ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。 作:YEBIS_nora
本文書くので手一杯で返信できていませんが、皆さんの感想やアドバイスはしっかり読ませていただいてます!
今後も作者の性癖にお付き合いいただけると嬉しいです。
※作者は銃撃戦の知識が殆ど無いため、理にかなっていない描写等あるかもしれませんがご容赦頂けると幸いです。
『____初めまして、シャーレの『先生』。昨日はいきなり大変だったみたいだね』
初めて彼女と____色波サイカと出会ったのは、あの慌ただしい赴任初日を終えた次の日だった。
『残念ながら、ボクは特別何かが優秀ってわけじゃないんだけど......でも、派遣されたからには全力で先生の力になってみせるよ!』
『こういうのなんて言うんだっけ...呉越同舟?一蓮托生?...まあなんでもいいやっ!とにかく、まずは2人で頑張っていこう!よろしく、先生♪』
そう言ってお互いの拳をコツンと合わせた時の笑顔を、今でも鮮明に覚えている。
『ほいっ。コーヒーどうぞ、先生......いや〜、一日中やってんのに全然書類減らないね〜』
『ごめんね、サイカ...後は私がやっておくから、今日はもうあがってもらって...って痛っ!えっ、なんでデコピンされたの私!?』
『先生がこの期に及んで水臭いこと言うからですぅー......こういう時にボクが言ってほしい
『......』
『ほ〜ら、言ってよ先生っ』
『......今日も夕飯奢るから、最後まで付き合ってくれると嬉しいな』
『...フフん♪いいよ、任せて____しんどいことも面倒なことも、2人で一緒に乗り越えていこうぜ♪』
...きっと、自分と同じかそれ以上に疲れている筈なのに。
気さくな態度を崩すことなく笑う彼女に、何度励まされたことだろう。
『____そうそう!リメイク版のアニメだと2、3秒で流されてるけど、あそこの変形シーンめちゃくちゃ拘って原作再現してるんだよね!!』
『うんうん...!私も初めてあのシーン観た時、多分10回くらい巻き戻して見返しちゃったよ』
『...ということは、その後出てくるあのセリフも?』
『...もちろん、抑揚から声のトーンまでバッチリトレース済みだよ』
『『__英智とロマンがある限り、我らは
『...やるね、先生。今夜は朝まで語り明かそうか』
『徹夜はダメって言いたいとこだけど......今日だけ特別だよ?』
共通する趣味のコアな話で、何度盛り上がったことだろう。
『うん...うん、そっか。アビドスの一件、結構きな臭くなってきたみたいだね』
『うん...個人的に気がかりなこともあるし、帰るのはもう少し先になっちゃうかもしれないんだ...』
『大丈夫大丈夫!こっちはユウカちゃん達が手伝いに来てくれるし...
『うん、ありがとうサイカ...それとサイカがくれたコミュニケーションのヒント集、結構役に立ってるよ』
『うっそホントに?...ボクのギャルゲー知識を纏めただけなんだけど、意外と馬鹿にならないのかも...』
『サイカ?』
『よっし先生!その調子でアビドスの子達の好感度をどんどん上げていこう!フラグ管理は慎重にね♪』
『サイカ?????』
前のめりになりがちな自分の心を、どれだけ
楽しい時も苦しい時も、等身大の姿で接してくれる彼女が傍にいてくれたから...
生徒に対して適切な表現かは分からないけれど...サイカのことを、いつしか先生は『親友』だと思うようになっていた。
だけど...ああ、いつからだろう。
部員の増加に伴って、組織体制を大幅に見直した時からだろうか。
シャーレの知名度が日に日に高まり、自身の忙しさに拍車がかかってきた頃からだろうか。
『____サイカっ!......酷い怪我...っ。どうして1人でブラックマーケットなんかに...っ!』
『............うへへへへ...まあ、ちょっとした
...夜な夜な射撃場やジムに通い、絡まれた不良達に決して軽くは無い怪我を負わされた彼女を...思わず強めに叱ってしまった後からだろうか。
...毎日のようにくだらない話をして、お互い笑いながら仕事をしていた『親友』との時間は。
いつの頃からか...バタバタしがちな朝の廊下で、すれ違いながら挨拶を交わすだけのものになってしまっていた____
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思えば今回の任務は、始めからどこか違和感があった。
「____連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』よ!全員、その場を動かないで!」
『『『.........』』』
相手に嗅ぎつけられないよう慎重に捜査を進めて裏を取り、ユウカを先頭にいきなり突入してきた先生達『シャーレ』を見ても...窃盗グループのオートマタ達は、誰一人として驚いた様子を見せなかった。
『『『...掃討、開始』』』
「____ッ!?先生、こちらへっ!」
それどころか...窃盗集団らしからぬ
初撃で被弾しなかったのは、古参メンバーで構成されたこのチームの連携があってこそだろう。
チナツに安地まで誘導してもらいながら、先生は『シッテムの箱』を戦術指揮画面に切り替えた。
「____スズミ、閃光弾準備。ユウカのリロードとタイミング合わせて!」
「了解です、先生!」
「閃光弾着弾後、ハスミは敵中団両翼____ショットガン持ちのあの2人、連続で狙撃できる?」
「もちろんです、先生」
「頼んだよ...ユウカ、8秒後にシールド展開可能になるから、リロード後に真ん中まで切り込んでから展開して」
「了解!」
「チナツ、一緒に前進しよう。もう少し視界を確保したいんだ」
「分かりました、慎重に移動しましょう」
どの道ドンパチになることは予想していたのもあって、徐々に形勢はこちら側に傾いてきていた。
...異様な統率感は最初だけだったのか、今や相手集団は穴だらけの攻撃をしながらジリジリと後退していた。
元より相手は、戦闘のプロでもない寄せ集めの窃盗集団。
そこそこ人数だけは多かったが、その殆どは既に倒れ伏している。
「...終わりだね......チナツ、少し前進して前線の援護に注力して。私は大丈夫だから」
「...了解です。先生はここを動かないでくださいね?」
彼女達なら、あと数分もしない内にオートマタ達を殲滅出来るだろう。
チナツを少しだけ前に送り出し、彼らの連行のためヴァルキューレに連絡を取ろうとした...その時だった。
『____先生!敵性反応がこちらに接近しています!!』
「アロナ...?」
『シッテムの箱』のメインOSにして相棒____アロナからの警告で、先生は即座に辺りを見回す。
しかし撃ち漏らしたような敵はおろか、身を潜められるような物陰も先生のいる場所以外はクリア済みの筈だ。
「どこに...?」
『そんな筈は____っ!?
悲鳴にも似たアロナの声が、先生の耳に届いた瞬間である。
____ズガガガガガガガガガッッッッ!!!!という
「な、ん...!?」
まるで、チナツと先生の間を狙い澄ましたかのように。
床面に大穴を開けて出てきたソレを見て、先生は頭に溢れる『なぜ?』に侵食されながらその場に立ち尽くしていた。
「............ゴリアテと、飛行ドローンの大群...?しかもコイツは...!」
『...っ!?先生、逃げてください!』
『異常事態』を知らせるアラートを生徒達に発信しながら、アロナは先生に
『データ一致...!____
「____っ!」
...瞬間、先生は弾かれたように真横に飛び退く。
次の瞬間にはゴリアテの頭部にある主砲が放たれ、先生の立っていた場所へ爆発と共に大穴が穿たれる。
...形勢がかつてない程最悪な方向に傾いたことを、先生はその全身でもって理解した。
「どういうことよ......なんで
「分かりません!そもそもどうしてここにケセドの兵器が!?ついこの前撃退したばかりの筈では!?」
「問答している暇はないでしょうっ!!今は一刻も早く先生の所へっ!」
「いや...っ、先生っ!せんせぇっ!!」
ユウカとスズミの混乱が、ハスミの激昂が、チナツの叫喚が、爆発音に貫かれた耳に届く。
吹き飛ばされた衝撃で痺れる身体を無理やり立ち上がらせ、先生は身を隠せる物陰に向かって一心不乱に足を進めていた。
現れた飛行ドローンは、窃盗集団と連携してユウカ達を牽制するように集中攻撃。
チナツが背後を撃ち続けたことで、ゴリアテの狙いは現在こちらから逸れている。
この事態がケセドの『自己学習』による進化の産物なのか、はたまたケセドの『パス』を持っている
...『大人のカード』を使うことも視野に入れ、痺れる右腕をなんとか懐まで上げようとした......そんなところで。
____ガコンッ!という無機質な音と共に、突然目の前の床がせり上る。
「.....................ウソだろ......」
...何でもアリなのかと、先生は歯噛みした。
眼前に現れたのは、撃退戦で何度も見てきたケセドの
自力で移動できるゴリアテや飛行ドローンであるなら兎も角...
「(..................不味いな、コレ............)」
...今まで経験したことのないような感覚が、先生の身体を駆け巡っていた。
視界に映る世界が鈍化され、周囲の音も間延びしていくように広がって上手く聴き取れない。
手足の指先から血の気が引いて、あれだけ痺れていた全身の震えもピタリと止まっている。
____間違いなく死ぬという確信めいた予感だけが、先生の意識に強く焼き付けられていた。
「(...............いやだな......ここで終わるのは......)」
『死』という絶対的な恐怖を前にして、先生の心は不思議なほどフラットになっていた。
...とめどなく流れてくるのは、寧ろ先生の中にある『記憶』の方。
『誰がリンちゃんですか...』と言いながらも、口元に薄ら笑みを浮かべていたリンの姿。
いきなり紹介された自分のことを、信じて指揮に従ってくれた4人の姿。
まだ発足したばかりでロクに実績の無いシャーレのことを頼ってくれた、対策委員会の皆の姿。
他にも沢山、出向く先々で関わりを持った多くの生徒達の姿。
...そして、これまでずっと一緒に頑張ってきた____親愛なる少女の姿。
「......サイカ...」
無機質な『死』をもたらすだろう砲口を前に、先生は無意識にその名を呟く。
...こんなことになるなら、もっと早くにしっかり話しておけば良かった。
今の曖昧な距離感のまま、お別れなんてしたくなかった。
...そんな後悔を抱えながら、引き伸ばされていた感覚は徐々に
今まさに、先生の五体を吹き飛ばさんと砲弾が撃ち出されんとする......その刹那。
____ふわり、と。
淡い虹色の長髪と、
気配もなく、音もなく...瞬きの
『_______』
____色彩豊かな謎の少女が、先生の前に立っていた。
サイカさんは突出した能力が無くて存在感が薄い(と思いこんでる)だけで、実際は関わった大人達の脳を焼いてしまう魔性の生徒さんなんですね!(アロナボイス)
後編に続きます。