ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

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連続投稿二話目です!



機能開発は悪知恵と共に

「____はっ!?」

 

 頭を撫で始めてから数秒が経ち。

 アロナは突然、大げさなほど肩を跳ねさせた。

 先程までの落ち着いた空気が、まるで幻だったかのように霧散する。

 

「せせせせせ先生!?今私、かなり込み入った相談にスラスラと応答してませんでしたか!?」

「えっ、どうしたの急に...まあうん。テキスト化したらそれなりの文量になるくらい丁寧に話してくれてたけど...?」

 

「ですよね!?なんかさっきまでの私、すーぱーインテリジェンスな感じで喋ってましたよね!?『今からもう一度やって?』って言われても出来るイメージが湧かないレベルで...!」

「え待っていきなり怖い話始めないでくれる...!?」

 

 まさかの衝撃発言に、驚いた先生はアロナと共に簡易ベッドから転げ落ちた。

 バシャリと音を立てながらも、アロナはすぐに起き上がって自分の口元や胸元をぺたぺたと触り始める。

 その慌てっぷりは確かに、つい今しがたまで大人びた雰囲気を漂わせていたとは思えないものだった。

 

「どうしましょう...OSとしての自己診断機能も走らせてみましたが、システムの端から端まで異常がありません......アロナは一体、どこからあんな思考や言語化能力を引き出したのでしょうか...!?」

 

「デジタル空間の中で始まる突然のオカルト展開...ほら、アレじゃない?企業が提供しているAIサービスみたいに、アロナにも月額制でより高度な思考リソースを使える機能が実装されてるとかじゃないの?」

「なぁ...!?先生、このアロナをそんじょそこらのAIサービスと一緒にしないでください!私は日々全身全霊を以って先生のサポートをして____」

 

「...アロナ?」

「____ると言いたいところですが!...へへっ...実はそういう機能があったりなかったりしましてぇ......何かをお願いするときにいちごミルクもセットで付けていただければ、も〜っと頑張って先生のお役に立つことも出来たり出来なかったりなんですけどぉ...?」

「おっとぉ?取り敢えず余計な知識(こと)を吹き込んじゃったことだけは理解できたぞ...っ!」

 

 ぎこちない笑顔を浮かべて揉み手までしてくる少女に、先生は思わず額に手を当てながら夜空を見上げる。

 こういうところは年相応と言うべきか...自分に得がありそうと判断するや否や、先程まで表出していた不安の色なんてどこかへ吹き飛んでしまっている。

 

 ...まあ、この先ずっと不安が尾を引いてしまうよりはずっと良い。

 そうすぐに思い直して息をついたところで...フッと。

 先程までアロナと交わしていたやり取りの数々が、頭の中で別の形として結びつき始めた。

 

「...アロナさ。さっきまで話していた内容自体はちゃんと覚えてるんだよね?」

「はい!それはもう!」

「いちごミルクを追加すれば、もっと頑張ってくれるんだよね?」

「もちろんです!いちごミルクじゃなくても...例えばカステラなんかでも大歓迎ですよ!」

「そっか...それはいいこと聞いちゃったなぁ」

 

 アロナのおかげで、『託す』と『頼る』をもう一歩深く理解できた。

 だが同時に思う。ヒナに託すと決めた今だからこそ、自分は『任せる』だけでなく『支える方法を増やす』方向にも手を出すべきなのではないかと。

 

 そう考えた時、一つの事実に改めて着目する。

 それはアロナが『特殊召喚』と銘打って、『シッテムの箱』に機能を追加したということ。

 

 つまり。

 つまりだ。

 

 心のどこかで『下手に弄るべきでない完成された遺産』のように捉えていたが...この端末は、まだ改良する余地が残されているのではないのか?

 『シッテムの箱』に備わる多くの機能の中で、最も直接的に生徒を支えられる()()()()を...進化させることができるのではないのかと。

 

 ...幸か不幸か、彼女も『報酬付きならもっと頑張れる』と言ってくれている。

 ならばこちらも存分に彼女を『頼りにして』、可能性の実現に向けて()()()()()()()()()()()()()()()()()...!

 

「____じゃあ『シッテムの箱』への()()()()()()()()()()()()から、今後はアロナにもコーディングとか手伝ってもらうね!」

「うえええええええええ!?」

 

 先生の口から飛び出たまさかの宣言に、アロナはひっくり返りそうな勢いで声を上げる。

 『シッテムの箱』のメインOSである彼女は、その無謀さを誰よりも理解していたからだ。

 

「先生っ!赴任したばかりの頃にも話しましたが、戦闘中に先生の直接の指揮下に入れる適正人数は六人までなんです!」

「そうだね、確かに聞いた...でも、それって『適正』であって『限界』じゃないもんね?」

 

 『いやいやいや!』と首を左右に振りながら、アロナは早口で詳しい解説をし始める。

 

 そもそも『シッテムの箱』が平然とやっている生徒との接続は、一人あたりにとんでもない規模の演算リソースを投じていること。

 『六人』というのは、『シッテムの箱』の管制指揮機能と先生の脳にかかる負担を鑑みて弾き出された『性能』と『安全性』が同時に成立する分水嶺のような数字であること。

 

「ここから一人でも接続人数を増やしたら、下手をすると先生の脳が焼き切れて「____いちごミルク1ダース」...!?」

 

 言葉を詰まらせる少女に畳み掛けるように、先生は更なる報酬を提示する。

 いちごカステラ三箱に、バナナカステラも二箱。

 

 ただでさえ軽くなっている財布に追い討ちをかけても構わないと言わんばかりの釣り上げ(レイズ)によって、とうとうアロナも二の句が継げなくなってしまっていた。

 

「難しいのは分かってる...それでも、この端末で機能の拡張が可能だと言うなら試してみたい」

「......」

 

「要件を定義して、既存システムを整理して、まずは短縮できる処理がないかを探していく...私も多少の知識はあるけれど、コレはアロナの手助けがなきゃ叶えられないと思うんだ」

「......う〜〜〜...っ!」

 

 危険性、報酬、相手の覚悟、頼られていることに対する歓喜。

 様々な感情が渦巻いて、荒れ狂って。

 こめかみに指を押し付けながら延々と唸り声を上げ続け...小さな少女は、少し恨めしげな目を向けながら首を縦に振ってみせた。

 

「____分かりました。怖いですけど、試せるだけ試してみましょう」

「...!ありがとう、アロナ!!」

「ただし!本当に危なかったり実装が絶望的だと判断したら即中止ですからね!?それと、報酬は全部前払いでお願いします!!」

 

「それじゃあ早速始めよう!開発者モードってどこから起動するんだっけ?」

「聞〜い〜て〜く〜だ〜さ〜い!少なくとも今日は絶対に着手しませんからね!?というか『寝落ちもちもち』するつもりだったのに思いっきり目が冴えちゃってるじゃないですかぁ!!」

 

 ド深夜なのを忘れて端末を弄り始める先生と、そうはさせまいと必死に腰へしがみつく青セーラーの少女。

 二人の拡張機能開発は、何とも微妙にグダつきながら始まった。

 

 ...だが後に、二人は知ることになる。

 予想通り、この開発が一筋縄じゃいかないレベルをも遥かに超越している難易度であることを。

 

 しかし、その開発途中に試作した()()()の方が____窮地を打破する大きな一手となることを。

 

 




現時点で『制約解除』をするには、致命的に足りないものが多すぎるッピ!

私事ですが休職者出たりしてマジで仕事の負荷がエグくなってます。オールウェイズ残業なので平日は一分でも早く寝ないと体がもたへん!泣
休憩時間も使って書き進めてはいますが、更新間隔開いたらホントごめんなさい!
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