ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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※本話はゴリゴリの独自設定盛り沢山回になります!
色々疑問や矛盾点が噴出する恐れがございますので、いざとなったらあとがきだけサラッと読んでいただければ幸いです。




『謎のヒロインごっこ』活動記録~ヘイロー順転編~

○月○日

 ____うらっしゃァァァァァ!!こんにゃろぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!!と気前よく雄叫びをあげながら、『四速』までギアを上げたボクは迫り来る複製(ミメシス)の大群に真正面から突っ込んでいく。

 

 ドドドドドドドドッッッ!!!と全力(マジ)ダッシュしながら陣形を組んで発砲してくる大量のドール達を蹴散らし、リロードしたり攻防の一瞬で息を整えようとした瞬間に致命の一撃を狙いに来るクロちゃんやゴズくんを斬撃の衝撃波で捌いたり...以前より遥かに難易度のブチ上がった凶悪テーマパークこと『スランピア』で、ボクは毎晩のように自身の限界負荷訓練に勤しんでいた。

 

 ...ホシノちゃんとの激闘を経て掴んだ、五分(リミット)を過ぎても無理矢理反転を維持するあの感覚を何度も再現し、検証し、頭だけでなく身体そのものにも染み込ませる。

 

 筋トレを続けていく中で、段々と重いバーベルを持ち上げられるようになるように。

 ランニングを続けていく中で、より長距離を走っても余裕が生まれてくるように。

 『この感覚には無理をしなくても到達可能』だと身体と潜在意識にまで覚え込ませて、『四速』のタイムリミットを可能な限り伸ばしていくのがこの特訓の()()()だ。

 

 にしてもホントに容赦無いよねこの子達はさぁ...っ!何十回も通ってる内に段々シロちゃん達との意思疎通のコツを掴んで、最近じゃカラスやドール達も混じえてスランピアでワイワイ遊ぶ仲にまでなったのに、いざ『特訓(バトル)しようぜー!』って呼びかけたらウキウキで殺しにかかってくるの未だに慣れないですわ!

 もしかしてアレなの?乱世だった頃の百鬼夜行でスタンダードだったって云う『ブシドー』的なスタイルなの?平時は敵味方関係なく必要だと思う交流はするし互いに礼も尽くすけど、いざ(いくさ)になったら恨みっこなしで潰し合ってたって文献この前読んだばっかりなんですけど!?

 

 とか何とか考えてる間にも、弾幕シューティングゲームのように隙間なくこちらへ殺到するコーヒーカップ!大玉!!ドール達の弾丸!!!

 ...ホント参考になりますわね、クロちゃん達が攻防の『起こり』に見せてくれる『恐怖(テラー)』の循環放出と事象干渉の一部始終(メカニズム)は...!

 

 『恐怖』の練り上げ方に、弾丸や斬撃への効果的な纏わせ方...ここでの特訓がボクの『シキ』としての戦い方をどれだけ拡張してくれたことだろう。

 初めて『反転』した瞬間からそこそこ月日も流れ、実戦を通して『恐怖』の運用もどんどん身体に馴染んできた...ホシノちゃん達最強格とも、互角に()り合えるくらい強くなれた。

 

 ...それでも、ボクは現状(いま)のレベルで十分だとは思えない。

 この世界がフィクションだと言うなら『主人公勢力より強くなり過ぎるのは美味しくない』って思うしバランス調整もするけれど、生憎ボクは先の読めない現実(リアル)で本気のロールプレイをしている身の上だ。

 

 未だ出揃ってないデカグラマトンの預言者達や、キヴォトスの裏界隈で噂されている『雷帝の遺産』の数々...もしもこの先シャーレが大ピンチに陥るような脅威が現れた時、『パワーバランスの調整してたから加勢しても全く役に立てませんでした☆』なんて有様じゃ、ボクの中にある謎のヒロインとしての『理想』がボク自身を許さないだろう。

 

 ...どんな脅威が現れても、颯爽と駆け付けて主人公勢力(シャーレ)が逆転する一助になれるように。

 今から挑むは、『謎のヒロイン』が更なる高みへ至るために()()()()()()()()()()()()()()()...ただの一度も成功させたことのない高難易度(ベリーハード)な番外目標...っ!

 

 ...攻防の一瞬にチラリとマエストロさんとアイコンタクトをとり、『次のクロちゃんの一撃を(もっ)複製(ミメシス)達の動きを停止させる』という命令(オーダー)を全ての個体に適応してもらう。

 

 それと同時に、タイムリミットを迎えたボクの『恐怖(テラー)』がヘイローに向かって収束していく。

 間も無くして...ヘイローの『反転』は完全に解除され、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ...うははっ。(みなぎ)る『恐怖(テラー)』が抜け落ちていくようなこの感覚は、何度やっても慣れないですわね...。

 今この場に立っているのは、シャーレの中でも断トツと評されるクソザコ事務員ただ一人。

 

 さあ...来なよクロちゃん。いつもの突進技(バードストライク)よろしく、思いっきりボクに突っ込んでこい...!

 

 タイミングはドンズバ以外許されない...少しでもミスったら重傷不可避の緊張感...!

 故に生じる普段以上の集中力...ソレを余すことなく()ぎ込んで、迫る一撃を凌ぎ切れ!!

 

 いざ見晒せ!()まれよ新(ネタ)____()()()()()()ッッッ!!!!

 

 

-----------------

 

 

 ...轟音が鳴り響いていたスランピアは、ようやく深夜らしい静けさに包まれていた。

 

 未開封だったスポドリを一気に飲み干し...今夜の特訓を終えたボクは、全身の筋肉痛に悶えながらシロちゃんの手の平の上に大の字で寝転がる。

 暫くしない内にクロちゃんやゴズくんもマエストロさんやドール達を連れて寄ってきたことで...ボクの周囲は、()()()()()()()何ともファンシーな感じで彩られることになった。

 

 はろはろ〜♪さっきはドンピシャなタイミングで命令(オーダー)入れてくれてありがとね、マエストロさん!...ボクの『順転』、バッチリ『観測』してくれました?

 うんうん...うひひー、さーんきゅっ♪映像だけじゃなく、実測データもバッチリだね!イェイ☆

 

 ____ついさっきようやく...ほんっっっとうにようやく成功した、理想の『謎のヒロイン』へ至るための()()()()()()()

 

 便宜上『順転』と呼んでいるソレについてざっくり説明するならば____ボクが『恐怖(テラー)』を自在に制御出来るようになる過程で体系化していった感覚や手順を転用し、『神秘』の出力を()()()()()()()()()()()っていう代物だ。

 畳み掛けるチャンスが出来たのなら神秘を『火力』に集中、逆に自分が絶体絶命なら『防御』の方へ...ってな具合だね♪

 

 ...ここだけ聞くと、他の生徒達にとっても戦術的メリットがある大発見なんじゃないかって思うかもだけどさ?

 

 『瞬間的にブーストさせる』って表現した理由でもあるんだけど...『順転(コレ)』ってボク目線では新技に該当するってだけで、他の子達は『瞬間的』どころか()()()()()()()()()()()()()()()だから態々(わざわざ)習得する必要が無いんだよね。

 

 じゃあボクと他の生徒達(みんな)とを隔てている要素(モノ)は何なのかって言うと...単純に、内包している『神秘』の総量の格差である。

 もっと言うなら、その『神秘総量の格差』こそ...構想上は『恐怖(テラー)』でのやり方を転用するだけなのに、『順転』が中々上手くいかなかった最たる要因なのだ。

 

 ゲマトリアの皆さんと色々検証していく中で、つい最近分かったことなんだけどさ?...どうやらボクが内包している『神秘』の総量は、他の生徒に比べて()()()()()()らしいんだよね。

 ゴルコンダさんが換算したところ、『生徒がデフォルトで備える身体能力の維持』だけで8割は割かれてしまっているとのこと。

 

 自由に回せる『神秘』の量が少ないと、火力も落ちるし機動力や再生能力も大して期待出来ない。

 逆に『強い』と評される生徒であればある程...デフォルトで身体強化をしても余りある大量の『神秘』を、戦闘スタイルや()()()()()()()に合わせて贅沢に使うことが出来る。

 機動力に定評のあるネルちゃん先輩や、驚異的な破壊力と再生能力を誇るツルギちゃんなんかが分かりやすい例だろう。

 

 『反転』すればキヴォトスの最強格達と互角に渡り合えているボクの『恐怖』も、それだけ自在に扱えるリソースが豊富ってことだね。

 

 ...でもそうなると、ゲマトリアで教わった『神秘と恐怖は表裏一体』っていう仮説?定説?から外れちゃってない?って疑問が当然出てくるんだけど...これについては黒服さん達もよく分からないらしい。

 『厳密にはもっとあるかもしれないが、神秘の『組成』が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』とか何とか言ってたし...もしかしてアレなの?ボクってば本質的に『恐怖(テラー)』の方が向いてるタイプの生徒(スチューデント)なの???

 

 ...ちなみに余談だけど、ワカモちゃん達が見せてくれた『神秘解放』という名のトンデモ強化形態。

 ボクが到達するのはまず不可能だから憶測にはなっちゃうけど...アレこそ正に、神秘の『総量』に直接アプローチするタイプの事象なんだろう。

 

 振り切れる程の感情の昂りや強力な決意なんかでリミッターを喰い破り、相手を壊さないよう無意識にセーブしていた分の『神秘』すらもヘイローから解き放って使役可能とする『極限集中領域』...言語化出来るようになればなる程、生まれ持った素養の差ってやつを見せつけられるようで身震いしちゃうよね...!

 

 ____閑話休題、『順転』の習得に話を戻そう。

 

 当初は『恐怖』と全く同じ感覚で『神秘』を扱おうとしたけれど、総量に差があり過ぎて微々たる出力向上(パワーアップ)にしか繋がらなかった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってくらいのアンバランス体質が明らかになってしまったわけだけど...それで試行錯誤をスッパリ諦められるようなボクじゃない。

 

 幸いなことに、ボクはこの手の話題を振ったらノリノリで相談に乗ってくれる自称『悪い大人』の御三方と交流があるからね♪

 事あるごとに『ゲマトリアゼミ』___略してゲマゼミを開講して膨大な議論と検証を重ねた末...とうとうボクの灰色の脳細胞(自称)は、蓄積してきた数多のぶっ飛んだ挑戦経験からバッチリしっかり閃いてしまったわけだ。

 

 それこそが、今宵ようやく成功するに至ったアプローチ。

 具体的には、デフォルトで身体強化へ割かれちゃってる分の『神秘』も一時的に操って、火力か耐久力のどちらか一方に全振りする()()()()()()()()()である...!

 

 いや〜、コレの感覚掴むまで何十日も掛かっちゃったよね!挑んでみて分かったけど、『デフォルトで身体を巡る神秘』____つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を知覚出来るようになるまで超大変だったよ!

 厳密にはちょい違う感覚だけど...『身体を循環する血液の流れを隅から隅まで知覚出来るようにしろ』って言ってるようなものだからね。

 

 正直な話、『反転のオンオフを限界ギリギリまでひたすら繰り返す』って手法を思いつかなかったら一生習得出来なかった気がするよ。

 反転を解除して『恐怖』が『神秘』に裏返って()()()()()()()()()()を何百回も反復して、ようやくボクは内包する八割の『神秘』を知覚して操作出来るようになったのだ。

 

 うへへへへ......正直、『恐怖(テラー)』の扱いをイチから手探りで体系化していた頃より数段難度の高い特訓だったぜ...!

 

 自分のことながら、マジでどんだけショボい『神秘』なんだって話だよね。

 他の子達は...まあ個人差はあるけれど、『絶好のチャンスだから渾身の力を込めて攻撃しよう!』とか『この攻撃をマトモに喰らうのは不味いから全力で身を守ろう!』って思うだけである程度『神秘』を運用出来るし()()()()()()()()()

 

 対してボクは()()()()()()()とも呼べる部分にまで干渉しないと火力や耐久力をマトモに盛れないんだから、もう一周回って笑えてきちゃいますわね!

 その上総量が少ない事実は変わらないから、マジで少しの間しか使えない...例えるなら、任意のタイミングで発動出来る『火事場の馬鹿力』みたいなモノだね。

 

 ちなみにこれも余談なんだけど...『デフォルトで身体を巡る神秘』も使っちゃおうってアイデアを初めて黒服さん達に話した時、結構マジなトーンで『下手したら死にますよ』って心配されちゃったんだよね。

 

 曰く...生徒としての最低スペックを維持していた分の『神秘』を、戦いながら攻守の片一方にマニュアル制御するなんて正気の沙汰じゃない。

 頻繁に状況が変化する戦場で僅かでも判断や制御が遅れたら、一発の被弾が普段以上の大ダメージになりかねないのだと。

 

 むん...正直その辺については、正論すぎてこちらは反論のしようもない。

 先程凌ぎ切ったクロちゃんのバードストライクだって、発動タイミングをドンズバで合わせてジャストガード出来ていなかったら大怪我どころでは済まなかっただろう...最近アリスちゃん達とハンティングゲームをやり込んでいなかったら、集中して攻撃モーションを観察できなかったかもしれないね。

 

 そこまでボクの身を案じてくれていたのか。或いは貴重なサンプルを失いたくない一心だったのかは分からないけれど......なんと言うか、ほんのりと胸が暖かくなったのは確かだった。

 その上でボクは...ある種同じ穴の(むじな)であるこの人達なら受け入れてくれることを信じて、口角を吊り上げながらこう返した。

 

 ____『せっかく今より『神秘』を活用出来るってのに、()()()()()()()()で足踏みするなんて勿体ないでしょ!』ってね♪

 

 物心ついてから早十数年...一体どれだけ、自分の非力に打ちのめされてきたと思ってる。

 『反転』という選択肢を手に入れたからって満足出来ない...これまでずっと腐らずに付き合い方を考えてきた『神秘(チカラ)』に対する渇望を、ここまできて抑えられるわけないもんなぁ!!

 

 ...ギラついた笑みを浮かべてそんなことを言うボクを見て、呆れ笑いを零しながら肩を竦める『悪い大人』の御三方。

 ...『貴女も大概イカれてますね』って?うっはは!何を今更...こういうことをウキウキで言っちゃうようなボクだからこそ、気に入って協力関係を結ぼうって思ったんでしょ?

 

 それに安心して♪『順転』を使う時は基本的に『耐久力』を上げて身を守りたい時だけにするし、万が一下手を打っても『反転』すれば大概の負傷は治せるからね。

 

 何より____今のボクから言わせれば、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 『反転無しでも多少は役に立てる手段』の獲得は勿論嬉しいけれど...一番の収穫は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の方なのだから...!

 

 マエストロさんとゴルコンダさんは首と額縁を傾げていたけれど......ボクの『布教』に付き合ってくれていた黒服さんだけは、すぐにピンときたようでお馴染みの笑い方で肩を震わせていた。

 

 フフん♪まあオタク脳であるボクからしたらある種当然の帰結ってヤツだよねぇ。

 

 『表裏一体』が定説らしいし、()()()()()()()()()なのかもしれないけれどさ...実質的な『異なる二属性』を扱えるようになったなら、最終的にやってみたいことなんて一つしかないもんなぁ...!!

 

 ...その直後、ボクの野望を察した二人(厳密にはデカルコマニーさんも入れて三人)と盛大にハイタッチを交わしたのは言うまでもない。

 やれやれ全く...先生といい黒服さん達といい、ボクの周りにはノリの良い大人ばかりだぜ☆

 

 

 ____さて!ようやく成功に漕ぎ着けた達成感も相まって、長々と苦労話をしちゃったわけだけど...そろそろ夜も明けそうだし、今日はそろそろ帰ることにしよう。

 

 ゴズくん達も今日はありがとね!今度はボクも小道具沢山持って来るから、新しいイリュージョンの練習とか沢山しよーぜ!!

 

 そう言って、複製(ミメシス)の皆を一頻(ひとしき)り撫で回してからマエストロさんとスランピアを後にする。

 む〜ん...なんか最後撫でた手を離す時、一瞬シロちゃん達の身体が()()()()()()()()に変わったような気がしたんだけど......まあ気のせいか!

 

 よっし、帰る前にスーパー寄ろうぜマエストロさん!今日は気分がウキウキだから、久しぶりにちょっと気合いの入った朝ごはんを振舞ってあげちゃうからね♪

 

 

 

 

 




本文の構成力不足のせいでネタバレ解説みたいになってしまいますが、『順転』を習得したからといって事務員モード(反転してない状態)の色彩ちゃんが戦闘で大活躍する予定は(今のところ)ありません。
ガチガチの戦場じゃない場面で多少のアクセントとして使うことはあるかもです。

六千文字弱使ってつらつらと書いてありますが
・『順転』=火事場の馬鹿力的な瞬間バフ
・色彩ちゃんの最終フォームに必要な要素
とだけ押さえて頂ければ今後のお話的に何の問題もございませんわ!

次回からパヴァーヌ2章、来週の土曜日更新予定です!
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