ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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本話からパヴァーヌ2章に入ります!
色彩ちゃん視点で2話、掲示板回1話の構成ですわ~!




『謎のヒロインごっこ』活動記録~先生とボクの役割編~

○月✕日

 ____アリスちゃんが突然暴走して、ヴェリタスの部室を全壊させたらしい。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()シャーレに帰ってきた先生から、緊迫した様子でその話を聞かされたのが二日前。

 コレ結構ヤバめの案件じゃね?と思い立ち、黒服さん達に連絡してみたら本当にヤバめの()()()()()がわんさか出て来たのが昨日(イェスタディ)

 

 そして、再びミレニアムに赴いた先生から掛かってきた通話にて。

 暴走の一件で塞ぎ込んでいたアリスちゃんが、『ミレニアム生徒会(セミナー)』のリオ会長と共に何処かへ行ってしまったと聞かされたのは...つい先程のことであった。

 

 いや待って待って待って...っ!もう全てにおいて話が急過ぎるんだが!?

 最近は()()()いい感じに落ち着いてよかったな〜、なんて思ってたのにさぁ...なんてことない視察やお仕事からやたらと深刻な事態が先生の前に顔を出すパターンが一番心配になるんだぞこんにゃろー!

 

 つーか案の定、黒服さん達は()()()()()()()()()()()()()()()()()についてバッチリ把握してたわけだし!

 なんですの?『名も無き神々の王女』やら『箱舟』やら『無名の司祭』やら、重要そうなワードばっかりポンポンお出ししおってからに...っ!

 そういう事情ならボクもその...『Divi:Sion』?とかいうロボットの対処____うっかりアリスちゃんと接触しないよう、『反転』して秘密裏に駆逐することも出来た筈ですのよ!?

 

 ...しかし黒服さん、ボクにアリスちゃん周りの説明する時()()()()()()()()()()()()()()()んだよね...?

 話し終えた後、『...何処か体調に変化や、ご気分が優れなくなったりしていませんか?』って聞いてくるし...いつもの愉快な胡散臭さを全然感じなかったのだ。

 なんだろうね?まるでアリスちゃんに関わる情報の中に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()......むん、まあそれは後で考えよう...!

 

 今のボクには(まっと)うすべき役割が...奔走する先生から任された大切な役割がある以上、誰もいない通路の影でいつまでも慌てふためいている場合ではないのだ。

 

 バチンッ!と両手で頬を叩き、ボクはワゴンの上に諸々の準備を済ませて医務室へと入る。

 待っていたのは...およそ二日の時を経て目を覚ましてくれた、自称『ゲーム開発部のすーぱーシナリオライター』ことモモイちゃん。

 

 ボクはこれから......そう、目を覚ました直後にするにはかなり酷な話ではあるけれど。

 この場にいない先生に代わり、ゲーム開発部が現在直面している非常事態について...モモイちゃんが意識を失ってから現在に至るまでの変遷を伝えなくちゃならないのだ。

 

 ...セリナちゃん達からみっちり教わった手順(プロセス)通りに各種バイタルを確認後、纏めたデータをローカルネットワークに共有し。

 即席で用意した消化の良い食事を、念を入れて普段より良く噛んで食べて貰い。

 制服に着替え終わったモモイちゃんの髪をとかしてあげようと、櫛を持って背後に腰を下ろしたところで...ボクは、把握している限りの全てを話し終えた。

 

 少し意外だったのは...()()モモイちゃんがただの一度も遮ることなく、相槌だけを打ちながらボクの話に耳を傾けていたことだよね。

 

 てっきり湧き上がる感情のままに、『何でそれでアリスが連れてかれなきゃならないの!?意味わかんないんだけど!?』と捲し立ててくるものだと思ってたからね...。

 ソレをあの手この手で落ち着かせるがボクの役目だと解釈してたんだけど...どうやらその必要は無かったらしい。

 

 ...寧ろこちらの反応から察したのか、モモイちゃんの方から『...意外だった?』と言葉を投げかけてくる。

 髪を梳くこちらに身を任せる背中から、何処と無くしっとりとした...普段のモモイちゃんとはどこか異なる雰囲気(くうき)を感じ取ったボクは、続く言葉に耳を傾ける。

 

 曰く、『『王女』や『魔王』がどうこうなんて知ったことじゃない!アリスをこのまま放っておけるわけないじゃんっ!!』と内心では全然全く何もかも納得してないけれど...同時にコレが、『難しい事情が全く理解出来てない自分による感情100%のワガママ』であることも自覚していると。

 自分だけでアリスちゃんを連れ戻しに行くならソレで良いけれど...一人で生徒会長と『直属の護衛(トキちゃん)』を相手取るのが如何に無謀なことかは、深く考えなくとも察しがつく。

 ならば皆に『力を貸してほしい』とお願いしに回るとして......ソレはつまり、自分のワガママのために身を危険に晒してくれと言いに行くようなものなのではないかと...。

 

 ポツリ、ポツリと紡がれていくモモイちゃんの言葉を最後まで聞き届けて...ボクはようやく、先生に託された役割が何であったのかを理解した。

 ...まあ厳密には、『思い出した』って言う方がニュアンスとして正しいのかもしれないね。

 

 それ即ち____胸に決意の『種火』を灯し始めた生徒を、今の自分が発揮出来る最大限の力で支えること。

 生徒が後悔しない選択(みち)に踏み出せるよう、その背中を押してあげることなのだと。

 

 今なら分かるよ...モモイちゃんが吐露してくれたこの弱音(ふあん)は、きっと先生かボクが相手でなきゃ引き出せなかった。

 普段はちょっとお馬鹿な言動や立ち振る舞いが目立つモモイちゃんだけど...その心根(こころね)は、誰よりも『お姉ちゃん』なのだから。

 

 ミレニアムプライス受賞のために、対面やリモートで何度も知恵を出し合ったり。

 『ゲーム開発合宿』と言いながら頻繁にシャーレで夜通し遊び倒して、一緒にユウカちゃんからのお説教を受けてみたり。

 各地のゲーセンでハイスコアランキングを総ナメにする正体不明のアーケードゲーマーに挑むため、ボクと先生の知り合いや友人達も巻き込んでゲーム感覚の大捜索をしてみたり。

 

 一緒に過ごしてきた日々と、紡いだ関係性があったから...()()()()()()()()()では(ミドリちゃん)や仲間のために気を張ってしまうモモイちゃんに、『弱いところを見せてもいい相手』だと...そう思ってもらえていたのだから。

 

 そんなボクだからこそ伝えよう。

 モモイちゃんが抱くその気持ちは、ミドリちゃんやユズちゃん...そしてヴェリタスやエンジニア部や『C&C』____アリスちゃんと絆を深めた皆の中にもちゃんと存在していながらも、無意識に抑圧されて燻っている本音(モノ)なのだと。

 

 皆の中にあるソレに火を灯せるのは、他ならぬモモイちゃん____()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、キミ以外に適役はいないのだと。

 

 ...モモイちゃんは僅かな沈黙の(のち)、『...良いのかな?』とボクに問う。

 『この『()っとけない』って()()()()()()...皆の前に立って、リオ会長と対峙して____自分から離れて行ってしまったアリスのところまで、走り続けて良いのかな...?』と。

 

 フフん♪良いじゃん良いじゃん、『気持ちだけ』!何をするにも何を成すにも、先ずはそっから始まるんだからさ!

 

 というか、社会的に生きてると忘れがちになっちゃうけどさ...別に、『聞いた誰もが賛同してくれる理路整然とした『理由』がないと動いちゃいけない』なんてルールがある訳じゃないんだぜ?

 大人ぶった理論武装を否定する気はないけれど...その『気持ち()』一つで泥臭く立ち向かう方が、寧ろ生徒(ボクたち)らしいくらいでしょ♪

 

 ...うん、なんすかなんすか?......『なら一番お馬鹿な私が、賢くて色々考えちゃう皆に教えてあげなきゃいけないね』って?

 うははっ!モモイちゃんが()()()()()鹿()()()()()は置いとくとして...確かにミレニアムって『環境』に身を置いてたら、大多数は自然に理屈っぽくなっちゃうかもね!

 

 ____オーライ、モモイちゃん!そうと決まれば、早いとこミレニアムに戻っちゃおう!

 

 任せい任せい♪こんなこともあろうかと、ついさっきボクの頼れるマイフレンド____ヘリコプターの魅力に取り憑かれて、遂には学校予算じゃなく自腹で購入とかしちゃったゴキゲンなブラックマーケットの先輩に連絡しておいたから、陸路より断然早く移動出来ちゃうぜ!

 おん、料金は気にしなくていいよ。『シャーレからの正式依頼だから、ヘリ飛ばすための面倒な申請はこっちでやっとくよー』って言ったらウキウキで準備始めてたから!

 

 ほれほれ!これで身だしなみもバッチリだし、先に屋上行って待っててちょうだいな♪銃は整備(メンテ)済のやつが武器庫に置いてあるからねー!

 

 ......さて、これで()()()()()()()()()()()に出来ることは粗方全部やれたかな。

 

 現実(リアル)にそんな区分は無いけれど...きっと、この一件の中心人物(しゅじんこう)はゲーム開発部の4人なのだ。

 そんなあの子達を間近でサポートする役割は、最高の司令塔(オペレーター)でもある先生以外には務まらない。

 

 故にこそ____こっから先は『謎のヒロイン』として、主人公達の舞台を支えよう...!

 

 ちゃっかりこの件にも監視網を巡らせていた黒服さん曰く...アリスちゃんの中にいる『Key』という名のトリガーAIさんは、この前表層意識に出てきた時点で大規模侵攻に備えるよう命令(オーダー)を出していたらしい。

 『廃墟』の最奥では今この瞬間も大量の『Divi:Sion』が生産され続けているようで...侵攻の狼煙となる次なる命令を、薄暗闇の中でじっと待っているのだと。

 

 勿論モモイちゃん達のことは信じているけれど...もしアリスちゃんを救い出す前に、再び『Key』が目覚めた場合のリスクヘッジはしておきたい。

 そうでないと、『廃墟』の『Divi:Sion』達が『Key』の目覚めと同時に続々と各地へ進軍して...()()()()()()()()()()()()()()()()()、例の『プロトコル』とやらを完遂してしまうだろうから。

 

 『謎のヒロインごっこ』としては少し物足りないけれど...まあ背に腹はかえられないよね。

 

 聞けば(くだん)のリオ会長は、『シキ』が追っている『厄災』がアリスちゃんである可能性が高いとか何とか話してたらしいし?どうせならその()()()()()()に乗っかって色々意味深なムーブとかしてみたい気持ちも無くはないけれど...今回ばかりは、仲間(アリスちゃん)の『存在』を守ることこそが至上命題だ。

 

 直接的に先生達の助けになれなくとも、『人知れず脅威の芽を摘む(ガチで誰も知る機会が無い)強キャラムーブ』をすることになろうとも...主人公達が描くハッピーエンドを実現するために、どんな役割だってこなしてみせようじゃないの...!

 

 さてさて。それじゃあボクも黒服さん達のとこへ行って、長時間戦闘を想定した装備を整えなきゃいけないね!

 せっかくどれだけぶっ壊しても文句の言われない大量のエネミーと()り合えるんだ...!誓って舐めプはしないけど、思いついた戦術は片っ端から試してボクの経験値にしてやらぁ!!

 

 

 

 




次回は明日、色彩ちゃん視点後編と掲示板回の連続投稿になります!
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