼れる三年生だ。

 『シキが自分たちの知る誰かかもしれない』なんて情報を安易に共有して部員の皆に混乱と疑心暗鬼を(もたら)してしまうのは、先生を含めて誰も望んじゃいないだろう。

 

 ついでに言えば、ネルちゃん先輩やツルギちゃんよりも早くシキと再戦して、可能ならシャーレかアビドスへ勧誘したいとも考えてるんだろうね。

 

 まあボク自身、ホシノちゃんとのバトルは血が沸騰しそうなくらい興奮したし...何より、気絶寸前のホシノちゃんからあんな激アツな宣戦布告も受けちゃってるからね。

 場所さえしっかり選べば、ボクとしても再戦は望むところだぜ!......まあ『勧誘』の方は...そう、一度持ち帰ってボクの『謎のヒロイン』構想とも擦り合わせて検討いたしますね〜って感じでお茶を濁すしかないかな〜って思いますかね...うんうん。

 

 おっと!なんてことを考えてたら『ちゃんと考えてくれてるの〜?』と上目遣いで睨まれちゃった。

 確かにさっきからホシノちゃんの考察に相槌を打ったり詳しく話してもらうばかりで、ボクの方から意見を出していませんでしたわ。

 

 しかしながら...ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ...!

 ある意味ボクがばら蒔いた考察のタネとは言え...現状シャーレ側が把握してる条件だけだと、ざっくりした()()()()()を捻り出すだけでも中々厳しいんですけど...!?

 

 先生の人となりをある程度知っていて?

 多くの生徒の情報を知っている、又は情報(ソレ)を知る手段がありそうで?

 極め付きには、キヴォトスの最強格と渡り合える、若しくは本来の実力を隠してる可能性を秘めた人物でしょ?

 

 いやいやいや、ボク以外で条件を網羅してる人マジでいないって...!

 条件の一部を満たしてない人物をカウントしたとしても、殆どがそれぞれの学校の生徒会や自治組織の幹部クラスの子達になっちまいますわ!?

 

 ブツブツ呟きながら頭を捻るボクを見て、『うへ〜、まあ流石のサイカちゃんでもそんな直ぐに思い当たらないよねぇ』とフォローを入れてくれるホシノちゃん。

 

 ...その()少し話が脱線して、ホシノちゃんから見たシキの戦い方や掛けてくれた言葉の話なんかをひたすら聞くっていう振り返りコメンタリーが始まったのはマジで予想外だったぜ......なんだろう、結構自分勝手に振舞ってた筈なのに割と色んな所がすっごい好意的に解釈されてるんですけど...!?

 

 終業時刻になってのんびり日陰に向かいながらも、どうにかこの話題を締めようとしたボクが『あのホシノちゃんが手放しでそこまで評価するなんて......こりゃ案外、大穴で連邦生徒会長とかがシキって子の正体だったりしてね...なんつって♪』と笑いかけた途端...ホシノちゃんがピタリとその場で停止した。

 

 あれ、そんなヤバいこと言ったかな?と思いつつ肩を揺すってみるものの...ホシノちゃんは『パーソナル情報が謎に包まれ過ぎてるけど、可能性としてはゼロじゃない......でも、だとしたらどうしてこちらに正体を伏せてまでゲマトリアなんかと.........』と呪文のように呟きながら思考の海に潜っているようで、全くもって返答がない。

 

 仕方ないから取り敢えず水だけでも渡そうと思い、振り返って日陰の方へ走り出そうとした瞬間......()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、冗談抜きで心臓が口から飛び出そうになった。

 いや待ってこっっっっっわ!!?そこらのホラー映画観るよりもビビり散らかしましたわ!?

 

 そんなボクのリアクションをガン無視して、『今、こちらから連邦生徒会長がどうこうと聞こえた気がしたぞ?』と問い掛けてくるミノリちゃん。

 ......やだな〜聞き間違いとかじゃないっすかねぇ、ミノリちゃん達もお仕事で疲れてるでしょ?この後ご飯でも食べに行く?

 

 『自らの職務と責任を放り出して絶賛失踪中の連邦生徒会長が、路地裏のこの惨状を作り出した張本人であると聞こえたぞ...!!!』と瞳を輝かせながら問い詰めてくるミノリちゃん...!

 いや誰もそこまで言ってないけど!?もう脳内で二段階くらい闘争のギア上げ始めちゃってるじゃんかよこんにゃろー!

 

 だあ゛ぁぁぁぁもうやっちまった...!ミノリちゃんにとっては森羅万象の(あまね)く全てがデモの初動になるのは知ってたけど、下手に権力者の名前を聞かせたら勝手に脳内で人物と動機を繋げて行動(アクション)を加速させる生態(ニュータイプ)だってことを完全に失念しておりましたわ!!

 

 もうミノリちゃんの目キラッキラしてるもん!あれは間違いなく、デモを起こすのにうってつけの理由を見つけた(頭のおかしい)革命家の目だ...!

 『我々が現在抱えている労働者に対する不当な扱いのあれやこれやもプリンが二つ配給されないのも全て職務を全うしない連邦生徒会長のせいだ!!』とか言い出す時の(やべーやつの)目だ...っ!!

 

 やっぱ自治区から出しちゃいけないタイプの集団だよレッドウィンター工務部...!もう既に部員の皆さんが、あまりにも場数を踏み過ぎているテキパキとした手際で嬉々としてデモ用のプラカードとか横断幕とか作り始めてるんだが!?権力者の名前を聞いてから数分しか経ってないのに、もうボクだけじゃ止められない状況だよ助けてくれ先生ェ!!!

 

 

 ......その()...というか、本日のオチ。

 ボクの連絡(ヘルプ)を受け駆け付けてくれた先生と連携し、チェリノちゃんを高級プリンで買収するためにトリニティの名店の行列に並んだり、ミノリちゃんが無視出来ないギリギリを攻めた翌日撤廃予定(ブラフ)の政策をレッドウィンターまで行って一緒に考えたり。

 

 工務部の意識を何としてでも連邦生徒会から逸らすために奔走した結果、ホシノちゃんとはしっかり話せずじまいで一日を終えてしまうボクなのであった...。

 

 

 

 




ある意味でキヴォトス最強の生徒が後半全部持って行くお話でした。
ぶっ壊れコミュ強スキルを持つ色彩ちゃんでも、先生の助力無しで彼女を止めることは出来ないんですねぇ。
次回は修行回、来週の土曜日に更新予定です!
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