ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。 作:YEBIS_nora
この三日で一旦色彩ちゃん視点が終わり、以降は三人称視点でシャーレ側のお話に戻りますわ!
今日だけ遅くなりましたが、明日と明後日は18時に更新予定です!
△月□☆日
出向二十日目。
全ての部署を巡って仕事をするとかいう怒涛のサポート週間を終えてから早六日。ボクの贔屓目もあるけれど...今の連邦生徒会は、およそ三週間前のソレよりもかなり円滑な運営が出来てると思いますわ!
忙しいことに変わりは無いけれど...メールや内線での情報共有はいい意味で細やかになったし、各種書類が部下、先輩、上司、室長とチェックされていくスピードもグッと早くなった。
何より職場全体から、『間に合わないかもしれない...!』とか『最近あの人機嫌悪いから声掛け辛いよ...』みたいなマイナス感情から漏れ出す独特の空気感が殆ど無くなったことを肌で感じられるよね!正直めちゃくちゃ空気が美味い!
そうなってくれた大きな要因は、間違いなく役員達を束ねる室長の皆が齎した変化。
____縦の繋がりも横の繋がりにおいても、以前より積極的なコミュニケーションをとるようになったからだろう。
日を経る
折り畳み式の小さな机や椅子も持ち寄って、ちょっぴり
食事という点で見ればお行儀が悪いけど...この『たまり場に集まってる感じ』が、お酒の力に頼れないボクらに『雰囲気酔い』の効果を付与してくれた。
多少個性的ではあるけれど...連邦生徒会の面々は基本的に優秀だからね。
ボクが振ったり振られたりしたトーク内容から『そういう話題やノリも有りな場なんだな』と直ぐに学習し、二日も経てば下らない話から仕事における部下とのやり取りに関する軽い悩み相談まで...今までする機会すら無かった
ぶっちゃけめちゃんこ面白かったもんな〜...例えばアレね。同じ部屋だけど、なんか自然に四人一組くらいに分かれて同時に別々の話してた時ね。
保健室長が『ちょっと最近、副室長が凄く艶っぽい表情で私の方見てくるようになって...頻繁にボディータッチとかもしてくるようになって...』なんて零した途端、目を輝かせた全員が爆速で彼女を取り囲んで『もっと詳しく...!』って詰め寄ったりしたね。
室長と言えど、身内の浮いた話には興味津々にならざるを得ないのだ!
他にも甘い卵焼き派としょっぱい卵焼き派によるディベートが過熱し過ぎた結果謎のお料理対決が始まりかけたり、ふざけ半分でムシクイーンのやり方...アニメみたいに口上やカードの名前を叫ぶタイプのプレイングを教えたら、アオイちゃんやリンちゃん先輩が結構ガチで取り組んでくれたり。
スモモちゃんとモモカちゃんを抱き込みながら『偶には食堂で食べよー』とそれとなく提案し、以前に比べ格段に遠慮のないやり取りをするようになった室長達の姿を見せて役員の皆を怖がらせ...もとい、ビックリさせましょう作戦を密かに実行してみたり。
肝心の実務ではそれほど活躍出来なかったけれど、多忙によって徐々に絡まってしまったコミュニケーションエラーの糸を少しでも解きほぐせたのなら...一般事務員なりに、出来ることをやれたと言っていいんじゃないかな。
少し様子が不安だったカヤちゃんも...相変わらずリンちゃん先輩には突っかかっていたけど、言葉の棘自体は随分控えめになったと見ていて感じてる。
防衛室の同期から『部署の雰囲気がめっっっちゃ良くなったよ!』って話も聞いてるし...彼女の『思うところ』が完全に解決したわけじゃないだろうけど、このままいい具合に『憧れ』との付き合い方を模索していって欲しいね。
......どこぞの悪どい連中が、彼女に妙な干渉や働きかけをしてこないことを願うばかりである。
さてっ!振り返るのはこのくらいにして、統括室に戻ってきたボクに下された新たなる業務____リンちゃん先輩の出張業務サポートの話に戻りましょうかね!
日取りは今日と明日の一泊二日。行き先はゲヘナとトリニティ。
具体的には『万魔殿』の議長であるマコトちゃんと『ティーパーティー』のホスト代理である桐藤ナギサさんに、改修した演習ステージの概要説明と演習参加の意思を対面で宣誓してもらうお仕事である。
合同火力演習は公的行事ではあるものの、多くの生徒が集うイベントである以上『D.U.』に齎される経済効果は馬鹿にならかったりする。
多くの飲食店が屋台を出すし、武器を取り扱うメーカーも露店を出したり新商品開発のテスター候補をスカウトする光景だって珍しくない。
そのためにも、多くの生徒が在籍するゲヘナやトリニティの参加は何としても言質を取っておきたい。
例年ならそんなことしなくても参加してくれていたけれど...今回はエデン条約も控えているし、向こうから演習ステージの最高難易度を引き上げてほしいと要望まで飛ばしてきたのだ。
特にマコトちゃんは時折、他の自治区のトップならまず有り得ないような理由で意見を覆したりするからね。
『こんな大したことない難易度改修ではトリニティとの実力差を世間に知らしめられんなぁ!』とか言って、ゲヘナ生に演習への参加自粛みたいな声明を出されないよう、『ご要望通りの鬼畜難易度に改修してやったぞ?』とそれはもう懇切丁寧に説明しに行こうという話なのだ。
要するに保険掛けだね☆
マコトちゃん達のところなら兎も角、マジで接点の少ない『ティーパーティー』の皆さんへの説明の場で役に立てるか不安だけど...リンちゃん先輩は、そんなボクなんかを『相棒』と呼んでくれたんだ。
場の空気感やメンバー間の視線の行き先までしっかり観察して、今後の連邦生徒会が『ティーパーティー』と上手くやれる一助になるような情報を持ち帰ってやろうとも!
ということでノートPCやら小型プロジェクターやらのプレゼン用アイテムを両脇に抱え、リンちゃん先輩を追ってパタパタと連邦生徒会のフロントまで差し掛かったところで...正面玄関から入ってきた面々に、ボクは思わず足を止めて驚きの声を上げていた。
あれっ!?ヒマリちゃんにエイミちゃん、それにヴェリタスの皆まで!揃いも揃って
『てか久しぶりじゃ〜ん』とハイタッチ代わりに軽い体当たりを交わしてから話を聞いてみると...どうやら先生とリンちゃん先輩連名の正式な依頼を請け、調停室にある作戦司令部のシステムアップデート...その一環でβテストをしに来たらしい。
おっとぉ待ってくれ...ねぇボクそれ全然知らなかったんだけど!?なぁんでリンちゃん先輩も毎日一緒にいたのに教えてくんないかなぁ!?
両手が塞がっているためグリグリと頭を押し付けながら抗議の声を上げるも、リンちゃん先輩は涼しい顔をして『貴女にこういったことを伝えると、無理にでも時間を作って手伝いにいこうとしますから』と返してくる。
ぐぬぬぬぬっ...仰る通り過ぎてぐぅのねも出ないぜ、ぐぅ。
直後、『それに...貴女と仕事が出来る僅かな時間を奪われたくなかったので』と何かしら呟いていたんだけど...声のボリュームが爆速で小さくなっていったため、後半を全く聞き取ることができなかった。
勿論聞き返したけれど、直後にあんな影のある笑みを向けられてしまったらビビり散らかして『なんでもないっす!』と言うほかない。
『シャーレに戻ってきたら説明するから、取り敢えず行ってら〜』というハレちゃんの声に見送られ、ボクはリンちゃん先輩に引きずられるように連邦生徒会のオフィスを後にするのだった。
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悲報。一般事務員ことボク、マコトちゃんの
『イロハが先生を徹底的に籠絡出来るよう、先生の好みや性格について貴様が持ちうる情報の全てを開示してもらおうじゃないか!』とのことらしい。
ンンンンンンン、いやはやこれは予想外...!
なぁんか万魔殿に着いた途端直々に出迎えてくれるし、終始機嫌良さげにこちらの改修報告を聞いてOK出してくるしで、『もしかしてヒナちゃんや風紀委員会への嫌がらせが上手くいったとかそんな感じか?』と様子を観察していたけれど...まさかそっち方面で無茶振りしてくるとは思わないじゃんね。
本題が済んだ途端にこんなことを言われては、当然先生大好き勢のリンちゃん先輩も黙っていられる筈もなく。
加えて言えば、依然としてご機嫌なマコトちゃんがソレを面白がらないわけもなく。
『直属の上司である私がいる前で、よくもそんなふざけた話が出来ましたね』と先輩が告げれば、『はっ!一時的に出向しているだけで、本来はキヴォトスに住まう生徒を助けるシャーレの所属だろう?』と不敵に笑い。
『一時的でも今は私の部下です。私の了承を得ずに妙な役割を押し付けるのは筋が通っていませんし...仮にシャーレへ戻ったとしても、今度は先生の承諾が必要不可欠だと思いますが?』と説けば、『キキキキキッ!まあその辺りは心配いらん。このマコト様はあくまで!一人の友人として!そこなサイカに『お願い』をしているだけに過ぎんのだからなぁ!!』と即座に返す。
おまけに畳み掛けるように...『首席行政官殿も、仕事や政治には『この手の言葉遊び』の必要性は理解しているだろう...何なら、
流石はマコトちゃん...ボクの知り合いの中でもトップクラスに情報網の広さと腹の底が読めない人物なだけはある。
リンちゃん先輩が先生とボクを尋ねてきたあの日、シャーレにいた誰かが直接リークしたとは考えられないけれど...この人は今の連邦生徒会やシャーレの大まかな状況や、どうしたって漏れ出る噂や情報の断片を収集するだけで『確信めいた予測』を立てられるだけの頭脳がある。
あの『雷帝』を退陣に追いやった張本人だとか、『雷帝の遺産を合法的に根絶しやすくするため』という目的も込みでキヴォトス全土の征服を目論んでいるのでは?とか色んな噂があるけれど...今のマコトちゃんを見ていると、あながち適当な話でもないと思えてしまうのだ。
さて...マコトちゃんがリンちゃん先輩にああ言った以上、ぶっちゃけこの一件は
『今からすぐは無理だけど、教えられることはイロハちゃんとのモモトークでコンスタントに共有するよ』という感じの落とし所で、マコトちゃんを説得することに成功した。
ゲヘナからトリニティに向かう電車の中で、『一つ一つは貴女にとって大したことがなくても、ソレを誰かと会う度に引き受けていたらその内大きな負担になるんですよ?』とひたすらに小言を言われたのは言うまでもない。
...ちなみにその後。モモトーク上でイロハちゃんの質問に答えたり先生の好みやソレにまつわるエピソードなんかを幾つか伝えてみたところ...『あの、私もしかして惚気聞かされてます?』との返信が来た。
困惑していると直ぐに写真が送られてきて...珍しく右の掌で目元を覆うマコトちゃんの姿と共に、『トーク履歴を見せましたが、「もっと別の方法で先生とお前を我々のモノにする」...とのことらしいですよ』と追いメッセージ。
何がどうなってそんな結論になったのか分からなかったけど...取り敢えず、『先生を籠絡するためって大義名分は薄くなっちゃったかもだけど、イロハちゃんが個人的に聞きたいこととかあればいつでも聞いてね!』と送っておこう。
何だかんだでイロハちゃんも、先生と一緒にダラダラサボる時間を楽しみにしてるみたいだからね。
...うん?待って『貴女にだけは絶対に負けませんから』って何!?『それと次会ったら絞め落とします』ってどういうこと!?
ぐおおおおダメだ!『ごめんボク何かマズいこと言った!?』って聞いても『マジでゴメンっ!』って送っても直接的な回答が一切貰えない!
『友達のよしみで貴女は先生と一緒に堕落させようと考えていましたが、それも考え直す必要がありそうですね』から『首を洗って待っていてください』になり、しまいには返信が『水責め』やら『電気責め』やら『××責め』とかいう拷問ラインナップシリーズに突入する始末であるっ!
ボクには分かる...多分今のイロハちゃんは半分冗談で半分本気くらいのテンションでモモトークに付き合ってくれてるということを...っ!
でもサブリミナル的にさり気なく出てきた『××責め』って何!?普段イブキちゃんの保護者役やってるんだから、変な方向性の拷問じゃないことを切実に願いますわよイロハさぁん!?
その後...宿泊するトリニティ自治区のビジネスホテルに着いてからも、物騒なワードばかり並び立てるイロハちゃんとのトークをひたすら粘り。
『ふふん...今回はこの辺で勘弁してあげます』という言葉を何とか引き出し...果たして本当に自分が全面的に悪かったのか分からない事案を収拾した頃には、ぶっちぎりで日付を跨いでおり。
明日(厳密には今日)のお仕事には寝不足確定で臨むことが確定するボクなのであった。
この作品のリンちゃんは
連邦生徒会長≧先生=サイカくらいのレベルで、色彩ちゃんを後輩として可愛がっています。
ただでさえ尊敬する連邦生徒会長が失踪してるのに、最終編では可愛い後輩である色彩ちゃんもあんなことやこんなことになっちゃったら彼女のメンタルはどうなってしまうんでしょうねぇ(外道スマイル)
ちなみに誤解のないよう補足しますが、後半のイロハは殆どダル絡みしているようなものです。
色彩ちゃんは超ド級の交友関係モンスターなので、友達を本気でイラつかせることはまず有り得ないくらいの好感度が殆どの生徒に蓄積されています。
はたしてソレは、本当に本人の努力『だけ』で身についた素養なんですかねぇ...(露骨な目逸らし)
次話に続きます!