ヘイローが『反転』できるようになったので、謎のヒロインごっこを楽しみます。   作:YEBIS_nora

7 / 53
今のところなんとか毎週投稿継続中!
このペースを保ったまま完走したいものですね。

今回は長くなったので2話連続投稿です!




『謎のヒロインごっこ』活動記録~ちょろっとヒールに挑戦編~

○月✕日

 

 スランピアでの詰め込み特訓(トレーニング)から、早いもので1週間。

 今日も今日とて事務仕事をしながら『謎のヒロインごっこ』に適した任務を漁っているボクの生活は、()()()()()()()()()()色々と変化が生じていた。

 

 表の面で言えば、例の間接ハグ騒動以降、先生が毎朝の挨拶がてら雑談を振ってくれるようになったことだろう。

 

 シャーレの廊下で挨拶を交わし、立ち止まってほんの2~3分くだらない話をするだけの些細なやり取り。

 『もっと早くこうしていればよかった』とはにかむ先生の表情が珍しかったから、もうすかさずスマホで写真撮ったよね。今度黒服さん達にも共有してあげよう。

 

 部員の皆にも見せたいところではあるんだけど...こういうのをグループチャットで共有すると、『ふ...ふ〜ん...?でも私といる時はこういう表情(かお)とか見せてくれたし?』みたいなノリで恒例のマウント合戦が始まるからやめておこうと思う。アレ始まると平気で通知が1000件超えることがあるからね。

 

 裏の面については、やっぱりマエストロさんやゴルコンダさん達の拠点に遊びに行けるようになったことが一番大きい変化だと思う。

 

 マエストロさんとは(もっぱ)ら、コーヒーや紅茶を飲みながらお話をすることが多いかな。

 ちょっと難しい単語や言い回しが多いけど、素直にどういう意味か聞いたら教えてくれるし結構勉強になってたりするんだよね。恐怖や複製(ミメシス)のことを知れるのは純粋に楽しいし、『謎のヒロイン』として意味深なセリフを残す時の参考になるかもしれないからね。

 

 ゴルコンダさん達の拠点に行くと...やっぱついつい(はしゃ)いじゃうよね。お願いすればゴルコンダさんを抱えさせてくれるから、そのままデカルコマニーさんと追いかけっこして遊んだり、神秘や『遺産』を活用した沢山の便利アイテムの実験(テスト)をお手伝いしたり。

 2人に謎のヒロインムーブの良さをプレゼンしてる時も、『デカルコマニーさんもそう思うよね〜?』って言ったら『そういうこった!』って返してくれるからついノリノリで喋り倒しちゃうしね。

 

 3人とも黒服さんと同様、『やりたいことは理解出来たし楽しみにもしてるけど、こちらが『悪い大人』であることはどうか忘れないでね』みたいなスタンスでいてくれるらしいから、これからも()()()()()()()()で仲良くすることが出来るだろう。

 

 さて、最近なにかと充実した毎日を過ごせてはいるものの...そろそろ『謎のヒロイン』として姿を見せないと、ボクの筋書きに支障が出てくる頃合いだと思う。

 何せ先生は立場上、キヴォトスで起こる様々な色濃いドタバタに巻き込まれているわけだからね。フィクション的にはちょっとだけ過剰かな?と思うくらいの登場頻度で印象を残しておかないと、忘れることは無いにしろ重要度が下がってしまう可能性が出てきちゃうのだ。

 

 でも『コレだ!』っていう任務が見つかんないんだよね...と依頼に目を通していた時、ふと目に飛び込んできたのは連邦生徒会からのメールだった。

 

 差出人は交通室のモモカちゃん。件名は____『指名手配犯『カイテンジャー』本拠地への家宅捜索依頼について』。

 その本文を読み終えた直後には...ボクの頭に、次の計画(プラン)が組み上がっていた。

 その名もズバリ____『ちょろっと悪役(ヒール)に振る舞ってみよう大作戦』!!

 

 連邦生徒会がシャーレへ依頼してきた内容は、件名の通り『カイテンジャー』の本拠地へのガサ入れだ。

 最近何か企んでるっぽい彼女たちの計画を、実行される前にぶっ壊してきて♪というなんともモモカちゃんらしい書き方だった。

 

 向こうは巨大兵器の設計図やら特殊金属やらも大量に強奪しているらしいので、シャーレ側もそれなりの戦力を投入することになるだろう。

 令状の発行準備はほぼ完了しており、ガサ入れ決行日と時刻も既に決定しているらしい。

 

 ...となればボクこと『謎のヒロイン』は、()()()()()()()2()()()()に動こうと思う。

 ガサ入れ直前に『謎のヒロイン』が本拠地に強襲し、近隣に被害を出さない範囲で派手に立ち回ってみせるのだ。

 

 先生がこの依頼を受理すれば、その日からノドカちゃんをはじめとした偵察部隊が本拠地を交代で監視するようになるからね。直前にド派手な戦闘を起こしてしまえば、連絡を受けた先生が即座に現場へ駆けつけることだろう。

 

 そこからは戦況次第になっちゃうけど...カイテンジャーを先に倒しておくか最後の方だけ共闘するとかして、その後はちょろ~っと悪役(ヒール)っぽい振る舞いをしながら意味深なセリフを残して離脱する...というのが、ボクの組み上げた計画(プラン)のあらましだ。

 

 この前の任務ではガッツリ味方みたいなムーブをしちゃったからね。『謎のヒロイン』が先に戦っていて、敵か味方か推し量りにくくするパターンも見せておきたいっていうのが1つ目の理由かな。

 

 そしてもう1つは...ボクが対人相手にどこまでやれるかを試せる絶好の機会だから。

 カイテンジャーは戦隊ヒーローごっこをしている面白集団に見えるけど...その実、()()()()()()()()()()()()()()()ことでも有名だ。

 

 スランピアでは対人戦闘の特訓はできなかったからね。複製(ミメシス)達との戦闘で得た経験を、対人戦でどう活かしていくかを実戦で試してみたかったんだ...!

 

 うへへへへへ...♪まさかたった一通のメールから、こんな一挙両得なロールプレイ計画(プラン)を瞬時に組み上げられるだなんて。

 あらゆる分野で平凡なボクだけど、『謎のヒロインごっこ』については少しだけ才能あるんじゃないかなって自惚れたくなっちゃうよ。

 

 フフん♪そうと決まれば、依頼書を回してボクも準備を整えよう。

 ゴルコンダさん達が付けてくれた変声機能もあるし、当日までに『謎のヒロイン』としての演技も仕上げていかなくっちゃね♪

 

 

○月✕日

 

 たのも〜!ボク悪党です!!

 

 ほぼ強制みたいな感じで申し訳ないけど、ボクのロールプレイに付き合ってくれると嬉しいな!バトルしようぜ!!

 

 なんて、流石にそこまでフランクな言葉はかけなかったけど...扉をぶち破ったボクの『悪党』という単語を聞いた途端、カイテンジャーの面々はノリノリで臨戦態勢を整えてくれた。

 あちこちでドンパチを引き起こして指名手配までされているのに、未だ戦隊ヒーローを名乗れるメンタリティは素直に尊敬しちゃうよね。

 

 さて、そんな幕開けでカイテンジャーとの戦闘を始めたわけなんだけど...やっぱり全員強いね、ゲヘナ風紀委員会や正義実現委員会の幹部クラス以外が手も足も出なかったという噂は本当みたいだ。

 

 特に厄介なのは、隙と呼べるタイミングが誇張抜きでほぼゼロに近いこと。他の4人それぞれのリロードに合わせて、レッドさんが()()()()()()()()()絶妙に邪魔な牽制をしてくるから中々追い討ちをかけられないのだ。

 このままの戦況をズルズルと引きずっていたら、じきに先生と第一部隊が駆けつけてきてしまうだろう。

 

 ...だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 瞬間、淀みなく動いていたカイテンジャー達の動きがピタリと停止する。

 ボクから()()()()()()()()()恐怖(テラー)』の密度が跳ね上がったことで、本能が身体をその場に縫い付けたのだ。

 

 スランピアでの特訓で習得した『恐怖の練り上げ』に伴って、ボクは『恐怖(テラー)』を()()()()も掴むことが出来た。

 常に相当量の『恐怖(テラー)』を振り撒いていたら、今後人の多い場所へ潜入する時に困っちゃうからね。それに出力を調節すれば継戦能力の向上にも繋がるから、早めに覚えられてよかったと思ってるよ。

 

 さて、誰から落としていこうかとボクが踏み込んだ瞬間...レッドさんの呼び掛けで、全員が一斉に声を張り上げた。

 

 ...マジ?今の口上と、彼女達の背後から聞こえてくる轟音...!もしかしなくても、()()()()()()()()()()()なんだよなぁっ!!

 直後、ハリボテと大量のブルーシートで覆われていたソレ____戦隊ヒーローお約束の合体ロボが、その全容を(あらわ)にした...!

 

 うへっ...うへへへへへっ!!すっご、生の合体ロボだっ!モモカちゃんが言ってた兵器の設計図や特殊金属はアレに使うためだったんだね!

 

 ほへ〜、兵装以外のディテールもめっちゃ拘ってるな〜...先生もコレ見たら、興奮して指揮どころじゃなくなるんじゃないかな。

 ...だけどゴメンね、先生。この衝動は、(いち)特撮ファンとして失格かもしれないけどさ。

 

____ボクは今、()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()...っ!

 

 ハンドガンをホルスターにしまい、ボクはずっと背負っていたショットガンに手を伸ばす。

 ヘイローに意識を集中し、頭と腕を経由して銃身に『恐怖(テラー)』を流し込む。

 

 ...さあ、やろう。

 互いにありったけのリソースを()ぎ込んで、ヒーロー対悪党の大立ち回りを存分に堪能しよう...!

 

 ボクが演じたい『謎のヒロイン』は、貪欲に強さを求める姿勢の先でしか掴めないモノなのだから____!

 

 

 




次回はシャーレ視点でお送りします!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。