ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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※この作品のキヴォトスにおける収賄罪は現代日本と大きく異なります。
ご承知おきの上、あくまでコメディとしてお楽しみください。
それと本エピソードは深夜テンションで書き上げてます!年齢制限にはギリギリ引っかかってない...筈です!



『謎のヒロインごっこ』活動記録~ 問題児(ロクでなし)二人、しかも最弱編 ~

 次の世代のエース達と合同訓練をするようになり、黒服さん達のところでは『四速』や『順転』の限界負荷訓練もガッツリ継続中!...なんて、なんとも充実しまくった日々を過ごすようになって数週間。

 出勤したり遊びに来たりする生徒が珍しく少ないシャーレのオフィスに、これまた珍しいお客さんがやって来た。

 

 連邦生徒会首席行政官兼、連邦生徒会長代行『七神リン』____ボクの元上司であるリンちゃん先輩である!

 

 どうやら先生とボクに用があるそうで...ご案内したメインオフィスのソファーにコーヒーを持って戻ってきたボクは、先に座っていた先生と首を傾げ合いながらもその隣に腰掛けた。

 コーヒーを一口飲んで話し始めた先輩曰く、ボクらに次の三つのことをお願いしたいらしい。

 

 約一ヶ月半後に控える合同火力演習の準備に伴い、シャーレが所有する訓練施設を部員以外の生徒達にも終日開放してほしいこと。

 準備期間で生じる生徒同士のいざこざの仲裁、簡単な書類仕事への協力を依頼したいこと。

 

 そしてもう一つ...シャーレ専属部員であるボクに、一時的にリンちゃん先輩の直属サポート要員として出向してほしいとのことだった。

 

 ふむりふむり...や〜、なるほどね〜。

 さてさて...今身を置くこの場が、漫画やアニメの中の(いち)エピソードであったのなら。

 この後ボクか先生が向こうの事情を問いかけて、先輩が詳しい経緯や理由を説明する場面(シーン)に移っていくのが自然な流れというやつなのだろう。

 

 だがしかし

 ところがどっこい

 ハウエバー(渾身のクソ短詩形文学(せんりゅう))

 

 ボクと先生はバッ!と素早いアイコンタクトを交わし、次の瞬間には原稿用紙一枚分になるだろう無駄に洗練された無駄のない無駄な密度の意思疎通を完了させていた...!

 だって考えてもみてほしい...()()リンちゃん先輩が、珍しく完っ全にお願いする立場に回っているんだよ?

 

 シャーレ発足当初から現在にかけて、日頃アホみたいな量の業務を回してくるリンちゃん先輩が。

 『提出された書類の不備が多いから直しに来るように』とか、『先日街中で鎮圧した武装集団よりシャーレ側の出した損害の方が多いので、始末書の作成も追加でお願いします』とか。

 ()()()()()()()()()()()少し冷たく感じる簡素な言葉ばかり掛けてくるリンちゃん先輩が今、若干バツの悪そうな表情(かお)をしてボクらの前に座っているのだ。

 

 だったらもう、やるなら今しかないじゃない。

 まあボクらと先輩の仲だし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()____その返事をする前に、ちょっとくらい揶揄(からか)ったってバチは当たんねーよなぁ!!

 

 ...そこからはもうノリノリだった。

 

 『えぇ〜、どうしよっかな〜。他ならぬリンちゃんのお願いだし、二つ返事でOKしたいけど...でもシャーレも最近忙しくなってきてるからな〜!そう易々とウチのサイカは渡せないかな〜!!』と満面のニヤけ(ヅラ)で話す先生と一緒に立ち上がり、揃ってリンちゃん先輩の両隣にボスンッと腰を下ろして。

 何なら馴れ馴れしくも肩に腕まで回しちゃって。

 思いつく限りのセリフとロールプレイで()って、現キヴォトスの実質トップである先輩のことをひたすら煽りまくる!

 

 

 えぇ〜?あれだけの人員と人材が揃ってるのにぃ、ボクみたいな下っ端事務員を呼び戻すくらい運営の見通し悪くなっちゃってるんですかぁ?

 

 だっさぁ♡よっわぁ♡かっこわる〜♡

 ざぁこ♡ざぁこ♡よわよわ行政機関♡

 

 

 ____うっひょぉぉぉぉ気持ちいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!!

 

 この前先生とモモトーク上で練習したメスガキロールプレイで尊敬する先輩を煽りまくるの楽ちぃぃぃぃ!心が潤っていくのをハッキリと感じますわ!

 うははははは!!連邦捜査部が誇るロクでなしコンビたぁボク達のことだぜェ!!!

 

 ...うん?お前ら普段から何の話してるんだよって?やれやれ全く何をおっしゃいますことやら。

 ボクと先生のモモトークに!!真面目な話題や建設的な話題が出てくるわけないじゃない!!!

 

 もうすっごいぞ〜?基本的にノリと勢いの脊髄反射でしかお互いメッセージ打ってないからね?

 

 先生から『今からここはメスガキトークルームだよ!』ってメッセ飛んできたら爆速で『えぇ〜?なんでせんせーの言うこと聞いてあげなきゃいけないの〜♡』って返すし。

 ボクが『今からお嬢様口調縛りね〜』って送ったら爆速で『合点承知之助でさぁ!あっしにかかりゃちょちょいのちょいですぜ!』みたいな、『お嬢様口調』を致命的に勘違いしたガテン系ロールで返信がくるような最高にくっだらない会話ばかりしてるからね?

 

 こんなボクらのことを、『互いの言葉や行動で無限に共鳴し合って無限にふざけ倒す死ぬほど厄介なコンビ』と評していたのはユウカちゃんだったか。

 シャーレ発足当初はモモトークどころか対面でも殆どこんなだったから...あまりに仕事が進まなくてキレ始めた古参組の面々から、勤務中の雑談禁止令を出されそうになったこともあったよね。

 まあそれも、今となれば彼女達と笑い話にできる懐かしき思い出である。

 

 あとちなみにね?本っ当にちなみに誤解はしないでほしいけれど、ボク達だって誰彼構わずこんな下衆ムーブをかますわけじゃない。

 ボクと先輩はプライベートでもカフェ巡りするくらい仲良しだし、先生とは時折『ホントに学生なの?』って聞きたくなるくらいのスマートな大人デート(先生は単なるお出掛けだと思ってる)してるのも知ってるし。

 

 まあつまり...仕掛ける相手と仕掛けるレベルはちゃんと見極めてふざけ倒すのが、ボクと先生が持つ厳格?な矜恃というやつなのだ。

 

 とはいえ...とはいえである。

 流石に三分くらいノンストップで()()()()()()()()()()()となれば、不安と疑念も湧いてくる。

 

 いい加減ボクと先生のメスガキボキャブラリーも尽きてきて...今なんて『お給料三倍にして♡』とか『もっと権力だけちょうだい♡』みたいな単なる願望を囁くだけのBOTになりかけてるんですけど...!?

 

 おかしい...こんな調子で一分くらい煽っていれば、引き攣った笑みの先輩が必殺の片手アイアンクローを繰り出してくる筈だったのに。

 ボクも先生も、同時に顔面を鷲掴みにされながら宙に持ち上げられる未来を覚悟の上でふざけ倒していたのに...未だ反撃が飛んでこない。

 

 再び先生と目を合わせ、『悪ノリに付き合ってくれる気分じゃなかった...?』と不安になり始めていたが......この時、ボクらは完全に読み違えていた。

 リンちゃん先輩がここまで平然とした澄まし顔を保っていたのは、単にボクらより上手(うわて)であることを如実に示していたことに...!

 

 ようやく口を開いた先輩曰く...『是非ともシャーレに助力を願えればと思って赴きましたが...そこまでご多忙なら仕方ありませんね』。

 『もし快諾していただけた際の()()()()()()()として、モモカが苦労して手に入れてくれたこちらも...どうやら必要なかったようです』と。

 

 そう言って、先輩がずっと膝上に抱えていた紙袋からソレを取り出した瞬間____ボクと先生は舞空術よろしく飛び上がり、床をかち割らん勢いで渾身の土下座を披露した。

 それもそうだろう。何せリンちゃん先輩が取り出したソレは、ボクと先生が『魂の指針』にしていると言っても過言ではない名作ロボットアニメ____その未公開カット入りデジタルリマスター限定ボックスだったのだから!!!

 

 言うまでもなく、額を床に叩き付けながら言い放った決め台詞は『『犬とお呼びくださいッッッ!!!!』』である。

 誉れ高いね♡

 

 へ...へへっ...やだなぁ先輩ってば。さっきまでのはちょっとした冗談(おふざけ)と言いますか...あっしらが敬愛する先輩のお願いを断るわけないじゃありませんか...!

 あっ、丁度ソファーに腰掛けてらっしゃることですし...今から全身マッサージなんていかがです?あぁいえいえ任せてくだせぇ!こう見えてあっしも先生も腕前には自信がありますから!

 

 ...もうなりふり構わず媚びることに全力なボク達を見て、『...ここまで模範のようなダメ人間ぶりを見せられると逆に清々しいですね』とため息を零すリンちゃん先輩。

 へっへっへっ...今更何を言うかと思えば。

 

 繰り返すようでアレだけど、ボクらはシャーレ部員達が満場一致で認めるレベルのロクでなしコンビ。

 何度も抽選落ちして(つい)ぞ手に入らなかったお宝を手に入れるためならば靴だって舐めるし、そこから更に生脚を舐め回すことだって微塵も躊躇いませんことよっ!!そうだよね先生ェ!!!

 ...むん!力強い返事が返ってきた!!

 

 というか、それを言うならリンちゃん先輩だってそのムーブはどうかと思うけどなぁ!?

 いくらキヴォトスが銃弾飛び交うルール無用みたいな場所だからって、仮にも都市全体に影響力がある行政機関の実質トップがこんな賄賂を送るような真似をして良いと思ってるんですの!?絶対欲しいけど!!

 

 ...んぇ?『これはあくまで個人的な友人に、個人的且つ能動的に手伝って貰えないかお誘いしに来ただけですから...この手土産も、あくまで手伝ってくれる友人に対する個人的なお礼というだけです』って...ソレとんでもない暴論じゃない!?

 何でもかんでも『個人的』とか『友人』とか言えばまかり通るわけじゃないでしょうに!

 

 ...ねえウソでしょ?『お二人が生涯秘密にしてくれれば、そもそも問題にすらなりませんね?』とか言い出しちゃったよこの人。

 

 伊達にあの激務環境で今日まで生き抜いていないと言うべきか...リンちゃん先輩も大概、良くも悪くも柔軟な思考の持ち主だってことだね。

 まあそんなところも、ボクらが敬愛してやまない先輩の魅力なわけなんだけどさ。

 

 さ〜てとっ!一頻(ひとしき)りふざけ倒したことだし、そろそろ演習準備のお手伝いの件を詳しく詰めていきましょうかね!

 

 先生は明日以降、()()()()()で各地に赴くことになっているし...ボクもこれで、暫くはシャーレでなく連邦生徒会に出勤することになる。

 正規職員二人が不在になるけれど...まあ少しくらいなら、ユウカちゃんとヒナちゃんが中心になって組織を回してくれるだろう。

 それに先生が毎日リモートで状況報告を受ける筈だから、完全放置状態になるわけでもないしね!

 

 なんて考えながら立ち上がろうとした時......どこか嗜虐的な笑みを浮かべたリンちゃん先輩が、不気味なくらい柔らかな声音で問いかけてきた。

 

 

 ____どうして主人(わたし)の許可なく、勝手に立ち上がろうとしているんですか?

 

 先程自分たちの方から『犬とお呼びください』などと懇願していたのに...()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?と。

 

 

 戦慄した。

 驚愕した。

 想定すらしていなかったリンちゃん先輩の豹変ぶりに、ボクと先生はぶるりと身を震わせながら正真正銘の『おすわり』をすることしか出来なかった...!

 

 『何が起きてるの...!?』と先生とアイコンタクトを交わしつつ再び先輩の方へと目を向けて____そこでようやく、ボクらは致命的な見落としを発見するに至る。

 普段の凛として綺麗な瞳の奥に垣間見える、グルグルと濁った疲労の渦...っ!

 巧妙に化粧で隠された目元の隈に、足元に置かれた鞄からチラリと見える強壮ドリンクの空きビン三本...!

 

 ボクは知っている...あのドリンクは処方箋無しで販売出来るギリギリの有効成分を盛り込んでいるため、生徒の間で『妖怪MAX』を超えた『最終手段(ラストリゾート)』と呼ばれている究極の魔剤であることを。

 しっかり者のリンちゃん先輩が、ドリンクの空きビンを未だ捨てずにカバンに入れているという事態の深刻さを...!

 

 やってしまった!ボクと先生としたことが完全に見落としていたっ!

 今の先輩は間違いなく、最低でも三徹はしてるだろう深夜テンションをこの時間まで継続させてしまった極限化状態(エクストリームコンディション)っ!

 

 意味するところはそれ即ち____ボクらはやはり、仕掛け所を思いっきり間違えていたということっ!

 

 ......『以前食事を共にした時、貴方達二人は漫画やアニメの話をしながらこう言っていましたね』と呟きながら...ボクらの眼前で、ヒールを脱ぎ捨てたリンちゃん先輩がゆっくりと脚を組む。

 

 ____先程のお二人のような煽り方をする相手は()()()()()のがお約束であり...相手が『犬』を自称したならば、責任をもって躾けてあげなくてはならないと。

 

 .........あっダメだ、ボクらもう完全に詰んでらぁ。

 

 今更ノリノリでちょっぴり過激な漫画トークをしてた過去の自分達を呪ったって、最早後の祭りとしか言いようがない。

 ボクと先生は、アコちゃんが内心悦びそうな姿勢のままガタガタと身を震わせることしか出来なかった。

 

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 ...後日談、というか本日のオチ。

 その後繰り広げられた諸々(あれやこれや)についてはご主人さm......もとい、リンちゃん先輩の名誉のために、敢えて詳しく記録しないでおこうと思う。

 

 僅かに記せることがあるとすれば...ココナちゃんやイブキちゃんあたりには、絶対に見せられない類のモノであったこと。

 あのタイミングでユウカちゃんが様子を見に来てくれなければ...ボクと先生は、開いちゃいけないタイプの扉がオープンセサミしちゃってたかもしれないということだけである。

 

 最後はかなり気まずくなっちゃったけど...まあそんなわけで。

 合同火力演習当日までの一ヶ月半...ボクはより一層、忙しくも充実した日々を過ごすことになるのだった!

 

 

 

 

 

 




ブルアカふぇすDay1お疲れ様でした!
ゲーム外だけであれだけ情報を浴びれるのもブルアカならではですわねぇ!
拙作の読者様の中にも、現地に行って満喫している先生はいらっしゃるんでしょうか?
Day2の興奮のお供になれるよう、明日も更新できるよう頑張ります!
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