ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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二話連続投稿の一話目です!
文字数多かったので分割してあります!




少女独白、空回り

「...私に、戦闘関連の統括を?」

「うん。いつもの4~6人編成の部隊リーダーってだけじゃなくて、戦闘任務や訓練全体の纏め役をお願いしたいんだ」

 

 アビドスでの一件から数日が経ち、ゲヘナ自治区の治安も比較的落ち着いていたとある日のこと。

 正式にシャーレ部員となったばかりの空崎ヒナは、先生からとある提案を持ち掛けられていた。

 

 詳しく聞いてみると...発足当初の想定より多くの生徒達がシャーレに入部してくれたことを受け、古参部員達との打ち合わせで『今後は一気に部員が増える可能性が高い』という話が挙がったらしい。

 現在は先生が通常業務の統括から任務の編成や指揮まで()()()()担うことが出来ているものの...今後組織が大きくなることを想定し、早い内から実用的な組織図を作って運用してみた方が良いのではないかという結論になったのだそう。

 

「...成程。一先ずは『戦闘』と『非戦闘』にざっくり業務内容を分けて、それぞれ適性の高い部員に纏め役を務めてもらう運用を試してみると.........うん?」

 

 ホワイトボードに書かれた組織図を一通り眺めたところで、ヒナの視線はある一点でピタリと止まる。

 

「...非戦闘分野の纏め役は、()()ではなく早瀬ユウカなのね」

「そうだね。勿論、ユウカがこの手の分野で飛び抜けて優秀だからお願いしたっていうのもあるけれど......」

「...あるけれど?」

 

「んー...まあその辺りの理由については、きっとそう遠くない内に分かると思うよ____それでどうかな?ヒナは風紀委員長としての仕事もあって忙しいと思うし、厳しそうだったら全然断ってもらっても構わn「引き受けるわ...っ!」...っと!」

 

「あっ...ごめんなさい、大きな声を出して......その...他の子にも、既に声を掛けているわけじゃないのよね?」

「全然全然...!勿論候補の子は他にもいるけど、()ずはヒナに相談してから決めようって考えていたからさ」

 

「...だったら、尚のこと私が引き受ける......嬉しいわ、いの一番に先生に頼ってもらえて」

「そんな風に言われると、(せんせい)もちょっと照れくさくなっちゃうなぁ____じゃあ改めて...これから一緒に頑張っていこう、ヒナ!」

「ええ、任せておいて」

 

 差し出された少し大きな手を取りながら...密かに想いを寄せる大人に向け、少女は柔らかな笑みを浮かべてそう返す。

 

 ...先生と知り合ってから少しずつ、生活に()()が出てきたように感じている。

 以前は風紀委員としての仕事に忙殺されたり、『周りより強いから』という理由だけでトラブルに巻き込まれたりケンカを吹っかけられたり...日を追う毎に心が荒んでいく一方だった。

 

 だがシャーレが活躍の幅を広げていく内に、D.U.だけでなくゲヘナの治安も僅かながら改善傾向を見せ始めている。

 なにより先生と過ごす時間は、ヒナの精神(メンタル)に多大な安らぎと甘い高鳴りを(もたら)してくれていた。

 

 先生(かれ)に会いに行ける日を思えば、羽沼マコトからの嫌がらせも凪のように受け流せる。

 先生(かれ)に向けてもらえる期待には、無性に応えてあげたくなる。

 

 なりたくてなった訳じゃない『風紀委員長』という立場ではあるけれど、先生(かれ)にこうして頼ってもらえるキッカケの一つになれているのなら...少しだけ前向きに、普段の職務にも取り組めるかもしれないと思うようにすらなっていた。

 

 

 だけど...嗚呼、思えば何時(いつ)からだっただろう。

 自身が『最善』だと判断し、実行した行動(アクション)の数々...その(ことごと)くが、まるで歯車が一つ抜け落ちてしまったかのように空回りを始めたのは。

 

 

『風紀委員長ちゃんさ____『あの子に負けた』と『あの子を前に何もできなかった』は、全く意味が違うんだよ?』

 

 

 臨時会議の場で、小鳥遊ホシノから耳打ちされるように投げかけられたその言葉に...何も言い返すことが出来なかった時からだろうか。

 

 

「最後の通告よ...武装を解除して、手を頭の後ろで組んでちょうだい」

『............』

「......そう...貴女も、覚悟は出来ているのね」

 

 表向きは強気な姿勢を張り続けていたものの...少女が纏う不気味な圧力に、()()呆気なく呑まれていたことに気付いた時からだろうか。

 

 

 ...或いは、最初から。

 

『____貴女が『妄想』と揶揄する存在を殺し尽くすために...私は、ただの生徒で在ることを捨て去ったんだから』

 

 額に指鉄砲を突き付けられ、身の毛もよだつような『恐怖』に全身を灼かれて...。

 他者評価と僅かながらの自己評価によって心に築き上げてきた『何か』に、大きく亀裂が入ったように感じた...あの瞬間からだったのだろうか。

 

 




二話目は一分後に投稿予定です!
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